Boulder滞在記

September 10〜19, 2000

Epilogue

僕の初めての海外出張は終わった。

これがまさに人生のターニングポイント! くらいの意気込みと覚悟で臨んだが、終わってみると意外にもあっけないものだ。

外資系の会社に就職したからには一度は海外出張に行ってみたいと思っていた。 でも最初の1回くらいは誰か経験豊富な人と一緒がいいと思っていた。 そんな願いも虚しくたった一人での渡米となったわけだが、結果的にはそれがすごくよかった。

もし英語ができる人と一緒だったら、おそらくほとんどをその人に任せて、僕は一言も英語をしゃべらなかったかもしれない。 どこに行くにもその人と一緒。 楽は楽かもしれないが、ものすごく味気ないものになっていただろう。

知り合いの日本人の前で英語を話すのには抵抗がある。 自分の下手クソで文法もめちゃくちゃな英語を聴かれるのは恥ずかしい。
でもなぜか外人相手だと恥ずかしくない。 いや、最初は恥ずかしかったのかもしれないが、いつの間にか慣れた。 発音が下手だろうと何だろうと、とにかく何かを話して相手に意志を伝えなければ何一つやっていけないという崖っぷちに立たされたからだろう。

行くまで英語には全く自信はなかったが、結構何とかなるものだ。

もちろんこんなことを思えるのは、今回たった1人の海外出張だったからだろう。

英語でコミュニケーションを取ることには相当にストレスがかかる。 しかしこんな状況、普段そう滅多に遭遇できることじゃない。 せっかくだからこういうシチュエーションをもっと楽しんでしまえ!

たっぷり楽しませてもらいました。

海外出張には普通の海外旅行には無い魅力があると思う。
その旅費を全て会社が出してくれるというのももちろん大きな魅力の1つであるが、それだけではない。

プライベートな旅行では決して行かないであろう場所へ行けるということ。
Colorado州Boulderは今回の出張が決まるまで地名すら知らなかったところだ。 Colorado州がアメリカのどの辺にあるのかも分からなかった。
有名な観光地ならいつかツアーの旅行で行けるかもしれないが、こんな普通の土地にはまず行くことなど無いだろう。

もう1つの魅力は現地の人との触れ合いが持てること。
旅行ではレストランや売店など接客業の人としか接する機会が無い。 ところが出張ではいわゆる普通の会社員とやりとりをする。 向こうは特別日本人に慣れた人ではなく、ごく普通に英語圏に暮らす人々だ。 そんな人たちとお互い苦労しながらコミュニケーションをとっていくのはそう出来ることではないような気がする。

今回向こうでものすごくお世話になったDavisという人、あまり意志疎通を図ることのできなかったRogerさんとも、その後メールでのやりとりがある。
わずか1週間、いやたったの5日間一緒にいただけなのに、僕の中ではものすごく大きな存在になっている。 多分一生彼らを忘れることはないだろう

今回のBoulder出張、僕にとっていったい何だったのだろう。

何か変わることは出来たか?

自分に自信は持てたか?

持てたような持てないような...
今回は単に運が良かっただけ。 向こうのエンジニアがすばらしく親切な人だったから、無事やってこれたんじゃないか?
次の海外出張...今のところ全くの未定だが...で今回のように無事問題なくやってこれるのか?

相変わらず自信は持てないが、行ったら行ったでやっぱり何とかなるんじゃないだろうか。



...これが自信というものか?

Fin.


[前へ] [次へ]