No.311 Texasの海
2004年5月23日(日)
この日こちらで仲良しの日本人(※)と
Corpus Christi(「コーパス・クリスティー」とラジオでは呼んでいたような気がする)に行ってきた。
・
※本当は僕にとってはお客様に当たり
なおかつマネージャーさんなので
仲良しと呼ぶには畏れ多い方なのだが
昨年の12月からずっと一緒で
最近じゃすっかり仲良しになってしまい
ほとんどタメ口で話す仲にまでなってしまったのだ。
・
Corpus ChristiとはSan Antonioからさらに南東に140マイルほど行ったところにある海沿いの町。
Austinからだとおよそ200マイル近くといったところか(約320km)。
僕はもちろん今までそんな遠出をしたことがないが
その人は普段からドライブ大好きで
以前たった1人で片道8時間以上かけて
Texasの隣のLouisiana(ルイジアナ)州のNew Orleans(ニュー・オリンズ)まで行ったことがあるという強者。
その人と途中運転を交代しながら行ったのだが
ずっとHighwayで行くことができ
さらにオートクルーズ(※)を使い思いのほか楽に行くことができた。
・
※アクセルを踏まなくても設定したスピードで自動的に走ってくれる機能。
ハンドルに付いているスイッチでスピードのアップ/ダウンの調節が可能。
ブレーキを踏んだ時点で自動的に解除される。
こっちの車にはほとんど標準装備。
・
朝の10時にホテルを出発して1時過ぎにはCorpus Christiの海岸に到着した。
Texasで初めて見る海。
おおー!
感動!
・
この日は風が結構強かったが
砂浜には海水浴を楽しむ家族連れがかなりいた。
海の色は茶色。
世界地図を見てもらえば分かるがTexasはメキシコ湾の一番内側に位置する。
この辺りは海もあまりきれいではないらしい。
さらにここCorpus Christiは小さい湾の内側に位置する。
茶色い海水も仕方がないといったところか。
とはいえこんな海でも無いよりは何億倍も増し。
事実このあたりは完全なリゾート地となっていて
リゾートホテルも何軒も立ち並んでいる。
Austinの近くにもこんなところがあればもう少し楽しめたのになー...。
・
ここCorpus Christiには空母USS LEXINGTONが展示してある。
入場料は$11.95とちょっとお高めだが
せっかく来たんだから見ていくことにした。
・
とにかく広いフライト・デッキ。
アイランドと呼ばれるブリッジ。
その他艦内の施設など見所満載。
大西洋に面したメキシコ湾に浮かぶ空母だから
我々日本人が肩身の狭い思いをすることなど無いだろうと思って入ったMuseumだったが
実はこの空母USS LEXINGTONは太平洋でハワイや南西諸島の当たりで
日本艦隊とやりあったバリバリの空母らしい。
中にはパールハーバーや
当時の日本軍に関する資料もたくさんあった。
とは言え以前ホノルル・マラソンに参加した際に行った
まさにパールハーバーにあったMuseumに行ったときのような
ちょっと緊迫した雰囲気は全く無かった。
他の来場者達から見て僕たちが日本人に見えたかどうかは不明だが
(無茶苦茶日本人だとばれてると思うが)
怖い目でにらまれるようなことは無かった。
・
USS LECINGTON Museumを一通り見て回り
出てきたらもう4時。
考えたらまだお昼すら食べてなかった。
この後ガソリンを入れてそのガソリンスタンドの隣のデニーズで軽く食べた後
Austinへの帰路についた。
帰りも順調で8時には無事にホテルに到着することができた。
(ちなみにこの季節夜の8時はまだ十分明るい)
帰りは半分以上を僕が運転したが
やっぱり思いのほか楽に帰ってくることができた。
これなら日帰り海水浴もオッケーかもしれない。
・
最後におまけ。
一応リゾート地ということでリゾートっぽい写真をご披露。
やっぱり海はえーねー。
(Corpus Christiにて撮影)
No.312 突然ですが日本より
2004年5月27日(木)
突然だが我が家の家族、イコちゃんの写真。
別に僕が突然帰国したわけではない。
ユキちゃんが携帯で撮った写真を送ってきてくれたのだ。
それがあまりにもよく撮れていたので
急遽ここにもアップすることにした。
携帯なのによくぞここまできれいに撮れたとかそういう話ではない。
僕もデジカメで今までに恐らく100枚以上はイコちゃんを撮ってきたが
その中でもこれは1位2位を争うほどよく撮れている。
イコちゃんはなかなかジッとしていてくれなくてなかなかうまい写真は撮れない。
それなのにこの写真はイコちゃんがよく見せる仕草をグッドタイミングで捕らえている。
ユキちゃんもなかなかやるなー。
実は会社で仕事中にこの写真を受け取ったのだが
見た瞬間に全身の力が抜けてしまった。
うう、イコちゃーん、会いたいよ〜。
・
ちなみに最近のイコちゃんは
カゴから出してもほとんど人の頭の上か肩か手の上にしかいない。
人間大好きなのだ。
※肩に乗せてるときも耳を噛まれたりすることはまずない。
このまま外に連れて行ってもきっと頭の上から離れないような気がするほど。
時々うっとうしく感じるときもあるが
なかなか可愛い奴なのです。
・
なんかほとんど親バカ状態の今回の「今日の1枚」。
この写真ってやっぱり飼い主じゃないとそれほどかわいく感じないのかな...?
(ユキちゃんが携帯で撮影※若干補正かけてます)
No.313 Austin便りその28〜サイクリング
2004年5月29日(土)
前回のAustin出張の終わり間際で
友達になったグレッグと
サイクリングに行った。
自転車はグレッグが貸してくれた。
3月の終わりにグレッグに会ったときに
僕が今いるところの結構近くに
広い自然公園があることを教えてもらった。
そこでマウンテンバイクでの悪路走行である。
その公園にはたくさんのマウンテン・バイク向けのコースがあって
予想を遙かに超える面白ろさだった。
かなり急な上り坂下り坂や急カーブ
ジェットコースターのようなアップダウン。
結構上級者向けと思われるコースもグレッグはお構いなし。
こういうコースをマウンテンバイクで走るのは実は初めてだったが
はまってしまいそうなくらい面白かった。
僕たちの他にも数グループやはりマウンテンバイクを楽しみに来ている人たちがいたが
ほとんどの人たちはしっかりヘルメットをかぶってそれなりの装備をしてきている。
僕たちはノーヘルにTシャツ短パン。
こんなんで良かったんだろうか?
後で聞いたがてっきりグレッグはよくここに走りに来てるのかと思いきや
この日が初めてだったらしい。
挙げ句の果てには道に迷い
突然出てきた見知らぬ町の道路脇のベンチでしばし休憩(上の写真)。
いやー、結構疲れた。
・
この後人に尋ねながらなんとか知ってる場所まで戻ることができ
いつもグレッグと会っているスターバックス・コーヒーに行ってしばしお互いの日本語と英語の勉強。
先週グレッグと会ったときにちょっとベルリッツの話をしたのだが
授業料を聞いてグレッグがびっくり。
それなら2人で定期的にあってお互いに勉強しあおうと提案してくれたのだ。
実にグッドアイデア。
ということで今回のAustin出張では今のところベルリッツには通っていない。
それでも前回の出張よりも英会話的には充実した日々を送っている。
・
しかしマウンテンバイクは面白かった。
また絶対に行こう!
(Austinの見知らぬ町角で撮影)
No.314 Austin便りその29〜超ロング・ドライブ
2004年5月30日(日)〜31日(月)
この写真はTexas州のお隣
New Mexico州のSanta Fe(※)という町で撮影したもの。
※某宮沢りえがその昔出版して話題になったヌード写真集の題名にもなった町。
今回はこの週末に体験した超ロング・ドライブの話。
文章も超ロングなのであしからず。
・
よくここにも登場している
Austinでの仕事仲間でもありお客様でもありお友達でもある日本人(以後Yさんと呼ぶ)は
以前たった一人でTexas州の東隣のLouisiana州のNew Orleansまで22時間かけて車で往復したという
強者(というよりかむしろクレイジー)。
そのYさんと今度はTexas州の最西端に位置するEl Pasoという町まで行ってみようと計画を立てた。
なぜEl Pasoかというと
「人の形のサボテンが点在し赤い岩肌の山が突出する荒野」
こんな光景を1度は見てみたいと話していたのだ。
それで特に根拠はなしにEl Pasoまで行けば見れるんじゃないか?
ということになったのである。
AustinからEl Pasoまではおよそ600マイル(約960km)の道のり。
車だと多分片道10時間くらいはかかる距離。
半端じゃない。
幸い5月31日(月)はアメリカ全土Memorial Day(日本語だと「戦没者記念日」になるのかな)で
祝日なので3連休になる。
この3連休に決行することに決めた。
しかしその直前の金曜日
会社の仕事仲間(アメリカ人)たちとそんな話をしていたところ
どうやら僕たちが見たいと思っていたような光景はEl Pasoでは見れそうもないことが判明。
それどころかそれほど面白い町でも無いらしい。
アメリカ人の1人が距離的にはEl Pasoとほぼ同じくらいの距離で
隣のNew Mexico州のSanta Feの近くまで行けば
結構面白いところがたくさんあると教えてくれた。
あっさり僕たちはそれに従うことにした。
・
29日の土曜日はお互いに予定があったので30日の日曜日朝4時に出発。
辺りはまだ真っ暗。
El PasoはAustinのほぼ真西だが今回僕たちが向かうことにしたのは北西の方向。
街灯もない真っ暗な道を北西にひた走る。
道路の両脇は暗くてよく分からないが林というか草むらというかとにかくそんなところ。
更に今僕たちが走っているのはあまり車通りが多くない道路。
そうなると道路上にいろんな動物が出てくる。
ヘッドライトで照らされる路上には結構頻繁に車にはねられた動物の死体が現れる。
小さい動物なんかはまだいいが間違って鹿なんかとぶつかった日には
車へのダメージも相当にでかい。
ということで対向車や歩行者(は全くいなかったが)などに気をつけるのはもちろん
動物にもとても注意を払いながら運転した。
なんとか1匹もひかなくて済んだもののタヌキのような動物やリスなどの小動物はしょっちゅう。
道路脇にいた鹿さんともご対面してしまった。
この後やってくる車にひかれなきゃいいけど...。
・
やがて夜が白み始めた。
運転はだいたい2〜3時間ごとに交代。
朝の8時頃道路脇のDenny'sで朝食を済ませる。
この頃には辺りはもうすっかり明るい。
満タンだったガソリンも途中で切れて1回給油した。
途中からはHighwayに乗ってオートクルーズを使って平均速度60〜70マイル(時速100〜110kmくらい)でぐんぐん進む。
だんだん周りの景色に変化が現れてきた。
Austinの周りは緑豊かで木が生い茂っていて森とか林が多いのだが
少しずつ木が少なくなってきて見渡す限りの一面の平原が多くなってきた。
遠くにはそれほどワイルドではないが一応てっぺんが平らになったテーブル状の山も見える。
いかにもカウボーイがぴったり似合うような感じの場所である。
見ると遠くの丘の上には無数の白くて巨大な柱が立っている。
なんとこれ全て巨大な風力発電機。
圧巻。
いったいどれくらいの電気を発電してるんだろう。
・
そんなこんなで結構窓の外の景色を楽しみながら走り続けること約10時間(途中何回か休憩も取った)
やっと僕たちはNew Mexico州に足を踏み入れた。
New Mexico州に入ってすぐのところにInformation Centerを発見。
助かる。
僕たちはNew Mexicoの地図は持っていないのだ。
中に入るとカウンターの女性が明るく声をかけてくる。
「あなたたち、何が見たいの?」
よせばいいのにYさんが「人の形のサボテンが見たいんだよ」とよく分からない英語で答える。
突然女性が困惑した表情になった。
慌てて「でっかい岩とか山とかそういう自然を見たい」と訂正。
女性はにっこり笑っていろいろ案内してくれた(心の中では「変な東洋人」だと思ってるんだろうな)。
リストに名前を記入すればNew Mexicoのガイドブックと地図をタダでもらえる。
僕の分も欲しかったし会社のアメリカ人にも地図を一部頼まれていたので
ガイドブックをもう1部と地図をもう2部頼んだら嫌な顔1つせずにくれた。
アメリカ人はみんな親切やのー。
Information Centerを出たところでベタだけどお約束の記念撮影。
・
Information Centerの女性が教えてくれたNew Mexicoの見所は
どれも結構遠い。
まさか僕たちが日帰りで来てるとは夢にも思わなかったのだろう。
Yさんとどこに行こうか相談していると
「よし、Santa Feに行こう」とYさんが言い出した。
確かに女性が教えてくれた中にはSanta Feの近くもいくつか含まれていたが
ここからSanta Feまでは恐らく最低でも3時間はかかる距離。
でもこの頃には僕も距離や時間の感覚は麻痺していたので
ろくに深く考えることもなく
せっかくここまで来たんだからSanta Feまで行くかと素直に同意した。
・
ここからが結構長かった。
Texas州はほとんど最高速度70マイルだったがNew Mexicoではほとんどが75マイル。
会社のアメリカ人から制限速度より10マイル以上オーバーすると捕まるから
9マイル未満で運転するように言われていた。
僕たちはだいたい+5マイルを目処にオートクルーズを設定して走った。
だからNew Mexicoの中はほとんど時速80マイル(約130km)で走り続けた。
それでもなかなか目的地にはたどり着けなかった。
アメリカは広い。
途中からSanta Feに向かうためにHighwayを降りて山道に入る。
とは言っても地図で見ると結構大きい道路。
片側1車線のその道路を制限速度(確か60マイル)+5マイルでひたすら北に向かって進む。
気が付くとガソリンの残量が残り1/4を切っている。
考えて見ればHighwayを降りて1度もガソリンスタンドを見ていないような...。
しかもこの先Santa Feまではずっと登りっぽい。
前も後ろも町らしきものはまったく見えない。
やばい!
こんなところでガス欠になったら...!
でも地図ではもうそろそろ町に着いてもよさそうな雰囲気。
ガソリンの消費を抑えながら気をつけて走り
なんとか無事にガソリンスタンドにたどり着くことが出来た。
ガソリンの給油中
なんだか風が肌寒い。
Santa Feの辺りは恐らくかなり標高が高いのだろう。
風も乾燥していてさわやかだが
Tシャツ1枚ではちょっと肌寒いくらいだった。
・
無事給油も済ませまたしばらく走りやっとついにSanta Feの町に到着した。
時間はすでに夕方の5時を過ぎていたが
まだ空は全然明るかったので
車を駐車場に停めて少しSanta Feの町を見て回ることにした。
本日のトップの写真のような赤い壁の建物が建ち並び
町は大勢の観光客でにぎわっていた。
ここは完全な観光地。
さながら軽井沢のような感じのところ。
おみやげ屋さんとブランド・ショップがたくさんあった。
ふと街角の時計を見て気が付いた。
時間が1時間ずれている。
なんとTexasからNew Mexicoにやって来る間に時間変更線を超えていたらしい。
僕たちが5時だと思っていたのはこっちの4時だったのだ。
どうりで人がいっぱいいるわけだ。
・
20分くらいSanta Feの町をぶらぶらしながら写真を撮りまくって
次に僕たちが向かったのはTent Rocksという奇岩が見れる場所。
Information Centerの女性が紹介してくれたのだが
もらったパンフレットの写真に写っている岩を見てびっくり。
僕がトルコのカッパドキアで見てきたキノコ岩にそっくりじゃないか!
なんとこういう岩ってアメリカにもあったの?
僕としてはあまり興味は無かったのだが
(と言うよりむしろ見たくなかった)
Yさんが見たいというので仕方なく行くことにした。
そこは有料の公園になっていて
Santa Feからは多少距離がある。
夜の7時までは見れるらしい。
僕の時計では6時を回っているがこっちはまだ5時過ぎのはず。
多分大丈夫だろう。
・
Highwayに乗り2〜3個目の出口で降りて途中から砂利道の道路を走り
およそ1時間の道のりの末やっと目的地に到着。
でもまだ十分日は高い。
おお、確かに遠くの方にどこかで見たような光景が広がっている。
あれは紛れもなくキノコ岩。
こっちではTent Rocksと呼ばれているのね。
本格的に見て回ろうとすると1〜2時間くらいはかかるらしいので
僕たちはちょっと近づいて写真を撮っただけ。
まあそれでもいい記念にはなった。
それにしてもNew Mexicoには見所がたくさん。
AustinがNew Mexicoにあればもうちょっと休日が楽しめたのになー。
(Texasには本当に観光地が無い)
・
さあそろそろ観光はおしまい。
僕たちはこれから遙か彼方のTexas州Austinまで帰らなければならない。
僕は今晩はMotelかどこかに泊まって明日帰るでもいいかなーと思っていたが
Yさんにはそういう考えは無いらしい。
帰りは来た道を引き返すのではなく
このままNew Mexicoを南下。
もともと行く予定だったEl Pasoを経由して帰ることにした。
地図で見ると現在地からEl Pasoまでは約280マイル。
そこからAustinに比較的近い経由地のSan Antonioまではさらに580マイルもあるという。
仮に時速70マイルでノンストップで走り続けたとしても
たっぷり12時間はかかる距離だ。
気が遠くなる。
僕たちはなんて遠くまで来てしまったのだろう...。
・
Highwayに乗りひたすら南に向かう。
速度は80マイルをキープ。
途中Albuquerqueというちょっと大きな都市を通過した。
Albuquerque(アルバカーキー)ってなんか聞いたことあるな。
しかしそんなことはお構いなしに車はどんどん南へ。
運転は例のごとく1〜3時間おきに交代。
休んでる方は極力寝ることに努める。
ただひたすら走り続けた。
・
El Pasoに向かう道のりでNew Mexicoの最後の都市Las Crucesに入る直前で
Highwayの前方にチカチカと回転灯がいくつも光っている。
どうやら検問のようだ。
全ての車が止められている。
その時運転していたのはYさん。
ちょっとビビリながらも窓を開けて警官に国際免許証を見せる。
懐中電灯を使ってしげしげと国際免許証に見入る警官。
僕のカンだがきっとあの警官はあの国際免許証が何だかよく分からなかったんじゃないだろうか。
しばらく国際免許証をながめて返してくれた。
「酒は飲んでないか」
みたいなことを聞いてきた。
もちろん答えは「No」
それで無事通してもらえた。
どうやら飲酒運転の一斉検問だったらしい。
停められている車もちらほら。
ちょっとした緊張の一瞬だった。
・
ついにNew Mexico州を離れTexas州に戻ってきた。
ここは当初目的地にしていたTexas州最西端の町El Paso。
まさかここが帰りの単なる通過地点になろうとは...。
もっと寂れた小さい町をイメージしていたが
なかなかどうしてAustinの上を行くような大きな都市だった。
Highwayの右手の遠く一面にオレンジ色の光の海がきれいに広がっている。
本当に恐ろしいほどきれい。
どうやら住宅地のようだがそれが一面に広がっていてオレンジ色の街灯で埋め尽くされている。
なんとEl Pasoってこんな夜景のきれいな都市だったんだ。
ふと地図を見る。
地図によると今走っているHighwayはメキシコとの境界のRio Grandeという河のすぐ横を走っているはず。
...となると、あのオレンジの光はメキシコの光か...!?
これに関して真実は未だ不明。
もう1度昼間にEl Pasoを訪れてみるしかない。
仮にあれがメキシコの光だったとして
あんな風に別の国がすぐそこに見えちゃう世界って不思議だなー。
・
El Pasoを抜けてひたすらSan Antonioに向かって走る。
じきに前方に再び黄色の点滅しているライトが。
全ての車がHighwayを出るように指示が出ている。
その先にあったのは再び検問のようなところ。
だけど今度は前の飲酒の検問とはちょっと違う。
まるで成田空港の入り口のような専用の施設になっている。
Yさんの話によるとTexasの入り口の主要道路には全てこういった施設があるのだそうだ。
おそらく例えばメキシコからの不法侵入を防ぐためではないかと思われる。
その時運転していたのは僕。
ちょっとビビる。
銃を持った兵隊のような人がやってきた。
パスポートと国際免許証を見せる。
しばらくじろじろと眺めて
「どこへ行く?」
と聞かれたので「Austin」と答えると
「Be safe(気をつけて)」と言って無事通してくれた。
再び緊張の瞬間だった。
・
ここから先はひたすら苦痛の連続。
運転していてもすぐに眠くなる。
運転を交代してもらい、ちょっと寝るのだが
その間すぐにYさんも眠くなってまたまた交代。
結構寝たつもりでもやっぱり体は完全には休まっていないらしく
運転を始めるとまたすぐに眠くなってしまう。
こうして2人してこまめに交代しながら
なんとか走り続けた。
もう時間は明け方の4時を回っている。
昨日出発してから24時間が経過した。
再び空が明るくなり始めた。
ついさっき沈んでゆく夕日を見たのに
今度は逆方向からその太陽が上るのを見るなんて
なんとも不思議な感じ。
この明け方近辺が特に一番苦しかった。
2人とも疲れがピークに達していた。
なんとかそれを乗り切り
やがて現れたガソリンスタンドの売店でコーヒーを買う。
入れ立てのレギュラー・コーヒーが大きなカップ(高さ20cmくらい)で87セント。
安い。
このコーヒーのお陰でやっと体が朝モードになり始めた。
さあSan Antonioはもう目の前、もうひとがんばりだ!
・
その後無事San Antonioを通過し
さらに1時間ちょっと運転して
僕たちはなんとか無事にAustinのホテルに到着した。
時間は昼の11時。
実に31時間の超ロング・ドライブだった。
走った距離はおよそ1,880マイル(約3,000km)。
これっていったいどれくらいの距離なんだろう。
2人とももうボロボロ。
部屋に戻ってすぐに爆睡した。
・
思えばちょっと無謀だったが
恐らく一生忘れることのできないドライブになった。
またやろうとはしばらくは思わないだろうな。
正直後半は本当に辛かった...。
・
今回の旅では写真も一杯撮影した。
順次公開していきたいと思う。
・
写真集その1
写真集その2
写真集その3
写真集その4
写真集その5
(New Mexicoの各地で撮影)
No.315 Austin便りその30〜Austinのコウモリ
2004年6月6日(日)
Austinにも名物がある。
コウモリである。
DowntownのColorado川を渡る橋の1つに現在大量のコウモリが住み着き
春から秋にかけて毎夕それらが一斉に餌を求めて飛び立つらしい。
その光景がどうやら本当にすごいらしいのだ。
とは言え所詮コウモリなのでそれほど惹かれないのだが
やっぱり名物とあっちゃー見ないわけにはいかない。
・
何時頃飛び立つのかよく分からなかったので午後6時頃いつものColorado川沿いの駐車場に車を停めた。
ここからコウモリのいる橋までは結構距離がある。
のんびり散歩がてら歩いて行けばいい時間になるだろう。
午後6時過ぎとはいえまだ全然明るい。
日差しも強く結構暑い。
Colorado川沿いにはジョギングやサイクリングを楽しんでいる人が大勢いた。
・
約50分ほど歩いてようやくコウモリがよく見えるというView Pointに到着。
ここには岸からColorado川の方に張り出した桟橋のようなものがある。
ここからよくコウモリが見えるらしい。
しかしまだ誰もいない。
時間は7時前。
太陽はまだかなり高い位置にある。
どうしようか...。
せっかく来たんだからやっぱりコウモリは見たい。
ということでコウモリが飛ぶまでここで待つことにした。
・
一応こんなこともあろうかと暇つぶしになるようなものは持ってきた。
桟橋の上にじかに座り込みまずは読書。
う〜ん、日差しがまぶしい。
もう午後7時を過ぎたというのに日差しは相変わらず強い。
そんな中しばらく本を読んでいたら眠くなってきてしまったので
今度は持ってきたMP3プレーヤーで音楽を楽しむ。
いったい俺はこんな所で何をしてるんだろう。
・
どこからともなく白鳥の親子が現れた。
初めは遠くの方にいたのに
だんだんこっちの方に近づいてきた。
人を恐れないのか?
やがてその白鳥に気づいた人たちも集まってきた。
しばらく白鳥たちと和やかな時間が過ぎていった。
(上の写真に写っている足は知らない人のもの。
ちょうどいいタイミングで割り込まれてしまった)
・
白鳥がいなくなった後しばらくまた誰もいなくなったが
7時半を回った頃から少しずつ人が集まってきた。
そろそろコウモリが飛び立つ時間か?
でもまだ空はかなり明るい。
桟橋の上は親子連れも結構いて
子供達が遊び回っている。
みんな子供のくせに英語をきれいな発音で自然に話している。
悔しい。
・
時間は8時を回った。
見ると橋の上にもポツポツと見物客が集まり始めている。
いよいよか?
しかしなかなかコウモリは飛び立たない。
何度かテレビのコマーシャルでAustinのコウモリが飛び立つシーンを見たが
結構周囲は明るかった。
そろそろ飛んでくれても良さそうなもんなんだけどなー。
・
そうこう言ってるうちに8時20分頃ついに太陽が沈んでしまった。
それでもまだ周囲は十分明るい。
後ろを見渡して驚いた。
想像以上にたくさんの人が集まっている。
やっぱり絶対にコウモリは飛ぶんだ。
だんだん期待が高まる。
(上の写真、一番右端のオレンジのTシャツを着た人の前に僕は陣取っていた)
・
日没後はどんどん辺りは暗くなっていった。
コウモリはいっこうに飛び立たない。
まずい、あんまり暗くなってしまうと
コウモリが飛び立つ姿をカメラに収められなくなってしまう。
そろそろ明るさも限界。
早く飛んでくれー。
なお、本日トップの写真は8時50分頃コウモリがいるという橋を撮影したもの。
橋の上には大勢の見物客が今や遅しとコウモリが飛び立つのを待ちかまえている。
僕がいる桟橋の上の見物客もほとんど帰らずにみんな待っていた。
・
午後9時を回り辺りはいよいよ暗くなってきた。
もうコウモリが飛んでもカメラに収められないかもしれない。
それでも見たい。
必死で粘る。
やがてついに周囲の人たちが帰り始めた。
見ると橋の上の人たちもぼちぼち帰り始めたようだ。
うー結局見れないのー?
9時半まで待って飛ばなかったら僕も帰ることに決めた。
辺りはすっかり夜。
・
ついに9時半。
橋の上にはもうほとんど人がいない。
桟橋の上にも人はまばら。
ついにギブアップ。
飛ばない日があるなんて知らなかった。
こうなったらまた来て意地でも見てやる。
絶対あきらめないぞー。
・
車まで帰る途中
コウモリのいる橋の下を通る。
近くまで行ったときに近くにいた数人が橋の方を指さしていた。
よく見るとコウモリが飛び立っている。
しかしそれほど大量なコウモリが一斉にといった感じではない。
単に暗くて見えないだけかもしれない。
しかし確実にコウモリは夜のAustinに飛び立っていっていた。
もっと早く飛んでくれよ〜。
・
ここから駐車場までが一苦労。
普通に歩いたら50分かかる距離。
しかも辺りは真っ暗。
街灯もほとんど無くて道さえもよく分からない。
正直怖かった。
こんなところで人に襲われたら...。
そんな僕の恐怖をよそに
時たまジョギングをしてる人とすれちがった。
なんでこんな真っ暗闇でジョギングなんかしてるのよ?
・
半べそをかきながら小走りでなんとか駐車場に到着。
相変わらず駐車場も真っ暗でよく分からなかったが
どうやら残ってる車は僕の1台だけ。
急いで車に飛び乗りドアロックをして
大急ぎでホテルまで帰った。
あー怖かった。
でも実際にはあんな暗闇のなかジョギングする人がいるくらいなので
Austinと言うところは結構治安がいいところなのだろう。
変な危なさそうな人たちは全く見かけなかった。
・
3時間近く粘った割には結局見れなかったAustinのコウモリ。
でもこれだけ長いことAustinにいてやっぱり見ないことには許されないだろう。
絶対いつかまた挑戦してやる。
(Corolado川のコウモリのView Pointにて撮影)
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