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仕事のやり方

  1. 愚公移山(列子(れっし)

    愚公(ぐこう)、山を移す

    長期的な展望に立って、あせらず、あわてず、着実な前進を心がけることが成功のもとである。
    (むかし、愚公という老人がいた。家の前に二つの大きな山がそびえ立っており、出入りに不便で仕方がない。
    あるとき、愚公は思い立って、山を切り崩しにかかった。息子と孫と三人がかりでモッコをかつぎ、
    北の海に土を捨てに行くのだが、往復するのに半年もかかる。
    それを見て、近くに住むものが笑ったところ、愚公はこう答えた。
    「わしが死んでも息子がいる。息子には孫ができる。
    孫がまた子供をつくり、子々孫々受け継いで絶えることがない。
    一方、山はいま以上高くならない。平らにできないことがあるものか。」)



  2. 功崇惟志、業広惟勤(書経(しょきょう)

    (こう)の崇(たか)きはこれ志(し)、業(ぎょう)の広きはこれ勤(きん)

    「志」は目標、「勤」は持続的な努力の意。
    立派な仕事を成功させるには、大きな目標が必要、
    大きな事業を成功させるには、持続的な努力が必要である。



  3. 胆欲大而心欲小(近思録(きんしろく)

    (たん)は大ならんことを欲(ほっ)し、心(しん)は小ならんことを欲す

    大胆かつ細心であれ


  4. 智者之慮必雑利害、雑利而務可信也、雑害而患可解也(孫子(そんし)

    智者の慮(りょ)は必ず利害に雑(まじ)う、
    利に雑りて務(つと)め信(まこと)なるべきなり、
    害に雑りて患(うれ)い解くべきなり

    智者は利と害の両面からものごとを考える。
    利益を考えるときは損失の面も考慮に入れると、ものごとは順調に進展する。
    損失を(こうむ)被ったときはそれによって受ける利益の面を考慮に入れると、無用な心配をしないですむ。



  5. 不入虎穴、不得虎子(後漢書(ごかんじょ)

    虎穴にいらずんば虎子を得ず


  6. 知彼知己、百戦不殆、不知彼知己、一勝一負、不知彼不知己、毎戦必殆(孫子(そんし)

    彼を知りて己を知れば、百戦して殆(あや)うからず、
    彼を知らずして己を知れば、一勝一負(ぷ)す、
    彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆うし


  7. 見可而進、知難而退(呉子(ごし)

    (か)を見て進み、難(かた)きを知りて退(しりぞ)

    有利と見たら進み、不利と見たら退く


  8. 見小利則大事不成(論語(ろんご)

    小利(しょうり)を見れば、則ち大事(だいじ)成らず

    小利にまどわされると、大きな仕事を達成することはできない。


  9. 愚者闇於成事、智者見於未萌(戦国策(せんごくさく)

    愚者は成事(せいじ)に闇(くら)く、智者は未萌(みほう)に見る

    「成事に闇い」とは、ものごとが形になって現れてきても、まだそれに気づかない、
    「未萌」とは、ものごとが形になって現れてくる前の段階の意。



  10. 争天下者必先争人(管子(かんし)

    天下を争う者は必ず先(ま)ず人を争う

    「人を争う」は、一、人材の招致、一、人心の掌握の意。


  11. 世有伯楽、然後有千里馬(文章軌範(ぶんしょうきはん)

    世に伯楽あり、然(しか)るのち後に千里の馬あり

    一日に千里を走る駿馬は、伯楽(馬を鑑定する名人)がいてこそ見いだされる。


  12. 膠柱而鼓瑟(史記(しき)

    (ことじ)に膠(にかわ)して瑟(しつ)を鼓(こ)

    琴柱(ことじ)を膠で固定してしまったのでは、出てくるのは同じ音ばかりで音楽にならない。
    つまり、融通のきかない硬直した思考を笑ったことば。



  13. 処事不可有心(宋名臣言行録(そうめいしんげんこうろく)

    事を処するには心あるべからず

    「心」は下心の意。


  14. 善戦者勝于易勝者也(孫子(そんし)

    善く戦う者は勝ち易きに勝つ者なり

    「勝ち易きに勝つ」とは、余裕をもってらくらくと勝つの意。


  15. 弗慮胡獲、弗為胡成(書経(しょきょう)

    (おもんぱか)らずんば胡(なん)ぞ獲(え)ん、為さずんば胡ぞ成らん

    役に立つ教えも自分の頭でよく考えないと身に付かない、
    考えてばかりで実行しなければものに成らない。



  16. 以備待時、以時興事(管子(かんし)

    備えを以って時を待ち、時を以って事を興(おこ)

    周到な準備を整えて好機を待ち、好機到来と見るや直ちに行動を起こす。


  17. 為山九仞、功虧一簣(書経(しょきょう)

    山を為(つく)ること九仞(きゅうじん)、功(こう)を一簣(いっき)に虧(か)

    九仞の高さの山も最後のツメを怠るとガラガラとくずれてしまう。「仞」は八尺、「簣」は土を運ぶ器のこと。


  18. 疑謀勿成(書経(しょきょう)

    疑謀(ぎぼう)は成すなかれ

    計画に疑問点があるうちは実行に移してはならない。


  19. 人莫鑑於流水、而鑑於止水(荘子(そうじ)

    人は流水に鑑(かんが)みるなくして止水(しすい)に鑑みる

    流水はいつもざわついており人の姿を映し出すことができない、
    静止した水はいつも澄みきっているので、あるがままに人の姿を映し出す。
    「明鏡止水」の語源。



  20. 百戦百勝非善之善者也、不戦而屈人之兵善之善者也(孫子(そんし)

    百戦百勝は善の善なるものに非(あら)ず、戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり

    百回戦って百回勝ったとしても最善の策とは言えない。戦わないで勝つのが最善の策である。


  21. 無急勝而忘敗(荀子(じゅんし)

    (しょう)を急にして敗を忘るるなかれ

    勝とうとするあまり、敗れることもあることを忘れてはならない。(敗れた場合のことも考えよ)


  22. 顧小利則大利之残也(韓非子(かんぴし)

    小利を顧(かえり)みるは則ち大利(だいり)の残(ざん)なり

    目先の利益につられると大きな利益を失ってしまう。


  23. 遠水不救近火也(韓非子(かんぴし)

    遠水(えんすい)は近火(きんか)を救わず

    遠くにあるものは急場の役にはたたないことのたとえ。


  24. 始如処女、後如脱兎(孫子(そんし)

    始めは処女の如く、後(のち)には脱兎の如し

    始めは処女のように振る舞って敵の油断を誘い、
    そこをすかさず脱兎のような勢いで攻めたてれば、敵は防ぎようがない。



  25. 大行不顧細謹、大礼不辞小譲(史記(しき)

    大行(たいこう)は細謹(さいきん)を顧みず、大礼(たいれい)は小譲(しょうじょう)を辞せず

    「大行」は大きな仕事、「細謹」は細事をつつし謹むこと、
    「小譲」は小さな謙虚の意。大事を前にしては小事にこだわる必要はない。



  26. 識時務者在乎俊傑(三国志(さんごくし)

    時務(じむ)を識(し)るは俊傑(しゅんけつ)に在(あ)

    「時務を識る」とは、現代の時代の流れをしっかりとつかみ、その中で何をなすべきかを知っていること。


  27. 徳者才之主、才者徳之奴(菜根譚(さいこんたん)

    徳は才の主(しゅ)、才は徳の奴(ど)なり

    「徳」は人格、「才」は才能。


  28. 小人溺於水、君子溺於口、大人溺於民(礼記(らいき)

    小人(しょうじん)は水に溺(おぼ)れ、君子は口に溺れ、大人(たいじん)は民(たみ)に溺る

    「溺る」は失敗を招くの意。「民に溺る」とは、民は道理などを解さない無知な連中なので、
    バカにしてかかると、かえって大ヤケドをするの意。



  29. 矜其能、喪其功(書経(しょきょう)

    その能を矜(ほこ)れば、その功を喪(うしな)

    「能」は、才能、能力。


  30. 小不忍則乱大謀(論語(ろんご)

    (しょう)忍ばざれば則ち大謀(たいぼう)を乱る

    小さな我慢ができないようでは大きな仕事を仕損じる。


  31. 以疑決疑、決必不当(荀子(じゅんし)

    疑を以って疑を決すれば、決必ず当たらず

    あやふやな根拠にもとづき、あやふやな心によって判断を下せば、必ず見当外れな結果が導かれる。


  32. 福生於微、禍生於忽(説苑(ぜいえん)

    (さいわい)は微(かすか)なるより生(しょう)じ、禍(わざわい)は忽(おろそか)にするより生ず

    「微」は些細な善行、小さな親切。


  33. 疑行無名、疑事無功(史記(しき)

    疑行(ぎこう)は名なく、疑事(ぎじ)は功なし

    「疑行」「疑事」とは、確信を欠いたあやふやな行動、「名」は名誉、「功」は成功。


  34. 無遠慮、必有近憂(論語(ろんご)

    遠慮なければ必ず近憂(きんゆう)あり

    遠いところまで見通して対策を考えておかないと、近いところで足をすくわれる。


  35. 奇貨可居(史記(しき)

    奇貨(きか)(お)くべし

    掘り出し物だ、仕入れておこうの意。このチャンス、のがすべからず。


  36. 君子以作事謀始(易経(えききょう)

    君子以って事を作(な)すには始めを謀(はか)

    君子は、行動を起こす前に、よく調査研究し、計画を練り上げる。


  37. 縁木而求魚(孟子(もうし)

    木に縁(よ)りて魚(うお)を求む

    手段方法が間違っていたのでは目的を達する事はできないの意。


  38. 人一能之、己百之(中庸(ちゅうよう)

    人、一(ひと)たびしてこれを能(よ)くすれば、己(おのれ)これを百たびす

    他の人間が一回でできたことは、あきらめずに百回も挑戦すればやり遂げることができる。


  39. 兵形象水(孫子(そんし)

    兵の形(かたち)は水に象(かたど)

    戦いの方法は、水の如く臨機応変であれ。


  40. 三十六策、走是上計(南斉書(なんせいしょ)

    三十六策(さく)、走(にぐ)るをこれ上計(じょうけい)とす

    「三十六策」とは、たくさんの戦略戦術、「上計」とは、もっとも上手な戦い方の意。
    勝てぬと判断したら、さっさと撤退して戦力を温存すれば、勝てる機会はいつか巡ってくる。
    「三十六計、逃げるにしかず」の語源。



  41. 善戦者致人而不致于人(孫子(そんし)

    善く戦う者は人を致(いた)して人に致されず

    「人を致す」とは、こちらが主導権を握ること。


  42. 履霜堅氷至(易経(えききょう)

    霜を履(ふ)みて堅氷(けんぴょう)至る

    秋になって霜が下(お)り始めると、やがて堅い氷の張りつめる厳しい冬がやってくる。
    どんな大事件でも、その前触れとなる出来事、前兆がある。それを見過ごすことなく、
    直ちにその動きを察知して、早めに手を打たなければならないの意。



  43. 事以密成、語以泄敗(韓非子(かんぴし)

    (こと)は密なるを以って成り、語は泄(せつ)なるを以って敗る

    計画を成功させるには秘密のうちにとり運ばなければならない、外に漏らしてしまっては失敗を免れない。


  44. 賢士之処世也譬若錐之処於嚢中(史記(しき)

    賢士(けんし)の世に処(お)るは譬(たと)えば錐(きり)の嚢中(のうちゅう)に処るが若(ごと)

    有能な人物は袋の中(嚢中)に置かれた錐が切尖(きっさき)を現わすように、必ず頭角を現してくる。


  45. 先発制人、後発制於人(漢書(かんじょ)

    先発すれば人を制し、後発すれば人に制せらる


  46. 鶏肋(三国志(さんごくし)

    鶏肋(けいろく)

    たいしては役に立たないが捨てるには惜しいの意。


  47. 事予則立、不予則廃(中庸(ちゅうよう)

    事予(あらかじ)めすれば則ち立ち、予めせざれば則ち廃(はい)

    なにごとも、十分な準備をしてとりかかれば成功し、それを怠れば失敗する。


  48. 建功立業者、多虚円之士(菜根譚(さいこんたん)

    功を建て業を立つるは、多くは虚円の士なり

    事業を成功させ、功績を立てるのは、素直で機転のきく人物である。

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