車種の選定
車種の設定には2つの選択になった。
最初に心引かれたのは、「ソフテイル・カスタム」だった。
スタイル、シートの仕上がり具合い、シーシーバー(バックレスト)の感じ、多くが引かれる存在だった。

そして、昔から記憶に残リ、いつかは欲しいと思っていた「ローライダー」
ハーレーのショップは国産バイクのショップと違い、特別なところであることを私に訴えていた。
ここに居ること自体が、非日常生活なのだと感じることに、あまり時間は掛からなかった。

私にとって、情報源は雑誌であり、ショップであり、ハーレーのオーナーが作っているインターネットのウェブ・ページだった。
「ソフテイル・カスタム」はブレーキやチェンジペダルが前方にあって、これが好きだというファンが多い。これを「フォワード・コントロール」ということを知った。でも、私にとってフットレストやチェンジペダルは、「ローライダー」のものがしっくりした。当然のことで、国産バイクとあまり変わらないからである。

でも大きな違いはエンジンにあった。
そう、1999年モデルとして、ハーレー・ダビッドソン社は15年振に新型エンジンを出したことを知った。
「ツインカム88」、別名を「ファットヘッド」と呼ぶ。

本当にハーレーに乗りたいの?  ハーレーオーナーの方々には、そう聞かれてしまうかもしれないが、ハーレーのことを知らなすぎた。でも本は私を純粋にするものだ。単なる雑誌でも、古くからの歴史を細かく教えてくれる。知りたい、そう思う気持ちで読みふけった。 単なる雑誌は教科書となり、ショップの方々は先生になり、短期間でハーレーのことを多く学んだ。

この1台が最初で最後のハーレーになるかも知れない。そう思うから、後悔しない車種を選定したかった。

ツインカム88のローライダーを見たい、エンジン音を聞きたい、カタログに書いていない特徴を知りたい。
あるショップで、私は偶然レッド&ブラックの1999年型ローライダーを見つけた。「きっと静かで振動が無いんだろうな...」そう思っていた私は、セルを回した後に感動を覚えた。ラバー・マウントされているエンジンとマフラーが、車体と分かれて振動する姿に驚いた。揺れている!エンジンが揺れている! あの感動は今でも忘れない。エンジン音も悪くない。 ハーレーの新型エンジンは、私の期待を裏切らなかった。名前もいい。タンク上に2連に並ぶメーターも、ローライダーだけの特別なデザイン。
「ああ、ローライダーにしよう」そう決心できた。

ローライダーの契約という非日常へ