三浦半島、鎌倉周辺で山歩きやハイキングを楽しんでいる時に、カサッとするような微かな物音の方を確かめるとそこには可愛らしいタイワンリスを見ることがある。この地域で始めて野生化したタイワンリスが確認されたのは昭和25年(1950)年頃といわれる。仕草が愛らしく珍しいので餌付けをした、人を恐れず近寄って来るので食べ物を与えたこともあった。
本来の生息地は、中国南部、台湾、インドシナ・マレー半島の亜熱帯地方で、種子果実が主食である。現在、東京や神奈川周辺から九州まで広く定着しているものと考えられる。全国集計で推定5000匹以上が捕獲、2007年度神奈川県内、主に三浦半島で約1000匹がカゴワナで捕獲された。餌は主にドックフード、ピーナッツや油揚げが効果的である。
タイワンリスというが「クリハラリス」というのが正しい和名、腹部が「ニホンリス」は白色に対して赤茶(クリ)色をしている。北米産のアライグマと異なり寒さに弱く平均寿命1・5年、最長4年。出産は年1,2回で1また2仔を生む。主にスダジイ等常緑樹の枝や幹間に、枝で丸く組合せ落ち葉等を敷いて仮眠、またそこで産み育てるという。地上を走るよう上手に細長い電線伝いに移動して生息域を広げている。
伊豆大島や江ノ島では、小動物園から逃げ出したものが定着し繁殖しているといわれる。また房総半島の閉鎖されたある遊園地から集団で逃走した、南方系の小型シカのキョンが増え農作物を食べ荒らしていると聞いている。
逃げ出したといえば、昔同じ房総半島のある寺院では、干支と同じ12種類の動物を飼育してそれがウリとなり有名になっていた。ところが管理不十分等不慣れでトラを屋外の山中へ逃がしてしまい大事件になってしまった。近隣の小中学校生や住民は外出もできず恐怖に脅えたが数日後、トラは哀れにも射殺されてしまい騒動は落着した。
鎌倉市では、市民に対しチラシや掲示板へポスター等で注意を促し、観光客へ「餌付けはやめましょう」と呼びかけている。迷惑している方がいる、そして駆除するため捕獲に協力する市民を募っている。ある大きな寺院周辺の家では、1日で3匹もタイワンリスを捕獲したという話がある。近隣の横須賀、逗子各市や葉山町の農家では野菜類の農作物やシイタケ、ミカンの外に庭木等が食い荒らされ、また家の戸袋や電線を齧られている。
横浜市内の公園でも「ガッガッ」といった威嚇警戒の鳴き声を聞いたことがある。
そして最近では「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」略して「外来生物法」が制定された。
被害予防3原則として
1. 悪影響を及ぼすかもしれない外来生物をむやみに日本に入れない。
2. 飼っている外来生物を野外へ捨てない。
3. 野外に既にいる外来生物は他地域に広げない、を徹底することにした。