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はじめての四国遍路

遍路その1
  1番〜11番・95年 4月
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遍路その3
 12番〜23番・96年11月
遍路その4
 24番〜39番・97年 4月
遍路その5
 40番〜65番・97年 6月
遍路その6
 66番〜83番・97年11月
遍路その7
 84番〜88番・98年4月

四国遍路の参考情報
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2巡目の四国遍路
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四国遍路 その5

愛媛県の西部と東部の1人旅

第1日目,40番と43番。
第2日目,41番と42番,54番から58番まで。
第3日目,59番から64番。
第4日目,65番。

97年6月4日 (水曜日) 曇り一時雨後晴れ

(羽田→松山→43番→40番→宇和島)

5回目の遍路。
今月末に定年で関連会社に移る。で、今は仕事が全くない。
だから今回は3泊4日の旅。3泊にしたのは,今回で愛媛県を打ち終えたいからだ。 愛媛県は第2回目の遍路で松山周辺の10ヶ寺のお参りが済んでいる。

6月に入って九州,四国の梅雨入り宣言があり,天気が心配だ。
本当の巡礼なら天候に関係なく歩くのだろうが,こちらは軟弱者だ。

今年の天候は不順で,寒さがなかなか抜けない。持参の服装は長袖中心。暑ければTシャツ になるつもりだ。
松山は雨。11時25分の特急のつもりだったが,タクシーなら10時25分に間に合うとの ことなのでタクシーにする。正解。新道が97年3月から開通したので,2つ トンネルを抜けてものの15分だ。
切符の自動販売械にオタオタしながら切符を買えないまま走って乗車。ほぼ満席。
内子経由は3年前には無かったルート。満席の社内に空席を見つけ, 早速,今日の予定の再検討をした。卯之町での途中下車で43番・明石寺のお参りが出来る。
卯之町では雨も上がっていたが,宇和高校を過ぎたあたりから雨になり, 明石寺に着くまで結構激しく10分ほど降り続いた。

(43番・明石寺のボランティア)
明石寺の境内にて 43番・明石寺は山の中腹の静かな寺。
ボランティアの農家のオバサンがお札の箱から、ビニールのゴミ袋に、お札を回収している。
で,せっかく書いた納め札は,箱を経由しないで直接ゴミ袋に入れた。
おばさんに協力。

雨上がりに鳥の声が鋭い。
住職に名前を聞くと「谷渡り」とのこと。「特許許可局」を少し詰まって啼く。
大船でも早朝聞こえる鳴き声だ。

寺の下の食堂(常楽苑)でうどん(ザルうどん)の昼食。四国はうどんが安くて美味いのでだいたいこれが定番。
駅への戻りは山越えの道をトライした。

昼食中の職人さんに聞いたら登り口まで同道の上丁寧に教えてくれた。
峠まで5分足らずで,越えると直ぐに聾唖学校があり,間もなく小さな古い 市街地に続き,駅まで20分足らず。
次の汽車まで時間が余った。

宇和島でバスを待つ間に荷物をホテルに預けた。ここは宇和島バスのテリトリー。
宇和島から御荘までは,右に海を眺める快適な道路で,市街を抜けると渋滞もない。
1時間ほどで札所前。
鉄筋コンクリートの立派な寺だ。3年前は4月末の縁日で市が立っていたが,今日は静寂。 夫婦の車遍路が一組だけ。
お参りを済ませ,バス停での長い待ち時間。停留所前の郵便局に 「カツオ、ビンタの郵パック宅急便」とある。バス待ちの高校生に聞いてもビンタが判らない。
ホテルに戻り,風呂に入り,洗濯をして,夕食。
宇和島泊まりとしたのは,小料理屋の魚が目的だ。弘法様にしかられるかな。

街をうろつき、一軒の一杯飲み屋。
ここが正解で,親父さんは助っ人。友人が倒れたので、魚の仕入れと料理の仕出しだけ 手伝っていて、本業は土建屋という。
9時には店を閉めてしまうとのこと。魚河岸が好きで, ゆくゆくは仲買か,河岸での仕入れの資格を買いたいという(2千万円とか)。
カツオはタマネギのスライスで生臭さが十分解消できる(新発見)。アオリイカのさしみ。 タコの電子レンジ味付け。グチの擂り身のてんぷら。同ゆでたもの。ジャコテン。ジャコはカゴ カキダイ。バス停で見たビンタは、ビンナガマグロの小ぶりな奴。本マグロもビンタと呼ぶらしい。
魚だけで腹一杯。8時過ぎにホテルに戻る。


6月5日(木曜日)晴れ

(宇和島→41番→42番→58番→57番→56番→54番→55番→鈍川温泉)

朝5時半に起き,散歩。宇和島の繁華街は山の手の方で,昨日歩いたところは場末。 散歩から戻り、パンとジュースの朝食。
宇和島駅7時21分発の窪川行きに乗る。大半が高校生。
列車は街をすぎ,二股で本線と別れると突然山奥の雰囲気。斜面も急だ。トコトコ登って目の 前が開けると、務田。
昨日の飲み屋のオバサンが務田の人とかで詳細の地図を描いてくれた。5万分の1の地図も見 ながら,正しい方向に進む。
田ンボは田植えの最中。カエルがケロケロ鳴いているのは,4月末の高知と同じ。
20分程で41番・龍光寺。
門前の農家の雰囲気と階段の上の寺の雰囲気が良い。木立ちが美しい。
正面は神社の急な石段で,左右に本堂と大師堂がある。
お参りは1人の歩き遍路と3人の車遍路だけ。
歩き遍路はお参りを済ませると直ぐに遍路道を歩き始めた。

(41番・竜光寺の境内にて)
竜光寺の境内にて こちらは,森ヶ鼻に戻り,成妙(なるたえ)行きのバスを待つ。
時間が余り,歩いても良かったと思う頃バスが来る。乗客は1人だけ。広い道路を5分程で仏木寺前。
先ほどの歩き遍路がお参りを済ませて帰りの自動車を待っている。
山門,本堂,大師堂ともに良く手入れされているが,仕事師がさらに手を加えようとしている。
納経帳に朱印を貰い,住職と言葉を交わす。
住職は仕事師に写真を撮って上げなさいと言い,アングルを指図する。
その仕事師が,務田まで送って上げようと言う。
1人遍路の乗ったバスが出たばかりで,バスが宮野下を廻っている間に務田に着くかも知れないと言う。
好意に甘える。
務田でぎりぎりバスに間に合い,このバスがJRの特急に間に合ったおかげで,2時間の前倒しとなった。


予定変更。今日中に58番仙遊寺,57番栄福寺,56番泰山寺を逆打ちでこなすこ とにし,余裕があったら,54番延命寺もお参りできそうだ。明日の天気が雨の予想なので,こ れは良い決断だ。また鈍川温泉が予約できれば今治駅前ホテルはキャンセルし変更したい。

で,今治の駅で予約変更。荷物をコインロッカーに入れ,バスで大須木に向かう。 バスはせとうちバスの鈍川温泉行き。
下車後,川を渡り,坂道に向かう。自動車道を延々と歩く。途中,タオル工場の即売の看板があ り,浴用タオルを買う。
遍路客が,タクシーを待たせタオルをお土産用に包装して貰っている。今治はタオル生産が全国 シェア70%とか。
58番・仙遊寺は真新しい山門から急な階段がとても長い。大汗。手すりの寄進もうなずける。
焼山寺とか鶴林寺ほどの秘境ではないが山深い。持参のカンコーヒーが美味い。

同じ道を下る。滋賀からの5〜6人の遍路さんにフイルムが無いか聞かれ,今日一日,各寺 4〜5枚ほどに抑えれば保ちそうなので,「ご接待です」と云って1本渡す。
登りであえいだ道も下りは楽だ。
地図を見ながら,道も間違えることなく40分程で57番栄福寺。
小高い山の麓にある。
建物も見事で,写真写りが良さそうな寺。

(57番・栄福寺のお遍路)
栄福寺のお遍路 住職に話し掛けると,58番の朱印を見て,59番は近いよという。
でも,56番に向かいたいというと,それは残念とのこと。
歩く人は、54/55/56/と打ち,58番→57番→59番が良いのだという。
地図を見ながら平らな道を歩く。
気温が高いが快調。
56番・泰山寺。石垣の上にそびえている。やはり小高い丘の麓。
シャッターを押してくれる人が居ないので,セルフで写真を撮る。

時間が早いので,54番に向かう。
地図では3キロ程か。今治バイパスを松山方向に歩き、短大を越して右折し,旧道を横断し,寺への進入路をたどる。
寺の納経所には,タオルの売店があり,撮影の素材としては面白いがフイルムが足りない。

(54番・延命寺の納経所)
延命寺の境内にて お参りを済ませると,売店のオバサンが,こぶ茶の接待。暖かいのがとても旨い。
バスの時間には間があり,歩いても5時には南光坊に着けると励ましてくれたので,南光坊まで 行くことにする。
ただ疲れが激しいので,バス停でガイドブックにある延喜タクシーに電話し, 南光坊まで乗る。5〜6分。

街なかの寺。
お参りし、写真を撮る。
3枚しかなかったので丁度良い。大師堂が大きな木に隠れ、 撮りづらい。
駅まで歩き,コインロッカーから荷物を出すと直ぐにバス。時間が変わっており,減便されている。
数ヶ月前にもらった時刻表があてにならない。
30分程で鈍川温泉。ひなびた温泉で。別館美賀登はとば口。道路から下に建っている。

地下 1階が大広間。地下2〜4階が客室。風呂はその下。鈍川にすれすれの場所が浴槽だ。
川にはウグイがおよぎ、見ていると飽きない。
食事はおかずの品数が少ないが、まあまあの値段。
河原からカジカの声が夜中響いていた。


6月6日(金曜日)雨後曇り

(鈍川温泉→59番→61番→62番→63番→64番→60番→京屋)

雲行きが怪しい。風で木々がゆれている。
朝食前の散歩。宿の前を上流に向かう。5〜6軒の温泉ホテルを過ぎると何もない。
渓谷も規模が小さい。雨が降ってきたので,走って旅館に戻る。
温泉から上がって浴衣を着ていると停電。暗いのはよいが,テレビの天気予報が見えない。
服装を雨モードにして、ボストンバッグは宅急便で送り返す。京屋に着けばつぎの宅急便が待っ ている。
バスの運転手は付近一帯の停電だという。
今治駅で乗り換える。せとうちバスは親切な会社で,各バス停の乗り換え図をワープロで作って 送ってくれた。桜井団地行きに乗る。団地止まりなので運転手に道を聞くと,団地まで行かない方が 国分寺に近いという。
教わった通り国府橋で降り,そごうマートでビニールの雨合羽を買ってから59番国分寺に向かう。
雨が次第に激しさを増し,寺に着いた頃は大降り。
雨だとお参りするのも,写真を撮るのもたいそう不自由になる。
お参りもそこそこに、国分寺のバス停で待つ。ここは循環ルートなので, どちらも桜井団地経由今治行きで若干戸惑う。
せとうちバスから送ってくれたメモでは、国道のトヨタカローラの販売店の前で待つのがよい。

小松役場前バス停まで,国道を突っ走って30分余り。雨が激しい。
小松役場前のバス停で雨支度をし直す。
61番・香園寺は国道の裏だが,国道の道標は車の人向きの道標で,駅やバス停からの指標は少なく、聞く人も居ないので,行き過ぎてしまう。
こんなことに腹を立てるのは我ながら人間が出来ていない。
香園寺はコンクリートの要塞のような建物。
大師堂は、建物の中の劇場のような場所。

国道を歩くのにこりて、今度は裏道をゆく。だが裏道に宝寿寺の看板がない。人に聞く。危うく通り過ぎてしまうところだった。
62番・宝寿寺は町中の普通の寺院。
住職に吉祥寺の看板があるかどうかをしつこく聞いた。住職は親切にも看板だけでなく,その先の、横峰寺に行くバスの本数が少ないのを,メモを見ながら注意してくれた。

雨が上がり,合羽を脱ぐ。
程なく吉祥寺。
ここも町中の寺。納経所のオバサンは新居浜行きのバスの時間はわからないと言う(当然か)。
車遍路(高知ナンバー)が国分寺からずっと追いつ追われつの関係で,オバサンは同乗を頼みなさいと言う。
で話し掛けると,64番の前に,60番に登るというので、私の予定とは合わなかった。
バス停で,時刻表を見ているとクラクションが鳴り,新居浜行きバスが居る。飛び乗って石鎚神社前。
63番・前神寺はバス停から近かった。だれも居ない境内はかなり広い。背後の山に包まれ木も大きい。
下の納経所で一息つく。 雨の中をひたすら歩いたのだが,心のゆとりが足りなかったことを反省する。 天気が回復したので、雨よけズボンを脱ぐ。
バス停前の石鎚亭でうどんとすしと鰺フライの定食(680円)を頼む。
次のバスで加茂川橋へ。乗り換えに時間が余ると思っていたが,時刻が変わっており,直ぐに ロープウエイ行きが来た。宝寿寺の住職の話通りで,危うく乗り過ごすところだった。

横峰寺登山口でバスを下り,マイクロの乗り継ぎ所へ。京屋の前の広場が乗り継ぎ所。
マイクロバスは,京屋ともども繁盛しているようだ。マイクロは出払い,次のバスは2時半。 宅急便が京屋に着いているかどうかを確かめる。
2時半のバスは4人。内2人は徳島の車遍路。1人は横浜の車遍路。お互い話が弾む。 マイクロは細い道を,無線で連絡しながら走る。交わす場所が少ないので,広い場所でどちら かが待つ。山深い中を30分近く掛かって山頂へ。寺はやや下ったところ。山上の駐車場は新 しいのだろう(ガイドブックには駐車場から登るとある)。
60番・横峰寺も古い寺。新しい駐車場からアプローチしたので山門の手前に大師堂や本堂 がある。

(60番・横峰寺の境内)
横峰寺の境内にて 横浜からの遍路はこの1月に,一月かけて88カ所を廻ったが2月3日にここで雪にあい,通行止め で来られなかったとのこと。横峰だけ抜かして高野山まで廻り,今日,四国九州の旅の一日を 横峰寺に割いたとのこと。
結願をとても喜んでいた。
徳島の遍路は、次に65番の三角寺まで打ちたいのだが、5時までに行けるかしら、と気にしている。
5時を過ぎると、三角寺まで登ることが無駄になってしまうのだ。

京屋の部屋は39番の6畳の個室。
風呂は温泉でしかも泡風呂。肌がツルツルになる。
檜の浴槽も良い。トイレは全てウオッシュレットでコレも良い。
部屋でカンビールを飲んで食事時間の来るのを待つ。
大部屋での食事は,20〜30人の団体が3組ほどと15人の団体。あとは5〜6人の団体が3組ほど。
夫婦者1組。1人は私だけ。合計120人。
食堂で隣の人と話す。隣は男
1人,女5人で,東京の人。内1人は鎌倉,雪の下の人。 大船の住人と言うと驚いている。
88カ所はずっと前に回り終え、今回は番外だけを、徳島 からタクシーをチャーターして廻っているという。
部屋に戻っても歯を磨く元気も無い。食堂からにぎやかな歌声が聞こえ,般若心経を唱えて 食事を開始した人達とは思えない。いつもなら気になる団体客の騒ぎも,疲れからか,何時 しか寝入ってしまう。


6月7日(土曜日)晴れ

(京屋→65番→松山→羽田)

朝早くから,ごそごそ,そわそわ。 朝食前に風呂。男客が少なく,がら空き。 お土産にマタタビの干したのを見つけ宅急便に入れる。
朝食は納豆,海苔,生卵の定番。関西でも茨城県の納豆がでる。
下りのバスを待つ間は,美しい朝日がダム湖に映え,鳥の囀りの競演だった。
西条でJRに乗り換え,川之江に向かう。新居浜で特急に抜かれる。三角寺は伊予三島から登る のがルートだが,自動車道は川之江側が整備されており,新宮行きのバスも川之江のほうが多い。 といっても,日に2〜3本。せとうちバスからの案内もタクシーを使うのが良いとある。
リュックの縫い目がほころびかけているので,運転手に手芸品屋さんを探してもらう。
このリュックは,最初使ったときからいわくつきのも。縫い代が少なく,重さに関係なくほつれ てしまう。
9時半寺の前に着く。三角寺は急な石段の上。山門に鐘がつり下がり,くぐって,左奥に 本堂と大師堂。住職と奥さんが落ち葉を掃き,花の手入れをしている。 花の寺か。 参拝は女遍路(普通服)1人。
お参りして,納経しようと,庫裡に向かうと団体客。先に納経したいと思ったが、 納経所は本堂の中。あわてて向かったが、香川ナンバーのタクシー5台組に先を越され, たっぷりと待たされる。個人タクシーの運転手が身体でブロックして1人も入れない体勢。 運転手同志の連携で,自分で朱印を押したり,ドライヤーで乾かしたりしている。 18人の団体で,そう言えば京屋にいた連中だ。

65番・三角寺のお遍路
三角寺のお遍路 バスの団体遍路はこのタクシーに待たされた側。

時間があるし,気温が上がってのんびりしたので,境内でリュックを補修する。
聞くともなく,女遍路と住職の奥さんの話。
奥さんはもっぱら花の話。オダマキは3年目に咲くのだが,咲かないうちにむしられてしまう。
リュックの補修を終え,オダマキの種を無心する。沢山くれた。

川之江の駅に向かう。

下りは快調。天気がよいが汗はあまり出ない。
人家が増え,高速が見え,町並みに入る。
国道を横断し分かりやすい太い道をたどる。
途中時刻表を見ると特急がある。間に合わせようと一部走り,汗だくでJR川之江駅。

松山で遅い昼食はジャコテンうどん。
時間が余りすぎる。川之江から観音寺まで行き,観音寺他をこなす時間が十分あったのに, 迷わず松山に戻ったのは里心か?。
3年前に行った萱町を歩く。特に野菜が豊富。この季節は,梅の実,らっきょう,びわ,そら豆。
電車で中心街に出,バスで空港に向かう。新道経由のバスは15分程で空港。昔渋滞の中を走 ったのが嘘のようだ。
食堂で,またじゃこてんとビール。


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