全国秘湯巡り・宮城
中山平温泉と東鳴子温泉
第1日目 東京→古川→鳴子温泉→中山平温泉→
東鳴子温泉
第2日目 鳴子御殿湯→古川→東京
第1日目
● 中山平温泉へ
(中山平温泉・しんとろの湯)
2008年納めの温泉は中山平温泉と東鳴子温泉とした。
NHKのふだん着の温泉でしんとろの湯が出来て2年経ち、熱いお湯を木の樋を使って冷ます努力をしている支配人(湯守り)の話が出てきたので、行ってみたくなった。
中山平温泉には旅館三之丞湯に泊まり琢eの日帰り温泉に入ったりしたのが2004年8月だったが、その後訪れていない。
鳴子地区の温泉では公開されている共同浴場が少ないが、そのかわり各旅館が日帰り温泉としてユニークな温泉を公開しているのでバラエティに富んだ温泉が楽しめそうだ。
東北新幹線で古川まで2時間ちょっと、鳴子温泉までさらに小一時間だ。
鳴子温泉に近づくと、空から雪が舞ってきた。
天気予報でも午後から夜にかけて雪の予報でちょっと心配だ。
● 中山平温泉 レストハウス星沼
鳴子温泉から先の羽越東線の列車は1時間ほど後から出るというので駅前からタクシーに乗った。
先ず最初に行ったのが「レストハウス星沼」。この裏手に「星沼山荘」がある。
駐車場にいくつも蒸気の吹き出しがあるのは源泉の井戸で、裏のタンクに源泉を入れるとのこと。
ネットでの知識では、B 級レストハウスと酷評され、お風呂の評判もあまり芳しくない。
行ってみて確かにレストハウスは休業状態で、山荘も素泊まり程度しか受け入れていないそうだが、お風呂の泉質の良さは天下一品だった。
(国道沿いのレストハウス星沼) |
|
(男湯) |
|
|
|
(女湯) |
|
(男性用脱衣場) |
|
|
|
お湯の素晴らしさは、この旅行を通じて最高の物で、この後に入った「しんとろの湯」や「東蛇の湯」のお湯よりも更に濃密だった。
浴槽は適温で入ったとたんに手足がクリームにコーティングされたみたいなぬるすべ感につつまれた。また硫黄臭も強い。
含硫黄−カリウム・炭酸水素塩泉(含重曹-硫黄泉)の源泉は温度が98.2度とのことだが、タンクで冷えるので加水せずに浴槽に注ぐ。入る人が少ないから鮮度が落ちないとはおやじさんの弁。
おやじさんと小一時ほど話しをしたが、年齢のせいでレストハウスの営業も宿泊施設の営業も積極的にはやっていない休業状態だが、たまに来るお風呂の客のために入りやすいお湯を常に準備しているという。
時間をもらえば鍋焼きうどんぐらいなら出来るとのことだったが、次の目的地のしんとろの湯に向かった。
雪が激しくなってきた。
● 中山平温泉 しんとろの湯
5〜6分でしんとろの湯。
しんとろの湯は雪のためか大混雑だった。
期待した食堂は無く、地元産品の販売もなかった。
(しんとろの湯) |
|
(しんとろの湯浴槽) |
|
(源泉用の木の樋) |
|
|
|
|
|
混雑の中を浴槽に浸かった。
とろりとしたぬるぬる感のあるお湯だったが、人が多いせいか多少へたっているような気がした。
支配人が湯温を計りにきたので聞いてみると41.0度とのこと。
目論見は42.0度だったが雪で下がったようだと言っていた。
込んでいるしんとろの湯を出て、国道からそれて徒歩で大谷川方向に向かった。
旅館琢秀の前を通り陸羽東線のガードをくぐると手打ちそばの藤治朗の看板があり営業していた。
● 手打ち 板そば 藤治朗
藤治朗は鳴子らどん温泉、東蛇の湯の敷地のとば口にあり、両旅館の宿泊客なども利用するらしい。
(鳴子らどん温泉と藤治朗) |
|
(藤治朗店先) |
|
|
|
(藤治朗のメニュー)
早速店に入りメニューを見て「板そば」(つけ汁)と「鳥そば」(温汁)を頼んだ。
(突き出しは温泉卵) |
|
(板そば ¥850) |
|
(鳥そば ¥850) |
|
|
|
|
|
突き出し(お通し?)に温泉卵と香の物がすぐに出てきた。
そばはゆであがるまでに若干時間が掛かったが、出てきたそばには圧倒された。
やや太め、色が黒く、食べると腰が強く、そばの香がする。
またボリュームが多い。
板そばには野菜の天ぷらが数品付いていた。
鳥そばにはパイナップルのスライスが付いていたが、濃厚な鳥のスープが冷えた身体に心地よかった。ただ、味は濃いめでそばの味を若干殺しかねないという気がした。
ともかく遅めの昼食だったが藤治朗のそばには大満足だった。
家人を残して隣の鳴子らどん温泉と東蛇の湯に向かう。
● 中山平温泉 東蛇の湯
先ず東蛇の湯から。
東蛇の湯は鳴子らどん温泉の玄関前を大谷川の方向に10メートルほど下ったところ。
鳴子らどん温泉の湯治部という位置づけで経営は藤治朗も含めて一緒である。
玄関で日帰り温泉とお願いし、入浴料金を支払うと廊下の先の脱衣場を指さされた。
脱衣場は一応男女別だが両者の仕切りは透明のガラス入が入っている。 浴室への入り口も一応別になっているが同じ浴室に入る。
浴槽は2槽並んでおり、男女別の区別はなさそう?。
混んでいる時間帯があまりないのか、土地柄か、おおらかな雰囲気。
浴室の外側には窓に沿って混浴露天風呂並んで2槽ある。
露天風呂は大谷川に面しているがこの日は大吹雪で、窓側に寄って風と雪を避けた。
お湯は硫黄臭のぬるぬるすべすべのお湯でやや薄緑色。
源泉の温度は100〜92.5度とのこと。
源泉は2種類あって単純硫化水素泉と含芒硝-重曹硫化水素泉。
お湯から出た後は意外にさっぱりしていた。>BR>
● 中山平温泉 鳴子らどん温泉
東蛇の湯を出たところで、浴衣に褞袍をまとった数人の女性と行き交った。
鳴子らどん温泉に泊まっていて、東蛇の湯の露天風呂に入りに行くという。
東蛇の湯の露天風呂は見晴らしがよくないので毎日の日課にしているとのこと。もちろん無料とのこと。
入浴料金を支払って超音波付大浴場の脱衣室に案内される。
大浴場は大きな窓の浴室で半円形の浴槽。
先客が朗々とこの地域の民謡を謡っていた。
お湯は温めのつるつるぬるぬる感の強い湯で、東蛇の湯と同じ源泉らしい。
ほのかな硫黄臭もある。
お湯に浸かって民謡を聴くのもよいものだと思った。
浴室の一角にラドン浴室と書かれた扉があり、入ると狭い浴室に浴槽が一つ。ラドンにここの源泉を混入したお風呂だという。
生命の自然治癒力を活性化させる効能があるとのこと。
● 鳴子らどん温泉 湯神さまお神楽の奉納
温泉を味わって、玄関から出ようとするとらどん温泉の女将さんらしき人がお神楽の奉納があるからご覧になりませんかと声を掛けてくれた。
年に一回納めの神楽奉納とのこと。
場所は鳴子らどん温泉と藤治朗の間にある湯神神社の小さなお社の脇の集会所。
神楽師が3人、鳴り物が2人の奉納で、観客はホテルの客2〜30人。
みな浴衣に褞袍を羽織っていた。
中山平タクシーを藤治朗で呼んでもらい鳴子の戻ることにした。
中山平タクシーはジャンボタクシー1台だけだそうで、乗り合いを売り物にして観光タクシーやっているが、2〜3人以下の客には小型並の料金でメーターで走る。
鳴子駅でコインロッカーから荷物を出し、宿泊を予約していた東鳴子の宿「勘七湯」に向かった。
● 東鳴子温泉 勘七湯
勘七湯は東鳴子温泉では老舗の旅館で何年か前に一部リニューアルしたという。
旧館には湯治部もあるとのこと。
お湯は、源泉が2種類ある。
独自源泉(勘七源泉)の不老泉と共同源泉(新井第2号泉と新井第5号泉の混合)の大浴場。
独自源泉の不老泉は4〜5人が入れる大きさで、お湯の色は黒っぽい薄茶褐色。
お湯は適温で、身体が包み込まれるような肌触り。ややぬめり感があり、気持ちよい。
白い湯の花が舞う。
泉質はナトリウム-炭酸水素塩泉(低張性中性高温泉)で「純重曹泉」とうたっている。
ご主人は「伊達のお姫様が入ったこともある」と言っていた。
大浴場は20人ほどが入れる大きさで浴槽が2槽連なっていて、小さい方がややぬるめ。
肌触りがなめらかで、こちらの方も心地よいお風呂。
透明だがやや薄黄色で、無味無臭。
湯治には丁度よい加減のお湯。
夕食までの間がかなりあったので、ご主人に付近の立ち寄り湯の相談をした。
希望は川向こうの阿部旅館と告げると、電話してOKをとった上に車で送ってくれた。
● 東鳴子(赤這)温泉 阿部旅館
阿部旅館は東鳴子温泉のパンフレットに掲載されているが、源泉名は赤這温泉3号と7号源泉と書かれている。
若奥さんが先ず男湯に入った後、女の人がいないので女湯も入ってみたら?と勧めてくれた。
「貸切」の看板を戸の外側に掛けておけば邪魔されずにお風呂が楽しめる由。
男湯は「男性的なお湯」と若奥さんと評していたが、適温で入り心地はさっぱりとした肌触り。ただ、温泉力というか成分が濃いというか温泉らしい温泉という気がした。
茶褐色の濁り湯で足元が見えない。
鉄さびのにおいとやや油臭。 浴室の床もタイルが茶色い。
お湯には白と黒の湯の花が漂っており、黒い湯花は手ですくって潰してみると手にべっとりとタール状の物がつく。
分析表によると、源泉名は赤這温泉7号で、単純温泉(低張性弱酸性高温泉)とあり、湯温は44.2度とのこと。
浴槽では適温だった。
隣の女湯は男の人が入っていたので声をかけて入れてもらった。
男湯に比べてやや薄めのお湯でさっぱりとした肌触りは変わらず、硫黄臭がした。
口に含むと鉄分の味は男湯と同じように強く、湯の花は白のみだった。
源泉名は赤這温泉3号で、含硫黄-ナトリウム・炭酸水素塩泉(低張中性高温泉)で旧名は重曹硫化水素泉とのこと。湯温は68.0度で加水しているとのこと。
帰りがけに奥さんが玄関先で、「娘(若奥さん)が戻ってきたので食事も出せるようになりました」と見送ってくれた。
(阿部旅館でお見送り)
温泉がよい上に家族的な応接で心の底からぽかぽかとあたたまった。
勘七湯に戻る途中で勘七湯のご主人が車で迎えに来てくれた。
何とまあ親切な人の多いことか。
● 勘七湯の夕食
戻るとすぐに夜の食事。
(酢の物) |
(刺身) |
(ほたてのグラタン) |
(豚肉のホイル焼き) |
|
|
|
|
(エビフライと野菜天ぷら) |
(エビと鶏肉と野菜の煮付) |
(味噌汁) |
(漬け物) |
|
|
|
|
献立は以上で、華美でなくふつうの食事の味だったが、年配者の夕食としては適切で、宿の考え方がうかがえて好ましいと思った。
第2日目
● 一面の銀世界
朝起きたら一面の銀世界になっていた。
およそ10センチほどの積雪。
鳴子温泉では11月から雪が降ったらしいが、われわれにとって初雪だったのでうれしくて散歩に出た。
(雪景色7)
戻って朝食。
これも、心づくしの簡素な朝食で好ましい。
家人は湯巡りをしないで帰宅することになり、ひろさんもあと2軒の湯巡りをした後、予定より早く帰宅することにした。
● 鳴子御殿湯駅
家人を鳴子御殿湯駅に見送った。
(鳴子御殿湯駅) |
|
(鳴子御殿湯駅2) |
|
(陸羽東線の列車) |
|
|
|
|
|
その足で、田中温泉に向かった。
今回の浴場巡りで一番気になっていたのが田中温泉で、日帰り客を受け入れるかどうか、勘七湯のご主人に電話で聞いてもらっても電話に誰も出てくれなかった。
● 田中温泉
田中温泉は陸羽東線の線路をくぐって郊外方向に200メートル程の場所で、高友旅館の真ん前にある。
敷地は広く、向かって右側に二階建ての旅館らしき建物があり、玄関は開いていたが声を掛けても人の気配がない。
その左側にもやはり二階建ての鉄筋の建物があり、玄関に「出入口」の張り紙があった。
出入口と書かれた戸を開けた時、洗面器を持った中年の男の人が「お金を払えば入れますよ」と声を掛けてくれたが、ご自分は外に出て門の外に行ってしまった。
中にはいると、「入湯者 1人200円 頂きます」と張り紙があり、小銭入れがあって400円ほど入っていた。
料金を入れて玄関から上がると、年配の女性が受付の部屋に入ってきたので「入れてもらいますよ」と声を掛けたらOKの返事。
(田中温泉出入口) |
|
(受付の張り紙) |
|
(小銭入れ) |
|
|
|
|
|
玄関ロビーは広く、大浴場の札が向こう側に掛かっている。
混浴大浴場とのことだが独り占めで入った。
脱衣場に入ると中はかなり広い。
棚とプラスチック籠があり、左側に大浴場の戸。
(脱衣場) |
|
(大浴場の大きな浴槽) |
|
(大浴場の小さな浴槽) |
|
|
|
|
|
大浴場は円形(ドーナツ型)のタイル張りの浴室で中央にガラス張りの吹き抜けがある。
浴槽は二つあり、大きな浴槽は中央の吹き抜けに沿う形で吹き抜けをぐるりと取り巻き、もう一つ小さな浴槽が円形の外辺に沿って設置されている。
どちらの浴槽もなめくじのように曲線で、黒く濁った湯をたたえている。
床は滑りやすい。
大きな浴槽におそるおそる入ってみると、湯は適温で肌にまとわりつく感じ。
若干のぬるすべ感があり、入ってしまうと自分の足元も見えなくなる。
底に溜まった黒い湯ノ花が舞う。
油臭がただよい、なにやら不思議な感覚に包まれる。
小さい方の浴槽も基本的には同じ浴感。
分析表によると、泉質は田中温泉源泉(土蔵わき)/ナトリウム-炭酸水素塩泉と田中温泉源泉(堰向かい)/ナトリウム-炭酸水素塩泉とある。
湯温はともに80.5度。
このほかに女湯と家族風呂があるらしいが探訪は控えた。
● いさぜん旅館(砂善旅館)
田中温泉から鳴子御殿湯駅方向に戻ると駅前にいさぜん旅館がある。
砂善と書いていさぜんと読むらしい。
(いさぜん旅館玄関) |
|
(玄関前のお湯の効能書) |
|
(大浴場) |
|
|
|
|
|
いさぜん旅館の玄関で日帰り入浴を頼むと、ご主人が帳場の脇ののれんの先を指さして「ごゆっくりどうぞ」と言ってくれた。
帳場の裏手には、右から混浴鉄鉱泉、混浴炭酸泉の浴室があり、その左手に大浴場があって、この時間帯の大浴場は男性用。
廊下の案内板には中浴場(今は女性タイム)の方向が書かれていた。
大浴場は東鳴子重曹泉。
鳴子地区の7軒の旅館が管理する共通のお湯で、マイルドで肌にやさしい重曹泉。
新井第2号泉(動力揚湯源泉)と新井第5号泉(唐竹沢源泉混合泉)でナトリウム−炭酸水素塩・塩化物・硫酸塩泉(低張性弱アルカリ性高温泉)旧名は含食塩・芒硝-重曹泉。 湯温は74.6度。
続いて隣の混浴鉄鉱泉と混浴炭酸泉。
(炭酸泉と鉄鉱泉の説明書) |
|
(炭酸泉(混浴)) |
|
(鉄鉱泉(混浴)) |
|
|
|
|
|
どちらも脱衣場は共通で男女ともに一つの脱衣場でやや階段を下りる。
炭酸泉
左炭酸泉、右鉄鉱泉とあり、浴室の戸は別々だが中は一緒で、さらに階段を下りたところに浴槽が二つ背中合わせにあり、高い間仕切りを背にしている。
炭酸泉は四角い浴槽で4人ぐらいが限度の大きさ。
ぬるめの湯は入ると小さな気泡が肌にまとわりつく。 馬場温泉ほどの炭酸ガス量ではないが炭酸泉は気持ちよく、出た後もぽかぽかとあたたかい。
源泉は敷地内から出るいさぜんの湯1号源泉でナトリウム−炭酸水素塩泉。湯温は44度ほど。
鉄鉱泉
同じ浴室内で背中合わせの鉄鉱泉はひょうたんを半分に割ったような浴槽で炭酸泉に比べてやや熱かった。
すっきりした入り心地。
やや褐色を帯び、若干の油臭と金気臭。味は鉄分味。
源泉はいさぜんの湯3号と共同源泉(赤湯)の混合泉でナトリウム−炭酸水素塩・塩化物泉。湯温は57.2度。
同旅館のホームページでは、上がり湯として最後にはいることを勧めている。
それにしても三種類のお湯を楽しめるのはとてもよい体験だった。
また、至る所にタイガースグッズがあるので、ご主人は大のタイガースファンらしい。
かくて、東鳴子の温泉巡りは所期の目的をほぼ達して鳴子御殿湯駅に向かった。
いさぜん旅館から鳴子御殿湯駅はほんの1分で、混んだ車中の人になるのに時間は掛からなかった。
(若干の情報)
場所 | 電話 |
しんとろの湯
| 0229-87-1126 |
鳴子らどん温泉
| 0229-87-2323 |
勘七湯
| 0229-83-3038 |
いさぜん旅館
| 0229-83-3448 |
全国秘湯巡り目次/
Next 宮城・鳴子温泉
Home
|