アンドリュー・ヴァクス
(旅先で読む文庫本)
(ヴァクスの新刊「グッド・パンジイ」(早川書房提供))
ひろさんの今のお気に入りはアンドリュー・ヴァクス。
本の帯に,「ニューヨークのアウトロー探偵新登場」などと書いてあり,
その通りなのだが,ひろさんには気にくわない。アウトローという言葉が
深さを伴わないからだ。
バークという主人公はニューヨークの裏町に住んでいる。
バークには,前科があって,いろいろ用心をしながら生活している。
住まいは,もと工場の最上階の5階に秘密のドアを作り,侵入者
を防ぐ仕掛けの中に住んでいる。
電話のつながり方も普通ではない。後述の
ママだけがつなぐことが出来る。
この家に,大きな犬(名前はパンジィ)と暮らしている。犬は良くしつけてあり,
毒殺されるようなことはない。
車も変わっている。徹底的に改造した車だが,表面的には普通の車だ。
バークの仲間もいかがわしい。マックスという
東洋人は兄弟分で,武道の達人。バークの用心棒でもある。マックスは口がきけない。
ミシェルはおかま。バークが必要とする情報を拾ってきてくれる。
プロフは予言者。バークの刑務所仲間で,バークは刑務所での生き延び方を習った。
モグラは技術者で,強制収容所に入った体験があり,ナチス嫌い。いろいろな細工は
モグラの役割だ。
バークの電話の取り次ぎや,仲間への伝言を伝えるのは中華料理店のママ。バークの母親
役でもある。素っ気ないがやさしい母親だ。バークに必要な食事に心を砕く。
これらの仲間は家族以上に密接に結びついており,ミューヨークの裏町で生き生きと
暮らしている。その暮らしの緊迫感がたまらない。
こういった環境の中で,幼児虐待の犯人に挑む様が活写される。あり得ない話なのか,
ありそうな話なのか良くわからないが,ハードボイルドでありながら繊細な描き方が
されていてる。
読むのがもったいなくて、年に1作か2作しか読まない。
2003年夏久しぶりにヴァクスを持って旅に出た。
新作が出て、手持ちが増えたし、良いことがありそうな気がしたからだ。
期待通りの面白さで、改めて気がついたのは、この作家
の会話のテンポの良さと、気の利いた科白の面白さ。
やっぱりヴァクスの本は旅に持っていっても良い。
ある日、早川書房からメールが来て、新作が出たという。
その新作の表紙を提供してくれるとのことで、ここにかかげた。
出版されている作品は
<ハヤカワ文庫>
フラッド
赤毛のストレーガ
ブルー・ベル
ハード・キャンディ
ブロッサム
サクリファイス
ゼロの誘い
セーフハウス
クリスタル
グッド・パンジイ新刊
凶手
の11冊。
凶手はバークものではない。
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