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第4話:必要な物をそろえよう 後編続き
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登場人物
堂 : 堂山 淳
レ : レティ

堂:「多分この辺だと思うんだけど・・・。」

レ:「堂山さん。あれじゃないですか?」

レティが指差した先には店の看板があった。
言われたとおりビルの間の狭い階段を上った場所にある店。
こんな場所じゃ、知らない人が来ても見つけられないだろう。
店に入ってみると所狭しと品物が並んでいる。
奥のテーブルではカードゲームをやっている人たちがいる。

堂:「テーブルトークのルールブックってどこにありますか?」

僕は店員さんを呼び止めて聞いてみた。

店員:「そちらになります。新作はこっちにも置いてありますが。」

といって、教えてくれた。
教えられた場所の本棚にはルールブックの本がぎゅうぎゅう詰にされていた。

レ:「この世界にも結構あるんですね。」

レティはルールブックをいくつか手にとってそう言った。
そういえばレティはこれだけテーブルトークについて詳しいんだから、 異世界にもテーブルトークってあるんだなぁ。

堂:「こんなにあるとは思わなかったから、迷うなぁ・・・。」

レ:「時間はあるんですから、ゆっくり決めたほうがいいですよ。」

そういいながらもレティは次々と本をとって眺めている。
とは言われても本にはビニールがかかってしまっていて中が読めないから、 表紙と裏表紙にかかれてる事だけで決めなきゃならないのが難しい。

?:「淳、決まったのか?」

と、ふいに後ろから声をかけられた。
振り向くとマサル兄貴(以降、勝)がにやにや笑っていた。

堂:「あ、兄貴。来てくれたんだ。」

勝:「初めて買うには色々困る事もあるかと思ってね、来てみたんだけど、女の子と一緒に買い物なんて、お前もやるなぁ〜。」

堂:「いや、あのさ・・・。」

勝:「デートか?」

レ:「はい。」

堂:「いや・・・そんなつもりじゃなかったんだけど・・・。」

僕は小声でそう答えたが、レティには聞こえなかったようだ。
レティがあさ、「着てく服が決まらない」とか騒いでた理由が分かった気がした。

レ:「レティです、はじめまして。」

しかし、レティは何事も無かったかのように受け答えている。
まぁ、それでもいいです、もう・・・。

勝:「俺はマサル。こいつの従兄弟だよ、よろしく。」

マサル兄貴にも相談に乗ってもらって僕は結局、一冊のルールブックに決める事が出来た。
それはレティが最初にこの世界にやってきたときのルールブックと同じ物で、
最近になって改良されたという風に説明してくれた。
そういえばあれは箱に入っていたのに、こちらは本になっている。
このルールブックは6面体のダイスを2個使う一般的なファンタジーのタイプのものだ。
やはり、最初はこういったものの方が遊びやすいだろうという兄貴の助言があったからだ。

レ:「次はダイスですね。これなんか綺麗ですよ。」

そういってレティは半透明のダイス(クリアダイスと書いてあった)を持ってきた。
一般のゲームについて来るダイスと違って大きくて見やすい。
しかもよく使う6面体のほかにも4面体から20面体など変わった形のダイスが売っていた。

レ:「これなんかめずらしいですよ。」

といって見せてくれたのは・・・100面体。ほとんど球体と言ってもいい。
試しに振ってみたら全然止まってくれなかった。

堂:「どのくらい買えばいい?」

レ:「プレイヤーの人数分あればいいと思いますよ。」

勝:「後、GMをお前がやるならその分も必要だな。」

堂:「そんなに買うお金ないよ・・・。」

勝:「まぁそれなら、そこの一般的なダイスにすればいい。安いからな。」

といって指差した先には、白のシンプルなダイスが売ってあった。
クリアダイスと比べると値段も手軽だし、こっちなら大丈夫だ。
10個も有れば十分だろうということで購入する事にする。
本来ならダイスは各自で持ってくるのが一般的だから、そんなに数がいるものでもないらしい。

レ:「メタルフィギュアもキャラクターの位置を表すのには便利なんですけどね。」

といって店の片隅にある、メタルフィギュアのコーナーを見る。
そこには戦士とか魔法使い、モンスターといったキャラクターの人形が並べてある。
金属で出来ているだけあって重量感がある。

レ:「でも、別に他の物でも代用きくものなんで今すぐ買う必要はないと思います。」

勝:「消しゴムでもおはじきでも、見分けがつくものなら問題ないしなぁ。」

堂:「他に必要な物ってある?」

とりあえず今買おうとしているのはルールブックとダイスだけである。

レ:「それだけあれば十分、出来ますよ。後はあったら便利な物という感じですから。」

そういわれたので僕は手にもっていたものを会計してきた。

堂:「助かったよ兄貴、いろいろ相談に乗ってくれて。」

勝:「まぁ別にどうってことないさ。そういえば、忘れてた。」

といって自分のカバンから小さな袋を取り出して、渡してきた。

勝:「友人からダイス貰ってきたんだ。6面体じゃないのばっかりだけどな。」

中にはいろんな種類のダイスが入っていた。

堂:「こんなにいいの?」

勝:「いらないって言ってたしな。そいつ。」

堂:「ありがとう、ほんとに。」

マサル兄貴とはそこで別れ、僕とレティは家へと向かった。
帰り道の途中でコンビニに寄った。
キャラクターシートを準備しておいた方がいいとレティに言われたからだ。
紙に書かれたものの全く同じ物を即座に作ってくれる装置、コピー機にレティはかなり驚いていた。
こういった機械はレティの世界に無いのかもしれない・・・。
僕たちはついでにお菓子などを買って店を出た。

レ:「今日は楽しかったですね。ありがとうございました。」

堂:「そう?レティには色々教えてもらったし、感謝するのはこっちの方だよ。」

レ:「いえいえ。」

堂:「これで一通り道具はそろったんだけど、これからが大変なんだよなー。」

レ:「そんな難しく考えずに気楽にやればいいんですよ。」

レティはこっちの世界の常識なんて知らないものかと思っていたけど、日常に不都合が無い程度には知っていた。
そういったことを一から教えてあげなきゃきゃならないかと思っていたから、本当に助かった。
今も信号が赤になっていたので、きちんと待っている。
僕達の所に1匹のネコが近づいてきた。

?:「にゃあ?」

見ると、足元には真っ白いネコがいた。
普通のネコと違う所といえばは左右の目の色が違う事。
背中に羽が生えていた事と、額に3つめの目が光っていた事だ。
ネコって呼んでいいのかなぁ・・・。

レ:「あ、シグナルじゃないですか。お久しぶりです。」

レティは慌てることなくネコを呼んだ。どうやらシグナルという名前らしい。

堂:「知り合い?」

レ:「はい、自分の世界でのお友達です。珍しい幻獣さんなんですよ。」

幻獣?ドラゴンとかと同じようなものか、そう自分に納得させた。

レ:「この子連れ帰っていいですか?」

堂:「うーん。おじいちゃん達がなんていうか分からないから。」

レ:「シグナルは頭いいですし、変わった力も持ってるし、凄いんですよ。」

堂:「変わった力って、なに?」

レ:「危険を予知した場合、額の目が光って教えてくれるんです。」

やっぱり、異世界のネコはちがうんだなぁ〜って、今光ってないか。
交差点の反対からもの凄いバイクの音が聞こえてきて、僕は反射的にレティの腕を引っ張った。
シグナルはレティに抱っこされていたので一緒にぴっぱられた。

暴走してきたバイクはブレーキ音を上げて今レティがいた場所を走っていった。
通り際に「あぶねーじゃねーか」という罵声を浴びせられたが、どう考えても向こうが悪い。
向こうは完全に信号無視だし、速度も守ってないんだろう。

堂:「レティ、大丈夫?」

レ:「はい、大丈夫です。」

その日、おじいちゃんの家に新たな居候が増えた。

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