幸せを感じさせてくれるハーレー・ダビッドソン。揺れるエンジンと独特のエンジン音。100年前に存在していたバイクの歴史に乗っているとも言える私達ハーレーのライダーは、盗難という現実から目をそらしてはなりません。2004年8月はそれまでの最悪の月になりました。40台の愛馬が窃盗団により盗まれたのです。悪いのは犯人です。悲しくなって、仕事も手に付かなくなるのは、盗まれた被害者とその家族・友人達です。
必要以上に怖がることはありません。防犯に対する正しい認識を持ち、窃盗グループが嫌がる事を知る事により、お金を掛けずにしっかり対策をすることができます。
[特記事項] ツーリングからの帰宅時、背後にいるバイクや車に注意
ツーリングからの帰宅時、後方からの尾行に慎重になってください。もしバイクや車がどこまでも付いてくるな、あやしいなと感じたら、絶対に家に直帰せず、ぐるぐる地元の道を回ってみましょう。いつもと違う道をどんどん進んでみてください。行き止まりの道をご存知なら、そこまで入ってみてください。それでも付いてくるなら、窃盗団の下見でしょう。連中は逃げるはずです。各自判断してください。
1.都市圏における盗難対策
【多発する地域を知ろう】
盗難が集中しているのは、東京を中心とした関東の首都圏と、大阪を中心とした関西圏に分かれます。
また、静岡県、栃木県や群馬県などでも発生していることも忘れないでください。
発生した地域については、Hobby Worldのトップページででいち早く速報しています。
【どんな場所で盗まれているのか知ろう】
マンションやアパートの駐輪場は、窃盗団の格好のターゲットです。不特定多数の方が出入りできるからです。
2004年から2005年の盗難の特徴は、繁華街へ出掛けて買い物中に遭う乗り逃げです。乗り逃げで最短の事件は15分以内に行なわれています。信じられますか?たったの15分間です。 目撃者も多数いますが、ヘルメットを被った2人が来て乗っていく事に不自然さを感じないので、だれも盗難とは思わなかったのです。
【犯行の分析】
これまでの盗難事件をプロファイリングすると、はっきりとした傾向があることが分かりました。
- (1) 犯行の連続性
- ある場所で盗難が発生すると、その地域で連続して事件が発生する。数日間の間に、集中して犯行を繰り返します。つまり、Hobby Worldで速報した盗難情報に基づき、バイクを別の場所に一時的に避難するなどを講じることができれば、被害から逃げられる可能性があります。
- (2) 下見の実行
- 狭い地域で連続する事件ということは、あらかじめ下見を行っていると考えるのが正しいでしょう。下見されたことはこれまでの被害者のみなさんからお聞きしたところ、変だなという兆候を感じていたことや、不審者の目撃証言があり、分かっています。
- (3) 盗難車は輸出されている
- 盗難車は一箇所に集め、即座に分解して「バイク部品」として輸出しようとしています。これはこれまでに逮捕された現場で立証されています。ある現場は、ココセコムにより数ヶ所がこれまでに発見されています。
- (4) チェーンロックは必ず切断されるのか????
- チェーンやU字ロックなどは携帯用油圧カッターで切断します。従って、携帯式油圧カッター使っても切断できない強度の防犯製品を使えばいいわけです。よく「狙われたらどんなチェーンでも切断されるから無駄だ」という声を聞きます。
しかし、対抗できるチェーン製品は実在しています! 私たちオーナーはそれを理解し、購入すれば、窃盗グループから愛馬を守ることができます。- (5) クレーンで持ち上げて盗まれるのか????
- 都会の自宅駐車上では、クレーンで持っていかれるという、いわゆる都市伝説がありますが、一般的なクレーンではクレーン車のエンジンを吹かして大きな音がしますし、屋根付きの車庫からも盗まれています。ですからこれは滅多に無いと考えています。
●保管場所が自宅の敷地内であっても安心しない。
門と塀で囲まれた敷地内に侵入し、下見を行ったり盗んでいく窃盗グループが出現しています。ですから、敷地内だからといって。安心してはいられません。普段から周囲に愛馬の存在が分からないように気を付けましょう。シャッター付き車庫の方でも、下記の事項を合わせて行っておくことが大切です。そうでないと、シャッターを開けられたら無防備になってしまいます。
●必ず車体を固定物との間にチェーンで接続 これが大原則!
少なくとも2か所以上、固定物との間にワイヤーもしくはチェーンで固定してください。
多ければ多いほどいいです。6本使っていて、5本まで切断され、最後の1本が残って未遂に終わったという事例も報告されています。犯行は深夜ですから、恐らく切断中に新聞配達員や他の誰かに見つかりそうになって諦めたのでしょう。 ただし、バイク用品店で売っているワイヤーなら、どれでも安全というわけではありません。クリプトナイト、コブラリンクス、アブス(ABUS)などの製品が比較的強いですが、それでも切断され、盗まれた事例が複数確認されています。では何を選ぶ基準にしたらいいのでしょうか?
鉄は、「硬い」と割れるし「柔らかい」と切れます。ですからその中間の性質を持った鉄を使った製品であればベストです。そんな製品があるのでしょうか?大型タンカー船を波止場に係留するための極太チェーンを使えば切断できないでしょう。あまりに太すぎますから。でもハーレーのフレームに通りません。残念。
夢のチェーンを意地で作ったバイク乗り
では中間の性質を持った鉄を特注して作ったら......
バイクを盗まれた静岡県の方がいます。鉄の加工業に従事にしているその方は、携帯式油圧カッターで切断できないための太さと性質を持ったチェーンロックを意地になって考え、製品化に成功しました。執念だったのでしょう。もう同じ思いをしたくないという一心で試行錯誤して出来上がったチェーンでした。でも宣伝し販売するルートが無い。それを販売するきっかけになったのが、BMWのあるオーナー。そのBMWオーナーは仕事から帰宅した時、偶然にも自分のバイクを盗難しようとした犯人と現場で遭遇。未遂に終わったものの、盗難は対岸の火事では無くなった瞬間でした。そのBMWオーナーはキタコに勤務されている方だったことから、意地で製作された最強チェーンをキタコから販売し、1台でも多くのライダーを盗難被害から守ろうということになっていったのです。
このような経緯を知っている私は、Hobby Worldでキタコから発売されているBMシリーズとHDシリーズを強く推奨しています。BMシリーズは世界最強のリンク製品ですから、自宅での保管が中心の方に最適。また、出先での使用も考えているライダーには、持ち運びできるHDシリーズがお勧めです。
切断しようとして未遂に終わった件数は、キタコ製品のユーザーからで複数報告されています。みなさんチェーンのお陰で被害から免れたのです。現物を見ると、表面にカッターによるキズができる程度でした。強固な素材でありながら、割ることもできないという両面を持っているので、案震度は郡を抜いています。
ロック製品だけでは、完全に安心することはできませんが、あれば威嚇効果があり、かつ時間稼ぎができます。だから沢山あるほどいいわけです。目安として、「解除するのが自分でも面倒になる程度」 が目標です。
●移動先での駐車にはHD-4を使用する
<<<クリックして詳細をご覧ください。
●複数の警報機を設置する。
環境や個人の考えもありますが、振動を検知してアラームが鳴ったり、遠隔地に異常を発報する警報機があると、盗難を防止または抑止する効果が明らかにあります。
アラーム付きのディスクロックもいいでしょう。電子回路に詳しい方は、ホームセンターで売っているセンサー装置を買ってきて、これに配線を加えて自宅の部屋でセンサーを検知できるようにすると、犯人に気付かれないで侵入を知ることができます。
その場合、速やかに警察へ通報し、警官の到着を待ちましょう。これにより犯人を逮捕できる可能性があります。
いずれにせよ、警報機は2個以上使うようにしてください。
「スパイボール」などの警報機はお勧めできる製品です。スパイボールは、誤動作が少ないという点で、大変によくできた製品と言えます。(製品についてはお近くのハーレーショップヤバイク用品店にご相談ください)
●イモビライザーの有効性
イモビライザーは比較的有効な手段です。直結してのエンジン始動ができないため、人目につきやすい繁華街では短時間で盗難することが不可能になるからです。しかしなぜでしょう?HD純正のイモビライザーを付けていても盗難された事件もあります。警報機である「スパイボール」は、警報機とイモビライザー機能を有している点、およびセンサー部分が独自開発という点でお勧めです。
●100円ショップは、防犯装置の宝庫! とにかく音の出る仕掛けを作る
犯人は音に敏感です。バイクの持ち主や近所の人に見つかってしまうからです。したがって愛馬の周りには音の出る仕掛けを出来る限り沢山用意しましょう。 たとえば波トタン板、スズのついたネットなど、原始的なものでもいいでしょう。100円ショップで買えるもので十分です。100円ショップといえば、防犯ブザーも買ってください。ピンが抜ければ鳴る製品です。色は黒です。深夜の犯人に見られないようにするためです。これらは多重に使用することにより、一層の効果が期待できます。
また、ホイッスルも1つは買っておきましょう。我が家では玄関に掛けてあります。万一の場合、大声は出せないものです。その点、ホイッスルなら吹けばいいだけです。
●ココセコムを検討する
万一の盗難時、現在の場所を検索することができます。セコムのHPをご覧ください。事実、ココセコムを搭載していたバイクが窃盗グループのあアジトを発見するきっかけとなり、数十台のバイクが発見されたのです。発見されたバイクの中に、私達Hobby Worldの仲間もいました。彼は幸運です。窃盗グループはココセコムがあるかどうか探しますが、必ずしも見つからない場合がある。つまり隠し場所は各自で知恵を絞って考えるのです。1人でも多くのライダーがココセコムを使えば、見つけられなかったココセコムのお陰でアジトが発見できるのです。
●お隣さんは、信頼のセンサー
あなた以外の人がハーレーを見ている、だれか触っているなどの場合は、あなたに通報するか、警察に連絡してくださいとお願いできる人間関係も大切です。お隣さんが、信頼のセンサーになっていただけるわけです。とても効果があります。私の場合、早朝に私の車庫に不審者が入っていたことを、お隣さんが見ていて、下見らしい兆候を察知できました。その後、扉をつけるなど、積極的な防犯へと進むことができたのです。
●センサーライトを設置する。
赤外線センサーライトを駐車スペース付近に設置することは効果的です。同時に室内でアラームを鳴らすことができる製品もありますので、お勧めです。
●監視カメラを設置する。
監視カメラと自動録画ビデオのセットが10万円以下で販売されています。これを車庫付近に設置すると、近くに人が寄ったときに自動録画できます。普段から怪しい人が見に来ていることも把握できます。また、ダミーカメラでも少しは効果があるかもしれませんが、当てにしないほうがいいでしょう。
●カラーボールの購入
カラーボールといえば、コンビニや銀行においてあり、犯罪が発生した場合に犯人または車に投げつけて特殊塗料を付けるものです。このカラーボールは、東京なら秋葉原の防犯グッズ店や東急ハンズなどで購入できるはずです。また、インターネットでも検索してみてください。使うことが無いことを祈りますが、万が一これを犯人に当てることができれば、警察は捜索してくれる可能性があります。
●警備会社に相談する。
セコムなど、個人を相手に契約できる警備会社に相談し、車庫を監視することを考えましょう。
ハイテク機器で大変に信頼できる監視を行うことができます。
●盗難保険に入る。
保険ですから、みなさんが個人で最終判断することになります。種類としてはHOGの盗難保険、各ショップが保険会社と独自に設定している盗難保険などがあります。HOGの盗難保険については、契約されたみなさんは既にニュー・オーナーズ・キットに入っているパンフレットでお分かりのことでしょう。
2.インターネット上での注意点
●住所を特定できる情報を書きこまないこと。
ネットの情報は窃盗グループが見ているかもしれません。
住所、電話番号、ナンバープレートなどを書きこみすることがあってはなりません。
所在地については、都道府県や区名までが限界かと思います。埼玉県など、大きな県では、「南部」「北部」程度までならいいのではないでしょうか。
●盗難防止に関する個人情報を書きこまない。
これも手のうちを明らかにすることになり、好ましいことではありません。
相談があったら、信頼できる相手であることが確認できた場合にのみ、メールやオフ会で相談する範囲に留めましょう。