※注意
3:30に目覚ましをセットして寝たが、結局その夜ほとんど眠れなかった。 プレッシャーに弱いなー。 それでもほんの少しは眠れたのか目覚ましで起こされる。 一瞬の睡眠。
朝8:00の飛行機に乗らなければならない。
最悪でも1時間前には飛行場に着いておきたい。
昨日1回Denverに行ったから多分道路は迷わないと思いたいが、昼間でも道を間違えた。
やっぱり不安。
レンタカーを返却しなくちゃいけないし、その前に問題のガソリン給油もある。
多めに余裕を見ておいた方がいいだろう。
シャワーを浴びて最後の荷造り。 おみやげ用に昔ハワイのABC STOREで買ったキャスター付きの袋を持ってきて良かった。 白い袋の横に青い文字で大きく
ABC STORES HAWAIIと書いてあり、ちょっと恥ずかしいが、かなり大きいはずのその袋もすでにパンパン。
忘れ物がないか何度もチェック。 よーし、いよいよチェックアウトだ。
こんな殺風景なホテルの部屋でも1週間余り滞在していると愛着がわいてくる。 長いこと世話になったね。
4:30にフロントに行く。
こんな朝早くに誰かいるのかな。
いた!
ちゃんとお兄ちゃんがいるではないか。
えらいね〜。
「Check out, please.」
と言う前に
「Room number?」
と聞かれる。
確かにこんな早朝、しかも荷物をいっぱい持ってフロントに行けば、誰だってチェックアウトだと思うわな。
部屋番号を告げ、プリンターから打ち出された明細書にサインをして終わり。
ものすごく簡単。
さあ、Denver空港へ出発だ。
昨日走った道とはいえ、まだ辺りは真っ暗なのでやっぱり緊張。
ガソリンが残りもうあとわずか。
あまり飛ばさないようにして走ろう。
早朝だというのに、結構車が走っている。 みんなDenver空港へ向かっているのだろうか。
36号線から25号線に乗り換える。 ここまでは昨日も走った道。 問題はこれからだ。 70号線を東に向かわなければならない。 昨日も同じ道を行こうとして失敗している。 今日は間違わないようにしなければ。
あれ?
「AIRPORTこっち」という標識がある。
おまけにどの車もみんなそっちに向かって行くぞ。
70号線はまだ先のはずだ...。
気が付いたらみんなの後をついて走っていた。 もう知らない道。 ちょっと不安。 でも「AIRPORTこっち」という標識は間違いないはず。 ほかの車についていけば空港へ着くだろう。
走りながら地図を確認。 この道路は270号で、やがて70号へ合流して空港へ着くはずだ。 一安心。
70号との合流が近いことを示す標識が見えてきた。
これで70号へ出ちゃえば大丈夫だ、と思ったのもつかの間、前の車について走っているうちに、気が付いたら一般道に降りてしまっていた。
しまったー!!!
周りは真っ暗。
地図を見たってここがどこなのかも分からない。
おまけにガソリン残量の警告ランプまで点灯し始めた。
一瞬パニックに陥りそうになる。
なんとか気を落ち着かせ道路脇に車を停める。
落ち着いて地図を見るがやっぱりよく分からない。
今来た道を引き返すしかないようだ。
一か八か行ってみよう。
なんとかUターンし、今来た道を戻る。
やがて「70号東行き」という標識を発見。
あわてず落ち着いて間違えないように標識の通りに車を走らせる。
やった!
うまく空港に向かう道に乗ることができた。
よかった〜。
Denver空港へ向かうには70号の途中で284という出口でPena Blvd.という道路に移る。 ここは問題なくクリア。
そろそろ空港が近い。
Hertzへ行ってレンタカーを返さなければならない。
Hertzがくれた地図によると、75th Ave.という道路で降りろという指示がある。
75th Ave.、75th Ave....と。
注意深く道路標識をチェックしていたが、そんな心配をよそに目的の出口に電光掲示板ででっかく
「レンタカーはこっち(英語)」
と表示されている。
こーりゃ、ええ。
さあ、レンタカーを返す前にガソリンを給油しなければ。
空港周辺は確か原っぱだったはず。
果たしてこんな所にこんな早朝からやってるガソリンスタンドがあるんだろうか。
ちょっと心配だったが、周りを見渡すと真っ暗な中にポツンと明るく光っているガソリンスタンドを発見。
やっぱりレンタカー屋の近くにはガソリンスタンドがあるはずだよね。
思った通りこんな早朝にも関わらず結構お客さんがいた。
空いてるところを見つけ車を停める。
今度は機械に書いてある通りやってみよう。
クレジットカードをカードリーダーに挿し素早く引き抜く。
表示板に
「WASHしますか?」
と出るので"N"を押す。
「レシートはいりますか?」
の問いには"Y"。
「ノズルを持ってください」
という表示に変わる。
言われたとおりノズルを持つとガコンと音がしてガソリンが出そうな雰囲気。
甘かった。
やっぱりレバーを引いてもガソリンは出ない。
ガソリンの種類を選ぶボタンを発見。
一番安いやつを押すが、それでもやっぱり出ない。
あれこれ試すうちに、またまたレバーを引きっぱなしだったことに気づく。
一度レバーを離し再び引くと無事ガソリンが出始めた。
ホッ。
ガクン。
満タンになりガソリンが自動的に止まった。
ノズルを戻す。
さあレシートよ出てこい。
ダメだ。
出てこない。
次にどうしていいのかさっぱり分からなくなってしまった。
見ると給油機の説明書きの最後の所にに緑のボタンがあるではないか。
試しに押してみる。
突然スピーカーから男の人の声が響いた。
もちろん英語。
あちゃ〜、呼び出しボタンだったか。
何を言ってるのかさっぱりわからない。
もうお手上げ。
スピーカーからの声は無視し、お店に駆け入る。
ガラスに囲まれた中にお店のお兄ちゃんがいた。
ガラスごしに
「Number 11.」
と言うと、相手のお兄ちゃんはごく普通に値段を言った。
カードで支払い。
明細書にサインして無事終了。
は〜、なんとか終わった〜。
どうもガソリンスタンドには馴染めないな。
ガソリンスタンドから1〜2分の所にHertzがある。 Return専用の入り口から入る。 明るく電気がついて車が何列にも並んでいる車庫のようなところがあった。 多分ここだろう。
とある列の後ろに車を付けようとすると、隣の列の前の方にHertzのお兄ちゃんがいて必死に「こっちこっち」と手招きしているのを発見。
ごめん、見えなかったんだ。
バックして指示された列に並びなおす。
「Good morning.」
お兄ちゃんが愛想良く声をかけてきた。
良かった。
怒ってなさそうだ。
「Last name?」
と訊ねられる。
Last nameって姓だっけ名だっけ。
いっつも迷うんだよな。
「Okada.」
と言って借りたときにもらった紙を見せると、手に持っていた機械からレシートを出しくれて
「Thank you.」
???
もう終わり?
よく考えたら予定より早い返却なのに何も言われない。
こんなことはよくあることなのかな?
まあ楽なのに越したことはないけど。
このとき時間は5:50。 途中道を間違えたりいろいろあった割には、結構早い。
トランクから荷物を下ろし、車内に忘れ物がないか何度も確認して車を離れる。
なぜか気持ちに余裕が無く、車にお別れを言うことも忘れていた。
ちょうどシャトルバスが待っていたのですぐに乗り込む。
荷物を置くとバスの運ちゃんに何か聞かれた。
分からない。
聞き返すと
「Which .....?」
と言っているのが分かる。
多分どこの航空会社か訊ねてるんだ。
「United Airline.」
「United?
Ok.」
バスは走り始めた。
乗客は僕を含め3人。
5分くらい走って空港に到着。
最初の停留所で、
「United.」
とアナウンスがあったので降りる。
チェックイン・カウンターはどこだ?
あった、あそこだ。
並んでから「Domestic」と書いてあることに気づく。
その隣の列はファースト・クラス、ビジネス・クラス専用のカウンターだ。
周りを見渡すが国際線用のカウンターが見つからない。
いいや、このまま並んじゃえ。
間違えたら何か言われるだろう。
すぐに僕の番になった。
カウンターのおばさんに、
「I changed my flight.」
と言って、予約変更時に控えておいた6桁のナンバーを見せる。
それだけで分かったらしく、あれこれキーボードに打ち込んでいる。
パスポートの掲示を求められる。
「..........」
何か言われた。
国際線は向こうだと言っているらしい。
「そこに行け」と言われるのかと思ったら、そのまま手続きは進む。
「荷物の数は?」
「One.」
荷物も預かってもらえた。
どうやら本当は国際線は別の所らしが、ここで全部やってくれちゃうようだ。
ええおばはんや。
予約変更の時に通路側の席を希望していたがどうなのだろう。
「いい席が取れたわ」
と言っているようだ。
DenverからSan Franciscoまでか、もしくはその先成田までか、どっちかは分からないが、どちらかがA席、つまり窓側だ。
でも
「大丈夫、1人だから」
と言ったように聞こえた。
つまり隣はいないと言うことか。
それならいいや。
「Thank you.」
「You are welcome.」
「.............................................................................」
何か長い質問をされた。
まったく聞き取れない。
2回ほど繰り返し、あきらめたおばさんは後ろからシートを取り出した。
各国の言葉で質問が書かれている。
もちろん日本語も。
初めからそうしてよ。
「誰かにものを運ぶように頼まれましたか?」
「No.」
「空港に着いてから荷物から離れましたか?」
「No.」
これでOK.
搭乗口はB42。
「どこか分かる?」
と聞かれ首を傾ける。
「このまま奥に行ってエスカレーターを降り、セキュリティーを通ってさらにエスカレーターを降りて地下鉄に乗る。
最初にAに停まって次にB。
だから2つめで降りてね。」
詳しく説明してくれた。
国際線も国内線もよく分からないような日本人は多分迷うだろうと思ったのだろう。
ええおばはんや。
「いろいろどうもありがとう」というジェスチャーを交えて
「Thank you very much.」
と言うとおばさんも笑いながら
「どういたしまして」
と言ってくれた。
言われたとおりエスカレーターを降りる。
そこは言わゆる持ち物検査をする場所。
ポケットから財布とデジカメを出しウェストバッグに入れる。
リュックとウェストバッグとおみやげのバッグをベルトコンベアに載せ、僕は四角いゲートをくぐる。
ピンポ〜ン
あれ?
もう金属らしいもの持ってないはずなのに。
黒人の女性が恐い顔で僕をにらむ。
残るはこの腕時計だけだ。
腕時計を外しもう一度チャレンジ。
.....
鳴らなかった。
ふ〜。
危うく裸にされるところだった。
こんな腕時計で反応しちゃうんだ。
日本に帰国後分かったことだが、このときシャツの胸ポケットには本来持ち込んじゃいけないはずのテストした装置の予備の部品が入っていた。
行きに入国審査で見つからないようにと、荷物の中のシャツの胸ポケットに入れておいたのがそのままだったのだ。
帰りに気づかずそのままシャツを着ていた。
もし気が付いていたら冷や汗ものだったろう...。
やっと金属探知器をクリアしたと思ったら、その先で黒人の怖そうなおっさんが僕のおみやげのバッグを持って何か言っている。
「これはあなたのですか?」
「Yes.」
「中を見てもいいですか?」
...実際にはそんな紳士的な聞き方には聞こえなかった。
「これはおまえのか?」
「Y..Yes....」
「中を見てもいいか?」
そう聞こえた。
ちょっとビビッたが、おみやげバッグにやばいものを入れておくほどアマちゃんじゃない。
自信を持って
「Yes.」
と答え、思う存分中を見てもらう。
しばらく中を見て
「OK.」
更にエスカレーターを降りて地下鉄に乗る。
さっきのおばちゃんに言われたとおり2番目の"B"で降りる。
まだ朝早いせいか人はまばら。
お店もいくつかはやっているが、食べ物屋さんばかりでおみやげ屋さんや免税店はやっていない。
本当はユキちゃんに頼まれた香水を買わなくちゃ行けないのだが、やってないんじゃあしょうがない。
僕が乗るB42の搭乗口に行く。
以外と早く搭乗開始の7:20になった。 目の前には日本人旅行客がいて日本語で会話している。 なんだか懐かしい。 まずはファースト・クラス、ビジネス・クラスのお客さんからの搭乗。 続いてエコノミーの番となる。 僕はおみやげ用のバッグがでかいから、早めに乗って収納ボックスに入れちゃおう。 この判断は大正解。
その後乗ってくるアメリカ人の手荷物の多いこと多いこと。
なぜかみんな預けずに手荷物で持ち込む。
僕が預けたバッグよりはるかに大きい荷物も平気で持って入ってくる。
預けちゃえばいいのに。
手元に無いと不安なのかな。
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![]() 早朝で閑散としたDenver国際空港内 ![]() 窓の外には僕がこれから乗る飛行機が見える |
僕の席は17G。
3-4-3の座席の配列で真ん中の通路側。
目の前は壁。
足下が広いのはいいのだが、手荷物を前の席の下に入れることができない。
しょうがない。
PCだけ出してリュックは収納に入れてしまおう。
PCはどうしよう。
ひざの上に置いといてスチュワーデスさんに注意されるのも嫌だ。
背中と背もたれの間に隠す。
これが以外と窮屈で、離陸まで不自然な体制が続いてしまった。
夕べほとんど寝ていなくて飛行機のシートに座って安心したのか急に眠気が襲ってきた。 離陸後しばらく眠ってしまう。
目が覚めてしばらくして軽食が運ばれて来た。
フワッとした中にチーズが入っている食べ物とバナナと甘いお菓子。
飲み物を訊ねられて
「オレンジジュース」
と言う。
小さめの容器にオレンジジュースを入れて渡してくれる。
僕の隣の席のデブなおっさんは
「クランベリー・ジュース」
と頼んでいた。
そんなものあるの?
あった。
缶でもらっている。
よく見ると周りで缶でもらっている人が結構多い。
通路を挟んだおじさんはリンゴジュースなのにやっぱり缶。
僕だけカップのオレンジジュース。
これって差別?
Flightは2時間ちょっと。
日本時間で夜中の1:15くらいにSan Francisco空港に到着した。
Denverでは10:15のはずだが、San Francisco時間では9:15。
ややこしい。
飛行機を降りたところがすでに国際線の出発待合い所なので場所を移動する必要は全く無い。
逆にどこにも行くことが出来ず、つまらない。
ここではもうあらためてCheck Inする必要はないし、審査も持ち物検査もない。 僕の預けた荷物もそのまま次の飛行機に移し替えられてるはず。 単に飛行機を乗り換えるだけ。 気軽でいい。
さっそくDuty Free Shopを発見。 ユキちゃんの香水を探すがここには香水そのものが無い。 たばこがたくさん売っている。 友人に「白地に黒で"Cigalette"と書いてあるたばこ」を買ってきて欲しいと頼まれていたので探してみるが見つからなかった。 他にもチョコレートがいろいろ売っている。 人が海外出張に行ったときによくおみやげで買ってくるものもあった。 僕も後で買いに来よう。
少し離れたところに香水専門のDuty Free Shopを発見。
小さな店舗で怪しそうな東洋人風のおばちゃんがいる。
日本語を話せるかどうか分からなかったので、ユキちゃんからもらった雑誌の切れ端を見せ
「Do you have this one?」
と言う。
そのおばちゃん、ちょっとは日本語が話せるようだが基本は英語のようだ。
しばらく探してくれたが無いみたい。
電話で別のお店に聞いてくれると言っている。
電話をかけ英語には聞こえない言葉でペチャクチャ話した後、急に笑い出す。
「ここにあったわ」
電話を切ってお店の隅の方に目的の香水があったことを教えてくれる。
それはまさに雑誌の切り抜きの写真そのもの。
ただしこれは男用のもの。
雑誌には残念ながら男用の写真しか無かったのだ。
でも僕が探しているのはもちろん女用。
「女用ありますか?」
「この写真は男用だよ。」
「この写真が男用なのは知ってます。
でも僕は女用を探しているのです」
疲れる。
※この辺一応カタコトの英語で会話しています。
やっと分かってくれたおばちゃん、その横に置いてあるビンを指し
「こっちが女用だよ。」
と教えてくれる。
ビンの形と色が写真と違う。
緑色のものと黄色のものがある。
写真では無色透明だ。
確かユキちゃんは、
「女用でもほとんど見た目は同じ。」
と言っていた。
ビンの形もだいぶ違うし、色も違う。
でも名前はユキちゃんが言っていたものだ。
緑色も黄色も両方同じ名前だ。
どっちがどっちなんだ。
困った。
今頃日本は真夜中。
電話して本人に確認することもできない。
いったいいくらするものなんだろう?
「How much?」
「$65」
微妙に高い。
とりあえず買ってしまうにはちょっと勇気がいる。
どうしよう。
悩んでる間中、おばちゃんはあーだこーだいろいろ説明して、なんとか僕に買わせようとしている。
さんざん悩んだが、やっぱりとりあえず買うことにした。
違ったら違ったでしょうがないや。
たばこやチョコが一杯あった免税店に戻り会社の人へのおみやげ用のチョコを買う。
見慣れたチョコレートを発見。
でもこれじゃ人のおみやげとまったく同じ。
能がない。
となりにあまり見かけないチョコを発見。
形の違うのが18個入っている。
外箱のUSAの文字と国旗の柄がいい感じ。
それを3箱買う。
やっぱり商品引き換え用のカードをくれた。
さーて、これからどうしよう。
雑誌を売ってるお店を発見。
見るとPlayboyがあるではないか。
欲しい。
でも周りには人が結構いる。
おまけにレジは若い女の子だ。
しばらく買おうかどうしようか迷うが、ここで買わなきゃ男が廃る。
思い切って雑誌を手にしレジへ。
女の子は無表情のまま淡々とレジに打ち込んでいく。
カードで支払い。
サインをして終わり。
ありゃ、袋に入れてくれないのね。
こんなの持ち歩くの恥ずかしい。
お店の外へ出てそそくさとリュックに入れる。
おみやげ用の袋だと日本の税関で見つかっちゃうかもしれないもんね。
のどが渇いた。
売店で水のペットボトルを買う。
500mlなのに$2.15、結構高いね。
小銭を増やしたくなかったので、なんとか硬貨で20セント用意する。
"1 DIME"と書いてあるのが多分10セントだろう。
5セント硬貨より小さいんだ。
ずっと勘違いしてた。
さあ、歩けるところは一通り歩いたし、もうやり残したことは無い。 搭乗口の54ゲートの近くのソファーに座り、休憩。
「デューティーフリーショップでお買い物をしたお客様。
商品をお引き渡ししますので搭乗口の53番側へお越しください」
と放送が入る。
言われたところへ行くとまたまた東洋人のおっさんが無愛想に商品の引き渡しをしている。
とにかくこの空港は東洋人が多い。
しかもみんな無愛想。
Denverの方がまだいい。
カードを2枚渡す。
1個はすぐに分かったがもう1個はどれだか迷っている。
1つの袋を持ち上げタグをジーッと見る。
僕のじゃないと分かるとポイッと手を離し、その袋は床へ落下。
ひどすぎる取り扱い。
お金を出して買った商品なんだから、もっと丁寧に扱えよ!
僕のもう1つのおみやげも無事見つかった。
カードをびりっと半分に破いておしまい。
搭乗が始まった。
席番号の若い順に搭乗が始まる。
僕の席は38A。
窓側だ。
まだ棚もガラガラ。
大きいおみやげバッグを棚に入れ席につく。
さあ、Denverのおばはんが言ってたとおり、僕一人なんだろうな。
僕は窓側の席が嫌い。
2〜3時間のFlightならどうってことないが、7時間も8時間も乗る飛行機では、圧倒的に通路側がいい。
何が嫌かって、トイレに行くのが一苦労。
エコノミーの席は、前の席との間が狭く、隣の人をまたぐのはまず不可能。
通路へ出たかったら、隣の人にも立ってもらわなければならない。
隣の人が寝られちゃった日には、もう悲惨だ。
行きの飛行機と違って、シートが3-4-3だ。
その窓側と言うことは、通路までに席が2つもある。
行きの飛行機は2-5-2だったのにー。
やがて一つ置いた通路側の席に一人座る。
日本人みたいなおじさん。
まあ一人ならいいか。
トイレにも行きやすいだろう。
しかし甘かった。
ターバンを巻いて黒い髭ぼーぼーのアラブ系の男(まあまあ若めだが年齢はよく分からない)が真ん中の席に座った。
オイオイ、話が違うじゃん。
こうして僕の日本までの長いFlightは、窓側の席に隔離された状態で過ごすことになってしまった。
飛行機が動き出してからずいぶん経つがなかなか飛び立とうとしない。 窓から外の様子を見ると、ひっきりなしに飛行機が着陸している。 滑走路が空かないんだろう。 忙しいんだね。
やっと離陸の時は来た。
さらば、アメリカ大陸。
Flightは約9時間の予定。
日本時間3:30、San Francisco時間11:30発の飛行機。
でも実際に飛び立ったのはそれより30分くらい経ってからだから、日本着は13:00位だな。
長いな〜。
日本人のスチュワーデスさん...違った、男の人もいるからフライト・アテンダントって言えばいいのか...も結構多い。
飲み物を聞かれたときなど
「ビア」
と言っていいのか
「ビール」
と言っていいのか、しばらく混乱する。
日本人が日本人相手に「ビア」なんて言うのは恥ずかしいもんね。
どうしよう。 ビールなんか飲んじゃったらトイレが近くなっちゃうな。 ちょっと迷ったが、先は長いんだ。 楽しもう。 ビール一丁!
スチュワーデスさんが新聞を配っている。 通路側の日本人っぽいおじさんが日本語の読売新聞を取った。 ってことは本当に日本人なのか?
しばらくして新聞を読み終わったのか、前のポケットに新聞を入れた。
僕も読みたい。
思い切って
「その新聞、見させてもらってもいいですか?」
と日本語で訊ねると
「どうぞ」
と愛想よく手渡してくれた。
久々の日本の新聞。
見ると田村亮子が金メダルを取ったという記事が一面にでかでかと出ている。
そうかそうか、ついに念願の金を取ったか。
さらに男子柔道も金メダル。
女子水泳個人メドレーでも銀メダルを取ったという記事が。
なんだか妙にうれしいね〜。
隣のアラブ人はそわそわしてなかなか落ち着かない。 たまにポケットから小さい小瓶を取り出しては鼻の先へ持っていき匂いをかいでいる。 僕は匂わなかったけど、お香か何かなのかな? まさかやばいクスリでは無いだろう。
トイレはしばらく我慢していようと思ったが、アラブ人が席を立ったのでこのすきにと僕もトイレへ。 これでしばらくは安心だ。
やがて食事が運ばれてきた。 洋風のビーフか、アジア風のチキンかを選ぶことが出来る。 迷った結果、ビーフを選ぶ。 なかなかおいしい。 飲み物は赤ワインを注文。 もうトイレの心配なんかどうでもいい。 この際だ。 楽しんでしまえ。
かなり時間が経っているのにアラブ人は戻ってこない。 何やってるんだろう。 お祈り?
食事も食べ終わった頃、やっとアラブ人が戻ってきた。
どこに行ってたんだ?
もちろんアラブ人の分の食事はない。
通路側のおじさんが親切にスチュワーデスさんを呼んで、この人が席を外していてまだ食事をもらっていないことを伝える。
すぐに食事が運ばれてきた。
僕もなんとなくホッ。
それからしばらく、アラブ人と通路側のおじさんが英語で親しそうに会話をしていた。 見事な英語。 この日本人風のおじさん、いったいどこの人なんだろう?
食事も片づけられ、再び新聞を読む。
オリンピックの記事。
田村亮子を始め日本の選手が金メダルを取った記事がほとんど。
読んでるうちになぜか涙がこぼれてくる。
不思議だ。
妙に泣ける。
こんな普通の旅客機の中で新聞を読みながら、ボロボロ涙を流す日本人。
恥ずかしい。
誰にも見られないようにしなければ。
新聞も読み終え、眠くなってきた。 さあ、眠るぞー。 バッグから"安眠くん"を取り出しふくらます。 アラブ人が不思議そうに見ている。 アイマスクをしてお休みなさい...。
...ちょっとは眠れたかな。 日本時間では8:00を回っている。 スクリーンで何か映画をやっている。 ヘッドホンをつけるとなんと日本語だった。 でももうラストが近いようだ。 しばらく見ていて、名前は忘れたが比較的最近の映画だと気が付いた。 黒人のボクサーが無実の罪で30年投獄されていて最後には自由を勝ち取るという、実話を元にした映画だ。 なかなか感動のラストシーン。 最初から見ていれば良かった。
ちょうど飽きてきた頃にアイスとお菓子が配られる。 レモンのスティック状のアイス。 なかなかおいしい。 飲み物はコーラでいいや。
それらを平らげ一段落。 PCを取り出し、今日の出来事のメモを打ちこんでいるとまたアラブ人が席を立った。 チャンス! トイレタイムだ。 おじさんもトイレに行った模様。 これだけトイレに行ければ、もう大丈夫だろう。
その後またしばらくアラブ人は戻ってこなかった。 やっぱりお祈りかな?
PCを打ったり、ウトウトしたり、映画を見たり、軽食を食べたり、時間はなかなか進まない。 そろそろ暇をつぶすのにも限界を感じ始めたそんな頃、やっと成田へ到着。 時間は13:30。
飛行機を降りる時、1人のスチュワーデスさんが僕のおみやげ袋を見て
「あら、ハワイ。
ハワイに行ってらしたんですか?」
半分冗談だと思うが、
「いいえ、違います。」
んな訳ないだろ!
ちゃんと到着デッキに着くのかと思ったら滑走路の真ん中。 バスで空港まで移動。 Unitedって虐げられてるの?
バスではまたもや偶然ずっと隣の席だったアラブ人の隣に座る。
別に気がある訳じゃないから変な気を起こさないでね。
空港に到着。 まずは入国手続き。 パスポートを見せるだけでOk。
手荷物の受取。 DenverではDomesticの所で荷物を預けたからちゃんと届いているか内心ちょっと不安だったが、ちゃーんと出てきた。 よかった。
次は税関。 ちょっとドキドキ。
たくさんゲートがあるのに、どこも長蛇の列。 適当な列に並んでいると黒い大型犬を連れた空港の人がやってきて、みんなの荷物の匂いをかがせている。 麻薬のチェックだね。 犬が利口そうでかわいい。
前の人を見てるとパスポートを見せて何やらいろいろ質問されている人もいる。
大丈夫かな。
僕の番。
パスポートを見せる。
パスポートと荷物をしばらく見ていた後、税関の人が
「ハワイからですか?」
やっぱりそう来るか。
「違います。
便利なんで袋だけ使ってるんですが。」
パスポートを返してくれて終了。
ホッ。
何事もなかった。
出てすぐに成田エクスプレスのキップを買う。 幸いにもその時間から一番早い14:43発の横浜行きのキップが取れた。 久々の日本円での支払い。 お釣りが分かりやすい。 念のため領収書をもらう。
バッグから携帯をとりだして久々に電源ON。
留守電のチェック。
何か入っている。
聞いてみたが延々と無言電話。
なんなんだ?
その後ユキちゃんに成田に無事着いたことのショートメールを入れる。
エスカレーターを降りてJRのホームへ。
キヨスクで缶ビールを購入。
飲みながら何気なく携帯を見ると、地下なのにアンテナマークが3本。
会社へ無事帰国の連絡を入れなければ。
所属長には電話しづらいな。
ずっとお世話になってた遠藤さんにTEL。
聞き慣れない声が出る。
「岡田ですけど遠藤さんは...」
「今席を外してます」
「それじゃまた後で電話します」
...誰だったんだ。
よーく声を思い出すと僕にプレイボーイを頼んだ人だったような。
だったらもう少し違うリアクションもあるんじゃねーの?
成田エクスプレスはなぜか韓国人が多かった。
ボーっと窓の外の田園風景を見て、日本に帰ってきたことを実感。 今回の旅、いったい何だったんだろう。 自分は何か変わることができたのだろうか...。 そんなことをボーっと考えている。
向こうで言葉はろくに通じなかったが、みんな親切で愛想が良くて何とかやっていけた。
逆に日本に来たアメリカ人は何とかやっていけるのだろうか?
外国人が話しかけてきただけで逃げてしまう日本人も多い。
アメリカなんかより日本の方がはるかに外国人にとって住みづらい国なんだろうな。
ビールを飲んでしばらく眠った。 今頃Boulderは夜中の12時すぎ。 眠くて当たり前。
...よく寝た。 気づくと東京駅。 たくさんの乗客がどっと降りた。 突然すいた車内。 もう一眠り。
横浜到着。
おみやげのバッグが重い。
引きずるように相鉄線へ。
久々の日本の混んだ電車。
みんな黙っている。
愛想が無い。
アメリカとは違う。
アメリカの方がどれだけいいか。
....でも良くも悪くもこれが日本の文化か。
日本はジメジメして蒸し暑い。 でもこの湿度が体に妙に馴染んでいるようだ。 鼻が乾かなくて助かる。
だんだん日本人に戻っていく自分を感じる。 また行くぞ。 アメリカ!
To be continued...