グレッグ・ルッカ(旅先で読む文庫本)
「アンドリュー・ヴァクス絶賛」という惹句に釣られて買った。
読後感はとても良い。
ヴァクスと違って、まともな(ボディガードの)プロたちの
くりひろげる推理と行動、興奮した群衆・アジテーター・殺し屋たちとの攻防、
警察やFBIの動きなどが、緊迫感をもって伝わってくる。
ヴァクスは主人公をユニークなキャラクターで固めたのに比べ、ルッカはボディガード
のプロたちで固めた。
が、ニューヨークの街の描き方、登場人物の息づかいなど、ヴァクスが絶賛
するのは当然と思うほど同種の雰囲気を持つ作風だ。
また、主人公にからむ女探偵のキャラクターが新しい。
もう一つの主題は、妊娠中絶に関する、アメリカ各界の動き。
これは話がややこしいので省くが、胎児の人格をどう見るか、女性
(母親)の人格と胎児の人格に差があるのか、男(父親)はどう絡むのか
といったことが、ストーリーとともに展開してゆく。
主人公のボディガード(たち)は、デモ隊や殺し屋に狙われる女医(中絶
は女性の選択権の一つという信念を持つ女医)を守りながら、ねぐらを替え、
警備計画を練る。
女医の命を狙っているのは誰か?
果たして、女医を襲撃から守れるのか?
耽溺者(ジャンキー)は、女探偵が主人公の作品で若干毛色が変わる。
ルッカはまだ若い作家だとか。楽しみな作家だ。
<講談社文庫>
守護者(キーパー)
奪回者
暗殺者(キラー)
耽溺者(ジャンキー)
逸脱者(上・下)
哀国者(2008)
回帰者(2010)
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