第4話 テレビ
4/10 朝起きると、テレビをつける。
時間を確かめて、天気予報を見る。
ニュースはただ流れてるだけ。4/11 「ねえ、もっと、ちゃんと見てよ」
今朝、テレビが話しかけてきた。
「だって、朝は忙しいんだもん」
そう答えると、テレビはスイッチを切った。
「え〜、勝手に切れないでよ。まだお天気見てないのに」4/12 リモコンをばしばし押したら、テレビはもっと怒ったみたい。
スイッチは入ったけど、画面が真っ赤。
一応天気予報は見れたけど、目が疲れるし、赤い字が見えにくい。4/13 おひさまマークが、うもれちゃう。
4/14 今夜はテレビと話し合おう。
4/15 テレビの主張はこうだ。
朝のニュースは大切だから、ちゃんと見た方がいい。
もし見ないなら、テレビをつけるのはもったいない。
「見てもらえないのに、年だけ取るのはいや」4/16 私の反論はこう。
じっと見ていなくても、ニュースはわかる。
天気予報の時だけつけようとしても、忘れてしまう。
「時間の目安になるのも、テレビの大切な役目じゃない?」4/17 テレビと私の意見は、しばらく平行線をたどっていたが、
やがて、テレビが妥協した。
仕方がない、朝はつけてるだけでもいいとしよう。
でも、1日1回必ずニュースをちゃんと見ること。
朝以外は、見たい番組があるときだけつけること。4/18 画面がずっと赤いままじゃ困るので、 私もこの条件で手を打った。
次の日からは、また普通の朝がやって来た。4/19 あれからテレビは話しかけてこない。
けれど、前の日にニュースを見忘れると、
朝、画面は真っ赤になっている。おわり