以下、以前のサイトが黒かった頃の文書を抜き出し。





このところ、日々の出来事を書き連ねると言う、
本当に日記らしい日記を書いてましたが、
たまにはこんな事書きたくなる日もあるんです。

以下、何も考えずにキーを叩きます。
酔ってますので読み返しもしません。
誤字脱字上等。読み飛ばし推奨。


大学生の頃のとある晩。
扉がコンコンと小さく鳴らされました。
出ると、同じバイト先の女の子。
「や」ちょっと部屋の中を見やり「いい?」
「あ、えーよえーよ」と彼女を部屋に上げました。
彼女はビニール袋を下げており、がさがさと中から箱を2つ出しました。
「はい、仙台のお土産」
「お、サンキュ」
お土産は「山菜ラーメン」と「笹かまぼこ」でした。
「こんなにぎょーさんエエの?」
「いいのいいの」
「晩御飯は?」
「たべてなーい」
「じゃあ、このラーメン食おう」
「やったー」
台所に立ち、鍋を火にかけ
「仙台どやった?」
「うん、あのねー」
とかそういう会話をした後、ラーメンを出しました。
レトルトの山菜を上に開けると、ぷーんとにんにくの匂い。
2人で笑いながら「ニンニクは山菜か」と言う話をしながらラーメンを食べました。
ウチにはラーメン丼が一つしかなかったので、
ソコから小皿に取る形で、2人で一つの丼を突きました。

当時の私たちには物が無くお金も無かったけど、愛があった。
みたいな展開には全然ならず、

彼女はポツリと「このラーメン**(彼氏の名前)にと思って買ったんだけどね」と言いました。
「おいおいおいおい」と言いかけた私を遮り、
「なんかね、山菜は嫌いなんだって」と言い、ずずと麺をすすりました。
「これはどっちかと言うとニンニクラーメンかな?」静かに私は言いました。
「うん、でもやっぱり食べてくれないよ」投げ捨てるように言うというのはこう言う風なのだろうなと思いました。

そんな彼女を私は放っておける訳も無くそっと肩を抱き、
みたいな展開にも全然ならず、

「大体いつもさぁ」と彼女はけたたましく捲くし立て始めました。
どうやら、彼氏と喧嘩してウチに来たんでしょう。
その彼氏は近所に住んでましたし、私とも仲が良かったし、
以前にもこんな事は何度か有りましたし。
その時はひときわ長く彼女は「分かってくれない彼氏」について私に訴えました。
曰く、約束したのに覚えていない。
曰く、機嫌のいい時と悪い時の差が大きい。
曰く、自分勝手だ。
等など
100 円ショップで売っている物を高い店で買ってくる。
と言うことまで出てきたと言えば、どれだけ長い間言われたか分かると思います。

そして、最後に彼女は確かに言いました。
「それにね、何回も何回もZガンダムの最終回見るの」
「は?」
「ぜーたがんだむ?でイインだよね?」
「うん」
「アレのね最終回。カミーユって子がおかしくなっちゃうところ」
「流れ星がどうとか?」
「違うの、こう」とカミーユがトンだ後の台詞をスラスラという彼女。
淀みなく身振りも交えて台詞を言う彼女の様子に、何度も見せられた事への説得力を感じました。
「なんで男の人ってみんなガンダムが好きなの?」
と PC ディスプレイの上の私が作ったリックドムUに視線を投げかけ言う彼女。
うーーーーーーん。
「それはなぁ…」
「YUD さんも %%さんも ¥¥さんもガンダム好きよね?」とバイト先の仲間の名前を挙げる彼女。
「うーーん、ホラ、ウチの大学はオタクばっかりやからなぁ
 それに、やっぱガンダムってみんな見てたのよ
 キミだって小さい頃に友達みんなが見てたアニメがなんか有ったでしょ?」
「あったけど、今になってビデオをあんなに何回も見ないもん」
「うーーーーん…」
「別にね、見るなって言わないけど、気が付いたらいつもガンダム見てるんだよ?」
「うーーーーん…」
それはガンダムが原因じゃないんじゃないのか?
キミは結構甘えたがりで、オレはそういうのはかわいいと思うけど、
ヤツはそうは思わなそうだなぁ…
きっと、ウザいからそれから逃げるためのガンダムなんだろうなぁ。
けど、どんな言い方すれば納得して貰えるかなぁ…
と考えましたが、ちょっと考えて諦めました。
原因は彼にあり彼女にも有るのでしょう。
けれど、ココはガンダムを悪役にしてしまえば丸く収まるんじゃないか?
そう思いました。
スミマセン、非常に浅はかですが、本当にこう思ったんです。
なので、私は彼女にとうとうと話しました。
ガンダムが如何に素晴らしいか、如何に良く出来ているか、如何に我々の心を掴んで話さないか。
彼女は最初こそフンフンと聞いていましたが、
だんだんどうでも良いようになってきたみたいでした。
それは分かっていたのですが、行きがかり上簡単に止められず、
また、きっかけが掴めず話を止められませんでした。
どうやって止めたのかもう覚えていませんが、
その直後のシーンとした部屋の雰囲気、心に沸き起こる苦い後悔の念は今でも覚えています。
「コンビニに行って来る。何か要る?」
急に彼女は言いました。
「俺も行くよ」
外は非常に寒く、吐く息が真っ白でした。
黙ってコンビニまで歩きました。
彼女は細々と何か買い込んでいましたが、私は新製品の缶紅茶を選びました。
紅茶花伝のミルクティーでした。
「一緒に払っちゃうから」とカゴを突き出す彼女に缶紅茶を渡し、外に出ました。
オリオン座が頭上で輝いていました。
出てきた彼女から缶紅茶を受け取り、代金を渡そうとすると「今日はいいよ」
「なんで?」
「お礼だよ」
「お礼?」
「うん、やっぱりね。私、ちょっとウザい女かもしれないね」
「…」
「それが**は嫌なのかもね」
「そういう"甘えたさん"がかわいいって言う人も多いと思うけどね…」
「ふふ、ありがと」
「ん」
「あのね、電話貸してもらえる?」
「ええよ」
「ちょっとね**に掛けてみる」
「うん、そうしぃ」
家に帰り、彼女は彼氏に電話をかけ、(ああ、この頃は携帯はあんまり普及してませんでしたよ)
そしてコンビニで買った物をまとめてからウチを出て行きました。
閉めかけた扉から首だけ出し「今日は本当にありがとね」と言って。
窓からオリオン座を見ながら初めて飲んだ紅茶花伝のミルクティーは私にはちょっと甘すぎるように感じました。
けれども、その暖かさは体に染みました。

今夜、駅から家まで歩く途中で
紅茶花伝のミルクティー買って飲みながら帰った時に思い出した話。
オリオン座と缶紅茶の組み合わせで思い出しました。
相変わらずこの缶紅茶は私には甘すぎるように感じますが…