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隠れ軍オタ黙示録 葛藤編




始めに断っておきますが、
ハタチさんには彼氏が居ます。
話の折に出て来るのを聞いてると、仲良くやってるようですよ。
つか、どうも彼女の中での私の位置付けは「優しいお兄さん」であるようなので
この文章を読んでの USK 氏辺りの下衆い反応は全くの的外れだ!
と言うお断りを理解した上でお読みください。
そもそも、今回の話の主題はそんな事じゃあない訳でして。

先月中ごろのお話。
昼休みに SEK さんが
 「YUD 君、こんなの知ってる?」
と海自の観艦式のビラをピラリ。
 「お、知ってますよ。ってかもう応募葉書送ってます」
 「へぇ、流石だなぁ」
そこへハタチさん。
 「なんですか?これは」
 「海上自衛隊の公開訓練ですよ。小泉首相とかも見に来ンのよ」
 「へえー」
とビラを見る。
 「かっこいいですねぇ。この絵」
 「そう見えるやろ?実際乗ってみ。酷い揺れですよ?」
 「う…」(船酔いするタチ)
 「特に訓練は外洋でやるからさ。そらもう揺れる揺れる」
 「ううー」
 「あ、でも、前日は港に停泊して満艦飾っていうの?
  ちゃんと飾り付けして綺麗らしいよ」
 「あ、そんな事もするんですか」
 「うーん、サイトにあったな」
と観艦式のサイトを開く。
 「こんなんこんなん」
 「へぇーこうやって飾り付けるとお船!ってカンジですねぇ」
 「うはは」
 「あ!今の何ですか?
 「ん?これ?電灯艦飾ってつまりはイルミネーションやね、綺麗やねぇ」
 「キレー!いいなぁ、見に行きたい…」
 「フム…」
 「これ何処でやってるんですか?」
 「んーーこの辺だとみなとみらいが近いかな?あ、地図ここにあるわ」
 「あ、ホントだ。ちょっと離れてるけど行けそうですね」
 「うん」
 「へぇー、こんなのあるんだぁ」
 「うん何年かに一回やってる」
 「へぇー」
 「うん」
 「ふーん」
 「……見に行ってみる?」
 「え!良いんですか?」
 「いいよ。オレも見たかったし」
 「やったぁ!絶対ですよ?」
 「オーケーオーケー、行きましょう」
 「電気点くのは暗くなってからですよねぇ?
  じゃあですねぇ、それまでみなとみらいでお買い物したいです。
  赤レンガ倉庫も行きたいです」
 「フム…」
 「その後、紅茶の美味しい所に案内しますよ?」
 「よっしゃ!決定、行きましょう」
 「わぁい」
というやり取りがあった。
以前の血涙編でも書きましたが、
私には、軍事と女の子というのは水と油のように相容れないものなので、
会話中にあんなカンジのなんだか変な間が無ければ決してあんな事言い出しはしません。
なもんだから、「見に行ってみる?」の前の「……」には
そりゃもう色んな事考えた事を察してください。
 良いんですか?
 お嬢さん、これは軍艦ですよ?
 人殺しの武器満載のフネですよ?
てなカンジで。
ぶっちゃけ、彼氏に連れてって貰えよ!とかも思った。
でもま、確かに電灯艦飾は見たかったし、
改装された赤レンガ倉庫も行ってみたかったし、
何よりおいしい紅茶屋さんも教えてもらえるのでラッキーてのが正直な感想でした。

で、その日の夜。
何気なく観艦式のサイトを眺めてたら、
!!!!
背筋に電撃が!
みなとみらいに来て電灯艦飾するのって、おおすみ型強襲揚r輸送艦じゃないか!
それの最新鋭3番艦「くにさき」!
 よっしゃ!こりゃあチャンスだぜ!
 その辺の護衛艦は観艦式で何度も乗ってるけど、こいつは中を見たことない。
 昼間には艦内開放するだろうから、中見に行ってやれ。
 運がよければ LCAC も見れるかも。
とまで考えて、ハッ!
午後はお買い物にお付き合いするんじゃん…
ああーどうしよう!
女の子と買い物&お茶と「くにさき」艦内見学!
ああーどうしよう!
つまりだ!もうね、分かる人には分かってくれると思う。
重度の軍オタにとって、この二つは天秤にかけると驚くほど拮抗するんだ。
そりゃもう、天秤の腕に水平儀置いても分からん位に!

って、オレのアホー!
もうね、出来る事なら自分自身の真正面に立って、渾身の力で殴りつけたい。グーで。
キチガイデブオタにとって女の子とお茶と輸送艦見学、
どっちに重きを置くべきかというと、そりゃもうお茶ですよ!?
だって、フネなんかいつだって見れるじゃん!
ここはお茶です!断固としてお茶を選ぶべき!
なのになんだ!この体たらく。
水平儀とか置くまでもない、結果は始めっから決まってる!
なのに!

やっぱり「くにさき」も諦めきれない…

もうね、小1時間問い詰めたい。
お前はそれでいいのか?
昔のハングリーさはどうしたよ?
電話してきた女の子を迎えに行くために
夜中に原チャで厚木から平塚まで走ったじゃん?無免で!
それが輸送艦か?「くにさき」か?
全く嘆かわしい!
今後一週間は懲罰房に入って、よく頭を冷やすんだな!

と言う葛藤がありましたよ。ええ、そりゃもう壮絶な。
で、その壮絶な葛藤の結果出た結論といえば、
午後はお買い物に付き合うとして、
午前中に「くにさき」見に行けばいいじゃん!
と、ええ、ホントにこんな結論。
あー、懲罰房に一ヶ月ですか?



そろそろ懲罰房から出られそうになった「くにさき」公開数日前。
ハタチさんが「船見に行くの何時にします?」と。
「うーん、電気点くのは6時からです。
 それまでに買い物して晩飯食うとして、逆算するとどれ位?」
「うーーーーーーん、2時くらいかな?」
そんな長い間買い物するつもりなのか…と思うも、
どうせ午前中から出張ってるんだしいいかと思い直す。
「おっけー、じゃあそれくらいに桜木町駅で待ち合わせるか。
 先に着いてると思うから着いたら電話してね」
「あれ?何か用事ですか?」
「あ、いや、フネの中見れるって言うから見てこようかと思って」
「えー、じゃあ買い物の途中で見てもいいですよ?」
「うわマジで!?」
「ええ」
「アンタホンマにエエ娘や…
 じゃあ、申し訳ないけどちょっと寄り道させてな」
つーワケであっけなく「くにさき」へ同行が決定。
この直後に思った事は
あ、同行されたら艦の装備品とか
片っ端からデジカメでパシパシ撮り辛いなぁ。
嗚呼、誰かオレを殺して…


ま、そう思ったにも関わらず
結局パシパシ撮って来たわけですが!
オモロイなと思ったところをご紹介。
艦の右舷側サイドドアです。
なんてーか、喫水線上とは言え艦腹のこんな位置に割れ目が有って良いのか?と思いますな。


その内側から。
格納庫内の指揮所?と横のはサイドドアの内側に上げられたスロープです。


恐らく臨時乗り組みの陸自の人たちのためと思われるベッド。
いわゆる蚕棚です。
ハタチさん曰く「こんなトコで寝るなんて有り得ない!」


艦尾側から艦首を望む。
マストがステルス形状ですな。


陸上自衛隊の洗濯車。
なんつーか、普通の洗濯機を括り付けただけのような…


ちなみに洗濯機は日立製。


艦首側ファランクス。
砲身支持架の為か短砲身に見えるな。


艦首から艦橋を望む。
かなり横幅のある艦だという事が分かります。


オマケの軽装甲車のドア鍵穴。
迷彩模様にマッチした蓋付きです。



そしてフネを降りた後はワールドポーターズをウロウロ。
インテリアのフロアはなかなかオモロイね。
後、マロンラテはかなり美味かった。コールドがお勧め。
みなとみらいで飯食った後、再び埠頭に戻り電灯艦飾。
一隻だけでドデカい「くにさき」より、
「あさゆき」「ゆうぎり」の2隻の方が綺麗でしたよ。

ちなみに、この周辺はかなり自分らの世界に入り込んでるカップルが多くて、
「うわ!あの人達凄いですよ?」とか高校生並みな会話をする。
アホかオレらは…

でこの後、横浜ルミネに戻りお茶してから帰りました。
家に帰って思ったけど、なんつーの?スゲェ疲れた…
別に買い物に付き合ったりすんのは苦でもなんでもない。
つか私個人的には嫌いじゃない。いろいろ面白ろかった。
じゃあナニが疲れるって護衛艦の中でですよ!
前述のように軍女不仲説の信奉者である私には、
「ご足労頂いている」位の思いなので、とにかく気を使う。
フネの中は女の子が喜びそうな物は皆無だから気を使うし、
フネの通路は狭い上に突起物多いから気を使うし、
フネの階段は急だから気を使うし、
迷子になられると困るので、オレがフラフラ歩き回るのにも気を使うし、
写真撮るのも気を使う。あ、別にこれは使わなくとも良いんだけど、なんとなく…
別に当のハタチさんはニコニコしながら後ろを付いて来て、
初めて乗り込むもんだから「へぇー」の連発で特に不満そうでも無さそうだったんだけど、
それでもオレは気を使う。
つーか、船の中でのオレの気の使いようは尋常じゃなかったね。明らかにおかしかった。
「そこ出張ってるよ」
「足下気を付けて」
「階段は後ろ向きの方が良いよ」
「鞄持とうか?」etc etc…
なんてーの?中学生同士カップルの初デート並に気を使って使って使って、挙句気疲れ…
ワールドポーターズとかでは全然普通で、
気を使ったのは艦内にいる間だけだったのに、もう心底グッタリですわ。
折角付き合ってくれたハタチさんにはなんの罪も無いし、
完全にオレの勝手な言い分で申し訳ないけど、

ヤッパこの手のイベントは話の分かる野郎だけで行くに限る、
とつくづく痛感した一日でありましたよ。


でもま、
軍オタお姉さんの同行であればもう全く何も言う事は無い訳ですが!



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