Kokuden-Souken
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国電総研スペシャル
E231系と205系の動向

 JR東日本の公式プレスリリースでも、常磐線や山手線への新型車の導入が発表され、Webでも各掲示板などで、導入時期やそれによる玉突転配の話題が出ています。当HPでも昨年(2000年)末時点での関連情報を希望的観測を抜きで、伝え聞いた範囲で列挙していきたいと思います。

 主に、新規投入されるE231系と、山手線投入により各線区へ転出となる205系についてが中心ですが、これらにより淘汰されることになる103系、また、現在E231系が継続投入中の総武中央緩行線の205・201系の話題、次々世代?通勤車「ACトレイン」などについても触れてみたいと思います。



●E231系(通勤タイプ)の製造・投入について

★総武中央緩行線
 1999年度30輌(東急製)、2000年度220輌(新津製)、2001年度150輌(新津製)の計400輌として計画・製造されていたが、習志野区209系500番代20輌が京浜東北線用として転出したため、20輌の増投入となる。

 この20輌は2000年度中に東急車輛で製造され、209系500番代の抜けた分を補い、2000年度末には習志野区のE231・209−500化が完了、103系は総武中央緩行線での運転を修了する見込みである。

 また、同線のE231系に関しては、本来は習志野区所属となる40輌が、京葉線転属201系捻出のため三鷹区に配置されたが、本来の三鷹区対応車が2000年度に60輌新造され、入替わりに習志野区に転属となる。

・お詫びと訂正
 上記習志野区E231系追加分は、赤字で訂正しております通り、新津車両製作所ではなく東急車輛での製造です。
 誤った内容を決定事項として記載したことを深くお詫びいたしますとともに、ご指摘いただきました皆様及び各掲示板の管理者の方・書込まれている皆様にはお礼を申し上げます。

 2月4日現在、東急車輛で製造中の20輌のうち10輌(1編成)は出場線3番線で最終仕上工程の作業が行われており近々出場の模様、もう10輌はバラで車内や電気品の儀装中の模様で2月末から3月初旬の出場の様です。詳しい日時などはできればトップページの形式別情報でお伝えしたいと思います。

 なお、新津車両製作所での製造は、2000年度は220輌で1999年度の203輌に対してプラス約17.4%の増産でした。今後、同所はさらに生産効率を上げ、現設備で年間約250輌程度の製造を目指しているということです。


★常磐快速線
 103系置換え用に280輌(10連×18本・5連×20本)が投入される模様。2001年度は50輌が上記総武中央緩行線用150輌の後に、新津車両製作所で製造される様である(組成は不明)。

 2002年度は135輌、2003年度は95輌という形で計画されている模様で、全て新津車両製作所製となる様である。

 形態・性能・諸元的には総武中央用車と同等で、併結側となる先頭車には近郊タイプと同じ自動解結装置が装備される模様。

 捻出される103系は基本的には廃車となる。



★山手線
 デジタルATC導入に伴い、205系の機器更新とはせず、E231系を投入、572輌(11連×52本)が投入される模様。新聞記事にもあったが、2001年度中には登場、33輌が今年度分として製造される様である。

 こちらも新津車両製作所での製造で、総武用150輌・常磐用50輌と合わせて、2001年度の新津での新造は33輌の様である。

 続いて2002年度110輌、2003年度154輌、2004年度253輌、2005年度22輌、という生産計画の様だ。全て新津製の模様。

 形態・性能・諸元的には新聞などでも概要が紹介されているが、基本的には総武中央用をベースとし、6扉車2輌組込み、サービス機器の拡充、そして保安装置がデジタルATC対応のものとなる他、5M6Tとすることも計画・検討されている模様である。結局、現行205系と同じく6M5Tとなる模様。

 捻出される205系は、現在103系の残る線区を中心に転配されるが、これがまた各種改造を伴う大々的なものの様であり、次項で概要を見てみたい。



●山手区205系の動向

 上記の様に、E231系投入により205系が捻出されるわけだが、これらはJR東日本管内に残る、103系(一部113系)置換え用に各線に転属となる。

 計画段階でいろいろな案がある様だが、昨年末の状況は以下の模様。

★転出先候補区
 ・川越区 (埼京線・川越線)
 ・豊田区 (武蔵野線)
 ・中原区 (南武線・同支線・鶴見線)
 ・京葉区 (京葉線)
 ・宮城野区(仙石線)
 ・幕張区 (房総各線)

 このうち、川越区埼京線は6扉のサハ204のみで、53輌全車を従来のサハ205と置換え、捻出車は他線区へ転出(一部先頭車化改造)となるり、このため、ハエ205には6扉指令回路新設工事が行われる、ということの様である。

 京葉区、幕張区を除く各区は、この転配により103系は全て淘汰され、205系に車種統一されるとのことであり、前記の京葉区では103系は消滅だが201系との併用、幕張区は113系との併用となるとのことである。

 また、改造工事に関して見てみると、上のT車の先頭車化改造、6扉指令回路のほか、トイレ取付(ミノ・マリ)、半自動ドア改(ミノ・ハエ)、霜取りパン付け(ミノ)というような各線区へ適用させるための改造や、VVVF化(トタ)、M’→M’c化(ナハ)という様な驚きの改造も計画に挙がっている模様である。

 豊田区のVVVF化に関しては、以下の理由から計画されているという。同区既配置車は走行条件から6M2Tであり、捻出205系投入には適さない線区ということで、当初計画では転出候補には入っていなかった。ちなみに、当初計画ではトタ分が全てマリへの投入予定となっており、相当な数が113系と置換えられることとなる様であった。
 話をVVVF化に戻すと、6M2Tではメリットがないが、VVVF化することで4M4T組成での走行条件に対する性能を確保、投入候補となったということの様だ。添加励磁制御のままでの5M3T化も検討された模様。 なお、豊田区車は既配置車も合わせてVVVF化が行われる様である。
・お詫びと訂正
 豊田区既配置車もVVVF化が行われる、としましたが、三鷹区・山手区からの転属車32編成64ユニットのみVVVF化され、既配置5編成は添加励磁制御のままということです。お詫びして訂正させていただきます。

 中原区M’c車は鶴見線用で、現在の103系と同じく3連を組むための改造であるが、103系のMc車とは異なりM’cとなる様である。ナハ分は南武線用は補助電源がBL−MGのままだが、鶴見線用はSIV化される模様である。

 マリ・ミノなど、既配置形式でSIVの実績のある区への投入車も取替え、また、主制御もVVVFとなるトタ分もSIVとなる見込みという。
 
トタ分VVVF改造転属車は、9編成(18輌)だけがSIVとなる模様。他はBL−MGのままの様である。

 各区とも現在の103系と同じ輌数が投入となる様で、例えばミノ:72輌(4連×18)、ハエ24輌(4連×6)など。
 ケヨは60輌、マリは48輌(6連×8)程度の投入となる模様であるということである。


 まだまだ計画段階の、それも漏れ伝え聞いた事柄で、実際のところはどうなるか、ではあるが、いずれにしても東京の「顔」電車ともいえる山手線205系が見納めとなってしまうことと、各種改造を伴う大転配大会は、205系にとって大きな曲がり角になると言えるだろう。


 先ごろ聞いた話では、一連の山手区捻出車工事は2001年度下期の、それもかなり末からの様で、その前にパイロットパターンとしてか、現在保留車となっている山手区サハ204−902を川越区に転属、同区からサハ205を1輌捻出し、これを鎌倉総合車両所で先頭車化改造する工事が第1号となる様である。
 川越区車でこのサハ204−902を組込む編成は、大宮工場で定検時に6扉指令回路設置工事を併施工する模様。
 なお、山手区転出車への各種改造より前に、下記三鷹区車や豊田区車の工事が先行する模様である。
←上の方で訂正させていただいている通り、豊田区既配置車はVVVF化改造は無しとのこと。


205系のページで紹介している様に、2001年8月6日から埼京線で6扉車の運転が始まった。上記の通り、サハ204−902が川越区に転属(大井工→ハエ、6月30日に回送実施)、ハエ8編成に組込まれ、サハ205−161が捻出された。
 このT車は8月23日に鎌倉総合車両所に入場、先頭車化改造の1号となる。同車は南武支・鶴見線用となる模様。


 この南武支・鶴見線205系化で注目されるのは、両線の予備車共通化だ。
 現在南武支線は101系Mc+M’c×3本で使用は2本、鶴見線は103系Mc+M’+Tc×10本で使用は9本となっているが、205系化後は、Mc+M’c×3本、Tc+M+M’c×9本、予備Tc×1の配置として3連1本を削減、予備は2連1本のみとして、これに単予備のTcを増結して3連の予備を兼ねさせるというもの。これにより全体で2輌の削減となる。

 つまり、予備編成が鶴見線を走る時はTc・Mc+M’cという先頭面と中間連結面が連結するという、以前に総武緩行や南武線の101系、京浜東北や横浜線の103系で見られた様なイレギュラな組成となる。
 南武支・鶴見線用205は、先頭車は運転台取付け改造車となるが、その前面形態と共に、単予備Tc・珍組成など、非常に興味のあるものとなりそうだ。
 なお、ハエT161以外は、下の三鷹区205系動向でも述べる様に、南武支・鶴見線の205系としては、まず一連の205系種々改造の手始めとしてミツの205から改造される模様である。

 

▲三陸河北新報社「石巻かほく」2001年3月23日版に掲載された仙石線205系イメージ図

 石巻かほく紙では、「2002年度秋より順次投入、現在のところ塗色は未定、車いす対応トイレ・車いすスペース設置、先頭形状変更、室内リニューアル、これら改造作業は2001年度より着手、同時に宮城野電車区内に設置予定の汚物抜き取り設備の設計・施工にも着手、全車置換えは2003年度半ば頃に完了」と報じている。



●三鷹区201系・205系の動向

 習志野区配属予定のE231系を先に投入、まず京葉線転出車を捻出、そして、本来の三鷹区配属車が投入され、捻出された201系が定期検査とともに青梅・五日市線用転用改造を受け、豊田区へ転出を始めている(
201系のページで紹介)。

 前項、山手205でお分かりの通り、豊田区青梅・五日市線用103系は、山手205による置換えの対象となっていない。これは、三鷹区201系による置換えとなるわけで、今後三鷹区へE231系が投入されるに従い、順次豊田区へ転属となる。次は17番編成が入場、転属となる。
 また、201系初の訓練車も誕生予定で、豊田区へ配置、同区の103系訓練車を置換える。


 一方、205系の方は、少々ショッキングな予定となっている模様で、2002年W杯対応用253系NEX増備のため、添加励磁制御装置を始め主要機器を取外し新製車用に転用、車体関係などはどうなるか不明だが、非常に気になる計画がある様だ。



 JR東日本では、車輛を「新系列」(209系以後)、「新形式」(205系以後)「旧形式」(203系以前)と分類しており、201系も近い将来置換えられる側となるだろう。「省エネ電車」として鳴物入りで登場した試作車のブラックフェイスのインパクトは今も忘れられない。
 後述の「ACトレイン」に追われることになるのかもしれないが、中央快速線での活躍を見守りたい。


その後の話で、201系に関しては、2000年度京葉区に4本、豊田区に2本転属となったあとの残り13本について、試作車を含む編成2本+通常編成(ミツ1編成)1本の計3本がさらに京葉区へ、10本が豊田区青梅・五日市線用として転属予定。京葉区転属分は2000年度転属車とは違い、分割運用には入らず、10連固定編成として使用される様である。
 試作車を含む2本のうち、ミツ7編成は4月9日に転用改造のため大宮工場に臨時入場、同編成は定期検査は1999年に受けているため、純粋な転用改造のみとなるため大宮工施工となっている。もう1本の、試作車を含むミツ8編成も同様のパターンとなる。
 定期検査併施工となるものについては大井工での転用改造となるが、京葉線転用改造は大宮工では試作車編成2本、大井工は1本、青梅・五日市線転用改造は大宮工で4本、大井工で6本となる様で、本数だけで見ると大宮工6本、大井工7本を担当するということになる。
 これらは、三鷹区へのE231系投入が月2本ということで、同じく2本ずつ捻出・施工となる模様。(
201系のページで随時レポート)

 一方、205系は機器を253系増備車に譲り、車体は?・・・という様にお伝えしたが、こちらもVVVF化され、主に中原区南武支線用や武蔵野・京葉増強用(ディズニーシー対策?)に転用されるという話もある様である。

 
2001年8月20日現在、三鷹区205系の具体化した予定としては、E231系増備によって2本がまず他区へ転出、同時にVVVF化(添加励磁システムの捻出)が始まることが第一点。ミツ15・16がそれぞれ大井工・大宮工へ臨時入場する。入場時期はミツ15が8月中、ミツ16は9月中の模様。
 両編成とも6M4Tの内、それぞれ中央MM’ユニット1ユニット(計4輌)はさらに鎌倉総合車両所に回送され、ここで先頭車化改造されてMcM’cのユニットとされる模様である。山手区205動向でもふれた様に、これは南武支線101系置換え用となる。
 一方、1ユニット抜かれた4M4T×2は、MM’がVVVF化され、武蔵野線に転属となる模様である。このVVVF化の実際の工事開始は10〜11月からの様だが、新製253系のために添加励磁制御機器を捻出するため、取外しのみはすぐに行われる模様である。
 大井工入場車に関しては、工事開始までの留置は山手電車区に預ける形となる様だ。

 そして、7月30日〜8月20日に大宮工場で全検を受けた14番編成が、三鷹区最後の205系として、しばらくは孤軍奮闘することとなる。


 201系は、すでに京葉区への増投入3本のうち、2本は転用・運用入りをしているが、残る1本(試作車入りの元ミツ8)も大宮工場に入場中で10月10日頃には出場、京葉区に回送される模様である。
 また、現在残る車(8月20日現在5本:ミツ4・5・6・12・13)は全て豊田区へ転属となるが、ミツ4・6・12が大井工場、5・13が大宮工場の担当となる模様で、今年度中には全車が出場して豊田区へ転属、青梅・五日市線で営業運転を開始することとなっている。

 このことは同時に青梅・五日市線での103系の運転終了をも意味するわけで、2001年3月の総武中央緩行線からの引退に続いて、103系にとっても大きな節目を迎えることとなる。




●「ACトレイン」

 イメージパースとともに、各趣味誌でもある程度詳細まで紹介された「ACトレイン」だが、以前スポーツ新聞に「山手線に短車体・連接車導入」と言う記事が掲載されたように計画は以前からあった様で、タイトルの様に山手線を想定したものであった様である。
 山手線は車輛運用的にも完全に独立しており、混雑率・平均乗車時間などからしても導入には最適な線区であると思われる。しかし、デジタルATCの関連で中央快速線より早くE231系を投入することとなり、逆に中央快速に対して「ACトレイン」試作車での成果を反映させることとなった様である。
 中央快速線も、今後のE231系投入対象線区になっている様であるが、果たしてどうなるであろうか。試作車の試験線区も気になるところではある。

 
財団法人鉄道総合技術研究所の月例発表で「車輪一体形主電動機開発の現状」という題目での講演があり、車輪一体形主電動機の開発第三段階としてJR東日本との共同開発プロジェクトで次世代通勤電車用の電動機を3種類試作したとしている。
 これには電動機の写真とともにDT33への取付状態及び103系電車での走行試験時の写真(ただし台車のアップ)も添えられており、偉大なる?通勤電車103系は、引退した車輛も次世代の通勤電車の開発に役立っているという、まさに通勤電車のカガミとも言えるかもしれないが、果たして現役車輛は「ACトレイン」量産車と競演できるまで残存するか??

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