No.147 新年会、そして...
2001年1月21日(日)
この日大学の仲間と久々に会って新年会。
ボクの急な発案だったため参加者は4人。
しかしこの日の雪によるやむを得ない事情のため1人が欠席。
結局3人だけのちょっと寂しい新年会となってしまった。
でも飲み会は楽しく改めてこの仲間の大切さを実感。
みんな大学を出てそろそろ10年。
それぞれ仕事や私生活で忙しくなってきていて疎遠になりがちだが
なんとかこの関係は続けていきたいと思う。
2次会でもすっかり盛り上がり11時過ぎに外に出るとすっかり雪景色。
新宿南口からドコモのビルが雲の中に怪しく浮かび上がっている。
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帰り小田急線の急行に乗れた。
行き先は憶えてないが江ノ島行きじゃなかったことだけは確か。
11時を過ぎた下り電車はかなり混み合いボクももちろん立っていた。
どこの駅だったかは憶えていないが、ふと目の前に座っていた人が席を立った。
別に座りたくてしょうがなかった訳じゃないが何とはなしに座る。
直後深い眠りに落ちていった。
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「...温泉」
聞き慣れないアナウンスに目を覚ます。
ん? ここはどこだ?
すでに電車は再び走り始めていて次に停まったのは「東海大学前」という駅。
寝過ごしてしまったことに気づき慌てて降りる。
時間はすでに夜中の12時半過ぎ。
上り電車はすでに終わっている。
ここはどの辺なんだろう。
小田原方面に来てしまったのは確かだが
こっちの方に来ることは滅多に無いので
いったいどれくらい遠くまで来てしまったのか見当もつかない。
不思議と深刻な気持ちにならない。
今自分が置かれている状況が妙におかしくてしょうがなかった。
きっと無意識のうちに現実逃避をしていたのかもしれない。
駅から出るとすでに雪は止んでいたが辺り一面雪景色。
見慣れない駅前の光景。
人もほとんどいないし、お店がだいたい閉まっている。
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とりあえずユキちゃんに電話。
「なんか知らないんだけど、今東海大学前なんだよね。」
そんなボクの脳天気な言葉とは裏腹にユキちゃんはかなり真剣。
どうしたらいいのか考えてくれてるみたい。
とりあえずいったん電話を切り、駅周辺を散策。
駅前ロータリーにタクシーが一台停まっている。
ドアを開け運ちゃんに
「ここから相模大野の方までいくらくらいですかね?」
「だいたい一万円くらいだね」
「!!! そ...それじゃ、いいです」
次第に事態の深刻さが飲み込めてきた。
実は今自分は大変な状況に置かれているんじゃないか?
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近くに24時間営業のファミリーレストランは有りそうもない。
まだやってる飲み屋さんはいくつかあったが
それぞれ何時までやっているのか分からないし
だいいち飲み屋で一人で朝までいるのもなんだかなー。
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ユキちゃんから電話がかかってきた。
「近くに健康センターみたいな所無いの?」
なるほど、健康センターとはいい考えだ。
一回電話を切り周りを探してみるがそんなものは有りそうにない。
再び駅前に戻るとまたタクシーが1台いる。
ドアを開けるとなんとさっきの運ちゃんだった!
「この近くに健康センターみたいな所無いですかね?」
「それよりオタクさ、いったいいくらなら出せるの?」
思いがけない返答にちょっとたじろぐ。
「お金が無いわけじゃないんですが...」
「一万円も出すのが嫌なんだ」
「はぁ...」
その時またユキちゃんから電話。
「その隣の駅の秦野のそばに皇源健康センターって所があるよ」
(後で聞いた話だがインターネットで調べてくれたらしい)
「こーげん健康センター?」
声を出してそう聞き返すと
「あ、皇源健康センターね」
タクシーの運ちゃんは知ってるみたいだ。
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結局そこに向かうことに。
途中タクシーの中で
「もし明日が休みじゃなかったら一万円かけてタクシーで帰ってた?」
と運ちゃんに聞かれる。
「う〜ん、どうしたでしょうね〜...」
「そうだな〜、オレもどうしてたか分かんね〜な」
なかなか話の分かる運ちゃんだ。
「明日の朝は、秦野駅までの無料送迎バスがあるからそれに乗るといいよ」
そこから駅まではちょっと離れているようだ。
いいこと教えてくれるじゃん。
皇源健康センターまで¥2,740。
運ちゃんにお礼を言う。
ここが皇源健康センターか。
なかなか怪しげな所だが受付にはちゃんと人がいる。
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利用料はなんとたったの¥2,000。
送迎バスの時間を聞くと、朝一番が8時50分だそうだ。
ユキちゃんに無事着いたことの報告をしさっそくお風呂へ。
家に帰れないのは不幸だがこうなってしまった以上この状況を楽しんでしまおう。
薄暗い大浴場、霧のように立ちこめた湯気で中の様子がほとんど分からない。
何人か人はいるようだ。
よく見るといろんなお風呂がある。
ちょっと赤みを帯びた感じの薬仁風呂や白い草津温泉、露天風呂もあるみたいだ。
雪の積もった中思い切って露天風呂に行ってみるがお湯が熱すぎてとても入れたものじゃない。
慌てて退散。
次にサウナに挑戦。
かなり広めのサウナだが誰もいない。
テレビではブッシュ大統領の就任式の映像が流れている。
ここの暑さがまた半端じゃない。
結構自分はサウナには強いほうだと思っていたがここの暑さは異常だ。
息を吸うだけで鼻の穴が火傷しそう。
1分ちょっとでギブアップ。
最後に入った草津温泉。
こいつは良かった。
白いお湯の独特な匂いがたまらない。
万座温泉にまた行きたくなってしまった。
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すっかりゆでだこになり風呂から上がる。
もらった浴衣に着替え施設内の探索。
時間はまだ2時過ぎ。
朝までどこでどうやって過ごせばいいのだろうか...。
風呂を出たすぐ前に大宴会場があった。
中は薄暗い。
恐る恐る入ってみると、テーブルの間にぽつりぽつりと人が寝ているではないか!
舞台の上でもマグロのように数人のじじばば共が寝ている。
ちょっとカルチャーショック。
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2階に上がり男性専用娯楽室というのがあったのでのぞいて見る。
そこは完全に真っ暗。
かなり広そうな室内のあちこちから激しいいびき声が聞こえてくる。
僕的にはかなり異様な光景。
ヒェェェェ〜!!!
ボクは本当にこんな所で朝まで過ごすのか?!
アフリカの荒野の真ん中にたった一人取り残され
周りにはライオンやらハイエナが腹を空かせながら寝ている。
そんな気分だった。
・
自動販売機でビールを1本買う。
とりあえず一息つこう。
飲み終わり思い切って娯楽室へ。
リクライニング・シートのようなものがずらりと並びそこに人が寝ている。
床にそのまま寝ている人もいる。
恐る恐る中に入り空いてる場所を探す。
あった!
両隣にはすでにおやじが寝ているがまあしょうがない。
毛布を掛けておやすみなさ〜い。
意外と神経が図太いのかこんな恐ろしい状況にも関わらずアッと言う間に寝入ってしまったようだ。
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翌朝、物音で目を覚ます。
辺りはまだ暗い。
いったい何時なんだろ。
しかし見回すとすでにほとんどの人がいなくなっていた。
さすが、慣れてる!
みんなしっかりちゃんと起きるんだ。
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まだ眠いのでウトウトしていると、どかどかと兄ちゃん数人が入ってきて
おもむろにカーテンを開け始める。
外は曇り空のようだがまぶしい。
起床の時刻らしい。
テレビもつけられNHKニュースが流れる。
7時かー。
送迎バスの8時50分まで長いな〜。
駅までどれくらいかかるんだろ。
あれこれ考えたがとにかくもう眠れそうにない。
ええい、ちょっと早いが起きてひとっ風呂浴びて帰ろう。
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また草津温泉に入ろうと思っていたのにお湯が抜かれていた。
残念。
でも朝の風呂は気持ちがいい。
再びゆでだこになりロッカーで着替え。
今度は浴衣ではなく自分の服だ。
ロビーにここ皇源健康センターのパンフレットがあったので駅までの地図をチェック。
距離感は分からないが道は簡単そうだ。
チェックアウトして外に出ると相変わらず一面雪景色。
さあ、帰ろう!
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表から改めて皇源健康センターを眺める。
やっぱり結構怪しい所。
雪の歩道をザクザク歩く。
当然周りは見たこともない景色。
そんなに田舎っぽくもなくごく普通の住宅街。
15分から20分くらい歩いただろうか。
秦野駅に到着。
初めての道なのでそんなに長くは感じなかった。
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キップを買う。
大和まで¥400。
ウチから新宿までとそんなに変わらない。
やっぱり相当遠くなんだ。
じきに電車が来る。
窓の外の景色を眺めながら、実は夕べ歩いて大和まで帰ろうかとも思ったことが
いかに無謀であったかを認識。
遠すぎる。
電車の中には必死に勉強している若者の姿が...。
そうか、今日は大学センター試験2日目だっけ。
がんばれよ! 若者。
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相模大野までたっぷり30分。
江ノ島線に乗り換え大和へ。
電車なのに結構遠かった。
うちにつくと完全な雪景色。
アパートにつきホッとしたのか再び睡魔が...。
ちょっと寝かせてもらおう。
おやすみなさい。
(新宿2次会のお店(名称忘れた)他にて撮影)
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