青空

10/12  ここはいったい何処だろう?
       大きな公園に行こうとしていて、迷ったみたい。
       公園のすぐ近くまでは開けた道のはずなのに、
       いつの間にやら鬱蒼とした森を歩いている。

10/13  狭い歩道がなんだか怖くて、1本奥の道に入ったせいかな。
       途中の神社に寄ったあとで、方向が違っていたのかな。
       それとも、それとも、あぁ、考えてみると、
       思い当たることが多すぎる。

10/14  とにかく早くここを脱出しなければ。
       鬱蒼としている風景は大好きだけれど、
       一人でいるのはちょっと危ないかもしれない。
       このまま遭難するのも困る。

10/15  そもそも大きな公園を目指したわけは、
       大きな青空を見たかったから。
       視界全部を青く染めたかったから。

10/16  部屋で寝ころんでいたときのこと。
       向かいの家の屋根の上、ほんのちょっぴりの青が目に焼きついた。
       こんなくっきりと真っ青なのは、初めて見たかもしれない。

10/17  ベランダに出てみた。
       青い、青い、青い空。
       でも、目のはしに入る建物や電線が邪魔。
       邪魔の入らないところに行こう。
       そうだ、ちょっと歩けば大きな公園があったはず。
       あの公園には広い芝生の場所があったはず。

10/18  芝生に寝ころんで青空を見る。
       ぜいたくなひととき。
       想像しただけで、頭の中が青い色でいっぱいになる。
       はやく、はやく、公園に行かなければ。

10/19  森を歩きながら上を見てみる。
       木の緑の間に、ほんのちょっぴり空の青。
       あっ、これもけっこうきれいかも。
       ちいさな青空が、移動していく。

10/20  ようやく森からぬけて、公園にたどり着いたときは、
       青空は消えて、夕焼け空になっていた。
       赤ともオレンジとも紫ともつかない微妙な色合いの夕焼けに、
       明日は迷子にならないことを祈った。

おわり

 

>前へ >次へ
>戻る >トップへ