No.356 Austin便りその67〜二人の旅(Zionを目指して)
2004年11月26日(金)
タクシーの運転手に頼んで空港ではなくHertzレンタカーで降ろしてもらう。
そうLas Vegas観光はもうお終い。
ここからレンタカーを借りて移動するのだ。
あらかじめレンタカーも予約済。
多少高いがカーナビ付き。
初めて走る場所ではやっぱりカーナビが重宝する。
今回僕たちがお世話になる車はなんとトヨタのカムリだった。
・
今晩泊まる宿は特に予約はしていない。
どこか途中の町のモーテルに泊まるつもりだった。
当初この計画を立てた時はここからGrand Canyon(グランド・キャニオン)に向かう予定だった。
しかし先週
Kevin Readyと会社で話した時
Zion(ザイオン)国立公園を薦められた。
Las VegasからはGrand CanyonもZionも似たような距離。
Kevinさん曰くGrand CanyonよりZionの方がお薦めらしい。
以前やはり日本人に薦めたところやっぱりその人もZionの方が良かったと言っていたらしい。
ということでこの日はZion国立公園に向かうことにした。
宿を予約していなかったお陰でこんな融通も効く。
・
Las Vegasを離れI-15を北上。
約2時間ほど走って到着したSt. George(セント・ジョージ)という町で宿を探すことにした。
ここはLas Vegasから向かってZion国立公園に一番近い大きな町。
すでにここはUtah(ユタ)州。
(※Las VegasはNevada(ネバダ)州)
まずはHighwayから見えたHampton Innというホテルに向かう。
受付で今晩2人分の部屋があるかたずねると
スモーキングの部屋なら$109であるという。
ちょっと高め。
別の宿を探すことにする。
・
Comfort Innというモーテルを発見した。
看板こそ電気が点いているが受付のオフィスは電気が消えていて暗い。
恐る恐る外に面した受付の小窓の脇にある呼び出しベルを押すと
中から普通の若い女性が現れて中入って来いと指図した。
予約は無いが今晩2人分の部屋が空いているか聞くと
やはりスモーキングだが$79であるという。
Motel 6も恐らく似たような値段だろう。
ということで今晩の宿はめでたくここに決定。
・
時間はすでに9時を回っている。
部屋は1階。
例のごとく外から直接出入りできるタイプ。
お陰でユキちゃんの重いスーツケースの出し入れが楽。
・
部屋はこんな感じ。
Motel 6とほぼ同じ造りでベッド2つと奥には流しとバスルーム。
コンパクトだがうまくまとまっている。
ユキちゃんも感心していた。
受付の際スモーキングということはあまり気にしていなかったが
部屋の中がものすごくたばこ臭い。
これだけが唯一の欠点。
・
このSt. Georgeという町はそれほど大きくは無さそうだが意外とにぎわっている。
レストランもたくさんあった。
なんか肉が食べたかったのでOutbackに入る。
9時を過ぎていたがまだ入れるだろうか。
どうやら10時までのようだ。
なんとか入れてもらえた。
ここでバーベキュー料理で腹ごしらえ。
気が付くと残っているお客さんは僕たちだけ。
店員さんは店内の掃除を始めている。
後で気が付いたのだが実はLas VegasとSt. Georgeでは1時間時差があることが判明。
とっくに閉店時間を過ぎている。
実はすでに11時近かったのだ。
よく最初にお店に入れてくれたなー。
・
モーテルへの帰りがけにビールを調達。
部屋でビールを飲みながら少しくつろいで明日に備えて寝た。
たばこ臭いのはには少々まいったが
それもじきに慣れた。
朝までぐっすり眠れた。
・
翌朝は7時に起床。
荷造りを済ませ8時前にはチェック・アウトした。
天気は上々。
いざZionへ。
(St. Georgeにて撮影)
No.357 Austin便りその68〜二人の旅(Zion National Park)
2004年11月27日(土)
モーテルをチェック・アウトしてハイウェイを走り
1時間ほどでZion National Park(ザイオン国立公園)に到着した。
Zion National Parkに入るちょっと前から
周囲には写真を撮りたくてよだれが出るほどの
雄大な山々の姿があった。
・
まずは入り口のゲートを過ぎてすぐにあるVisitor Centorに行く。
気温はかなり低くて寒い。
地図などはゲートですでにもらっていたので
ここではトイレなどを済ませ
いざZion National Park観光へ出発。
・
ここからはもう解説は不要。
写真を見ていただく他無いが
写真でも実際の雄大な風景の感じは伝わるまい。
切り立った山々の壮大な雄姿が周囲に広がっていた。
感動で写真を撮りまくった。
でも実際に目で見た感動の1/100も写真では分からない。
・
とある駐車場に来た。
ここは今までにあった駐車場の中で一番広いにもかかわらず
すでに満車状態だった。
本当は車を停めるべきではない場所になんとかスペースを見つけ車を停め
少し歩いてみると
ここにはちょっとしたトレイルがあることが分かった。
実はさっきから歩いてZionを感じてみたいと思っていた。
ユキちゃんもトレイルを歩くことに同意。
いざZionの山登りへ。
・
しばらく歩くと前方に岩の壁が現れた。
よく見ると小さい人の姿が見える。
どうやら切り立った岩の絶壁に登山道があるらしい。
・
実際そこまで歩いてみると道はちゃんと整備され
1メートルくらいの道幅もあるため
それほど危険ではない。
しかしずんずん登って行くといつしか地面ははるか下。
無意識のうちに壁側に沿って歩く自分に気づく。
・
岩の壁を登り切ったところで
両脇が切り立った山の谷間の道に入り
ずんずん登っていく。
すれ違う人
または追い越される人たちは
みんな結構本格的な登山用の格好。
それに比べて僕たちのなんと普通の格好のことか。
・
やっとのことで到着したこのトレイルの終点。
手すりのようなものが見えたので行ってみると
なんとその向こうはまさに断崖絶壁。
高さ何百メートルあるんだろう。
思わずお尻の辺りがムズムズする。
手すりがあっても思わず顔が引きつってしまう僕の顔。
それに比べて意外と平然とビデオ撮影にいそしむユキちゃん。
・
絶壁からの景色をさんざん楽しんで
今来たトレイルを引き返す。
この日は朝こそ太陽が出ていたものの
雲が多く曇りがち。
ある程度降りてきたところで急に太陽が射し始めた。
今がチャンスとばかりに苦労して持ってきた三脚を用意し
2人揃っての記念撮影を撮りまくる。
本日トップの写真もその中の1枚。
・
駐車場まで戻ると車の数は更に増え
道路にまではみ出して何台もの車が路駐していた。
僕たちは車に乗り込み更にZionの奥へ。
途中Weeping Rockと言って
アーチ状に岩壁がくぼんでその縁から水がしたたり落ちる所を見物したりしながら
更に奥へと進んだ。
・
とあるパーキングに着いた。
ここからの風景もなかなかすごい。
僕は例のごとく写真を撮りまくる。
ユキちゃんはちょっと寒くなったようだ。
先に車に戻っていると言うので車のキーを渡した。
それからしばらく周りの写真を撮影した後で車に戻ると
なにやら様子がおかしい。
てっきり車の中にいると思っていたユキちゃんが車の周りをうろうろし
顔には動揺の影が浮かんでいる。
なんとちょっとした不注意により車のキーを車内に置いたままロックされてしまったらしい。
最近の一部の車は保安上のためドアを閉めると自動的にロックがかかってしまうらしいのだ。
ハンマーで殴られたようなショックに打ちひしがれる。
「絶対にキーを車の中に放置しちゃいけない」とユキちゃんに注意しなかったことを深く後悔するも
今更どうしようもない。
携帯電話も見事に車内。
見ると見事に運転席のシートの上にキーが置いてある。
全てのドアもトランクも完全にロックされている。
いったいどうしたらいいんだろう...。
ここ1年近くアメリカにいた中で最悪の事態。
周囲には何人かアメリカ人のグループがいたので携帯電話くらい借りられそうだが
電話を借りたところでいったいどこに電話したらいいのかも分からない。
しばらくあれこれ頭の中で走馬燈のように考えをめぐらせたが
結局いいアイデアは浮かばなかったので
このまま考えていても仕方がないので
一番近くにいたファミリーの旦那さんらしき人に助けを求めることにした。
僕が情けない顔をしながらおずおずと近づいていくと
何も知らないその旦那さんは「ハイ!」と明るく挨拶してきた。
事情を説明し何かいいアイデアは無いかたずねた。
その人はすぐに事情を理解してくれてファミリーのみんなに説明して何かいいアイデアは無いか聞いてくれた。
すると16〜7くらいの息子さんらしき青年が彼らの車の荷台の道具箱を探し始めた。
何かドアをこじ開ける道具でも持っているのか!?
しかし残念ながら探していた物は無かったらしい。
たまたま隣に駐車した老夫婦にもたずねてくれたが
やはりソレは持っていなかった。
その時偶然Zion National Parkのレンジャーの車が遠くから向かって来るのを
旦那さんが発見した。
するとその息子さんが道路まで飛び出して両手を振ってレンジャーの車を停めてくれた。
レンジャーの車はすぐさま駐車場に入ってきて何事か聞いてきた。
旦那さんが事情を説明してくれる。
レンジャーはどこかと無線で少し連絡を取り合った後
車の荷台から特殊な道具を取り出した。
慣れた手つきでドアにわずかな隙間を作り
そこから長くて先の曲がった特殊な棒を車内に差し込んだ。
しばらく悪戦苦闘の末見事にキーの解除に成功。
全身から力が抜ける。
その後その車が確かに僕たちが借りたレンタカーであることを証明するため
借りた際の書類と身分証明書を確認してレンジャーは去っていった。
さんざん面倒を見てくれた旦那さんとその息子さん
そして彼らのファミリーのみんなにお礼を言う。
みんな明るく「良かった、良かった」と一緒に喜んでくれた。
本当にいい人たちだった。
(レンジャーがドアを開ける場面の写真はとっても撮りたかったのだが
事情が事情なために撮影は自粛した)
最後にその駐車場を去る時も
ベンチで休憩していたそのファミリーに手を振り「Thank You!」と声をかけると
明るく「See You!」と手を振ってくれた。
・
午後3時を過ぎた。
この日の夜はGrand Canyonの宿に予約を入れてある。
ここからGrand Canyonまでは車で3〜4時間はかかるはず。
そろそろ行かなければ。
Visitor Centerでおみやげを買って
Grand Canyonに向けて車を走らせた。
この頃になって再び日が射し始めた。
パーキングを見つけるごとに車を停めて美しい風景を撮影しまくる。
後ろ髪を引かれつつ
Zion National Parkを後にした。
(Zion National Parkにて撮影。)
No.358 Austin便りその69〜二人の旅(Grand Canyonのロッジ)
2004年11月27日(土)
Zion National Parkで次なる目的地のGrand Canyonの宿をカーナビに入力すると
距離が400マイル近く(約640km)所要時間7時間以上と出た。
進むべき方向も僕たちが思ったいた方向と違う。
どうやら一旦ラスベガス近くまで戻ってからGrand Canyonへ向かうルートが選択されてしまったようだ。
そんなバカなとカーナビを無視してしばらく本来考えていた方向へ走っていると
再びルート選択が始まり今度は200マイルちょっと(約320〜330km)で4時間ちょっとと出た。
どうやら僕たちの考えていたルートが選択されたようだ。
それにしても4時間以上。
3時間くらいで着くものとばかり思っていた。
・
日が暮れる。
ずっと片側一車線の道路。
前後に車はほとんどいないのでほとんどノンストップで走れるが
ハイウェイではないので思ったほどスピードを出せない。
ペースが上がらない。
・
やがて真っ暗になった。
たまに現れるガソリンスタンドでトイレを済ませたり休憩したりしながら
ひたすら走り続けた。
・
とある交差点でカーナビが右折するように指示を出した。
今まで走っていた幹線道路とはあきらかに違うちょっと細い道。
どうやらここから真っ直ぐGrand Canyonに向かうらしい。
こんな日の暮れた時間にGrand Canyonに向かう車は他にはいない。
ほとんど他の車を見かけないまま真っ暗な道を走り続けた。
意外と遠い。
街灯は全く無いので周囲の様子は全く分からない。
道路脇にたまに雪が残っているのは見えた。
もしかしたらもうすぐ横にGrand Canyonの壮大な景色が広がっているんじゃないか!?
そんな想像をめぐらせながらひた走り続け
ようやくGrand Canyon National Parkのゲートに到着した。
すでに時間は8時近い。
ガイドブックには入場料は車1台で$20取られると書いてあったが
ゲートには誰もおらず
そのまま通過できるようになっていた。
ゲートを通過してしばらく走る。
カーナビはもうあと少しで目的地に到着だと知らせる。
やがて「You have arrived(到着しました)」とカーナビが告げたその場所は
何にも無い道路の真ん中。
僕たちはGrand Canyon National Parkの中にあるロッジに今晩は泊まる予定で
そのロッジの名前をカーナビに入力したのだ。
仕方がないのであとはガイドブックの地図を見ながらなんとか進む。
やがて目的のロッジの名前の標識が現れた。
どうにかこうにか到着。
時間は8時半近い。
・
駐車場らしきところを見つけ車を停めロッジに向かう。
外はものすごい寒さ。
5分もいたら凍死してしまいそう(ちょっとオーバー)。
時間は遅かったがなんとか無事にチェックインできた。
お腹が空いた。
聞くとまだカフェテリアは開いているようだったので
荷物を部屋に運ぶ前にまずは腹ごしらえをすることにした。
・
僕は珍しさ半分でCatfish(ナマズ)のフライ。
ユキちゃんはスパゲティー。
あとビールとワイン。
スープもいただく。
スープの入ったでかい釜のような容器の横には
なんとカタカナで「チキンベジタブルヌードル」「ミネストローネ」と書かれた札が置いてあった。
意外なところで日本語と遭遇。
日本人観光客が多いんだろうな。
・
カフェテリアにはまだまだたくさんの人が陽気に夕食を楽しんでいた(本日トップの写真)。
みんな結構本格的な山男のような人たちが多い。
服装も登山用の物で厚着してる人もかなりいる。
なんだか山小屋のような雰囲気。
僕たちはあきらかになめた服装。
・
Catfishはちょっとイマイチ(ナマズそのものよりも料理のせいかも)。
でもビールも飲めてお腹も膨らんで一息ついた。
・
僕たちの部屋は意外にも別の棟。
このロッジの部屋はみんな別棟にあるらしい。
チェックインの時に渡された地図を頼りに僕たちの部屋のある棟へと向かう。
外は相変わらず気絶しそうなくらい寒い。
・
僕たちの棟を発見。
2階建てで8部屋くらいありそう。
ちょっと嫌な予感を感じつつも階段を上り部屋に入る。
すると思っていた以上のいい部屋だった。
2階だったせいか天井も高くファンもぶら下がっている。
上出来!
荷物を運び一息つく。
どっと疲れが出た。
なんだか今日は疲れた。
・
影絵のような電気スタンド。
なかなかオシャレ。
・
シャワーも浴びて車の中に置いたままのビールを取りに外に出ると
何か降っている。
雨か!?
なんとなく雪っぽいように感じた。
・
Grand Canyonでは日の出の瞬間の景色が素晴らしいらしい。
朝5時に目覚ましをセットして寝る。
おやすみなさい。
・
朝5時、目覚ましの音で目を覚ます。
外の様子を見る。
何か様子がおかしい。
ちょっと厚着をして外に出て唖然。
一面雪景色。
またまた想像を絶する展開に遭遇。
すでにその時には雪はやんでいたが
空には分厚い雲がかかっているらしく星は全く見えない。
残念だがこれでは日の出は見れそうも無い。
眠かったのでもう一眠りすることにした。
(Grand Canyon内Maswik Lodgeにて撮影)
No.359 Austin便りその70〜二人の旅(Grand Canyon National Park)
2004年11月28日(日)
朝7時に再度目覚ましで起こされる。
そっとカーテンを開け外を覗くとすでに辺りは薄明るくなっていた。
思った通り完全な雪景色。
本当にここはGrand Canyonだろうか。
厚着をして外に出る。
車も見事に雪に埋もれている。
空を見ると雲は出ているものの一部には青空も見えている。
これなら結構Grand Canyonの景色もいいかもしれない。
早くGrand Canyonの壮大な景色をこの目で見たい。
気持ちがはやる。
車で近くのView Pointに行くには路面が凍結していてちょっと危険そう。
周囲をぶらぶらしてみるとMaswik Lodgeの正面から
Yavapai Point(ヤバパイ・ポイント)という所へ行く無料のバスが出ているのを発見。
急いで部屋へ戻りユキちゃんを起こし準備をしてバス停へ向かう。
5分くらい待っているとバスがやってきた。
・
Maswik LodgeからYavapai Pointへは距離的にはそれほど遠く無いが
バスの順路をぐるぐる廻って行ったので到着まで30分くらいかかった。
その間に太陽はみるみる上がって行く。
気持ちばかりが焦る。
・
そしてやっと到着したYavapai Point。
想像を絶するその光景にしばし呆然。
なんと言葉に表していいか分からない。
ただただ目の前に広がる広大な景色に全てを奪われた。
・
人は所詮その時自分がいる場所から目で見渡せる範囲の世界しか認識できない。
日本のましてや東京近郊にいる限り周囲を建物に囲まれているためその世界はとても狭い。
テキサスに来るとほとんど高い建物が無いため若干世界は広がるものの
周りに目立った物がほとんど無いので目で見分けられるものはやはり近くのものに限られてしまう。
ここGrand Canyonでは目で認識できる世界が突然大きく広がってしまう。
恐らくそれまで僕が経験したことがないほどに。
僕の脳がその世界をどうやって認識したらいいか分からずにマヒしてしまっている。
目の前に広がっている山や谷がいったいどれほどの大きさのものなのかよく理解できない。
ただただ立ちつくし呆然とそれらを眺めるだけ。
後から知ったのだがこの時僕たちがいた南側の絶壁(South Rim)から北側の壁際(North Rim)までは
山手線がすっぱりと収まってしまうほどの幅があるそうだ。
つまり今僕たちが見ている対岸だと思われる岩は山手線のちょうど反対側の駅のあたりということになる。
さらに現在僕たちがいる場所からこのGrand Canyonを作り出したと言われるColorado川までは標高差1,524mという。
僕たちは上空1,500mの上空から同じだけの高さを持つ立体的な構造物を眺めている訳だ。
・
Yavapai Pointでさんざん写真を撮った後
もともとガイドブックを見て行きたいと思っていたMather Point(マーサー・ポイント)へ向かう。
地図を見るとYavapai Pointから歩いて10分くらいの距離のようだった。
途中の道はもちろん雪道。
すぐ道路の左手にはGrand Canyonの雄大な景色が広がる。
まったくなんという非日常的な道を歩いているんだ。
・
途中突然視界の開けた場所に遭遇した。
ここは特別なView Pointでも何でもないが
見晴らしはとてもいい。
思わず立ちつくす。
他の観光客もまったくいないためのんびり写真撮影を楽しめる。
持ってきた三脚を使って何枚も写真を撮りまくった。
ただし手すりなどは無いためちょっと先は断崖絶壁。
カメラのタイマーをセットしシャッターを押した後
撮影する場所でポーズを取る際足を滑らさないように細心の注意を払った。
・
少し離れたところに目指すMather Pointが見える。
離れた場所から見るとView Pointがいかに絶壁の上にあるか分かる。
観光客が何人もいるのが見える。
・
やっと到着したMather Point(マーサー・ポイント)。
日本人っぽい人種が一杯いると思ったら
みんな中国語のような言葉を話していた。
この時間太陽が雲に隠れていたため写真的にはイマイチだったが
景色としてはやはりすばらしかった。
ふとユキちゃんに教えられて時計を見ると
ロッジのチェック・アウト時間の11時近くになっていた。
時間が経つのが早い。
急いでバス乗り場へ急いだ。
バスに乗りMaswik Lodgeへ戻り大急ぎで荷造りをし11時をちょっとオーバーした時間にチェック・アウト。
道路にはまだ一部凍結した場所はあったが
除雪車が朝から頻繁に雪かきを行ってくれていたのでだいぶコンディションは良くなっていた。
タイヤをスリップさせないように慎重なアクセル・ワークを努めながら
ユキちゃんが行きたがっていたBright Angel Lodgeへ向かう。
このロッジはSouth Rimのすぐ脇にあって部屋からの長めが素晴らしいらしい。
本当はここに泊まりたかったのだがすでに予約で一杯だった。
駐車場に車を停めここのレストランでちょっと遅い朝食を食べた。
・
ここから近い場所にBright Angel TrailというColorado川まで降りれるトレイルの出発地点があるらしい。
Colorado川まで降りるのは無理だとしてもほんのちょっとでも歩いてみたかった。
しかしこの日は雪が降ってしまったためClosed。
残念!
・
Grand Canyonの地図を見ると今僕たちがいるVillageから更に西の方にもいくつか有名なView Pointがあるようだ。
車で行こうと思ったらその道への入り口が通行止めになっていた。
バスでしか行けないらしい。
仕方がないので車を近くの駐車場へ停めバス停で待っていると
みるみる厚い雲が広がり空は暗くなりやがて横殴りの雪が降り出した。
これではView Pointに行っても景色はほとんど見れなさそう。
おまけに風が結構強くすごく寒い。
残念だがこの先に進むのは断念した。
・
次に今度もユキちゃんが行きたがっていたEl Tovar Hotel(エル・トバール・ホテル)へ向かう。
ここもユキちゃんが泊まりたがっていたこのSouth Rim Villageで唯一のホテル。
中に入るとカモシカやトナカイなどの首の剥製が飾ってあって
暖炉もある立派なロビーがあった。
ホテルのCafeでつかの間のお茶を楽しむ。
ちょっとだけ贅沢な時間。
・
外に出ると空は再び晴れ太陽が顔を出していた。
この辺りの天気もめまぐるしく変わる。
目の前には再びGrand Canyonの絶景。
すでに何度も見て感動しているはずなのにやっぱり何度見ても感動してしまう。
似たような写真を何十枚も撮影してしまった。
さあ、そろそろLas Vegasへ向けて出発しなければ。
今晩はLas Vegasのホテルへ泊まって明日早朝の飛行機でAustinへ帰る予定になっている。
車に乗ってLas Vegasへ向かう途中ふと列車が止まっているのに目がとまった。
この列車はWilliamsという場所からここGrand Canyonまで運行している列車。
思わず車を路駐ししばし列車撮影に没頭。
列車がとてもいい味を出している。
別に鉄道マニアでも無いのにずいぶん長い時間写真を撮り続けてしまった。
・
その後一路再びLas Vegasへ向けて出発。
Grand Canyon National Parkの出口で入園料を払わされるかと思ったら
そのまま出れてしまった。
本当はGrand Canyon維持のために入園料を払いたいくらいだったのだが
結局何も支払わないままGrand Canyonを後にした。
(Grand Canyon National Parkにて撮影)
No.360 Austin便りその71〜二人の旅(Las Vegas再び、そしてAustinへ...)
2004年11月28日(日)〜29日(月)
Grand CanyonからLas Vegasまではカーナビによると250マイル以上(約400km超)。
時間も4時間半と出た。
がんばって帰りましょう!
Grand Canyonを出てしばらくの間は天気も良く何も問題はなかったのだが
Highwayに乗ってしばらくしたら再び雪。
視界も急激に悪くなる。
しかしほんの数十分ほどで再び雪は止み視界が開けた。
本当変わりやすい天気。
・
その後順調にLas Vegasに向けて運転を続ける。
日はとっくに暮れ辺りは真っ暗。
夜7時を過ぎたがこの分なら8時過ぎにはホテルにチェック・インできそうだ。
遠くの空の一部分のみが明るく照らされている。
きっとあの辺りがLas Vegasなのだろう。
そう思った矢先突然大渋滞に巻き込まれる。
ここは
Hoover Damという世界最大規模のダムのそば。
それまで片側二車線だった道路が一車線になったとたんに始まった渋滞。
かなりのスローペース。
止まったまましばらく動かないこともしばしば。
何分そうしていただろうか。
やがて前方に明るい光が見えてきた。
どうやら検問を実施しているらしい。
トラック類は別の場所へ進めさせられ
一般の乗用車は州兵らしき人がドライバーや同乗者の顔だけちょっとのぞいて
そのまま通してくれた。
初め州境の検問かと思ったが
その後ガイドブックで確認したら9.11のテロ以来ダム周辺でのセキュリティー・チェックが厳しくなっているのだそうだ。
なんたってその後進む道路はまさにダムの堤防の上を走る道路。
夜だったのでほとんど何も見えなかったのだが本当にでかいダムらしい。
こいつが爆破なんかされようものならLas Vegasの街もひとたまりもないんじゃないだろうか。
しかしそれにしてもひどい渋滞だった。
・
渋滞を抜けしばらく走り
とある丘を抜けると一面光の洪水に溢れた大地が広がった。
Las Vegasだ。
なんという美しい光景。
Grand Canyonとはまた違った感動。
・
この日に予約したホテルは空港にできるだけ近くて安いホテル。
San Remoという名のそのホテルは例のごとく
Expediaで予約したのだが
なんと宿泊費は2〜3日前に泊まったモーテルの半額以下(30数ドル)。
仮にもLas VegasのHotelがそんなに安くていいのだろうか。
とりあえずHotelの中にカジノもあったが
なんとなくそれまで見てきたカジノとはなんとなく雰囲気が違う。
どことなくさびれた温泉宿を彷彿とさせる雰囲気。
部屋もモーテルに毛の生えた程度。
暖房もほとんど効かない。
ま、今晩は明日朝一番の飛行機でAustinに帰るためだけの宿なので
安い分何も文句は言うまい(さんざん言ってるけど)。
・
とは言えせっかく戻ってきたLas Vegas。
実はまだ行きたいところがあった。
何年か前に日本で見たLas Vegasの紹介のTV番組で
アーケードの天井一面がディスプレイのようになっていて
そこに美しい映像がめまぐるしく動き回るような光景を目にして以来
Las Vegasに行ったら絶対に見たいと思っていた。
しかし今回Las Vegasに来てみてそれが結構離れた場所にあることを知った。
初めの2日間は結局行くことが出来なかったので
チャンスはもう今しかない。
渋滞のせいでチェック・インの時間が9時半位になってしまったと思ったら
Grand CanyonとLas Vegasでは時差が1時間あることを忘れていて
まだ8時半であることにも気がついた。
レンタカーもあるしせっかくだから行ってみんべ。
・
そこはLas Vegasのダウンタウンにある
Freemont Steer Experienceという所。
San Remo Hotelはそれまでに滞在していたホテル群のすぐ近くにあるのだが
夜でそれほど車はいないにも関わらず車で15分以上かかった。
さらに一本道だが車線は2車線になったり4車線になったり
さらにタクシーが多くて頻繁に車線変更されたりして
日本の都心と同じような感じ。
結構運転には気をつかった。
カーナビで近くまでは行けたがパーキングが見つからずしばらく近くをぐるぐる廻ったが
どうにかFreemont Streetの駐車場を見つけ車を停める。
僕は常に天井に何かが映し出されてるのかと思ったら
日没後でしかも1時間おきにしかやらないらしい。
僕たちが到着した時は単なるアーケードの高いだけの天井になっていた。
次のショーまではまだ30分以上ある。
実はまだこの日は夕食を食べていなかった。
しかしこの付近でもレストランは比較的早く閉まってしまうらしい。
なんとか見つけたカジノの中にあるサブウェイで夕食を済ませる。
外に出ると次のショーの時間が近いせいかだいぶ人が集まってきた感じ。
ショーの数分前突然周囲のネオンの光が一斉に消える。
薄暗くなったアーケード。
そして始まった待ちに待ったFreemont Street Experience。
音楽に合わせて色鮮やかなイメージが美しく天井を動き回る。
上演時間は10分程度。
時間によってショーの内容が異なるらしい。
僕たちが見た回はなんとなくアフリカっぽいイメージのものだった。
しかし色がとても鮮やかで美しい。
10分近くも天井を見上げていると首が痛くなってくるが
それでも結構すごいショーだった。
・
最後に見たかったショーも見れて満足。
ホテルの部屋に戻ってきた。
窓ガラスはなんだか薄汚かったが
わずかに開いたその隙間から
Luxor Hotelの夜景が見えた。
がんばってデジカメで撮影。
ピラミッドの天辺とスフィンクスが光り輝いている。
・
翌朝は4時半起床。
5時前にはチェック・アウトした。
ユキちゃんと僕は別々の飛行機会社の便でAustinに向かうのだが
ユキちゃんは6時半発の飛行機。
僕もそれより10分くらい遅い飛行機だ。
てっきり空港近くにはガソリンスタンドがあるものと思っていたのだが
いざ行ってみるとガソリンスタンドが見つからずかなり時間をロスした。
なんとかガソリンを満タンにしレンタカーを返して空港へ。
朝5時半くらいにも関わらずLas Vegas空港はかなりの人でごった返していた。
それでもなんとかカウンターでチェックインを済ませる。
まだ時間はかなり余裕がある。
ちょっと朝飯でも食べていくかと歩いていると前方に再び人混み発見。
どうやら手荷物検査の所が大変な混雑になっているらしい。
慌てて列に並ぶ。
そこで意外と時間を取られ結局ユキちゃんは走ってぎりぎり飛行機に間に合ったようだ。
僕もそれほど時間がない。
登場ゲートに着くと間もなく登場が始まった。
ちなみにLas Vegas空港には空港内にもスロット・マシーンが置いてある。
さすが。
・
僕の飛行機はDenver(デンバー)でAustin行きに乗り換える必要がある。
Denverで降りてみると一面雪景色。
しかしこの日は天気は良く風もほとんどなかったので飛行機のダイヤが乱れることはなかった。
この後Austinへ向かい空港でユキちゃんと再会し無事Austinのホテルの部屋へたどりつくことができた。
飛行機に乗ってのアメリカ国内の旅行は今回Austinに来てからは初めて。
結構いろいろなトラブルが発生して
それまでの一年間のアメリカ生活の経験と知恵を存分に生かさなければならない機会がたくさんあった。
まさにこの一年の集大成。
良い経験が出来た二人の旅だった。
(Las Vegasその他にて撮影)
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