全国秘湯巡り・九州
鹿児島湯の旅 2010
第1日目 羽田→鹿児島空港→妙見温泉
第2日目 妙見温泉→鹿児島市
第3日目 鹿児島市→鹿児島空港
第1日目
● かごしま空港へ
(桜島の噴火)
鹿児島の湯巡り旅は2003年以来だから7年ぶりということになる。
前回の湯巡りの時は不勉強のため鹿児島市内にこれほど多くの公衆浴場があるとは思っても見なかった。
Web 上でたまたま鹿児島県の公衆浴場同業組合が鹿児島市内の公衆浴場のマップを作ったという記事を発見して送ってもらってからこの旅行を企画した。
二泊三日とも市内にいるのは何となく芸がないので、妙見温泉→日当山温泉→桜島→鹿児島市内というルートを考えついた。
うまくいけばこの旅行で共同浴場500湯という節目を迎えられるかも知れない。
鹿児島市内の公衆浴場巡りは、JALが、バースデイ特割という制度を復活したので5月の連休中に実現可能となった。
家人の誕生日が5月という訳。
連休中の羽田は混雑していた。
出発時刻がやや遅れ、航路は激しい偏西風のため運行速度も遅くなったとかで鹿児島空港着が遅れてしまった。
途中、富士山や南アルプスの冠雪の姿が美しかった。5月連休では珍しい景色だった。
鹿児島到着が遅れたので空港自慢の足湯に入るどころか、足湯の前を駆け足で走ってバス停に着いたときに、妙見バスは発車間際だった。
このページのTop
● 妙見温泉へ
(温泉バス)
温泉バスは妙見温泉を中心とする隼人・新川渓谷温泉郷の旅館が中心となって運行するシャトルバスで、当日乗り降り自由のバス券(温泉パスポート)に各旅館の温泉入浴券が1枚ついて500円という価格。
つまり、足付きの日帰り温泉券という見方も出来るわけで、航空機の乗り継ぎの時、バス時間が合致すれば、妙見温泉までひとっ風呂浴びに行って昼食も摂ってくるという離れ業も可能なバスということになり、500円はともかく安い。
温泉バスへリンク
バスは新芽の出た茶畑の間を新川渓谷に向かって下り、肥薩線の嘉例川駅(木造の古い佇まいの駅舎前)に立ち寄って、20分と一寸で妙見温泉に着いた。
途中は新緑の盛りだった。
このページのTop
● 昼食は天狗食堂
| |
(天狗食堂) |
|
(おかみさん) |
バス停の近くにあった天狗食堂に入った。
旅館は天降川の対岸にあり、食堂は直ぐ目の前だから当然の成り行き。
店には先客が二人いて、話している内に頼んだ麺類が出てきた。
食事後おかみさんからいろいろな情報を仕入れた。
|
|
|
|
|
(ちゃんぽん \550) |
|
(肉うどん \700) |
|
(メニュー) |
|
|
|
|
|
たとえば、和気神社の藤の花のこと、和気湯のこと、このあたりの旅館の立ち寄り湯のこと。
時間を考えて、田島本館に荷物を預ける、妙見館他の立ち寄り湯に入る、タクシーで和気神社に行き藤まつりを見る、犬飼公衆浴場と和気湯に入る、という順序になった。
このページのTop
● 妙見館の日帰り温泉
今日の宿の田島本館に荷物を預けて、隣の妙見館の日帰り温泉に入る。
妙見館は天降川の対岸にある妙見ホテルの湯治宿的位置づけで、天降川の木の橋際にある。
妙見館の日帰り温泉は二つあり、一つは二階の「打たせ湯」。もう一つは一階の「元湯」である。
この二つの温泉は別料金が必要だが、それぞれに趣があり、また源泉の質は抜群のものだった。
さらりとしたお湯で長湯ができる優しさがある。
源泉を口に含むと、先ず金気臭がしたあと、渋み、というかうま味があり、ラムネ味に近い。
(妙見館) |
|
(打たせ湯の浴槽) |
|
(打たせ湯の洗い場) |
|
|
|
|
|
さすがに、天狗食堂のおかみさんが毎日通っているというだけの価値があると思った。
先客が一人いて、今日は霧島高原で天然記念物の「ノカイドウ」を見てきたと云っていた。
年に一週間ほどしか見られないノカイドウの花の時期は5月初旬で、この群落は霧島高原にしか無い。
妙見館から対岸のきらく温泉に向かう。
このページのTop
● きらく温泉の日帰り温泉
きらく温泉は国道223号線に面した素泊まり専用の宿で温泉街のほぼ中央にある。
露天風呂と内湯それぞれが別料金で露天風呂が特に自慢という。
きらく温泉の露天風呂
露天風呂は玄関から階段を上って三階に行き、山側の斜面をさらに上った場所にある。
男女別に左右に分かれた後、それぞれに木の小屋のような簡易の脱衣場があり、眼前に12〜13人ほど入れそうな露天風呂がある。
(きらく温泉) |
|
(露天風呂) |
|
(露天風呂の脱衣場) |
|
|
|
|
|
巨石を模した露天風呂は気持ちよく周囲の緑がお湯にしたたり、また高台にあるので周りから覗かれないという利点もある。
きらく温泉の内湯−うたせ湯
(内湯−うたせ湯) |
|
(内湯の上がり湯) |
|
(内湯の脱衣場) |
|
|
|
|
|
うたせ湯は一階の外れにあり、日帰り用の出入り口にも近い。
脱衣場は広く、また、浴室内の浴槽も広い。
源泉の析出物で茶色く着色されているがお湯はほとんど透明で、口に含むと金気臭がするが口に含まない限り金気臭はなく、わずかにラムネ味がする。
さらりとした良いお湯で、炭酸を含む。
妙見館によく似た種類のお湯である。
このページのTop
● 犬飼公衆浴場
きらく温泉の隣の(有)妙見タクシーで和気公園の藤まつり会場前を通り犬飼公衆浴場まで行ってもら。
数分で犬飼公衆浴場。
犬飼公衆浴場は鹿児島県道470号線に面しており、和気公園を越えて県道が右折する場所にある。
建物はブロック造りでトタン屋根の簡素なもので、内部も脱衣場は板の脱衣棚だけのシンプルな配置。脱衣場はそこそこに広さがある。
浴室は浴槽一つと上がり湯用のタル一槽で、パイプから源泉がどばどばと注いでいた。
地域で共有する贅沢な共同浴場は共同浴場ファンにはたまらない魅力を備えている。
お湯は無色透明で、やや金気臭のする温泉で、源泉もさほど熱くはなく、浴槽はかえってぬるめの印象を受けた。
このページのTop
歩いて和気公園に戻る。汗がなかなか引かないうちに和気公園入り口に着く。 急な階段を上る。
● 和気公園 藤まつり
和気公園藤まつりは第7回とかで、和気神社を含む広い場所で開催していた。
藤の種類は23種で、百本の藤が咲き乱れ、盛りはやや過ぎていたもの、風でなまめかしく揺れ、良い香りを振りまいていた。
藤は和気清麻呂の生誕の地の岡山県和気郡和気町から贈られたとのこと。
(和気公園の藤まつり)
(和気公園の藤まつり−2)
(和気公園の藤まつり−3) |
|
(和気公園の藤まつり−4) |
|
(和気公園の藤まつり−5) |
|
|
|
|
|
(和気神社−1) |
|
(和気神社−2) |
|
|
|
また、何張りかのテントの中では、地元産品や山野草の即売が行われていた。
購入した「手づくり そばボーロ」と「手づくり いこ餅」は素朴な味がして懐かしかった。
(即売会のテント) |
|
(手づくり そばボーロ) |
|
(手づくり いこ餅) |
|
|
|
|
|
このページのTop
● 犬飼滝
和気公園の入り口の反対側は犬飼滝を見る滝見台になっている。
落差36メートルで水量が多いので見応えがある。
(犬飼滝滝見台) |
|
(犬飼滝) |
|
|
|
犬飼滝を滝壺から見るルートは急階段だったので敬遠し、県道を妙見温泉方面に向かって歩き始めた。
途中、和気湯に下りる農道があるはずで、和気公園から妙見温泉に向かって1キロ以上歩いたら川筋に向かう道標があり、下ると和気湯まで20分位でたどり着いた。
このページのTop
● 和気湯
和気湯は川原に造られた野湯で、ネットでは結構有名になっている。
今回の旅行の目玉でもある。
妙見温泉から和気湯に行くには、田島本館の前を道標に従って農道を進む。
車も通れる道で妙見温泉からおよそ1.5キロほどで駐車場があり、その先の農家の向こう側が和気湯である。
(和気湯) |
|
(別角度から見た和気湯) |
|
(湯を抜いた和気湯) |
|
|
|
|
|
和気湯は4〜5人が入れる四角い浴槽が二槽連なった野湯で、ケロリン桶があり、付近にベンチがあるだけだった。
先客が2人居たので断って入れてもらった。
湯温が低く36〜7度ほど。
前日の雨の影響とのこと。
ただ、じっと入っていると自然にあたたまり、手足に気泡がつき、足下からもぶくぶくと泡が沸き気持ちが安らぐ温泉だった。
先客は近所から毎日仕事が終わるとここに来てお湯に浸かり、あたたまった後、湯を抜いて掃除をし、栓をして湯が溜まるのを確かめてから帰るのだという。
湯の所有者とこのボランタリーな人たちに感謝をしながら和気湯を辞した。
和気湯から歩いて10分ほどで妙見温泉に戻った。
妙見温泉バス券(温泉パスポート)に付属する「温泉入浴券」が1枚残っていたので、もう一件立ち寄り温泉に入ることにした。
家人はあきれて今日の宿の妙見荘「田島本館」に入った。
このページのTop
● おりはし旅館 露天風呂
おりはし旅館は中津川をへだてて田中会館や田島本館の対岸にある昔からの旅館で、日本秘湯の会の会員旅館である。
木々を配した庭園の奥に受付があり、本館の玄関はさらにその奥。
(おりはし旅館 本館) |
|
(露天風呂の建屋) |
|
(露天風呂) |
|
|
|
|
|
露天風呂は本館の前にあり、敷地を板囲いして、入り口には脱衣をする建屋を設けてある。
広い露天風呂は石と巨石を配し、岩から湯が流れ落ちる様を演出しており、結構な広さのため開放感がある。
湯は温めの炭酸水素塩泉(ナトリウム・マグネシウム・カルシウム−炭酸水素塩泉)で無色透明。
口に含むと金気臭と炭酸味。
暮れなずむ中をかなり暗くなるまで湯に浸った。
このページのTop
● 田島本館の夕食
田島本館の夕食はさながら鶏づくしの感があった。
田島本館が自分で運営する鶏舎が中津川沿いの、丁度和気湯へ行く途中にあり、そこで産する地鶏をふんだんに使った夕食だった。
(精進揚げと掻揚げ) |
|
(牛スジ肉と蒟蒻/野菜の味噌煮) |
|
(おすまし) |
|
|
|
|
|
宿泊単価を抑えた営業方針に好感を持った。
● 田島本館のお風呂
田島本館には二箇所のお風呂があった。
それぞれ、、「神経痛の湯」と「胃腸の湯・傷の湯」と呼ばれる。
どちらも、内湯と云うよりは旅館の建物の外側に湯小屋を独立させた浴場で、どちらも共同浴場に近い雰囲気を持つ。
神経痛の湯
神経痛の湯は田島本館の道路側にあり、男女別浴槽が各一つのお風呂。
(神経痛の湯の湯小屋) |
|
(神経痛の湯の男湯浴槽) |
|
(脱衣場) |
|
|
|
|
|
板張りの建屋に石づくりの浴槽はまさに共同浴場。
7〜8人は入れる浴槽は湯治客も含めて話に花が咲いていた。
お湯は金気臭はあるが無色透明で、わずかに肌に泡が着く炭酸泉でほぼ適温だった。
胃腸の湯・傷の湯
胃腸の湯・傷の湯は神経痛の湯の脇の階段を下り、田島本館の建物の地階駐車場の一角にある。
ここは天降川と中津川の合流点にあたり、窓に戸がない開放的な造りなので半露天のような印象を与える。
浴槽は、手前から胃腸の湯(熱め)、傷の湯(ぬるめ)、打たせ湯(ぬるめ)と三槽つながっている。(打たせ湯は突き当たりの板壁の向こう側にある。)
(胃腸の湯・傷の湯の入り口) |
|
(胃腸の湯(手前)・傷の湯(奥)) |
|
(打たせ湯) |
|
|
|
|
|
特にぬるめの傷の湯は湯の花が舞い、炭酸の気泡が肌にまとわりつく極上の湯で人気が高い。
このページのTop
第2日目
妙見温泉の情景として2つの橋の写真を掲げる。
木の橋は温泉街の中程にあり、車が通れる橋はやや下流にある。
温泉街は歩いても数分で歩き尽くす規模で、「街」というほど発達していない。
(木の橋) |
|
(車の橋) |
|
|
|
朝一番の温泉バスで日当山温泉に向かった。
このページのTop
● 日当山温泉 西郷どん湯(公衆浴場)
日当山温泉は天降川の両岸に広がる温泉場で、三十軒以上の温泉旅館、家族湯、温泉銭湯(温泉公衆浴場)が点在するエリアだが、近年、そのうちの何軒かが営業を止めているのは残念でならない。
2003年に鹿児島に来たときはそのうち吉田温泉に入れてもらったが、今回は西郷どん湯と日当山温泉センターに入り、その後桜島に向かうこととした。
日当山のバス停で温泉バスを下ろしてもらう。
西郷どん湯は一寸探したが難なく見つかった。
公衆浴場は、西郷どん温泉旅館と道を隔てて向かい合っていた。
(西郷どん湯) |
|
(浴槽) |
|
|
|
(浴槽の温度計) |
|
(脱衣場) |
|
(西郷どん湯温泉旅館の玄関) |
|
|
|
|
|
昭和の中頃の銭湯のイメージを残した西郷どん湯は無色透明のアルカリ性のお湯で
、入るとやや熱めで、肌がぬるぬるとした感触で、舐めると薄塩味がする。
湯温を計るメーターが壁に貼ってある温泉に久しぶりに入った。
このページのTop
● 日当山温泉センター
西郷どん湯を出て、次は日当山温泉センターに向かう。
探すまでもなく同じ道筋の数十メートル先に日当山温泉センターが見えた。
日当山温泉センターは温泉旅館(ビジネスホテル)で、受付で料金を支払うと廊下の奥の方に案内してくれる。
男女浴場が隣り合っており、浴槽は巨大な石で間仕切りがしてある開放的な湯で、比較的浅いので女湯に向かって寝そべる感じでお湯に浸る。
この浴槽の他に打たせ湯の浴槽があり、打たせ湯でのシャンプー厳禁という張り紙が面白かった。
西郷どん湯同様、ぬるすべ感の強いお湯がうれしかった。
天降川で釣りをしている人をしばらく眺めてからJR肥薩線の日当山駅に向かった。
● 日当山駅と肥薩線ワンマンカー
徒歩10分足らずで日当山駅に着いた。
(日当山駅) |
|
(肥薩線ワンマンカー) |
|
|
|
日当山駅は無人駅で周囲の写真を撮ろうとしたらデジカメが壊れた。
症状は、液晶画面が映らず、ファインダーで撮った写真も再生が出来なかった。 メディアを別のカメラで見たら日当山温泉センターの浴槽の写真までは再生出来た。
従って、日当山駅と肥薩線の列車の写真は予備に持っていた別カメラで写したものである。
かごしま・湯の旅 2010 (続編)へ
(若干の情報)
全国秘湯巡り目次/
Next 鹿児島・湯の旅03
Home
|