No.113 徒然なるままに...
2000年6月18日(日)
7月8日は僕の誕生日。
そしてその日までに免許証の更新をしなければならなかった。
そして今は梅雨。
前日の土曜日も一日中雨だった。
天気予報ではしばらく雨が続くらしい。
どうせ雨ならばと、この日免許更新に行くことにした。
日曜日の免許更新は混む。
昔の更新の時、お昼頃ノコノコ行ったら、免許証交付は夕方だったような記憶がある。
こんなことで一日つぶすのはもったいない。早く行こう。
せっかくの日曜日だけどがんばって朝8時半に起きる。
ガラッと雨戸を開けると天気予報とは裏腹に外はいい天気。
「話が違う!」
こんな日に免許更新はもったいない。
どうしようかしばらく迷ったがせっかく早起きしたんだし行くことに決めた。
・
ここら辺では二俣川試験場が一番近い。
ここはいつ来てもなぜか入り口で献血の呼び込みがある。
毎回免許更新の度に「今日は疲れているから」とか「ちょっと調子がいまいち」とか理由をつけて
後ろめたさと共に前を通り過ぎていた。
今日もそうだ。
最近仕事が忙しくて今日だって寝不足なのだ。
・
警察もだいぶシステム化が進んだのか免許更新は極めてスムース。
朝飯を食べないで来て、どうせいっぱい待たされるだろうと思い
途中のコンビニでサンドイッチを買ってきたのに、全然食べてる時間がない。
視力検査、証紙購入、写真撮影、講習とすいすい進んだ後
最後の免許証交付までのちょっとの待ち時間にやっと遅い朝食を食べることが出来た。
時間はすでに11時過ぎ。
・
日頃の安全運転がついに公に認められ、僕もやっと「優良運転者」。
金色の免許証で次の更新は5年後。
うれしい。
でもちょっと待てよ。
その時はいったい何歳だ?
・
新しい免許証をもらって外に出る。
外には相変わらず献血の呼び込みが。
一人のオヤジが近づいてきて「ささ、この機会にぜひ!」
体は嫌がっているのだが、心では「このままではいけない」と叫んでいる。
大きな弧を描くように、献血の受付へすごすご歩いていった。
実はこの歳になって献血は初体験。
針は嫌いだったし、血を何ccも抜き取るなんて事が生理的に受け付けなかったのだ。
もし僕がケガをしても輸血なんてしてくれなくて死んでも構わないと思っていた。
しかし心のどこかでは「やらなきゃだめだ」と思っていた。
でも針は恐い。
400ccも血を抜くなんてことは、とてもじゃないが恐ろしい。
受付で書いた用紙に採血量を選ぶところがあって「200cc」と「400cc」があった。
受付のおばさんが「血が濃かったら是非400ccでお願いしたいんですけど」
「血が濃いかどうかは分からないんですが...」
「ちゃんと検査するから大丈夫ですよ」
400ccにマルをつけさせられていた。
・
まずは血圧を測る。
上が136、下が75。
極めてベストコンディション。
つぎに事前の検査のための採血。
知らなかった。2回も針を刺されるなんて。
これが意外にも痛かった。
緊張のせいかもしれない。
血を採った格幅のいいおばはんが「寝不足ではないですか?」と聞いてきたので
「ちょっと寝不足気味です」
「夕べは何時間寝ました?」
「6時間」
「それで寝不足とは言わないで。いつもは何時間寝てるの?」
「いつも6時間くらいですかね(ちょっとひきつった笑)」
「じゃあいつも寝不足なのね」
「はぁ...」
ささやかな抵抗も虚しく
結局初めてにして400ccの献血をすることになってしまった。
(おばはん! あんたはいったい何時間寝てるんだよ!(心の叫び))
・
自分の番を待ってる間、奥の部屋を見る。
ベッドが10個くらいあってみんな横になって腕に管が刺さっている。
痛くないのかな。
気持ちの整理も付かないウチに「はい、どうぞ」と別のおばはんに呼ばれる。
寝かされたベッドは結構いい具合。
床屋さんにある椅子に肘掛けをつけて、さらに居心地を良くした感じ。
さっきは左腕で採血されたので今度は右腕。
肩の近くをゴムで縛って、浮き出た血管を見てここぞと決めたおばはんはまずは消毒。
あせらすなよ。
しかしその数十秒後「それじゃ始めるわね」と言って管の付いた針を腕に突き刺した。
油断していた。
ベッドに寝てる人たちがみんな平気な顔をしているので
全然痛くないのかと思っていたが、意外にも結構痛かった。
声は出さなかったもののちょっと顔をゆがめると、突き刺したおばはんも意外だったのか
「あら!? 痛かった? ごめんなさいね。今針の向きを変えたから多分大丈夫よ」
オイオイ! 針を突き刺したまま回すなよ!!
でもそれが良かったのかちょっと痛みは和らいだ。
おばはんは僕が献血初めてでかなり緊張しているのを知っているよう。
「慣れてきたら手を開いたり閉じたりしてね。血が出やすくなるから」
しかし針が突き刺さった状態で手を開いたり閉じたりするのはかなり抵抗がある。
実際それほど痛くはないもののやっぱり全神経は針の刺さった腕に集中してしまう。
痛みも感じる。
手の開いたり閉じたりがぎこちないのをすかさず見す越したおばはんは
何か暖かいお湯の入った袋をつかませてくれた。
「手が冷えると、血が出にくくなるのよね。ささやかな愛の印(ハート)」
おばはんから「愛の印」をもらってしまった。
しかし妙に嬉しかった。
結局10分くらい採血は続いた。
テレビが前にあったが、やっぱり意識は腕に集中してしまい時間は長く感じた。
途中途中おばはんが「大丈夫?」と声をかけてくれる。
その度にひきつりながら「大丈夫です」と答える。
「はい、終わりです」と言ってくれたときには疲れがどっと出てしまった。
またそれをすかさず見つけたおばはんは、「あなたは初めてだからもう少し寝ておいて」
と言ってベッドの角度を変えた。
頭が下になるように斜めになった。
「頭に血が行くように」
僕の様子を見て「この人はかなりやばい」と思ったんだろうな。
周りでこんなことをしてもらってる人は僕だけだった。
・
寝てる間、おばはんは僕の血の後始末をしている。
袋2つにパンパンにつまった僕の血が見えた。
「そんなに採ったんかい!」
ふと腕を見る。
青い血管が見えるがこの中にそんなに血がつまっているとは思えない。
そんな中から400ccも血を抜いても、人って大丈夫なんだね。
人間って偉大だ。
・
血を採った腕に包帯を巻いてもらって無料のジュースを飲んで外に出た。
何かすごくいいことをしたような気がしてすがすがしい。
僕の血、有効に使ってくれぃ!
・
せっかく天気のいい日曜日。
二俣川は、僕の住んでる大和から横浜までのちょうど中間地点。
ということでユキちゃんを呼んで横浜をぶらつくことにした。
献血の時にもらった注意事項で「フラフラしたらすぐにその場にしゃがみこむこと」というのがあったが
結局僕は極めて健康的な一男子だったようで、体調の不良はいっさいおこらなかった。
ああ、一度でいいから貧血で倒れてみたい。
・
ユキちゃんと来たワールド・ポーターズでちょっと休憩。
献血した日は水分を多めに採ることというおばはんの忠告通りビールを飲む。
(ちゃんと採決後2時間は空けたよ)
・
ワールド・ポーターズをぶらぶらした後
まだ行ったことの無かった赤レンガパークに行ってみた。
赤レンガパークが本格的にオープンするのはまだ先のこと。
行ってみたら赤レンガ倉庫の周りは工事中の壁で覆われていた。
残念。
ユキちゃんがさっきワールド・ポーターズの300円ショップで買った鏡を覗いている。
思わず撮ったデジカメの写真。
これまた傑作。
ということで今日の一枚はこれ。
凹面鏡のためユキちゃんの顔が手の上で押し広げられている。
・
この後、横浜駅近辺の洋風居酒屋で軽く飲み食いして、今日の一日は終わりましたとさ。
・
まとまりのない「今日の1日」でごめんね。
(横浜にて撮影)
・
[前号へ][戻る][次号へ]