横濱ジャズプロムナード'99 観賞記

 今年も待ってたこのイベント、観客への浸透と期待だけでなく、企画の個性もミュージシャン自体の楽しみ方も進化してきたように感じられます。私もジャズの広さ、深さに対する楽しみ方といったものを、ずいぶんと勉強させてもらっています。


10/9(土)

青少年ホール

●坂田明・ボーダーライン シンドローム 

 <坂田 明(as)仙波清彦(per)黒田京子(p)バガボン鈴木(b)>

 オープニングに選んだのは、坂田の名前にプラスして、仙波が出るということからです。久しぶりに見る仙波のドラムは、鮮やかにバンド全体をまとめ上げ、盛り立てていて、さすがと唸ってしまいました。聴衆を盛り上げるのは坂田の真骨頂。ベースもピアノも負けずに熱く応え、ステキなコンサートでした。2日間を振り返ったときに、一番安心感のあるまとまったライヴだったように思えます。

ランドマークホール

●「ヤヒロ・トモヒロのWORLD MUSIC」

 紅葉坂を下ってまっすぐ行くとランドマークタワー、という道をはじめて知りました…。横浜市民なのに。そして今年の企画モノ第一段、パーカッショニスト・ヤヒロの7時間ライヴ!

■「長谷川きよし(vo,g) 」

 凄いリズミカルに切れのある声とギターのテクニックで、ラテンと自作の歌を奏で出す迫力に圧倒されました。私はまったく知らない人でしたが、またどこかで聴かなければ。もっとヤヒロも前面に出て、ぶつかり合って見せてくれるとジャズ的になって面白かったかもしれませんが、そんな仕掛けも必要ないほど刺激的でした。

■「ダブルブラザーズ<続木力(Harm)続木徹(p)八尋洋一(b)>

 二組の兄弟ミュージシャンならではの息の合ったセッション。ほとんどリハもしていないといいながら、リラックスして楽しげに演奏する4人の姿は、血とはそんなものなのかという認識をもたらせてくれます。ハーモニカの音色がなんとも安らぎました。

■「寿(沖縄ポップ)」<ナビィ(vo)ナーグシク・ヨシミツ(g,三線)>

 ボーカルは沖縄の元気なお姉さんという感じで、観客を乗せたがっている気持ちがちょっと空回り気味でしたが、島の明るさと自由さ、それに苦しみが伝わってくるステキな島唄を聴かせてくれました。ヤマトの人間は、ノリを手拍子や身体の動きで表わしていなくても、ちゃんと内面では熱くなっているんだから、心配いらないんですよ。(むしろ単調な手拍子なんか打っていると、醒めちゃうこともあるし…)

■ 「ホルへ・クンボGROUP

 <JORGE CUMBO:(QUENA)GERARDO DI GIUSTO(p)GUSTAVO GREGORIO(b) 岡本博文(g) >

 今回のメインはこれでした。ケーナ奏者の巨匠・クンボが聴けるとは。私自身がもう20年以上ケーナを吹いている(時々ですが)だけに、その楽器の魅力を存分に味わわせてもらえました。ヨーロッパに在住しているクンボの、単に南米のフォルクローレではない洗練されたジャズの演奏は、これがケーナの力だよ!と訴えかけてくると同時に、深みのある音楽世界にどんどん引き込んでいきます。ケーナだけでなくサンポーニャを吹き、歌う静かで熱い姿も印象的です。音楽的には同じアルゼンチン出身のガトーも彷彿させられました。ここにきてヤヒロのパーカッションも冴え、他のメンバーたちとの真剣勝負さも際立ってきました。やはりいろいろな国の文化的背景を持った人間が集まって演奏をする場で生まれる、相手に対する緊張と理解というのがジャズならではの可能性と魅力だと思うのです。

開港記念会館

●ROVA SAX QUARTET(USA)

 <Sアダムス、Bアックリー、Jラスキン、Lオーチス(sax) >

 そのままヤヒロワールドに浸っていようかとも思いましたが、エアジンのマスターが推薦していたロヴァカルテットも聴いてみたくて、会場を移動。

 それぞれ大小2本ずつ、計8本のサックスを狂いのないテクニックで、この楽器はこんなふうに扱うんだよと、見事なアンサンブルを聴かせてくれました。良い演奏でしたが、私にとっては曲自体がちょっと退屈でした。アメリカ人のジャズなんですねぇ。もっとパワフルでメロディアスな曲もあると嬉しかったな。


10/10(日)

 この日は桜木町の自動精算機の前で15分以上並びました…横浜はイベントが盛りだくさんですが、桜木町は一つしか改札がないのに精算機4台じゃ困ります。JRは改善しなさい。

ランドマークホール

●渋さ知らズ&乳房知らズ・大オーケストラ

 <不破大輔(ダンドリスト)片山広明(ts)渋谷 毅(p)大沼志朗(ds)吉田隆一(B.sax)北洋一郎(tp)など、大勢>

 昼一番の公演ながら多数の観客が詰めかけ、改札に時間のかかった私は椅子を確保できず壁際の一番前で立ち見していたので、ステージ全体を見渡すことができなかったのですが、おそらく40人以上のミュージシャンがいたのではないでしょうか…。いやぁ、渋さチビズならライヴハウスで見たことはありましたが、この祭の場においての大オーケストラは、同じ曲を演っていたとしてもまったく別物の、常軌を逸したパワーとパフォーマンスを繰り広げてくれました。これと比類できるのは、解散した舞踏の白虎社しかない。猥雑で破廉恥で暴発する、肉体音の芸術! 渋さと共に公演中の風煉ダンスの一行も加わった大狂乱の世界は、観客の理性もぶっ飛ばしていきました。踊りださなくたって、仏頂面してるおじさんだって、みんな心の奥まで熱くなっていたはずです。

県民小ホール

●金井英人Bass Ensemble

 <小杉敏(b)小井政都志(b)高橋節(b)ほか>

 さて、早足で20分歩き、ギリギリ山下公園前の会場へ移動。渋さの狂乱のあとには仙人のような金井老の超然とした音楽で心を鎮めます。6台のベースとエレキギター+パーカッションでの演奏。静かな中にフリーな緊張感が張りつめた音の世界は、どこまでも心地よく気持ちの隅々にまでしみ込んできます。ジャズプロムナードで3度目、他では聴いてないしCDも持っていないのですが、この人のライヴを聴くと、出会えて良かったみたいな気持ちになります。

●金大煥(per,ds/韓国)

 <梅津和時(as,ss,B.cla)巻上公一(声,歌)佐藤允彦(p)>

 今年は板橋文夫のスペシャルを断念したのは、会場で席をとれる可能性が低そうなことと、同じ時のこのライヴもぜひ聴きたかったから。音楽生活50年というキム・デファンの演奏はいくつかのCDで聴いたことがあったと思ってたのですが、実は一つもありませんでした…そんなわけで初めて耳にする彼の演奏だったわけですが、これは素晴らしいドラムと韓国の太鼓の技を聴かせてもらいました。緊張感と余裕、どっしりと安定していながら高みに上っていくようで、どんどん引き込まれていきました。あとの3人いずれもフリー演奏が達者なミュージシャンですが、それらすべてを飲み込み、場を作っていくドラミング。感動です。

●市川秀男(p)TRIO+斉藤ネコ(vln)

 <加藤慎一(b)二本柳守(ds)>

 他に聴いてきたライヴの個性に比べてしまうとやや弱くて、少し寝てしまいました。決して演奏が悪いわけではないのですが、市川の優しさにほっとさせられて気が緩んだところもあるでしょう。ネコがもっと激しいパフォーマンスを見せてくれると目も覚めたでしょうが、そんな曲ではないし。

関内小ホール

●Kasper トランバーク(tp/デンマーク)QUARTET with 南 博(p)

 <J.ディーナセン(sax)N.ディビットセン(b)A.モーゲンセン(ds)>

 会場も移動したくて、ラストには昨年も聴いたこのグループにしました。ジャズプロムナードの掲示板で南博自身が宣伝していたこともあります。で、この演奏がとても良かった。昨年よりも余裕が感じられて、ノリも曲もわかりやすくて、それぞれの持ち味もよく出ていたように感じられました。今年は他にヨーロッパのジャズを聴かなかったせいもあってか、その感覚的なところがとても新鮮でした。ランドマークに行っていれば板橋サウンドで大盛り上がりだったでしょうが、こちらも2日間の終りとして優しく心を満たしてくれるライヴだったのが嬉しいです。


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