過去の大地震と「東海地震」
(「名古屋の防火&防災」名古屋市消防局より)

名古屋市と地震(名古屋市「自主防災組織」活動の手引より)
名古屋市を襲った大地震

明治以降、名古屋市は濃尾地震(1891)、東南海地震(1944)、三河地震(1945)などの大きな地震に見舞われ、そのたびに多くの家屋が倒れたり消失したりしました。また数多くの死傷者がでました。

○濃尾地震
1891年(明治24年)10月28日の早朝、岐阜県・愛知県を中心に大きな地震がおきました。この地震は日本の内陸部で発生したものとしては最大級の規模(M8.0)で、死者7273名、全壊建物14万棟。
○東南海地震
1944年(昭和19年)12月7日に起きた東南海地震は、マグニチュード 8.0でした。この地震による被害地は静岡・愛知・三重の東海三県をはじめ、長野・山梨・岐阜・和歌山・大阪・兵庫などの各府県に及び、1,223 人の死者・行方不明者など大きな被害が出ました。
○三河地震
1945年(昭和20年)1月13日午前3時38分に、渥美湾を中心に、マグニチュード7.1の直下型地震で死者2306名 負傷者3866名 全半壊した家屋 23776棟。

地震と地盤
地震の被害の程度は、地震の状況により異なってきます。とりわけ、地盤の軟弱なところは固いところに比べ、同じ地震でも揺れが大きくなり、被害が発生しやすいといわれています。

名古屋市に被害を与えたと推定される既往地震の震央分布

東海地震発生の根拠
@地震発生の再来周期から地震が近いと考えられます。
過去500年あまりの地震の記録によると、東海地域から南海道にかけては、約100年から150年間隔で、ほぼ同じ場所で、同じ規模(マグニチュード8程度)の地震が繰り返し起きています。しかし、駿河湾から御前崎にかけては1854年(安政元年)の安政東海地震発生以後、実に140年以上も大地震が発生していません。

A地震活動の空白域に当たっています。
地震活動の活発な地域の中に活動の静穏化する地域が存在することがあり、これを地震の空白域と呼んでいます。駿河湾から御前崎にかけて空白域になっており、地震のエネルギーが蓄積されていると考えられます。

太平洋で起こった過去の大地震

 地震防災対策強化地域の指定
昭和58年8月、国は東海地震が発生した場合、著しい被害を生ずるおそれのある地域6県167市町村を地震防災対策強化地域に指定しました。
しかし、平成13年12月、中央防災会議「東海地震に関する専門調査会」がまとめた報告によると、想定震源域が従来の震源域よりも西側(愛知県側)へ大きく移動し、震度6弱以上となる地域が西側に拡大するとともに、高い津波が発生する地域も拡大することとなりました。
そして、平成14年4月24日、地震防災対策強化地域の追加指定が行われ、8都県263市町村へ拡大し、名古屋市も地震防災対策強化地域に指定されました。

○地震防災対策強化地域とは
大規模な地震が発生した場合に著しい地震災害が生ずるおそれがあるため、地震防災に関する対策を強化する必要がある地域。
@震度6弱異常の地震

A20分以内に高い津波(沿岸で3m以上、地上で2m以上)が来襲する地域

B一体的な防災体制の確保等の観点についても配慮

東南海・南海地震被害想定(2002年12月25日読売新聞より)

2030年前後に起こる可能性の高いとされる東南海・南海地震の対策を検討している政府の中央防災会の専門調査会は24日、両地震が同時発生した場合の被害想定をまとめた。愛知、三重、静岡、和歌山、高知、徳島の六県の一部で震度6強以上の強い揺れにおそわれ、揺れと液状化による建物全壊は全域で277,000棟、建物全壊による死傷者数は最大7,400人と想定した。
東海地方では、三重県は志摩半島や熊野灘沿岸の一部、愛知県は豊橋市や渥美半島、知多半島の南部、西三河地方の一部が震度6強以上、濃尾平野の大部分が震度6弱以上と想定された。

 

津波は、三重県志摩町や大王町では最大9b、志摩半島から熊野灘沿岸部、渥美半島の一部で5b以上。死傷者は発生時間により異なり、約7,400人の最悪ケース(午前5時)は、阪神大震災(死者・行方不明者6,400人)を上回りうち東海地方では約4,500人と想定。午後六時発生なら約4,400人、正午なら約3,200人とした。

東南海地震は静岡県沖から紀伊半島沖、南海地震は紀伊半島沖から四国沖をそれぞれ震源とし、これまで90〜150年周期で繰り返し発生している。
東海地震と同様、陸ののプレートの下に太平洋側から海のプレートが沈み込むのに伴って起こる海溝型地震で、前回は東南海が1944年、南海が1946年に発生、あわせて2,500人以上の死者が出た。