ジャズ映画を見る

ジャズの感性にあふれた映画を楽しみましょう


「ジャズ大名」1986年/古谷一行・主演/岡本喜八・監督

 映画音楽でなく、日本でジャズそのもののエッセンスが含まれている映画はあまりないように思います。ただし1作だけ、ジャズ好きで有名な筒井康隆の小説を原作にした「ジャズ大名」は、ジャズ映画というにふさわしい作品と評価しています。

 内容的にはナンセンスギャグで満たされた異色時代劇で、ばかばかしいまでの娯楽映画ですが、音楽担当が山下洋輔ということもあり熱いジャズ魂にあふれていて、ラストの大セッションに至るまでの間にジャズの楽しさが自然と理解される、そんな作品です。

 ラストの大セッションは…山下流の破壊的なまでのパワフルさとスマートな音楽性が、何十人もの出演者の持つ邦楽器や音の出るものまでも取り込んで、狂熱的に展開されていって爽快。洋輔氏もさりげなく参加していて、あるはずのないピアノを弾いている姿がご愛敬です。


「ジャズメン」1989年?/ソ連/カレン・シャフナザーロフ監督

 旧ソ連の映画で、クラシックピアノを専攻する音大生と軍楽隊でサックスを吹いていたことのある労働者、そして大道芸で太鼓を叩いている3人の男がバンドを結成して挫折の末に栄光をつかむという、ストーリー的にはサクセスものです。ソ連でジャズが認められていないで、外国からのレコードだけが情報だった1920年代のはなしですので、歴史的な意味合いでも興味深いところがあります。

 この映画の魅力は、ジャズとはなんなのかを模索していく彼等の姿から、即興とかミュージシャン同士のつながりとか、基本的なことが丁寧に描かれていることにあります。軍隊で譜面通りにしか演奏してこなかったサックスおやじが、どうしてもアドリブを理解できなくて困るシーンなど、ジャズの心を知るのに面白いところです。映画としても感動的な作品です。


「タクシー・ブルース」1990年/ソ連・フランス/パーヴェル・ルンギン監督

 フランスとロシアの合作で、舞台はモスクワ。タクシードライバー(労働者の代表)とサックス奏者(遊び人の代表)の2人の男が出会って、友情と反感を持ちながら関わり合っていくストーリーです。

 こちらはペレストロイカ以降のソ連で前衛ジャズも認められた頃の物語であり、急速に変化しつつある市民生活の意識と前衛表現が絡まり合って描かれており、まさに現代ジャズの感性で貫かれた映画だと思います。音楽(サックス演奏も)はウラジーミル・チェカシンで、まさにセルゲイ・クリョーヒンとともに前衛ロシアン・ジャズの牽引者的なトップアーチストなので、当然でしょうか。ラスト近くで長いサックス・ソロのシーンがあって、ロシア的でありながら現代の都会的でもある哀愁をたたえた即興演奏が、心に深く染み込んできます。映画自体、ソ連末期の姿と痛いようなドラマ性が傑出した作品で、90年のカンヌで監督賞を受賞しています。


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