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TRPG REPORT
No.04 「ダイスに翻弄される者達」/執筆:かに
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Update 2003/01/18
◆はじめに◆
テーブルトークも中級者、上級者となればダイスの目の確率なんていうものは体感的に覚えるものである。
それでも、そのランダムという要素に翻弄され続けている。
肝心な場面ではファンブルを出し、どうでもいい場所でクリティカル・・・。
今回はその確率を計算してみました。
あまり確率にとらわれるというのもどうかと思うので、参考にしてもらわない方がいいのかもしれません。
◆表記について◆
ここではダイスの表記をxDyと書くことにします。
xはダイスを振る個数を。yはダイスの面数を表します。
2D6の場合は「6面体ダイスを2個振る」という意味になります。
計算した結果は端数をあいまいに処理しています。
それにより本当は100%ではないのに端数処理で100%になっていたりなどします。
また、システムによってはクリティカル・ファンブルという処理がありますが、ここでは考えません。
◆その1:2D6の確率◆
テーブルトークでは2D6で判定するシステムは多数ある。
2D6を振って、その目を合計するというルールである。
その後、その合計値とボーナス(能力値など)を足した値で大きいほど良い成功というルールである。
国産のルールはこのタイプが多いような気がします。
6面体のダイスというのが入手しやすいということもあって浸透しています。
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2D6 | 確率(%) |
2 | 100.0 |
3 | 97.2 |
4 | 91.7 |
5 | 83.3 |
6 | 72.2 |
7 | 58.3 |
8 | 41.4 |
9 | 27.8 |
10 | 16.7 |
11 | 8.3 |
12 | 2.8 |
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確実に成功したいのならダイス目5を目安にするという話はよくあります。
上の表を見れば解る通り、「ダイス5以上というのは5回に1回ぐらいは失敗する」のです。
これが大きいと思うか小さいと思うかは人それぞれですね。
2D6では7という数値が出やすいご存知の通りでしょう。
ただ、7以上といわれた場合確率は60%に満たないのです。
目標値7というのは結構カケの要素が強いと言う事になります。
◆その2:2D6の確率(応用編)◆
2D6を2回振って良いほうを使用するというスキルは結構存在します。
そこで2回、3回振った場合の確率も計算してみました。
参考の為に1回の場合(上の表と同じ)も載せておきます。
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2D6 | 1回 | 2回 | 3回 |
2 | 100.00 | 100.00 | 100.00 |
3 | 97.22 | 99.92 | 100.00 |
4 | 91.67 | 99.31 | 99.94 |
5 | 83.33 | 97.22 | 99.54 |
6 | 72.22 | 92.68 | 97.86 |
7 | 58.33 | 82.64 | 92.77 |
8 | 41.67 | 65.97 | 80.15 |
9 | 27.78 | 47.84 | 62.33 |
10 | 16.67 | 30.56 | 42.13 |
11 | 8.33 | 15.97 | 22.97 |
12 | 2.78 | 5.48 | 8.10 |
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グラフを見てもらうと解る通り、7付近の目標値の場合にはそういったスキルの効果は高いということになります。
もちろん「より高い目」を出したい場合にはスキルを使っていくべきでしょう。
しかし、「3回振って目標値」という場合、2回と比べて効果が薄いようです。
「3回振る」スキルを1回使うよりは「2回振る」スキルを2回使った方がお得な感じがします。
(もちろん、必ず成功させたい場面なら3回振りを使うべきなのは言うまでもありません。)
注意して欲しいのは「失敗したら振りなおす」スキルを使った場合に確率が上がる、という事ではありません。
あくまでも失敗後の振りなおしも「1回振り」なので確率は変わりません。
(確率上昇という使い方ではなく、再挑戦できるという意味で十分使えるスキルです。)
◆その3:1D100(SwapDice)の確率◆
10面体ダイスを使い、片方を10の位、もう一方を1の位で読んで判定値以下を出すシステムも多数あります。
1〜100の目が出るダイスで目標値以下を出す確率はその目標値と同じになるので判断しやすいと思います。
某システムにおいて「10と1の位のダイスを入れ替えても良い」というシステム「スワップ」というのがあります。
なかなか面白いシステムだと思うので、これも確率を計算してみました。
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1D100 | 確率(%) | 1D100 | 確率(%) |
5 | 10.0 | 55 | 75.0 |
10 | 18.0 | 60 | 83.0 |
15 | 27.0 | 65 | 83.0 |
20 | 35.0 | 70 | 90.0 |
25 | 42.0 | 75 | 90.0 |
30 | 50.0 | 80 | 95.0 |
35 | 55.0 | 85 | 95.0 |
40 | 63.0 | 90 | 98.0 |
45 | 66.0 | 95 | 98.0 |
50 | 74.0 | 100 | 100.0 |
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スワップをしない場合直線という単純な確率上昇となるのに対し、多少弓なりになるようです。
ダイスの目がどちらも同じ時にはスワップしても効果が無いという事で綺麗なグラフにはならないでしょう。
目標値30の時点で50%、つまり2回に1回は成功するという確率を考えると
「目標値が低い場合に数値以上の確率で成功する」
という事でしょう。実に面白いグラフです。
◆その4:xD20の確率◆
20面体ダイスを振って目標値以下を出すというルールも存在します。
ダイス値と目標値を5倍すると100面体ダイスを使った目標値%判定と同じように考えられます。
それでもD100という判定方法は100面体ダイスを使うか、10面体を2個使う必要があるので不便という事もあり、
D20の方がわかりやすいという利点もあります。
また、判定値=確率という風にじかに判定値がわからないので確率に捕われにくいというのも特徴ですね。
ここでは某ルールの様に20面体を数個振って目標値以下をだすという確率を計算してみます。
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xD20 | 1D20 | 2D20 | 3D20 |
1 | 5.00 | 9.75 | 14.26 |
2 | 10.00 | 19.00 | 27.10 |
3 | 15.00 | 27.75 | 38.59 |
4 | 20.00 | 36.00 | 48.80 |
5 | 25.00 | 43.75 | 57.81 |
6 | 30.00 | 51.00 | 65.70 |
7 | 35.00 | 57.75 | 72.54 |
8 | 40.00 | 64.00 | 78.40 |
9 | 45.00 | 69.75 | 83.36 |
10 | 50.00 | 75.00 | 87.50 |
11 | 55.00 | 79.75 | 90.89 |
12 | 60.00 | 84.00 | 93.60 |
13 | 65.00 | 87.75 | 95.71 |
14 | 70.00 | 91.00 | 97.30 |
15 | 75.00 | 93.75 | 98.44 |
16 | 80.00 | 96.00 | 99.20 |
17 | 85.00 | 97.75 | 99.66 |
18 | 90.00 | 99.00 | 99.90 |
19 | 95.00 | 99.75 | 99.99 |
20 | 100.00 | 100.00 | 100.00 |
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グラフでは5D20まで表示してますが、面倒なので表の方は省略・・・。
このグラフを見ると「目標値を−2する代わりに振るダイスを増やす」等のスキルの利用価値がわかるというものでしょう。
目標値があまりに低い時には効果が低いという事になります。
でも、1がクリティカルというならスキルを使う価値もありますね。クリティカルの確率は上がるでしょうから。
◆終わりに◆
確率計算という面倒な作業でしたが、満足いただけたでしょうか。
プレイヤーとしてダイスを振るときは頭の片隅に確率がよぎるものです。
それでも数値に捕われず、知恵とうまい演出で乗り越えられたらと思うこの頃です。
それでは。
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