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隆慶一郎(旅先で読む文庫本)

隆慶一郎はかなり年齢をとってから作家に転じた人だという。

ひろさんは,隆慶一郎の,荒唐無稽な時代小説ながら(と言って伝 奇物ではない),発想が自由奔放で, 底抜けに明るい人物描写が好きで,人によく勧める。
また,病気や入院のお見舞いに,この人の本を差し入れる。
一度,ガンの手術をした友人に,「死ぬことと見つけたり」を贈ってしまった。 友人はどう受け止めたか聞きそびれたが,「死」ぬ本を贈ってヒヤッとした ものだ。その友人はまだピンピンしているので時効にしてくれるかも知れない。

隆慶一郎の描くテーマはいくつかあるが,

@道々の輩(漂泊のひとびと=自由の民)への関心の深さ
(道々の輩とは例えば,傀儡子,幻術師,山伏,忍者の他,海民・山民,職人, 勝負師,公界僧らの自由人)
A専制君主の公界(自由都市)いじめへの嫌悪
B家康替え玉説
C秀忠嫌い,忠輝好き
D柳生嫌い
等が特徴的だ。
また,おおらかなセックス描写も各作品に共通の特徴だ。

ともかく,自由な発想の時代小説で,一冊でも読めば,そのままはまってしまう。

隆慶一郎の文庫本は,いろいろな書店にまたがって出版されているので なかなかそろわない。ひろさんは読むそばから人に勧め,人に上げてしまう ので,この文を纏めるのに苦労したが,また買いそろえても良いとさえ 思っている。


<新潮文庫>
吉原御免状
鬼麿斬人剣
かくれさと苦界行
一夢庵風流記
影武者徳川家康(上中下)
死ぬことと見つけたり(上下)

<講談社文庫>
柳生非情剣
捨て童子・松平忠輝(上中下)
花と火の帝(上下)
見知らぬ海へ

<集英社文庫>
一夢庵風流記
かぶいて候

<光文社文庫>
駆け込み寺蔭始末

<徳間文庫>
風の呪殺陣

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