山刀伐峠〜熊ノ返山〜(@山形)

2004.03.30-31

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31日

昨夜から雨も降り出し、明け方には風が強く成りだした。テントから外を見てみるとガスっていて直ぐ下の鞍部も見えない。意気消沈で再び寝袋に潜り込む。停滞したい気分もあるが今日は最低でも熊ノ返山を越えておかないと2泊3日では抜けられなくなる。天気予報では日中は晴れるが夜から一時冬型の気圧配置になると言っていた。

そうこうしている内にテントに日の光が差しだした。外を見てみるとガスがはれている。スタートは遅れたがテント撤収にかかる。晴れ間は出てきたものの風はやまない。今日は上下ともカッパを着て出発する。

08:48 P18(631m)登りから
幕営地の尾根とJPを振り返る
08:55 P18(631m) 
広い。ここは風も弱くこちらの方が幕営適地かも!
09:13 P19(640.9m)から熊ノ返山

幕営地から下った鞍部はやはり風が強めだった。P18(631m)へ50m程登る。登った所で進路を西へとる。ここからなだらかで広い尾根と言うか広いピークと言うか、そんな所を歩いていく。

P19(640.9m)から再び北進する。小ピークを越え、熊ノ返山の南の最低鞍部C20(602m)に下る。休みを入れたい時間だが今日は調子が良い。おそらく、風が有る為に体温が適度に冷却されて、昨日の様な暑さを感じない為だと思う。風が強いと言っても数週間前の青森山行から比べると暖かく、オーバー手袋不要である。

09:13 P19(640.9m)

10:03 P21(700m)、10:11〜16 C21で本日最初の小休憩とする。休憩しながらこれからのルートを考える。一カ所、気になる所ががある。P30(788m)への登りである。ここえは痩せ尾根を東から西に進む。P30は南北に延びていてそこに東西の尾根がぶつかっている。最後は尾根と言うより斜面の状態。(と地図では読めた)この条件で考えられるのはP30は東面に雪庇が張り出し、この雪庇を真下から越えなくては行けない状況だ。または、雪庇は既に崩れ落ち崖となっているかだ。

ここを越えられない事を想定して昨夜、幾つかのエスケープルートを考えていた。@熊ノ返山から東の尾根を下って杉入の集落に下りる。A熊ノ返山を北に下ったP25(700m)から北東の尾根を下って大堀(最上温泉)に下りる。BP27から東北東の尾根を下って大堀(最上温泉)に下りる。CP29から北の尾根を下って大堀(最上温泉)に下りる。だ!

09:26 C20(602mから)熊ノ返山手前のP21(700m)

いくら考えていても仕方がない!熊ノ返山に上がって見ないと懸案の地は見えない。とにかく進めだ!

長目の登りと考え事で下を見ながら歩いていた時、ふと左の視界に茶色いものが横切った。風で枯れ葉が舞い上がったのかと思ったらそれはカモシカだった。わずか2〜3mのニアミスだ。山でカモシカには良く逢うがすれ違ったのは初めてだ!通り過ぎた後もしばらく見ている。なんであんなに雪の上を走れるんだろう?体重だって俺より有りそうだし、足は(蹄)俺の足より接地面狭いし.....こんな雪山でも自由に走り回れるカモシカが羨ましかった。

10:13 P23熊ノ返山への登り

やがてP23熊ノ返山に到着。神室連峰が近づいてきた。

懸案の地は??.....ヤッパ予想通り。ヤバそうだ。でも、もう少し近づいて見ないと詳細が分からない。時間もまだあるし引き続き北上する。

11:13 P23熊ノ返山 山頂
11:22 熊ノ返山下りから北方面
左奥の白い山が杢蔵山、右が八森山 
11:35 熊ノ返山下りから振り返る
11:47  P25付近の台地状の広がり 

熊ノ返山を中心とする南北に伸びる尾根は広くなだらかな部分が多く天気さえ良ければ良い所だ。

12:24 P25(左手前)、熊ノ返山(中央奥)を振り返る

 

P26(700m)付近〔1/25000地図では698mとされている付近〕は面白い地形に成っている。698mとされている部分は平らな雪原になっている。この外周に細い尾根がグルット半周分ついている。この尾根付近はなぜか西風も弱い。湿地マークや池マークが無いので無雪期は笹原にでも成っているのだろうか?ちよっと隠れ家的場所だ。

12:29 P27(795m)登りから788mピーク 
13:17 P27 (795m) 13:17 P29 (785m)
懸案ポイントを近くで見たが、やっばりこれ以上進むのはちよっと危険かな?と思う。風もやまずに今夜一時的に冬型と言う事はこれ以上に風が強まる可能性もある。まだ2日目なのに下界が恋しくなってきた。(終始下界の家並みが見えているのも誘惑の一つだ。)
13:32 P29 (785m)から北へ延びる尾根を下る事にする。

さて、P29からの下りは最初東側が崖マークの痩せぎみの尾根。最初は雪の上を拾って下りていくが段々と急斜面になり谷に落ち込んでいく。逆に尾根に近づくとズボズボと踏み抜くし、崩れかけた雪の断面UP/DOWNが多く歩きにくい。谷の出口には何か体育館か工場の様な大きな建物があり、近くに見える。このまま谷を下ってしまおうか!と何度か心誘われるが、ここは基本に忠実に尾根筋を進む。途中で西側の雪のない藪に入る。

13:32 北へ延びる尾根・神室連峰・最上町 

藪にはいると、これはラッキー。カモシカ君達のハッキリとした獣道が尾根伝いに確認できる。ハッキリした獣道とは言っても人間の背の高さだと木の枝が多少邪魔である。しかし、足下には絡まってこないので意外と楽だ!
尾根がなだらかになる辺りで再び雪の上に戻る。広くなだらかな雪面の尾根で、ちよっと休憩しようとも思ったがまだ風が強い。もうちよっと進んでみる。今日中に本当に下りられるのかちよっと不安もあった。
P29から見た時尾根の下の方には雪が着いていなかった。藪下りで目的の地にピンポイントで到着するのは意外に大変だからだ。

13:44 藪となる
14:13 P31付近と神室連峰 

なだらかな尾根も終わり、斜度もついた細い尾根となってくる。まだ雪があり、どんどん高度を下げていく。やがて尾根形状がハッキリしない斜面になる。今日は視界が利くので磁石での確認ではなく、下に見えている大きな建物の方向に進んで行く。(カモシカの足跡も同じ様な所を下っていた。)

14:52〜15:06(445m)付近で休憩。目の前の木に赤ペンキ有を発見。よく見ると「秋田営林」の境界見出し標だった。なるほど!と一旦は思ったが何の境界だろう?今はこの尾根に市町村の境界は無いし、地形的な尾根の境界はもっと北にある尾根が主尾根だし....
とにかく後少しであの建物に下りられる。ここから下は急に雪がまばらになる。斜度があり、雪の無い斜面をプラブーツで下るのは歩きにくい。

15:09 
15:24 下りてきた所 15:24 下りてきた所

15:24 下山。下に見えていた建物が何かここで分かった。屋内プールだ。地図でこの先に国民年金保養センターがあるのは知っていたが、その奥に有るのが何か分からなかった。建物の表に回ってみると『最上町温水プール』と書かれていた。玄関には公衆電話とジュースの自動販売機もあった。ここならタクシーを呼ぶ目標になる。国民年金保養センター前まで歩いていかないで済む。携帯も繋がりタクシーを呼び、無事に山刀伐峠に車を取りに戻る事が出来た。

ちよっと消化不良と言うか、大きな課題を残したと言うか....何とかあそこの攻略作戦を立てないと奥羽山脈の南北縦断が途切れてしまう。(逆ルートで、あそこはザイル出して懸垂だろうな..)




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山刀伐峠〜熊ノ返山 山行記録    2004年 03月30日〜31日

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