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全国秘湯巡り・秋田

秋田内陸縦貫鉄道の旅

第1日目 鷹巣→ 綴子の大太鼓 秋田内陸縦貫鉄道 森吉山荘
第2日目 森吉山荘→ 安の滝 マタギの湯
第3日目 マタギの湯→ 角館→盛岡→東京

第1日目、鷹巣から森吉山荘へ

青森の岩木山のふもとの「いわき荘」が新装オープンしたので泊まりにいった帰り、2泊3日の旅として、マタギの里を訪ねることとした。
秋田内陸縦貫鉄道は、鷹巣と角館を結ぶ延長94キロの鉄道で、平成元年全線開業したという。
アクセスは、羽田からあきた北空港(空路)経由鷹巣か、秋田新幹線角館経由が普通である。
計画には、鷹巣町の商工観光課のSさんが電話で相談に乗ってくれ、いろいろ資料を送ってくれた。森吉山荘が駅まで送迎してくれると云う情報もSさんから頂いた。

折しも、梅雨前線が北上し、関東以西は梅雨明け宣言したものの、弘前は朝から大雨で、奥羽本線は線路点検とかで数回臨時停車し、鷹巣着が30分ほど遅れた。

鷹巣見物の時間は1時間半。その間に昼食を摂らねばならない。

綴子の大太鼓

(綴子(つずれこ)の大太鼓)
綴子の大太鼓 内陸鉄道の事務所に相談すると、綴子の「大太鼓の館」しかないという。
タクシーに乗る。
大太鼓の館は国道7号線に面した「道の駅たかのす」の中心施設で、竹下のふるさと創生資金で生まれたとのこと。
帰りのタクシーを心配して、運転手に尋ねると所定の時間に迎えに来るという。

入場料を払って入ると、すぐに大太鼓が4台並んだ展示場。
さすがに大きい。
直径が 3.8 メートルが最大だが、ギネスブックへの登録は 3.71 メートルの方。
先ほどの運転手が付ききりで説明してくれる。雨で客が無さそうなので駅に戻らなかったとのこと。

ここら辺の部落名が綴子(つずれこ)で、700 年の歴史が有り、雨乞いから生まれたという。

太鼓の皮は牛1頭分の腹開き。
継ぎ目が無い。
運転手も、この太鼓の製作のため、弘前に行ったとのこと。

元々は農業だが、減反で作業が少なく、タクシードライバーをしているとのこと。
駅に戻る。

秋田内陸縦貫鉄道

(鷹巣駅)
(内陸鉄道車内)
鷹巣駅 鷹巣駅

激しい雨が降ったり止んだりしているが、このときは小康状態。
縦貫鉄道は、ご多分に漏れず、駅舎も改札も別。
2両連結で乗客が少ない。

鷹巣を出ると、濁流の米代川を渡ったあと、徐々に山に入る。
杉林と畑の間を縫い、のんびりとした音を響かせながら走る。
合川からは、阿仁川を遡って走る。山間の農山村の景色が展開する。

阿仁前田は一寸した部落で、駅舎に温泉が付いている。
国民宿舎・森吉山荘はここから20キロ小又川を遡ったところにある。

出迎えは若い職員だった。
国民宿舎の将来、森吉町の過疎対策、魚釣りの話などを伺っているうちに宿に着いた。
この付近は、鮎釣り、ヤマメ釣りのメッカとのことだが、この大雨予報でキャンセルが続出とのこと。

森吉山荘

(森吉山荘の露天風呂)
森吉山荘の露天風呂 途中、ダムの工事サイトを通った。10年後、森吉山荘の下流にもダムが出来ると、付近の様子は大幅に変わるに違いない。

部屋は、広くて快適。冷房もついているが、雨のせいかかなり涼しい。
雨で釣りに出られない。家人は昨日採取した擬宝珠のデッサンに余念がない。
仕方がないから長風呂。
温泉はぬるめで、マイルド。
露天風呂も結構な造りで、のんびり浸かって居る人に聞くと、鮎釣りに来たのだが増水で今日は諦めたとのこと。

(森吉山荘夕食)
森吉山荘夕食 夕食は山菜中心。
客が少ないのはキャンセルのせいだろうが、来ている人も大半は釣り客のようだ。
食後にもう一度温泉に浸かる。


第2日目、打当温泉と安の滝

雨は降っていない。
だが、霧が立ちこめ、時折山肌が見える。
早朝散歩は杣温泉にした。森吉山荘から15分ぐらい。
途中、マタタビらしきツルを発見し、写真撮影を試みた。
花だか実だかが付いている。
この季節の旅でしか見られない風景だ。

(マタタビ?)
マタタビ? 杣温泉は山の一件宿で趣のある佇まい。
帰り道、マタタビ?を一枝持ち帰る。
森吉山荘に戻り、マタタビが本物かどうか確かめたが、誰も確証がない。
朝食は普通の朝食。
朝食後、家人が廊下でクワガタを見つけ感激している。
外に逃そうとしたら、網戸にメスのクワガタが見つかりさらに大感激。
宿のロビーにマタギの資料が置いてあり、阿仁前田の駅前に鍛冶屋が健在とのこと。

駅まで30分を送って貰う。
阿仁前田の駅前で、 大急ぎで鍛冶屋を尋ね、包丁を購入する。家人の趣味は刃物を研ぐこと。

(阿仁マタギ駅と秋田内陸鉄道)
阿仁マタギ駅と秋田内陸鉄道 再び、秋田内陸縦貫鉄道。
電車はがら空きで、これでは赤字になるのではないか。
全国の第3セクターの鉄道に乗るたびにそう思う。
天気は若干持ち直し、晴れる程では無いが降る心配も無さそうで一安心。
沿線を流れる大又川は増水しており、ここも釣りは無理らしい。
阿仁マタギの駅は無人で、ポツンと建っている。

宿泊予定の「マタギの湯」からの出迎えの車は温泉のワンボックスカー。年輩の運転手さんがきさくに話しかけてくれる。
温泉はすぐで、荷物を置いて「安の滝(やすのたき)」見物に出かけることにした。
安の滝駐車場は宿から車で30分ほど川を遡上したところにあり、滝はさらに3キロほど歩いたところにあるという。
ただ、昨日の大雨で道が一部不通かも知れないが、工事の車が出たので直っている筈とのこと。こわごわの出発となった。
運転手さんの問わず語りは、元路線バスの運転をしており、リタイア後旅館から頼まれて送迎を担当しているという。
今日は雨なら、安の滝には行けないので休みだったとのこと。
マタギはもう居ないが、熊を撃つ人は何人か居り、貴重な熊の胆を分け合うという話。
安の滝のほか、立又渓谷の方に幸兵衛滝他があるので、安の滝に向かう前に車で見えるところまでつれていってくれた。
分岐点から20分ほどで、滝が3つ遠望出来る場所に着いた。
戻る途中、蔓で白くなっている葉っぱを見つけ、マタタビだとのこと。
一枝取ってもらった。白い花の香りが良い。
で、今朝見つけたマタタビは、本物であることが判明した。

分岐から安の滝の駐車場(安の滝園地)まで15分ほど。舗装が無く、所々で落石があった。

駐車場寸前で工事車が道の整備中。ここ数日の雨の強さを知った。
駐車場にはトイレが完備している。

2時間後に迎えに来て貰う約束をし、歩き始める。

安の滝

(安の滝)
安の滝 案内書に45分とあり、渓谷(中ノ又沢)沿いをすすむ。
川は禁漁区に指定されているが、もう増水もなく、魚影が濃い。
道は良く整備されており、時折沢の水が路床を流れている場所もあったがおおむね歩きやすく、ほぼ所定の時間で滝が見える場所に着いた。
雨のせいか、水量が多く、遠くまで飛沫が飛んできて、眼鏡がすぐ見えなくなってしまう。
下から、秋田県公園課のIさんが、追いかけてきてくれた。
道の状況を見、路床の水の逃げ道を作りながら、歩いてきたとのこと。
滝壺への道はさらに飛沫が多かった。
下りはIさんと一緒に、いろいろ話を聞きながら下った。

(秋田県・公園パトロールのIさん)
秋田県・公園パトロールのIさん

夏の林間学校で、小学生を良く案内するのだという。下りも登りと同じぐらい時間が掛かり、駐車場に着いたときはほぼ2時間が経過していた。
出迎えのMさんが来て、Iさんは別の道の視察に出ていった。

約束の時間に車が来ており、打当温泉まで約30分。Mさんの話はやはり面白かった。
旅館の食堂で遅い昼食。秋田はうどんが旨い。
部屋は新しく、2人には十分な広さ。
天気が良くなったので釣り竿をかついで、Mさんがすすめる熊牧場側の沢へ。
ところが、沢への下り口がわからず、上流の工事中のところで竿を出したがノーヒット。
結局、今回は空振りに終わった。

戻って温泉三昧。

打当温泉・マタギの湯

(マタギの湯の浴槽)
マタギの湯の浴槽

お湯はぬるめで、心地よい。
写真を撮ろうとすると、湯気でレンズが曇る。蛾が入るため、扉を2重にし、 排気が足りないためか。
結局露天風呂のほうだけ満足のゆく写真が撮れた。

夕食は、イワナや山菜が中心で、サクラ鍋がついていた。
早く寝ると夜中に目が覚めるので、またまた温泉。
露天風呂に蛙が2匹浮いていた。

昼間採集したマタタビの花の写真を撮った。
マタビの実は2種あり、紡錘型とでこぼこ型。杣温泉で採取したのはでこぼこ型の実だったらしい。

(帰宅後、図書館の牧野植物大図鑑で調べたところ、でこぼこ型は虫の入った液果とあった。)

第3日目、角館

朝食後、早めの列車で角館へ向かう。
駅までの送りはやはりMさん。
Mさんは、別れ際に熊の胆をポリエチにつつんでそっと渡してくれた。
飲み過ぎ、食べ過ぎ、疲れなどに万能薬として珍重されているしろもの。
心遣いが嬉しかった。

三度秋田内陸鉄道。休日のせいか、客は若干多かった。
長い長いトンネルを越え、平野がどんどん広がって角館。

角館

荷物をコインロッカーに入れ、駅前の観光情報センターへ。

地図をもらい、見所を聞いた。
駅前は各商店も含め、江戸時代の雰囲気を出そうという趣向。
駅から郵便局に突き当たり右へ。
すぐに「火除け」。縦長の町のもっとも狭い部分を分断して火事からまもるのだろうか。ここはまた武家町と商人町を区分する線でもある。

(角館・武家町(東勝楽丁))
(角館・河原田家)
角館・武家町(東勝楽丁) 角館・河原田家

武家町は、手前から下級武士、北に登るにつれて上級武士の屋敷とのこと。
公開しているお宅も結構多く、非公開でも庭には入れる家があって、観光に対する市民の協力の度合いが高いのが印象的。

小野田家と河原田家に入らせて貰う。
隣り合っており、庭から庭へ通路が出来ている。
庭を荒らさないような配慮がしてある。

(角館のおやまばやし(扇栄会))
角館のおやまばやし(扇栄会) 角館町樺細工伝承館から笛と太鼓の音が聞こえるので入ってみる。
「角館のおやまばやし」の実演中で、「扇栄会」の人たちがボランティアで演奏しているとのこと。
このような会がいくつもあって、休日には演奏して観光客にサービスしているとのこと。
子どもが可愛らしく、ひろさんは孫を思いだした。

(角館・石黒家)
角館・石黒家 向かいの石黒家に入る。
室内をくまなく説明して貰う。住んでいる人にとっては苦痛だろうが観光客にはうれしい体験だ。

国道46号線まで行って戻る。


火除けでは、横町橋まで行って桜並木を見る。花の季節に再訪したい。
昼食の時間なので、観光案内所で聞いた「むら咲」に向かう。
郷土料理の店で、武家の食事を再現したセットが面白かった。
旅が無事終わりそうなのでビールで乾杯。

むら咲を出て、そのまま下ると田町武家屋敷通りになる。
新潮社の記念文学館がモダンな他は、西宮家、安藤家など無料公開の家がある。
安藤家は醸造が家業で、味噌醤油の類を売っている。
稲庭うどんとめんつゆを買い、角館駅に戻る。
3時間はあっという間に過ぎた。


旅の情報

場所電話
鷹巣町・商工観光課0186-62-1111
大太鼓の館0186-63-0111
秋田内陸縦貫鉄道0186-82-3231
国民宿舎「森吉山荘」0186-76-2334
打当温泉「マタギの湯」0186-84-2612
観光情報センター「駅前蔵」0187-52-1170
角館町樺細工伝承館0187-54-1700
安藤醸造元0187-53-2008


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