ストーリー
  CLASH IN THE DARKNESS

 真鍮の蝋燭の灯りの輪の中で、Meer と Juka は怒りに狂った動物の唸り声をあげながら、お互いに突撃した。忘れられた洞窟の深い暗がりが、猛々しい声を反響させていた。

 Meer のスタイルで、Dasha は Kabur の武装を解除させようとした。彼女は霰混じりの嵐のように Kabur を襲った。容赦ない強打の流れを将軍に叩き込んだ。衝撃音が洞窟の暗闇に響き渡った。振り下ろしたあらゆる激しいキックと共に、彼女の腹の底の怒りが熱く唸った。あらゆるパンチと共に、Kabur が破壊した森のような灼熱の地獄を感じた。アドレナリンの痛みを味わった Juka の血液の強い匂いをひと吹きにした。戦いの衝撃が、彼女の体中に跳ね返ってきた。復讐に対する彼女の渇望を煽る、最初の魔力に満ちた感覚だ。

 心のどこかで彼女は祈った。祖先よ、私の未熟さをお許しください!

 将軍の重たい鎧は、Meer 独特の戦術に対抗するためにデザインされているかのごとく、彼女の攻撃をまだ抵抗していた。将軍の兵隊たちに対して行ったように、弱点を粉砕できずにいた。彼のがっちりとした体は、恐ろしいほど容易に彼女の強打を吸収していた。死に至る接触から常にわずかに動くことでコブラを上手くかわすマングースのように、彼女は柄物を引っ込めた。1 つの間違いが戦いを終焉させてしまうかもしれない。

 失敗したと、彼女の体を悪寒が走った。

 ハルバードの穂先が Dasha の背中に迫った。ハルバードが描く円の弧の上に飛び上がったが、武器は彼女のお尻を切りつけた。Dasha は Kabur の顔を片足で蹴った。Juka の戦士から離れるようにとんぼ返りを打った。屈み込むように転がり、彼女は岩だらけの地面の上に倒れた。右半身が焼けるように痛かった。

 Kabur は息を呑んで血の混じった唾を吐き、そして吼えた。"この洞窟の入り口はどこだ?"

 Dasha は横目で見た。"決闘から逃げる気?"

 "もう 1 発でお前はお終いだ。暗闇探索で無駄な時間を使いたくは無い。"

 彼女はつぶやきながら立ち上がった。呪文のやさしい明かりが、彼女の傷から痛みを追い払った。ヒーリングの魔法のよく知った痛みが彼女の体を流れた。わずかな一瞬で、先祖の霊が爆発寸前の彼女の怒りを鎮めた。落ち着きを取り戻し、Dasha は改めて Kabur 将軍を観察した。蝋燭の灯りの金色の揺らめきの中で、汗と血液が流れた彼は、巨大で恐ろしく、頑固なまでに傲慢な、凶暴な亡霊だった。彼が犯した罪にもかかわらず、Dasha は Kabur の戦士のエゴに感心した。Juka は冷酷な生き物だが、その性質は誇り高く、名誉あるものだった。それで Juka は本来の素性を超越し、芸術や産業を発展させることができたのだ。もちろん Juka は Meer にはかなわないが、Dasha のような一部の Meer は、その高度な知識を高く評価していた。Juka は Meer がこの世界を分けた唯一の真の文明を形成していた。

 種族間の古代のバランスは、まだ急速に崩壊していた。邪悪な何者かが、名誉が存在しない状態へと Juka を引きずり込んでいた。Meer の法の番人である Adranath 師は、怪しげな魔法使いの Exodus がこの 10 年間で Juka を腐敗させたと主張した。Dasha は、魔法だけがその驚くべき変化を説明できるということに同意した。Dasha は、Juka が Meer に行った壊滅的な攻撃に対する反応を考えることができるように、どのような変化が起こったのかを Kabur 将軍に聞くためにここへやって来たのだ。

 Dasha は怒りを抑え、呼吸を整えた。"教えて、Kabur。どうやって Exodus は Juka の Way を台無しにしたの?"

 Kabur はハルバードの刃越しに睨みつけた。"Meer の心配には及ばぬ。"

 "あなた方の新しい君主は、あなた方の精神を虜にする呪文を唱えたの? それ以外に名誉から Juka を引き離すことはできない。"

 "Juka の名誉は無傷だ、女! Exodus が我々のところにやってきてから、それが変わったとしてもな。" 侮蔑して彼は目を細めた。"しかし、お前たちは進化というものを全く知らないだろう? 時間には歯がないと言っているにすぎぬ。"

 Dasha はユーモアではなくクスクスと笑った。"私を待ち伏せる計略として Black Duel を使うというなら、あなたの名誉とは疑わしいものね。"

 "お前が個人的な会話に私を誘い出すのに使ったのと同じだけだ。Black Duel は、原始時代の名残の時代遅れのものだ。お前たちの知っている Way は死んだのだ。その Way ですぐに Meer を殺してやる。"

 Dasha は首を横に振った。"Exodus はあなたを罠にかけているのよ。でも恐らく腐敗は元に戻せるはず。"

 "これ以上話すことはない" と、Juka は低い声で言った。"お前の妄想を墓に刻んでやる!"

 Kabur は、新たな打撃を加えようと柄物を掲げた。Dasha は、防御の体制のため身を低くした。次の瞬間、雷鳴と共に暗い洞窟が揺れた。2 人とも固まった。何か巨大な野獣のようなものが近くを通り抜けていった。しかめっ面をして彼女は考えた。人間がこの山に潜んでいる唯一の獣ではないようだ。

 Kabur のハルバードが Dasha の上にさっと動いた。Dasha は後ろに飛ぶのが遅れた。ハルバードの歯が、彼女の胸部の鎧を肌の下まで切り裂いた。蝋燭の灯りの中に飛ぶように、血がキラキラと輝いた。Dasha は叫び、とんぼ返りを試みたが、傷で片手が使えなくなっていた。彼女は土の上に崩れた。Juka の次の一撃が、固い地面に彼女を叩きつけながら、彼女の肩の上に崖崩れのように命中した。Dasha の手足は氷のようになり、動くことを拒絶した。

 激しい怒りが彼女の腹の底で暴れていたが、傷が体を硬直させていた。彼女は、洞窟に血が噴出し、言うことを聞かない肉体を呪った。Dasha は無言で叫んだ。先祖よ、私を動けなくしたな! 彼女はその反対が正しいことを知っていたが。

 Dasha の上に Kabur 将軍が不気味に現れ、最後の一撃のために武器を構えていた。彼女は辛うじて頭を持ち上げることはできたが、エメラルド色の肌の巨人をあざ笑った。"あなたは Juka が築いてきた全てを汚すのよ!"

 将軍の目が怒りで明るくなった。"私は未来を守っているのだ! しかし Meer は来る危機に目を向けず、自分のことに夢中だ。お前の言う '2 種族のバランス' は、無用の停滞以外のなにものでもないのだ。我々は未解決の衝突に、何世代も無駄にしてきた。その間に、ガーゴイルや人間はもっと利口に、もっと多数に成長していった。間もなく奴らは我々を脅かすだろう。世界は変わっているのだ、Dasha。Juka は適応しなければならない。さもなければ滅びてしまうだろう。それが、我々が Way を捨て、Meer の粉砕を決意した理由だ。生き残るために、我々が支配しなければならないのだ。これは Exodus が我々にもたらした知恵だ。"

 "恥辱が高貴な羽を身に纏って" Dasha が逆撫でした。"でも利口な者は騙されない。"

 Kabur が鼻で荒い息をした。素早い動作で、彼はハルバードを Dasha の首の上に持ち上げた。そしてそこで躊躇った。彼の鋭い耳がピクンと動いた。暗闇に重たい音がゆっくりと響いた。洞窟の生き物が傍を重たそうに動いていた。

 "お前が思うように判断したらいい" 将軍が呟いた。"妄想はお前を助けないだろう。"

 その後 Kabur は影の中に消えた。Dasha は、彼の足音が何者かのもっと大きな接近に向かって遠ざかっていくのを感じた。その生き物の鼻息が、深い暗闇の中に聞こえた。その爪は、音を繰り返しながら、鋭い音で石を磨いていた。

 Dasha は、防御が弱すぎて、ヒーリングの魔法のための力を集めることができなかった。数秒程度でモンスターを寄せ付けないようにするには、蝋燭の輪の中央に這って行くのがせいぜいだった。しかしその努力は無意味かもしれない。彼女のここでの使命は失敗だった。Exodus は Juka を協力に支配していた。Kabur は堕落していた。素早く彼女にとどめを刺すことさえせず、肉食獣に貪り食われるように彼女を残していった。

 転生が Dasha を待っていた。もちろん、彼女が想像することができない形でだが。もし Kabur の大虐殺が成功したのであれば、恐らくは他の Meer としてではない。Adranath 師はそれを確信しているようだった。Dasha はそれほど悲観的ではなかった。答えは間もなくだ。爬虫類のような生き物の鱗の上に瞬く火の明かりのように、Dasha はその暗い瞳を閉じ、将来のことを考えた。そして彼女の唇から、溜息がこぼれた。

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