競馬GAME大全・ファミリージョッキー



(2)ワールドジョッキー(PCエンジン、1991年)



・概要

 名作「ファミリージョッキー」の続編。基本的に前作のシステムをそのまま受け継ぎ、PCエンジンならでは4人対戦を可能にしたのが最大の売り。

 GAMEモードは、前作同様に1頭の馬を選んで最大16戦(途中GAMEOVER有り)を勝ち抜いていく[HORSE MODE]の他に、最初に選んだレース数だけ(GAMEOVER無し)各レースランダムに与えられた馬で戦っていく[JOCKEY MODE]が追加された。ちなみに、存在意義不明のファミリーモードは健在。

 また、ライバル馬([JOCKEY MODE]では騎乗可能)として、「アグリキャップ」や「スーパークリーム」といった初期ダビスタを思わせるようなオグリキャップブーム世代馬が登場する。ついでに、「オラヒオン」なんてのもいたりする…


・周辺事情

 開発時期は、おそらく1990年後半〜1991年頭とオグリキャップブーム引退期。だからといって、「アグリキャップ」が特別扱いされている訳でもなく、特にブームに便乗した訳でもなさそう。まあ、この企画が通った段階でオグリブームによる競馬人気の要素はあったかもしれないが、「ワールドサーキット」の発売も考えれば、「ワールドコート」のヒット(?)を受けてのワールドシリーズ(旧ファミリーシリーズ)の展開ってだけだろうが。


・JOCKEY MODE

 4人対戦に並ぶ本作の目玉であろう[JOCKEY MODE]だが、加速アイテム(取ると一定時間最高速)の存在がバランスを崩しており、一人プレイには明らかに向いていない。一方で、従来の[HORSE MODE]では多人数プレイをしても途中で確実に一人しか残らない厳しいバランスだった事を考えると、確実に選択したレース数全員がプレイ出来るこのモードは多人数向きとは言える。

 実際、4人で遊べばそこそこ楽しめるのは確か。豊富に登場する回復・加速アイテムのおかげでほとんど駆け引きが存在せず、結局ゴール前で好位置で加速アイテムを取った方が勝つだけなので、4人同時に出来る以外の価値は見出せないが。


・HORSE MODE

 一方で、表面上は従来通りの[HORSE MODE]であるが、実際にプレイしてみるとその中身は大きく変わっている事が分かる。

 まずはプレイヤーが選択出来る馬だが、前作そのままとなっている。もっとも、パラメータが微妙に変わっているが。

 また、GU・GVクラスのレース名が、稚内記念・ナルト記念・タナボタ賞・キサラギ賞など、実際のレース名に近くなっている。もっとも、大半が障害と言う点を含めて条件自体はほとんどそのままだが。

 では、何が大きく変わったのかと言うと、実際の操作性・プレイ感覚が大きく変わっている。見た目では、馬が大きくカラフルになっている以外は分からないが、実際にやってみると良く分かる。


 筆者も、今回「ファミリージョッキー」・「ワールドジョッキー」と続けてプレイして初めて分かった点も少なくないが、「ワールドジョッキー」になっての相違点を以下にまとめてみた。


1.馬が大きい

 これはほとんど見た目の違いだけ。もしかしたら当たり判定が大きいかもしれないが。ついでに、カラフルになったおかげで、各馬の見分けが付き易くなった。どうせ、1Pは常に1枠だからどうでもいいけど。


2.横移動が細かい

 前作では、横移動は数本のライン間の移動でしかなかったが、本作ではかなり細かい動きが可能となった。

 操作性の向上と言うべきなのだろうが、前作を16頭続けてやっと感じを掴んだばかりの筆者には、ただ感覚が狂っただけだった…


3.馬同士の激突時の影響小

 前作では馬同士の激突時には、お互いに大きく跳ね飛ばされて移動していた。しかし、本作では激突時にほとんど影響が無い。

 このため、ゴール前の競り合いでわずかに前に出た瞬間にぶつかって一気に前に押し出されると言う、前作の基本テクニックがほとんど無効になっている。

 また、他の馬の追突による障害への衝突の危険もかなり低くなっている。

 この点も、予想外の動きをする事が無くなるのだから操作性の向上なのかもしれないが、なんか物足りない気がする。


4.障害の難易度UP

 障害(特に大障害)が、飛び越しにくくなっている。ジャンプ力次第でもあろうが、大障害の飛び越え成功率は慣れてきても3分の2程度の感じがする。また、障害同士の感覚が短くて一度こけたら再加速する前に次の障害に激突という場合もある。


5.障害の破壊力DOWN

 障害でこけた(激突した)場合のスタミナの減少量・時間のロスが、共に前作より小さくなっている。例えば、直線先頭に立って障害に激突して、再び立て直して先頭のままゴールなんて場面も珍しくない。

 4・5合わせて、前作のこけたらほぼアウト(特に星の無いレースやや最後の直線)だったのに対して、本作では各レースで1回位の割合でこけるのは当たり前となっている。


6.加速力の変更(?)

 これはムチ一回当たりの加速力の変更が原因なのかは分からないが、道中でムチを入れる手を抜くと簡単に先頭グループから置いていかれる感じがする。

 どうも詳しい点ははっきりしないが、前作よりも必要なムチの量が増えているかもしれない。(ムチ一回あたりの、スタミナ消費・加速力共に少ない?)


7.アイテムが取り難い

 アイテムゾーン(縦の直線部)のスピードが速く、アイテムが取り難い気がする。6の点のおかげで、後方に下がるとそのまま画面最後方まで下がってしまいやすい点が影響しているのか?


8.ランダムアイテム追加

 GU以降では、星(体力回復)の他にハテナ(体力UP・DOWNのどちらかランダム)が登場するようになった。


9.馬に名前が付けられる

 これはGAME性とは関係無いが、一応こんな機能も追加された。馬名が8文字までというのが、いかにも本物の競馬に興味無さそうな「ファミリージョッキー」開発スタッフらしいところだが…


 これらの点から、結局全体的なGAMEバランスがかなり荒くなってしまった感じがする。

 前作は、(特に星の出ない(少ない)GUまでは)位置取り・障害超えなどでミスをしない緻密なプレイを求められたが、本作ではそのあたりのバランスが大きく変わってしまっている。

 結局、一人プレイ前提に考えれば、前作に大きく劣る失敗作であると言ってよいであろう。少なくとも、本作発売10年後の現在(2001年7月)に前作・本作と続けてプレイした限りでは、前作の方が遥かに面白かった。

 買った当時は、前作から離れて久しかった事もあって、こんな事は思いもよらなかったけど、そういえば一人プレイではあまりやらなかった気がする…

 多人数プレイにしても、所詮は深みに欠ける単調な展開であるし、今あえてプレイする価値は無い。

 なお、こちらも16頭リプレイやろうかと思ったが、3頭で飽きたので中止…




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