私が初めてブリタニアに「化身」を作ってから、早いもので既に 3 年と 3 ヶ月が経過してしまいました。始めた当初は、私が使っていたマシン、そしてインターネットへの接続環境は共に劣悪で、プレイに耐えられるものではありませんでした(馬に乗って走っているつもりでも、普通に歩いている人に追い越されるくらい…)。そんなこともあって春過ぎまではほとんどプレイせずにいたのですが、私をブリタニアへと誘った Alf に「家を買ってやるから Wakoku へ来い」と言われて、それまで出来たばかりの Hokuto シャードにとりあえず棲息していた私のプレイが一変したのでした(マシンもリニューアルしてたし、プロバイダも変更してたしね。当時は街の直近でもなければ土地はあったし、リッチを箱で囲むという方法で Alf の財布も相当ゆとりがあったらしいです)。
今回は、そんな私が見てきたウルティマ・オンラインの移り変わりと、私が思うことについて書いてみようと思います。
3 年前のウルティマ・オンラインは、何でもできる自由な雰囲気に溢れていました。そして、今からは考えられないほどにプレイしづらいものでした。見方を変えれば、アメリカの西部開拓のような、フロンティア的なあらゆる可能性が見え隠れする、私にとって非常に魅力的なものでした。
そういう荒削りな UO への色々な新機軸の導入や、プレイアビリティの改善は、DD を中心とした発売当初からのデザイナーにより、程よいスピードで小出しにされ、プレーヤーに UO の可能性を感じさせると共に、プレーヤーを飽きさせませんでした(導入直後にバグがたくさん出ていたのは今と変わらずですが)。当時の日本語によるウルティマ・オンラインの情報源というと、うるうるや NICOLE HomePage 等でした。これらのサイトの更新を非常に楽しみにしていたものです。HoC や DevBoard でも、そういう開発者が開発信念を貫きつつもユーザーの意見に耳を傾ける姿勢が伝わってきました(英語から日本語に変換するという部分で闇に消えるニュアンスがあったとしてもね)。
そして DD の自宅が火事になり、その後間もなく DD は EverQuest へと移籍して、リードデザイナー SunSword・リードプログラマー Runesabre の時代へと変わりました。この頃から、私自身でも英語のオリジナルのコメントを読むようになりました。この 2 人の体制で「クリーンアップ・ブリタニア作戦」と「ウルティマ・オンライン ルネッサンス」が行われました。この大規模なイベント(?)構想を発表し、その大規模加減からかスケジュール的にだいぶ信用できなくなりました。それでも「これから UO はどうなっていくのだろう?」という期待感を、きっと多くの人に抱かせていたに違いありません。2000 年 7 月、トランメルの宅地解放がようやく実現したと同時に SunSword は UO を去り、Runesabre は UO に止まったものの姿を消しました。
SunSword に変わってリードデザイナーに就いたのは Sage でした。Sage はこれまでのリードデザイナーとは異なり、GM 経験をした人物でした。UO の舵取りが、開発者から運用者へと移ったのです。開発チームにいわゆるコア・ゲーマーが多数加わったのもこの時期です。良し悪し様々などっしりとしたコミュニティを既に築いていたベテランプレーヤーの中に入っていく新規プレーヤーに対する、Haven・コンパニオン・Young といったシステムを構築・拡張していくと共に、そういったシステムの下で参入してくるプレーヤーのタイプもかなり変わってきました。定期的に新しくなっていくものの、その内容はプレーヤーに期待感を抱かせるものというよりも、むしろ不整合を修正したり、GM コールを減少させるためのもののように感じられてきました。Lord British がウルティマ・オンラインを去ったのもこの時期です。そんな中、2001 年になる頃に突如 Tajima と Runesabre がプレーヤーの前に頻繁に現れるようになり、3D のウルティマ・オンラインが登場しました。この新たなるイルシェナーの地に対する期待感は、あまりに尚早な TD クライアントの出荷の前に、もろくも崩れ去りました(私だけ?)。TD 出荷直後「カルマに変わるプレーヤーの行動を表す指針」に関する論文を発表して、Sage は Lord British と同じ道を歩むことになりました(非常に無責任に感じましたよ…)。
2001 年初夏、Sage に変わってリードデザイナーになったのは Evocare です。Evocare は、UO の元ヘビー・プレーヤーです。UO2 開発が中止となり、その分 UO 開発チームの人数は巨大なものになったようです。巨大になった分(?)、発表される開発項目は膨大な量になりましたが、そのテンポは緩やかになり、実際の導入となると更に緩やかなものになりました。変更の内容は、今までの UO の無理やりとも思える拡張に伴う負の遺産の整理でしょうか。そして元プレーヤーならではというような、プレーヤーの意見をそのまま取り入れたような修正。私が UO を始めた頃から見かける唯一の名前である Calandryll がデザイナーになり、Ongoing Content 即ちシナリオが始まりました。
そして「ウルティマ・オンライン ブラックソンの復讐」がいよいよ発売されます。
1 つのゲームがこれだけ長期間に渡って人を引き付けておくことが出来るというのは、頻繁にシステムに手が加わっていくオンラインゲームならではのことだと思います。その中でもウルティマ・オンラインや Ever Quest 等は特に息の長いゲームだと思います。
私が UO を始めてから約 3 年、そのシステムを変革していく面々も相当入れ替りました。開発者が変わるにつれて、その方針や内容も変わってきます。私が一番大きかったと感じているのは、「トランメル」と「バースト」です。この変更辺りから、プレーヤー層やプレイスタイルも大きく変わったようにも感じています。私にしたって、今ではほとんどフェルッカに行くこともなくなっていたりします。
これまで様々な変更が行われてきました。自分にとってうれしい変更や辛い変更等いろいろですが、常に変わり続ける UO だからこそここまでプレイしていたのだろうとも思います。問題に感じていることも色々とあり、それに対する考え方も色々あることは承知していますが、その中で私が今 UO に必要なことだと思うのが一言でいえばインフレ対策です。ベテランプレーヤーと新規プレーヤーの格差を縮小するのが主眼だと思われるこれまでの変更が、ことごとくインフレを増長し、結果的にプレーヤー間の格差を決定的なものにしてきているような気がします。バースト導入により、それまででは考えられないほど容易にキャラクタを成長させることが出来るようになりました。しかしそれは、ベテランプレーヤーがキャラクタを新しく作り直したり、スキル構成を改造する時にもあてはまります。モンスターから得られる戦利金の底上げも然りです。誰でも容易に同じレベルのお金を稼げるようになりましたが、それは誰もが同じようなキャラクタで同じようなことをするということの裏返しでもあります。お金を得ることが UO での目的ではないというのは理解していますが、UO における最大の目標ともいえる家の購入は、常に手が届かないものであり続けています。あらゆるチャンスがありそうなブリタニアで、皆が同じようなことをしているというのではあまりに悲しいとは思いませんか?
また長々とよくわからない文章を書いてしまいました... (^^;