ストーリー
  THE CHALLENGE

 Juka の要塞を見下ろす崖の上で独り、Dasha は革と磨き抜かれた金属でできた鎧を脱いだ。暖かな風が Dasha の斑点模様の毛皮を波立たせた。黒曜石の瞳は、狼煙を観察しながら、彼女の眼前の谷を見据えていた。

 Dasha の後ろで夕焼けの空が、贅沢な劇場のように、空に巨人を映し出した。谷底からの見物人は、入り組んだごつごつした岩で、高い所にいる彼女のシルエットにはまだ気付いていないようだった。Dasha は、要塞の壁の上や、要塞を取り囲む高い木々の海の中にいる、個々の Juka を見分けることはできなかった。都市の中の移動だけが、ランタンの歩く様からわかった。夕食を作る火が、小さな羽で空を燻った。やわらかく心地よいそよ風が晩秋の寒さの接近を阻むように、夕方の空気が谷を包んだ。

 Meer の戦士が、先端が丸い玉石の上にしゃがみ込み、傍らに鎧をこぎれいに重ねた。今のところ鎧は必要なさそうだ。Juka の巡回者は、岩だらけの坂の遥か上のここまではやって来なかった。この乾燥した山の住人は、言葉の通じない人型の部族だけだった。彼らの未開の武器は、Dasha を脅かすものではなかった。風に乗じて彼女は、この重大な夜を案内するために高貴な先祖の霊を呼んだ。Juka が合図のトーチに火を点けると、2 つの種族の試練が始まった。

 霊が Dasha の腹部にヒリヒリする痛みの如くやってきた。その感触が彼女の手足と顔に広がり、力と平静さが充満していった。彼女は霊を喜んで受け入れた。先祖には、Meer の賢者、長い実りの豊かな生活を作り出した長老、そして仙人がいた。水晶の尖塔の天上の都市から、彼らは、地上や木々を歩く若い霊を助けながら、下界の土地を見守っていた。Dasha は彼らの助けに感謝していた。彼女は尊ばれた戦士や役人であるものの、彼女の生は 200 年弱にも渡っていた。彼女が啓蒙を知るには、まだ若すぎた。もし今夜彼女が死んでしまったら、彼女の魂は新しい Meer の体へと戻り、物質的な生活のレッスンを続けることになるのだろう。何世紀も生きて初めて、彼女は来世の神聖な尖塔で高貴な先祖の仲間入りするのだ。

 もちろん Dasha は、今夜死ぬつもりではなかった。彼女は、強力な Juka の戦士に立ち向かい、彼から説明を引き出すつもりだ。Juka の軍隊は、Meer の森の住処を破壊した。彼女は、敵が自分たちの名誉の伝統を裏切った理由を聞くつもりだった。Juka と Meer の古代のバランスは、その答えに依存していた。

 新しい灯りが街に瞬いた。隔てられた要塞の高い塔の天辺が、1 つの星のような輝きを見せた。Dasha の鼓動が早くなった。それは合図だ。Kabur 将軍が彼女の申し出に同意したのだった。彼は 1 時間以内にやって来るだろう。

 天上の祖先の案内に恵まれて、彼女は手提げに鎧を集め、黄昏の中に忍び込んだ。

 Dasha が以前の森に住んでいた頃、黄昏は長くて暗いまつげのように降りてきた。彼女は、その落ち着く光景を懐かしく思った。この山中では、夜は、玉石や茂みを飲み込みながら、影の雪崩のようにやってきた。彼女は、複雑に入り組んだ暗がりを通り抜け、音を立てずに滑り込んだ。彼女の行き先は、2 つのギザギザの岩の間で潰れた、静かな風が吹き出す洞窟だった。洞窟の入り口前の地面に、彼女はクロスボウの矢を突き刺した。それから、冷たく黒い入り口の中へと歩き、ギヤをかぶり始めた。彼女はそうしながら、1 世紀の間戦った敵についての知識を再検討した。

 Juka は、獰猛で気性の激しい、冷酷な種族だった。彼らのスキルや文化は洗練していたが、生命の無数の感覚を楽しむため、ほぼ全てに飢えていた。この崇高な本能が、戦闘への激しい欲求によって栄光を与えられていた。Juka の一族は、強固な情熱で、お互いに戦うのだった。そして 1 つの一族が他者を支配するようになると、団結した Juka は、攻撃の矛先を傍にいた Meer 社会に向けたのだった。2 つの種族間の戦争は、伝説や歴史の中に響き渡った。

 Meer とは違い、まだ Juka は転生の特権を楽しんではいなかった。この翡翠の色の皮膚の戦士達は、1 度限りの現世を過ごした。名誉ある死を遂げると Great Hall of Honor に葬られ、不名誉な死に方をすると忘れ去られるのだった。そうして Juka は、栄光と名誉の追求に熱中していた。彼らの社会の中心では、勇気と誠実、そしてその敵への敬意の、ゆるぎない徳の伝統が存在していた。彼らの魂は、この法典に厳しく執着していた。Juka は、まるで他には何も無いかのように、それを Way と呼んでいた。

 Juka 軍は、Meer の森を地面のように燃やしたとき、その Way を踏みにじった。怪しいその名を Exodus という彼らの怪しげな新しい君主が、彼らにそうするように命じた。しかし Dasha は、Juka が不名誉なことに説得されたり強制されたりすることはないということを知っていた。汚れた魔法だけが、その劇的な変化を説明することができた。彼女は、Kabur 将軍自身と話すことで、彼女の疑念を確認するつもりだった。この知識だけで、Meer は彼らの復讐を訴えることができた。

 仲間の古くからの住処を破壊した将軍に会いたいと血が騒ぐ Dasha の心を落ち着かせる先祖に感謝した。

 内側から、洞窟の入り口は褪せた色の切り口だった。とても大きな影が穴を埋めたとき、灯りが消えた。Dasha はたじろいだ。奥の方から声が響いてきた。"私はあなたのこんな身振りには驚きはしない。1 対 1 の戦いこそ、あなたが勝利する唯一の希望なのだから。"

 Kabur 将軍は、洞窟の中にランタンを持ってきた。彼のもう片方の手は、クロスボウの矢がしっかりと掴んでいた。彼の握力で、矢はひしゃげていた。Kabur は、大柄な彼の種族の中でも、とりわけ大男の戦士だった。鋼の頑丈な鎧と金の詰め物が、彼の大きさを際立たせた。Juka が皆そうであるように、彼は、鼻がなく、爬虫類のような眼と、小さく荒々しい口があり、Dasha には陰気に思われた。しかし Kabur の顔は、彼の一瞥を鋭くするずる賢さのような、何か他のものを示していた。Dasha は、彼女自身も彼の凝視にあわせることを強いられているように感じた。

 "そしてあなたは私に会いにやってきた" Dasha が言った。"Black Duel の儀式に則って。私はあなたの恥知らずな指揮を説明してもらうため、あなたに挑戦します。そしてそれを償ってもらうためにね。"

 将軍は不満げに言った。"私は、あなたが私に残したノートとシルクのスカーフを受け取った。あなたは Juka の習慣について多くをご存知のようだ。"

 "私は、あなたの祖父が生まれる前から、あなたの種族と戦ってきました。Juka が常に Way を重んじていることを知っています。そして、あなたが Black Duel を尊重し、隠密で私に会いに来ることもわかっていました。"

 Kabur のエメラルドの唇がニヤリと歪んだ。"私はあなたたちの森を破壊した。それなのに、まだあなたは私が古い法典に束縛されていると思っているのかね?"

 "あなたの祖父も父も名誉の決闘を尊重していました。あなたの一族の名声が、あなたにも同じように振舞うように導きます。"

 "私は新しい名声を創出しているのだ。今や勝利が私を手招きしている。"

 彼は背の高い洞窟の内部深くへと歩いていき、狭い入り口から離れていった。Dasha は、外側で足音がカタカタといっているのを耳にした。彼女は目を凝らした。"あなたの兵隊が私たちを妨害を妨害するのなら、彼らは死ぬことになる。"

 "中断するような Black Duel など存在しない。私は、あなたを Exodus の前に連れて行くために来たのだ。我らの一族の中では多くのことが変化しているのだ。Meer に理解できるとは思わないがね。"

 そしてその時、彼女の命が危険にさらされていることを知った。Kabur は Way を放棄している。彼は Dasha を捕らえるための策略として、1 対 1 の戦闘の挑戦を受け入れていた。直後に、洞窟は、Juka の兵士が入ってくる流れるような音で一杯になった。彼らの槍の先端が、Kabur のランタンの明かりで光った。

 もちろん Dasha は裏切りを悟った。躊躇することなく、彼女は攻撃者の間を飛び跳ねた。

 Meer の戦士がそうであるように、武器を使わない戦闘の彼女のスキルは、Juka の不器用な棒使いを圧倒した。彼女は彼らの周りや間を霞のように動いた。彼ら自身の鎧が彼らに対する武器になるかのごとく、革のように硬い彼らの体の節目を殴り、血管と骨に対する鋼の鉄板を潰していった。兵士が同時に群がると、彼女は影を追い払う輝きの素早い呪文で、彼らを散り散りにした。数秒間で、彼らの体は岩だらけの地面に散らばった。

 もっと多くの兵士が外で叫んだ。Dasha は息を呑んだ。彼女は軍隊全部を打ち破ることはできない。しかし彼女の目標が今近付いてきた。Kabur 将軍への道筋を塞ぐ Juka はいなかった。彼女は巨大な戦士に飛び掛った。それに答えて Kabur は唸り、彼女がやって来る方に倒された兵士のハルバードを振り回した。Dasha はその一撃必殺の刃を避け、武器の長い柄のグリップにしがみついた。稲妻のような素早い動きで、彼女は地面に落ち、Kabur を洞窟深くへ放り投げた。

 Dasha が洞窟の床に刻んだ輝くルーンを瞬時に通り抜けて、Kabur は消えていった。

 Dasha は素早く後を追った。魔法の呪文が、明るく彼女を包んだ。彼女は、山中深くにある別の洞窟の内側に現れた。他の Juka がやって来るのを防ぐために、ブーツを使って、彼女は地面でその場所のルーンを消した。そして彼女は、姿勢を戻したショックを受けている将軍に対面して、完全な見事な高さまで上昇した。

 決闘の空間を定義している蝋燭の輪の中に彼らは立った。広大で暗い大きな洞窟が彼らの周りにはあった。地下の濃い静寂の中で、Dasha は腕を交差させて囁いた。"邪魔されずにお話するために、Black Duel をお願いしました。あなたが私を拒もうが拒むまいが、そうするつもりです。"

 揺れる蝋燭の灯りが Juka の目の激しい怒りを明らかにした。Kabur は、ハルバードの柄の周りで、2 つの拳をパチパチと鳴らした。"戦うよう私を説得したいのなら、上手くいったようだな、Dasha。偉大な母により、私は私が Meer の森でやったように、お前を打ち倒す!"

 Kabur は嵐のように、Dasha が思いもよらない連続攻撃と共に彼女を怒鳴った。Dasha は、Kabur の刃の一撃を避けるために、後方にとんぼ返りせざるを得なかった。それから彼は別の攻撃の準備をした。ほんの一瞬で、Dasha は再び Kabur 将軍を誤って判断していたかもしれないと思った。高貴な先祖が彼女の内側に残っていたが、彼らでさえも卑劣な Juka には以前に遭遇したことはなかった。古代の知恵は、Juka の敵のこの奇妙な暗黒の復活を克服できるのだろうか?

 Dasha は自分自身につぶやいた。まず戦って、それから尋問する。もし彼が悪行の説明をするくらいなら死ぬというのであれば、彼に恩を与えることが私を苦しめることはない!そして彼女は、巨体の将軍と同じくらい激しく突撃した。彼女の瞳は、復讐の願いに燃え立っていたのだった。

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