旅先で読む文庫本ひろさんの読書遍歴日本作家編 五十嵐貴久Updated 池宮彰一郎Updated 宇江佐真理Updated 荻原浩New 北森鴻New 佐藤雅美Updated 志水辰夫Updated 真保裕一Updated 東郷隆Updated 藤原伊織Updated 山本一力New 横山秀夫Updated 隆慶一郎 本欄で更新を怠っている作家 帚木蓬生
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池宮彰一郎(2007年5月6日逝去)おもしろい。第1作の「四十七人の刺客」は忠臣蔵の新解釈の小説だが、視点が新鮮で現代的である。 吉良邸に討ち入った四十七士を義士でもなく、浪士でもなく、刺客/暗殺者としたところは全く新しい解釈である。討ち入りを戦争と見なし、それを指揮する大石内蔵助の存在感が大きい。 討ち入りに必要な「金」、「人」、「物」、「理由付け」、「統率力」などが全て現代解釈で貫かれ、従来の忠臣蔵で疑問に思うところを、説得力ある語り口で読者を引っ張ってゆく。 第2作の「事変」は、昭和始めの第二次世界大戦の突入直前を描く。 軍部の独走を阻止するため、奇想天外な話が満州中心に繰り広げられるが、どこまでが史実でどこからがフィクションか全く解らないまま、一気に読まされてしまう。 第3作の「四十七人目の浪士」は、義挙の生き証人として生き延びることを、大石内蔵助に命じられた寺坂吉右衛門の話。 吉右衛門が関係者からどう見られるかがよく考えられていて、作者の創造力が新鮮だ。 作者は映画のシナリオライターから作家に転じたという。 隆慶一郎に次ぐ好きな時代物の作家。 2007年5月6日逝去・合掌 <新潮文庫> <講談社文庫> |