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2巡目の四国遍路・その6(後編)

愛媛県東部(後編)

2001年
7月2日(月曜日)続き

前編「伊予和気駅」から続く
第2日目 (続き)→ 延命寺 泰山寺 栄福寺 仙遊寺 国分寺 南光坊→今治
第3日目 今治→ 60番・横峰寺 香園寺 宝寿寺 吉祥寺 前神寺→松山→羽田


女子学生が多かった。
車内は涼しく、 駅で購入した缶ジュースとスナック菓子で汗がひいた。
この路線は、車窓からの海がめっぽう明るい。
高知の「とさくろしお鉄道」ほどではないが、海がきれいな路線だ。
精油所やドックが見え、やがて大西駅。

大西駅の管理のおばさんにバス停を聞く。
遍路からたびたび聞かれるのか、ボードにイラストが描いてあり、5分位と教えてくれる。
ここからは、路線バスは、せとうち自動車のテリトリー。
せとうちバスも遍路に親切なバス会社だ。同社の今治−菊間線が延命寺前を通る。
待つほどにバスが来て、国道を走ること10分足らずで「阿方」に着く。

延命寺

54番札所・延命寺は路地の先。

(54番・延命寺)
延命寺 延命寺では、売店のおばさんから冷たいお茶を頂いた。
2人のおばさんが、とめどなく話をしている。
人を見かけると、お茶を飲みなさいと声をかけてくれる。

ここらあたりはタオルの産地で、売店ではタオル製品が多い。


延命寺を出て、旧道から国道に出る。本来の南光坊は今日の最後に回し、泰山寺や栄福寺、仙遊寺を先にお参りするつもりだ。
国道は自動車が多く、交通の動脈だが、歩道がありそれほど歩きにくくはない。むしろ暑さが敵か。

40分ほどで右に泰山寺という看板があり、細い田舎道に入ると、豪勢な本堂の屋根が見える。

泰山寺

泰山寺では、歩き遍路が休んでいて言葉を交わす。
川崎の人。
テントを持って野宿をするという。
道にも詳しく、いろいろ教えてもらう。
ベテランらしく、歩く時と休む時をはっきり区別する。
たまに来るひろさんは、ゆとりが無く、歩きづめになってしまう。

暑いが、暖かい昼食が欲しくて国道に出る。
うどんやを探したが無く中華の店に入る。
五目あんかけソバ。こんなのは、滅多に食べないが、ともかく頼んでみた。

栄福寺

山裾にある栄福寺まではさらに30分。ひっそりとした良い寺だ。

(57番・栄福寺の大師堂)
栄福寺 暑いのでしばらく休む。
遍路道は左側、自動車道は、寺の前を直進する。
自動車道に沿って、タオル工場がある。
この工場で、タオルの直売をやっており、前回は重宝した。
今回もこれを目当てに自動車道を進む。
といっても、車の数は少なく苦にならない。
工場はやっていたが、即売は係りの人が昼食居らず、帰りがけに買うことにして仙遊寺を目指した。

仙遊寺の登りは、長くはないのだが結構こたえる。休もうかなと思っていると車が止まり、お乗りになりませんか?という。
なんと、住職らしきお坊さんが車をすすめてくれた。
有り難く乗せてもらい、山門をすぎ、駐車場から境内へ入る。
今日は2軒も葬式があり、2回目のおつとめとか。
4月に、宿坊に予約しながら家人の急病で遍路を中止し、宅配便の下着を送り返してもらった話をする。

仙遊寺

程なく仙遊寺の境内。
本堂の脇に出る。

(58番・仙遊寺の宿坊「創心舎」)
仙遊寺の宿坊「洗心舎」 本堂をお参りし、大師堂をお参りしているうちに、住職が着替えて納経所に着席。留守を守ったおばさんがほっとしている。
00年暮れに出来上がったという宿坊は本堂の裏。
とてもすばらしい建物だ。

今回は、何か行事があって?泊まることが出来なかったがいずれ宿泊してみたい。
大師堂のそばから、山門にむかって長い階段を降りる。
両足がマメと筋肉痛で痛む。
山門を越えたところで、山仕事のおじさんに会う。

バス停に戻るというと、2時間足らずで国分寺に行けるから、この山道をたどった方が良い、と奨めてくれる。
国分寺は今日の予定では無いのだが、バス停に戻る時間と同じぐらいで行けるという。
強いすすめなので、とりあえず、右の山道に入る。
確かにしっかりした道で、10分ほどで平地に出、少し迷ったが、国分寺方面に進む。

ただ、単調な村の街道で、暑さでいやになりかけたとき、黄色ナンバーが止まってくれて乗ってゆかないか?と声がかかった。
九州(宮崎)の人で、愛媛に嫁いで数十年、お花の出稽古の途中だが、遍路を見ると声を掛けるという。
ひろさんが神奈川の人だというと、昨年鎌倉に遊びに行ったという。
道は、海に向かうと言うよりかなり東に向かい、左折すると、国分寺が見えた。

国分寺

国分寺の門前で下ろしてもらい、お参りする気力もなく、タオル屋さんに入りペットボトルで一息つく。

タオル屋さんは五九楽館という名前。ホームページもお持ちだとか。
雑談後、国分寺にお参りして、バス停に行く。
バスが出た直後なので、国府橋まで歩く。ここには、桜井団地行きのバスも止まる。
今治駅に着き、南光坊まで歩く。10分足らず。

南光坊

(55番・南光坊の大師堂)
南光坊の大師堂 南光坊では地元の年寄り数人が木陰で雑談をしていた。
納経所で、年輩者の作ったお手玉や貝に布をかぶせた細工物をもらう。
遍路へのご接待に暇を見て作ってくれるのだという。

駅前のビジネスホテルに着き、バスを使う。
陽が高く、食事に出るのがためらわれる。

しばらく休養し、マメの手当をし、それから夕食。
駅の下の居酒屋が安かった。

2001年7月3日(火曜日)晴れ

JR今治駅−−JR西条駅→(バス)→60番・横峰寺→香園寺→宝寿寺→吉祥寺→前神寺→JR西条駅−−JR松山駅→松山空港→羽田

朝7時前の列車で西条へ。
西条は、石鎚山の山開きで人が多かった。
臨時バスがあり、修験道姿のお年寄りと共にバスに乗り込む。
横峰登山口で下車。ここから横峰寺まで、せとうちバスのシャトルバスが出ている。
ただ、乗客がひろさん一人なので、結局定時バスまで待ち、結局一人だけの貸し切り状態で横峰寺に向かう。前回は一般車は乗り入れ出来ず、全員シャトルバスだったが、今回は小型車の通行はOKとか。

30分足らずで横峰駐車場。

横峰寺

(60番・横峰寺)
横峰寺 徒歩7〜8分で、横峰寺大師堂の脇に出る。
大師堂と向き合って本堂。石段の下に鐘楼や納経所がある。
納経所では、梅酒の実のご接待があり、のどの渇きを癒す。
石鎚山の山開きのためか、境内に青旗がはためいてとてもきれい。
大急ぎで駐車場に戻ると、運転手さんも気を利かせてくれ、上の原の基地に戻ってくれた。
石鎚からの臨時バスがぎりぎりで接続し、ダムを見ながら下界へ。

加茂川橋で乗り換え。
今治/新居浜線は30分に一本と結構本数が多い。
時間が早く、香園寺まで戻っても前神寺までお参りできそうな状況なので、小松役場前まで乗る。

香園寺

バス停から香園寺までは20分足らず。
今回は迷わず門前にたどり着いた。
前回、香園寺のたたずまいに不快感を持ったが、今回はむしろ、好意さえ感じてお参りした。

宝寿寺

(62番・宝寿寺)
宝寿寺 小松バス停に戻り、国道を歩く。
トラックやダンプカーが怖いが、道は迷わない。
歩き遍路と出会う。
北海道の植木職。

妻子を亡くし、4巡目の四国という。
テントでの野宿。半年は帰らないと言う。
いろいろ雑談する。
今日は石鎚温泉に入ってみたいという。
一足先にひろさんが出発する。

吉祥寺

吉祥寺まで20分。国道の車ラッシュがすさまじい。

吉祥寺の鐘楼の日陰で休む。
せとうちバスの時刻表があるので、次のバスまでゆっくりと出来た。
先ほどの歩き遍路と入れ違いになる。

前神寺まで、バスだとすぐ着く。
山の裾、右側には、石鎚神社が見え、青旗がはためいている。

前神寺

(64番・前神寺)
64番・前神寺 前神寺の境内は広い。
納経所が手前で、その先が大師堂、奥に本堂他が連なっている。
本堂の建物は神社の雰囲気がただよう。
今回の予定は全て終わった。
遅めの昼食を、石鎚温泉で摂るか、列車内で摂るかを考えたが、早く駅に着けば、予定より一本前の特急が捕まるので、来たバスに乗り西条駅に向かった。

駅で、サンドイッチと缶ビールを買い、涼しい車内で道中の無事を感謝しながらのどを潤した。

足は、マメと筋肉痛で悲惨だったが、ともかく、歩けるところは全て歩いたという満足感が強かった。

次回は三角寺から。
どんな遍路になるのだろう。



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