第5話 風の吹く日


4/20 風が強すぎて歩けない。
     そんな日には家にいて、好きなことでもしていましょうか。
     好きなことってなにかしら?
     読書に手芸に音楽鑑賞。
     他にもまだまだありますよ。

4/21 だけど、一度に全部は出来ません。
     いったいどれをしましょうか。
     今は何がいちばん好き?

4/22 ちょっと10分考えましょう。
     紅茶を飲んで、考えましょう。

4/23 あぁ、なんだかのんびりきぶん。
     このまま一日中、何もしないのもいいかもね。
     風の音に耳をかたむけ、心身ともにリラックス。

4/24 あらら、いつの間にか、眠っていました。
     風は相変わらず吹いています。

4/25 そうだ!
     絵を描いてみるのはどうかしら?
     風の吹く日の、窓の外。
     びゅんびゅんびゅんびゅん、どんどん描こう。

4/26 風に舞踊る木の葉。
     飛ばされないように足を踏ん張る人。
     抵抗むなしく飛ばされていく小鳥。
     砂ぼこり。
     窓のガタガタいう音。

4/27 たくさんの絵が出来ました。
     風はまだまだ吹いています。
     たくさんの絵は、どれも風の絵だけれど、
     どうも、なんだか、ちがうよう。
     風はますます強くなってきました。

4/28 また、ちょっと考えましょう。
     ジュースを飲んで、考えましょう。

4/29 わかりました。
     窓の外の風景は、別世界なのです。
     様子は見えるし、音も聞こえるけれど、風に触れていないのです。

4/30 そうです。
     今、私が一番やりたいことは、 風の中で絵を描くことです。
     風に向かって、風に飛ばされ、風を感じて、風を描こう。

 おわり

 

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