インターネットを企業業務等に本格的に利用していく機運が急激に高まりを見せつつある中で、社会人向けにインターネットの概要・歴史・基礎的な技術説明・業務への利用の方向性の展望などについて毎日テーマを変えつつ論じていたのですが、とりわけ第10回「非営利目的の業務利用」において、私の「WWWについて −がんばれ官公庁!キャンペーン−」ページに通ずる話題を展開しており、私も大変興味深く読んだ次第です。
いわく、
- 非営利組織でこそ威力
このツールの特性を生かせば予算・人員に制約のある非営利組織(行政組織・学校・病院・研究機関・民間団体)でこそ威力を発揮できる。WWWによる情報発信は分散協調型ネットワークであるから、大量の情報を集中蓄積せずとも他のサーバとのリンクにより膨大な情報の提供ができる。
- 官庁からの情報発信
1994.8.23の首相官邸ページの開設が、各省庁・自治体・一般企業が本格的取り組みを始める先鞭づけとなった。官公庁の提供する情報は、公式の白書や組織・行事の紹介など通常の広報資料の域を出ておらず(中には研究会の議事報告など政策課題をとりあげたものもあるが)、まだ本格的な「情報公開」にはほど遠い。政府関連機関・地方自治体も取り組み始めており、中には充実した情報提供をしているところもある。米国ホワイトハウスは、首相官邸に1ヶ月遅れをとったが、今では情報の質量とも圧倒的に充実しており、主要な政策についての発表文書・正副大統領の演説原稿・記者への説明記録などが分野別に提供されている。
- 研究利用
インターネットのルーツ、研究教育での利用も活発で、欧米では理工学系のみならず人文・社会科学系でも利用が伸びている。インターネットで自分たちの研究成果を積極的に発表・公開することが当たり前になってきた。日本はこの点で相当遅れている。一般的には評価が高いはずの研究機関が、ことインターネットでの情報発信となると粗末なところが多い。学者同士の閉ざされたコミュニケーションが支配的で、外部・民間との開放的な交流、相互の知的刺激をもった対話の価値が認められていないのだ。研究成果が公開されれば企業や市民の活用が可能となり、インターネットの利用価値は大幅に高まる。そのためには研究者の間に根強く存在する「たこつぼ意識」の解消が必要だろう。
- 市民運動
グリーンピース・アムネスティなど国際的な非営利団体・環境問題等の市民団体も、グローバルな活動を実現する有用手段として活用している。「ネチズン」すなわちインターネットでの情報発信に積極的に取り組む人々が増加している。日本でも商用・地域ネットで個人ページを開設する人々が急増している。「ネチズン」の先端的意識・感性を理解することがインターネットビジネスを成功させるカギである。
さて、みなさんはこの新しい情報発信・受信ツールのあり方について如何なるお考えをお持ちでしょうか。現在の段階においてとりわけ日本の官公庁・企業等がどれほどの取り組み具合を見せているのかについては、日々報じられるニュース等を丹念に拾っていくことも有効でしょうが、まずはざっとこれらの機関の作成しているページを覗いてみるのが手っ取り早いでしょう。下記の「他のWWW ServerへのLink Page」などをチャートにしながら”ネット・サーフィング”をしてみることをお奨めします。
私個人の考えるところについては、既に一通りまとまった文章が数点このページに上がっておりますので、下記の「WWWについて −がんばれ官公庁!キャンペーン−」からゆっくりとお読み頂ければ、幸いです。その上でこのテーマについて、筆者にご意見等がありましたら、
沼田英俊: numata@sakuraia.c.u-tokyo.ac.jp
までmailをお願い頂けると幸いです。 (^_^)