空想のこころえ
2/24 部屋中好きな写真を広げる。
どこを見てもお気に入りの風景になるように。2/25 旅行の写真、お散歩の時の写真、本屋さんで見つけた写真集。
なるべく人は写っていないほうがいい。
動物はちょっとなら大丈夫。2/26 写真の真ん中にねころがる。
近くの1枚を手に取る。
これはついこの間撮った写真だ。
思い出が具体的すぎる。2/27 もっとぼんやりとした記憶がいい。
風景の印象だけが残っている遠い記憶。2/28 別な1枚を見る。
大きな木と青い空、木の根元には赤いもの。
これは何だっただろう。
小さすぎて見えない。
覚えていない。2/29 もしかしたらジョウロ。
ちいさな女の子の忘れ物。
それともカバン。
木のうしろには旅人がいる。5/12 暑い国から迷いこんだ小鳥。
のんびりとお昼寝中。
こびとのお家。
こびとにとっては大豪邸。5/13 ころがってきたボール。
捜せなくて諦められてしまったボール。
木に恋した花。
そばにいるだけで幸せいっぱい。5/14 赤いもの、赤いもの、他にはどんなものがあるかな。
考えながらちょっとうとうと。
赤く染まった夢を見る。
赤い川、赤い山、赤いジャングル、赤い月。5/15 どぎつい赤じゃなくて、透明感のあるやわらかい赤。
あたたかい赤、ほっとする赤。
赤い世界でしばらく暮す。
目が覚めたら、白い壁。5/30 いつも途中で寝てしまうけど、思いっきり空想したあとは調子がいい。
大変なのは写真のかたづけ。
注意事項は、かたづけ中に写真をじっくりみないこと。
永遠に空想のときを過ごしてしまうから。