Home

旅先で読む文庫本

ひろさんの読書遍歴
日本作家編

五十嵐貴久New
池宮彰一郎Updated
宇江佐真理Updated
荻原浩New
北森鴻New
佐藤雅美Updated
志水辰夫Updated
真保裕一Updated
東郷隆Updated
藤原伊織Updated
山本一力New
横山秀夫Updated
隆慶一郎

本欄で更新を怠っている作家

帚木蓬生

ひろさんの読書遍歴
海外作家編

ローレンス・ブロック Updated
ロビン・クックUpdated
トマス・H・クックUpdated
コリン・デクスター
ディック・フランシス
ブライアン・フリーマントル
Updated
ポーラ・ゴズリング
スー・グラフトン
ジョン・グリシャムUpdated
キャサリン・H・ペイジ
ロバート・B・パーカーUpdated
ビル・プロンジーニ
サム・リーヴズ
グレッグ・ルッカ
マイクル・Z・リューイン
アンドリュー・ヴァクス
テリー・ホワイト
コリン・ウイルコックス


Home


コリン・ウイルコックス
(旅先で読む文庫本)

コリン・ウイルコックスのヘイスティング警部ものは、1970年から 80年にかけて書かれた警察ものだが,一人称で書かれているので,探偵 ものに近い印象を受ける。
訳者の宮脇孝雄の「訳者あとがき」に曰く。「エド・マクベイン他の警察 ものは,警察の捜査の面白さに主眼を置くので,警察小説とはいわず,警察 捜査物という言葉が使われており,同時進行する捜査の面白さを最大限に 表現するため,ほとんどが三人称多元描写の手法で書かれている。ヘイステ ィング警部シリーズは(一人称のため)広がりを犠牲にしているが,話に 奥行きを持たせることに成功している。」に同感。

ヘイスティング警部は学生時代と卒業直後は,アメフトのQB。 結婚し奥さんの親の会社(東部)に入り広報担当。客への接待に自分を見失いかける。 離婚。サンフランシスコに戻って警官になる。こういった経歴が淡々と語られる。
また,ウイルコックスの警官仲間同士の人間関係の描写が, 他の探偵ものにはない,いわば日本のサラリーマンものに近い位置関係にあることに 共感を覚える。
部長の記者会見に振り回される様。同僚のフリードマン警部とのやりとり。部下の カネリ刑事の要領の悪さ。マーカム刑事の出世欲。
また,マニュアル遵守をしたいのだが,そんなまだるっこいことが出来ない,と, あえて無視する心の葛藤も面白い。(日本の警官物にはこういった行動規範 は出てこない)

離婚歴が当たり前のアメリカは,小説でも当然離婚話が題材に入ってくるが, 離婚をしない建前の80年代の日本でウイルコックスを読んで新鮮な驚きは今も 忘れられない。読み返してみて,それほど古いという印象は受けなかった。

<文春文庫>

依頼人は三度襲われる(ビル・プロンジーニと共著)
容疑者は雨に消える
女友達は影に怯える
殺し屋は東から来る
警察署長は最後に狙われる
父親は銃を抱いて眠る
子供たちは森に隠れる
暗殺者は四時に訪れる
ロックシンガーは闇に沈む
ロンリーハンター

ひろさんの旅枕
Homeに戻る。