※注意
6時半に目覚ましに起こされる。 今日は8時半出社でいい。 楽ちん。
予想通り洗濯物は完璧に乾いていた。 僕も乾くわけだ。
シャワーを浴び着替えて朝食を食べに1Fに降りる。
7時過ぎだと結構人がいる。
一人の背の高いおじさんが、トースターでパンを焼いている。
ボクだってもう知ってるんだぜ。
今まで冷たいままぼそぼそ食べていたパンは、半分に割って焼けばいいんだもんね。
パンを半分に割ってトースターへ入れレバーを押し下げしばらく待つ。
やがておじさんのパンは焼き上がったようでポコンと出てきた。
僕のは待っても待っても待っても待っても出てこない。
おかしい。
パンを入れた時間はおじさんとそんなに違わなかったはずだ。
ちょっとのぞき込むとなんか焦げているように見える。
トースター壊れてるんじゃない?
つまみを無理矢理上に持ち上げる。
そのとたん勢いよく2つのパンは飛び上がり、1枚は台の後ろの方へ落っこちてしまった。
もう1個のパンを見ると、それほど焦げてはいなかった。
慌てる乞食はもらいが少ない。
今日は朝ちょこっとだけ会社に寄って、その後Rockey Mountain National Parkに行く予定。 寒いかもしれない。 長袖と念のため折り畳みの傘も持った。
会社には8時半ちょうどに到着。 オフィスの前でたまたまRogerさんと会って、そのまま実験室に入れてくれた。 Rogerさんはすぐにいなくなってしまった。 よし、早いとこ仕事を済まそう。
前回はいろいろと手伝ってもらったが、今回は1人でセットアップ。
大した手間じゃない。
数分後セットアップ完了。
何度も動作確認して問題なし。
やがて姿を見せたDavisさんが、すでに装置のセットが済んでいるのを見て、「オー、終わってる!
オカーダ、これで今日の仕事は終わりだ。
Rocky Mountain National Parkへ行っていいよ」
ちょっと悪いような気がしたが、変に気を使ってもしょうがない。
この際お言葉に甘えて行かせてもらおう。
Rogerさんが日本に送り返す荷物の返送手続きをしてくれるらしい。
DavisさんがRogerさんに「何の情報が必要?」と聞くとRogerさんが「Country CodeとLocationだ。」と言う。
Country Code???
慌てて資料をひっくり返すが見つからない。
Locationに関しては、Dockのナンバーが必要なんだと言う。
Dockとはいわゆるトラックとかが着く受け入れ口のようなものだ。
「There is only one dock in Yamato.」と言うと安心したみたい。
なにせここBoulderにはいくつもDockがあるみたいだからね〜。
残るはCountry Codeだ。
どうしよう。
日本は今頃三連休に突入しちゃったから、誰もメールなんて見ない。
そうだ!
岩崎さんに聞いてみよう。
"My office"に電話がある。
あれ?
鍵がかかっていて入れない。
ちょうどスージーさんが来た。
ボクを見つけ話しかけてくる。
「Good morning!
昨日はどこで夕食を食べたの?」
「"JOHN'S"」
「JOHN'S?」
分からないみたい。
「It is at Pearl Street.」と言ったが、スージーさんは僕の"Pearl Street"という発音が聞き取れ無いみたいで困った様子。
慌ててBoulderの地図を出して、Pearl Streetを指さす。
「Oh! Pearl Street!」
またまた英語の発音に自信をなくす。
「この辺り」と言って指を指すがやっぱりそのお店は知らないみたい。
「おいしかった?」
「すごくおいしかったよ。」
「じゃ、今度行ってみるわ。」
スージーさんと別れ、まだ"My office"に鍵がかかったままだったことに気が付く。 夕食の会話に夢中で、鍵を開けてもらうのを忘れていた。 スージーさんの所に行ってもう一度声をかけて鍵を開けてもらう。
こっちに来て会社の電話を使うのは初めてだ。
日本で使っている電話機と全く同じ。
使い方は慣れている。
事前に教えてもらっておいた岩崎さんの内線番号を押す。
呼び出し音が何度か鳴った後英語の留守電に変わってしまった。
いないのか。
しょうがない。
次は稲積さんだ。
2〜3回コールが鳴った後「Hello」と声がする。
思わず外人風に「イーナズーミサンデースカ?」と言ってしまった。
実際にはここまで極端ではないが、ニュアンスはこれに近い。
「はい、稲積です。」
「岡田ですけど。」
「あ、岡田さんかー。
誰かと思った。」
電話機に電話番号か表示されるらしい。
見覚えのない番号だったので不審に思いつつ受話器を取ったらしいのだ。
Country Codeを尋ねるが、そう簡単なものではないことが分かった。
日本だからといって同じ番号なわけでもなく、下手な番号を書くととんでもないところに送られてしまうらしい。
「えーと何番だったっけかな」
考えてもらっているうちにもう一度手元の資料を見返してみる。
そしたら日本から装置を送った際の明細書の中に、送り主の情報が書いてあってそこにCountry CodeとLocation Codeが書かれていた。
これだ。
一応稲積さんに話してみると、片方は聞き覚えがあるがもう片方は知らないそうだ。
まあ多分これで大丈夫だろう。
さっきのLocationのDockの話はDockの数ではなく、Location Codeのことを言っていたのかもしれない。
稲積さんにお礼を言って電話を切る。 これからRocky Mountain National Parkに行くことは言わなかった。
PCをいじったりしながらぐずぐずしてるとDavisさんに呼ばれた。
「今日これから見る景色はこれだよ」と言ってDavisさんのPCのスクリーンセーバーを立ち上げる。
美しい景色が次から次へと現れる。
どれも素晴らしい!
いても立ってもいられなくなってきた。
ぐずぐずしてる場合じゃない。
すぐに出発しよう。
荷物をまとめDavisさんにお礼を言って会社を飛び出した。
初日のDenverから来たとき以来Boulderから出るのは初めて。
周りに広がる見渡す限りの草原だけでもボクにとっては見応え十分な景色なのだが、国立公園だったらもっとすごい景色がいっぱいなんだろう。
是非見てみなくちゃ。
BoulderからRocky Mountain National Parkへ向かう道は別にハイウェイではないが、ひたすらまっすぐでどの車も飛ばしている。
"SPEED LIMIT 60"という標識がある。
今気が付いた。
僕の車のスピードメーターにはマイル表示だけでなく内側にキロの表示が付いている。
どれどれ、60マイルって...ゲ!
100キロ近いじゃないか。
マイルを1.6倍するとだいたいキロになる。
中央分離帯も何もない普通の対面通行の片側一車線の道路で制限速度が100キロとは...。
恐れ入りました。
30分程走ってLyonsという小さな町に入る。 西部劇に出てくるような建物が並ぶ。 ここもゆっくり見てみたい。
Lyonsを抜け道路は山道に。
くねくねした道路が続く。
どんどん登っているのが分かる。
更に30分ほど走って、やっとEstes Parkという町に着いた。
国立公園の入り口がある町だ。
Davisさんに地図をもらって道も教えてもらっていたので迷うことはなかった。
ふと大きなショッピングセンターを発見。
昨日Davisさんにもらった薬は水2リットルで飲めと言われていたっけ。
ここで買うことにしよう。
ショッピングセンターの名前はSAFEWAY。
考えてみたらこういう食料品の大型ショッピングセンターに入るのは初めてだ。
中は本当に大きい。
食料品だけじゃなく書籍や文房具まで売っている。
超大型セブンイレブンと言ってもいいかもしれない。
ほとんどのお客さんがカートを押しているが僕は少ししか買わないからいらないだろう。
水1リッターのペットボトルを見つけるが、そこの値札に「SAFEWAY CLUB PRICE」と書いてある。
もしかしたら生協のようなお店で、会員証を見せないと買えないのかもしれない。
考えていてもしょうがない。
ダメと言われたらあきらめよう。
水1リッターのボトル2本を抱え、とあるお店の前で立ち止まる。
おいしそうなサンドイッチが売っている。
しかしお客さんはガラスケースの中のサラダを指さしながらお店の人と何やらあれこれ話している。
日本のスーパーにもある肉売場やお総菜屋さんのような感じの所だ。
僕はサンドイッチをひとつ買うだけだ。
喋る必要はない。
でももしかしたら、ここにあるものはここでお金を払わないといけないのかもしれない。
黙って持っていって大騒ぎになったら大変だ。
前のお客さんの会話が終わるのを待って、お店のおばちゃんに話しかける。
「Should I pay money at here?」
「いいえ、向こうのレジでいいですよ」
意外にも一度で通じた。
ボトル2本とサンドイッチを持ってレジへ。
レジの横はベルトコンベアになっていて、お客さんは各自でショッピングカートから品物をその上に載せる。
ベルトコンベアの上には、僕の前のおばあちゃんの買う品物がずらりと並び、レジのお姉ちゃんはそれらを次々にレジに通していく。
おばあちゃんの品物の横にすこし間を開けてボトル2本とサンドイッチを置いた。
やがて僕の後ろにも人が並び、何やら奇妙な行動に出る。
ベルトコンベアの横にたくさん置いてある黒くて細長いプラスチックのバー取り、僕の品物の後ろに置いた。
そしてその後ろに自分の品物を並べていく。
なるほど。
このバーが仕切になるんだ。
僕は前のおばあちゃんとの間に仕切のバーは置かなかったが、間をかなり開けているし大丈夫だろう。
大丈夫じゃなかった。
おばあちゃんの品物を全部レジに通し終わったお姉ちゃんは、何食わぬそぶりでベルトコンベアを進ませ、僕の品物を次々とレジに通しおばあちゃんの袋の中に入れていく。
さらにその状況を何も言わずボーっと眺めてるおばあちゃん。
オイオイ、自分が何を買ったかくらい憶えといてよ。
「E, Excuse me!」と言ってレジのお姉ちゃんを呼び止める。
「Two bottles and sandwich are mine.」と言うと事情が分かったらしく「これ?」と言って袋から出してくれた。
もちろんレジからその分の金額を引いていく。
おばあちゃんは何か言っていたようだがよく聞き取れなかった。
「よくあることよね」と言っていたような気がする。
オイ。
その後僕のレジの番になったが、特に会員カードの掲示は無かった。 会員カードを持っている人は割り引かれるのだろう。
なんとか水と昼食用のサンドイッチを入手できた。
今のうちにDavisさんからもらった薬を飲んじゃおう。
水2リットルはさすがに飲めなかったが、のどが渇いていたので水がおいしかった。
できれば今の内にトイレに行っておきたかったが、ここには見つからなかった。
しょうがない。
先に進もう。
そこからちょっと登ると"Fall River Visitor Center"というのが見えてきた。
Fall Riverとは昨日Davisさんに教えてもらった、これから登ろうとする道路の脇を流れる川の名前だ。
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![]() Fall River Visitor Center |
![]() 公園に入ってすぐにこんないい景色。 飛行機雲が美しい。 |
すぐに料金所が見えてきた。 Davisさんは$5だと言っていたが$10だった。 値上がりしたのかもしれない。 入ってしばらくは平坦な道が続く。 しかし景色は早くも最高。 空も雲一つない快晴。 ワクワクしてくる。 しばらく進むと右へ別れる細い道が現れた。
こいつが"Fall River Road"か。
ダートらしいが眺めが最高なんだそうだ。
Davisさん一押しのコース。
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5.7 滝先に進む。 いつの間にか道路は砂利道に。 再びParkingが見える。
車が何台か停まっていて、茂みの方から人が登ってくるのが見えた。
駐車場までの道のり、それほどきつい上りでもないのに妙に息苦しい。 空気が薄いせいか運動不足のせいか。 車に着いた頃にはぜいぜい言ってしまった。 |
![]() CHASM FALLS |
![]() 森の奥に遙かに高い山が見える ![]() ちょっとだけ紅葉 |
再び車を走らせる。
もうそれ以降は感動の連続。
やがて一つの法則に気付く。 いい景色を見つけて慌てて車を停めて写真を撮っても、そのすぐ先に必ずもっとよく撮れる場所があって、大抵車が何台か停まっている。 あせってはいけない。 |
5.9 リスとある見晴らしのいい場所で、またしてもリスを発見。 おとといも見たがやっぱりかわいい。 ちょっと近づいたら逃げてしまった。 |
![]() ![]() |
![]() |
すばらしい景色はその後も延々と続く。 車は相変わらず先に進まない。 再び川まで降りられそうな場所を発見。
周りには誰もいない。
クマでも出て来そうな雰囲気。
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5.11 山小屋車はぐんぐん上っていく。 そう言えば周りの木が少なくなってきた。 そろそろ森林限界なのかな。 遠く遙か先の方に建物が見えてきた。 あそこがてっぺんなのかもしれない。 この楽しかったダートの道も間もなく終わりか。 着いたその場所は、舗装された広い駐車場があり、山小屋とは言え大きくて立派な建物があった。
車も観光バスから自家用車、ピックアップトラック、オートバイまでたくさん停まっている。
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![]() 遙か遠くに見えてきた山小屋 ![]() 山小屋と言ってもちゃんとした建築物 ![]() 見晴らし台からの光景 |
![]() 頂上。 標高4,000メートルかと思ったが、実は3,659メートルだった。 ![]() 登ってきたのと反対側の景色。 一面緑。 人の入った痕跡が見えない。 ![]() 下り。 見えてきた駐車場。 左に続く道は今登ってきたFall River Road。 右は舗装されたTrail Ridge Road。 |
山の上の方に歩いて登る道がある。
これは登らねばなるまい。
そこからの下りは楽ちん。 途中登ってくる人たちとすれ違うとき、何人かと「Hi!」と挨拶を交わす。 気分がいい。 |
5.13 Lunch寒いかもしれないとか、もう雪が降ってるかもしれないと言われていたが、とんでもない。
日差しが強烈で暑いくらい。
だいぶ日に焼けてしまった。
もう1時近いので駐車場の脇のベンチに腰掛けてサンドイッチを食べる。
ずっと撮りまくっていたせいかデジカメのメモリーカードの残り枚数があとわずか。 そうだ、NotePCを持ってるんだから吸い上げちゃおう。 トランクからNotePCを取り出しデジカメのデータをハードディスクにコピーする。 よし、これでまたたくさん撮れるぞ。 |
![]() ![]() |
![]() Trail Ridge Road ちょっと危険だったが走りながら撮影。 ![]() Lava Cliffs |
ここから先は舗装道路。 おもしろみも減っちゃうだろうなと思ったが大間違い。 それからも美しい景色の連続。 またしても写真撮影のオンパレード。 この道路は"Trail Ridge Road"といい、アメリカで最も標高が高い場所を通る自動車道路。
その最高地点は、標高12,183フィート = 3,713メートル。
富士山より高くは無かったが、それでも十分高い。
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5.15 Roger Wolcott Tollとあるパーキングで、また歩いて登る道を発見。 ちょっと疲れていたがやっぱり登るっきゃないでしょう。 しかし今度は先が見えない。 いったいどこまで登るんだ。 息が苦しい。 かなり登ったところで、変わった形の岩を発見。
とりあえず記念撮影。
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![]() |
![]() やっと見えてきた巨大な岩。 ![]() 岩のてっぺんのペナント。 ![]() 岩に映った自分の影を撮影 |
歩くこと数分、やっと終点が見えてきた。
山の一番高いところに巨大な岩があり、その上に大勢の人が登っている。
この岩の名前は、"Roger Wolcott Toll"というらしい。 その帰りにリスとは違うネズミのような生き物を発見。
なんとか撮影に成功。
しかしその直後姿を隠してしまった。
あぶない。
車に戻りまた走る。 なんだかしょっちゅうパーキングがある。 気になってその度にとりあえず車を停めてしまう。 本当にきりがない。 |
5.16 あるパーキングにてとあるパーキングの見晴らし台で奥さんを写真撮影しようとする旦那さんを見かける。
なんだかかわいそう。
そのまま一回は別れたが、同じ展望台で風景を写そうとカメラを構えると、今度はさっきの奥さんの方から声をかけてきて、「今度は私たちが撮ってあげるわ」と言ってきてくれた。
しかし僕のはFinePix。
普通のカメラとは形が全然違う。
でもその人はデジカメは初めてじゃなかったみたい。
それほど驚かず平気で構える。
LCDの画面を見ながらシャッターを押すんだよと教えてあげたが、ファインダーの方が慣れていていいらしい。
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![]() Forest Canyon まさに名前ピッタリのところ ![]() 夫婦に撮ってもらった写真 |
![]() 何喰わぬ顔で間近にとまった鳥。 ![]() いい景色だが、もう目がマヒしてきた。 |
車を進め、また別の見晴らし台で車を停める。
そこは鳥やらリスが平気で人に近づいてくる。
見ると餌をあげている人がたくさんいる。
ここはそういう所なのか。
車でまた別の見晴らし台にいくと、僕が車を降りようとしたときに、偶然さっき写真を撮りっこした夫婦が車に乗り込むところだった。 向こうの旦那さんの方が気が付いて「ハイ、またあったね」と挨拶してくれた。 うれしい。 |
さあ、写真も一杯撮った。
もう十分だ。
帰ろう。
自分に言い聞かすように車を走らせる。
もうほとんど下りきり、Fall River Roadとの分岐点に近づいてきた。
なぜか道路の両側にたくさんの車が路駐している。
もうきりがない。
止まらないで帰ろう。
しかし通り過ぎようとしたとき、遠くにチラッとカモシカがいるのに気が付いてまった。
みんなあれを見ていたんだ。
慌ててUターン。
見ると遠くにカモシカが群でいるのがわかる。
望遠鏡で見てる人もいる。
これが目当てで来てる人もいるようだ。
僕は望遠鏡を持っていなかったので肉眼でがんばるがあまりよく見えない。
デジカメでもがんばったが3倍ズームではたかが知れている。
残念。
昼にデジカメのデーターをPCに取り込んだばかりなのに、再びまたメモリーカードが一杯になってしまった。 今日はいったい何枚撮ったんだろう。 再びPCを出してデータの転送を行う。
そこからちょっと先に進んだ所で、またまたまた路駐軍団に遭遇。 欲望には逆らえずまたまた路駐。 遠くにたくさんの生き物の群が見えた。 何かはよく分からない。 "Sheep Lake"という場所だから、羊かな。
しばらく眺めていたら馬にまたがったカウボーイが登場した。 おそらくこの公園のレンジャーだろう。 かっこいいじゃん。 見物客となにやら楽しそうにおしゃべりしていた。 |
![]() |
さあ、いよいよ入り口のゲートが見えてきた。
Rocky Mountain National Parkともお別れだ。
ゲートを通りすぎたちょっと先で老夫婦が車を停めなにやら記念撮影をしている光景を見かけた。
見ると国立公園の標識ではないか。
これを撮らないわけにはいかないだろう。
車を停め僕も記念撮影。
決まった。
行きに寄ったVisitor Centerに寄っておみやげ選び。
落ち着いてよく見るとどれもなんかいまいち。
これだ!っていうのが無い。
たまに「これいい」と思えるのがあっても、サイズがXLとかXXLとかばっかり。
う〜ん、どうしよう。
DavisさんはEstes Parkいいおみやげ屋さんがたくさんあると言ってたっけ。
よしそっちに行ってみよう。
Estes ParkのDavisさんに教えられたあたりを車でうろちょろするが、それらしいお店は見つからない。 しばらく探し回ったが、あきらめる。 しょうがない。 Rocky Mountainグッズが欲しくなったら、またVisitor Centerまで来よう。
Boulderまでの道のりをひた走る。
途中に、昨日Davisさんに教えてもらったお店の一軒があるはずだ。
今日のDinnerはそこにしよう。
LyonsからBoulderまでの36号線。
地図によるとその途中に右から来るCANYONという道路と交差する丁字路があるはず。
目指すRestaurantはそこ。
時速100kmで走りながら右に曲がるCANYONという道を探す。
何本か右に曲がる道路はあったがどれも名前が違う。
地図を見たところで周りに目印になるようなものが全く無いもんだからしょうがない。
まだかな〜と思ってるうちになんとBoulderに着いてしまった。
クソー、またしても見落としてしまったか。
もうホテルは目の前。
一回ホテルに戻って作戦を練り直すことにする。
荷物を置き、地図を見る。 やっぱり目印になりそうなものは無い。 少なくともこっちから行って最初の大きな左に曲がれる道路のはずだ。 もう一度挑戦。
車に乗り再度北上。
しばらく走ってから左に曲がれる道が見えてきた。
名前は違うけど、いいや。
曲がってしまえ。
う〜ん、明らかに違う。
地図ではまっすぐの道路のはずなのに、その道はくねくね折れ曲がっている。
地図をよく見ると目的地の近くにいくつか細い道がある。
しかも今曲がった道は目的地までたどり着けそうにない。
仕方なくUターン。
36号線を左折しなければならない。
これって日本では高速道路に右折で入っていくようなものだ。
危ないったらありゃしない。
左右をよ〜く見て左折。
ホッ、なんとか成功。
やがてすぐにまた左折の道がある。
でも道路の名前が違う。
曲がろうかどうしようか一瞬迷ったが、目的地のRestaurantの看板が見えた。
この道路に間違いない。
左折、無事到着。
駐車場に車を停めると2台隣の四駆の中から大きくて真っ黒な犬がこっちを向いている。
ジッと僕のことを見ているが吠えようとはしない。
かまってもらいたいようなそぶり。
かわいそうに、ご主人様が食事している間、車の中でお留守番なんだ。
しかし全ての窓が全開なのに逃げようとしない。
利口な犬だ。
"The Greenbriar Inn"は緑の壁がお洒落なこじんまりしたRestaurant。
一人でこういう所に入るのもだいぶ慣れた。
薄暗い店内。
店員さんが誰もいない。
奥の方に歩いていくとやっと男の店員さんがいた。
僕を見つけると「May I help you?」と聞いてきた。
「May I have a dinner tonight?」
「Yes, 一人?」
「Yes.」
「ワインは飲みますか?」
「No wine.」
ワインリストを置き、壁際のテーブルに案内してくれた。
まだ何も注文していないのに一人の女性が「appetizer」だと言って小さめのパンとクリームを持ってきてくれた。 日本で言うところの「お通し」だろう。 パンはカリカリに堅い。 ラスクのような感じ。
やがてちょっと髭を生やした、どことなくブラット・ピットをひょうきんにしてひょろ長くしたようなウェイターがメニューを持ってやってきた。
「何か飲みますか?」
「Beer?」
「Import or Domestic?」
「Domestic.」
ここまでは分かった。
ここからが例のごとく分からない。
一つも名前が分からなくて困っていると「......original?」と言ったような気がした。
よしそれを頼もう。
「Original.」
聞き取ってもらえない。
「オリジナル」
何度か言いっているうちに、やっと通じたようだ。
果たして本当に向こうの人が「オリジナル」と言ったのかどうかも分からなかったが、なんとかビールのオーダーに成功。
本当にビールが来るのかどうかも不安だったが、運ばれてきたのはちゃんとしたビールだった。
さあ次は料理だ。
大きく分けて肉系、シーフード系、野菜系に分かれている。
できれば肉が食べたいな。
でもどれも値段が結構高い。
Davisさんたちが教えてくれるレストランは確かにおいしいのだが、どこも値段が高いのが難点だ。
ブラピもどきがやってきて何か話しかけてきた。
多分「どういった料理がお好みですか?」くらいのことを言ったのだろう。
返答に困っていると。料理の説明が始まった。
スープを一品、サーモン料理を一品説明してくれた。
おすすめ料理なのかな。
「すぐにまた伺います」と言って戻っていった。
スープの所を見ると「アスパラガスのクリーム・スープ」というのの上に「Special soop.」という日替わりのスープがある。
さっきの説明は「クリーム・スープ」と言っていたが、わざわざ説明してくれたということは「本日のスープ」を紹介してくれたのかもしれない。
でももし違っていたら、中身も知らないで注文するのもおかしいし、「本日のスープ」の内容を訊ねて、さっきと同じ説明をされても気まずい。
悩んだ結果無難なところで「アスパラガスのクリーム・スープ」を頼むことにする。
あとはさっき説明してくれたグリルド・サーモンでいい。
値段も手頃。
ブラピもどきが来たので、その二つを指で示して注文する。
サーモン料理を選んだとき、自分が説明したのをオーダーしてくれたせいか、うれしそうにニヤリと笑った。
スープとパンが運ばれてきた。
さっきのappetizerは別物だったのね。
スープはなかなかおいしい。
やめておけばいいのに、パンがおいしくて3個も食べてしまった。
もうお腹いっぱい。
そこにグリルド・サーモンが運ばれてくる。
焼き目のついたサーモンとバターライスのようなものも皿に乗っている。
味はおいしかったけど、平らげるので精一杯。
悪戦苦闘の末なんとか全部食べきることができた。
お決まりのデザートとコーヒーを勧められるがとてもじゃないがお腹に入らない。
「No, thank you.」
チェック・タイム。
やっぱりちょっとドキドキする。
昨日と違う方式だったらどうしよう。
そんな心配には及ばず、明細書の書かれ方はまったく同じだった。
チップ込みで$46。
う〜ん、やっぱり一人で食べるにはちょっと高い。
店を出て駐車場に戻ると、まだ2台となりの車の中で犬が待っていた。 ご主人様はまだディナーを楽しんでいるらしい。 また僕をじっと見つめているが全く吠えない。 なんて利口な犬なんだ。
ここからホテルまでは、一直線。
楽ちん。
今日も充実した一日だった。
To be continued...