あさきゆめみし/ザ・ビューティーズ!(1000days劇場・7月27日)


何と「How 2 Succeed」振りの花組観劇である(笑)。
何でこういうことになるかっていうと、自分はヅカファンではないからです。
私が好きなのはあくまでまなみであって、「ヅカ」そのものではない。
(そう私は偏ったファンさ。)
でも、突如気が向いて観る気になったので、今だ!と、行ってきました。
いや〜〜〜〜〜、楽しかったッス。色んな意味で。
また行きたいぞ花組ーー(大笑い)。

因みに席は九列目センターブロック。
10時に劇場着いたくせに、キャンセルでこの良い席をゲット!ラッキー!
(肉眼で顔が確認できる距離で良かったぁ。何せ久々の観劇だから・・笑。)



では、お芝居の方から。
「あさきゆめみし」。
原作は中3の頃に読破。・・もう10年位前のことじゃんか(うわっ・・年取ったなぁ)。
細かい事は忘れてたけど、大筋は大体インプットされているぞ、という状態で観劇。

でね、又、前置きが長くなっちゃうんだけど(笑)、私このお話嫌いやねん。
とにかく無駄にだだ長く、その上全編ひたすら、うじうじ・じめじめ・いじいじ。
湿度が高過ぎるんだよ。息が詰まる。重苦し過ぎる。
少しもカラッとしたところがなく、全編を貫く思想がトコトン悲観的且つネガティヴ。
登場人物は自省的で悔恨ばかり。
ポジティヴに物事を捉えようという気が皆無なのね。
無常観、因果応報(仏教の基本思想だ。)、といった要素が全編にたっぷり滲み出している。
(滲み出し過ぎて飽和状態なんだつまりは。過ぎたるは及ばざるが如しっ。)
が、私は一方で、この無常観ってやつが結構好きで(笑)、
その思想に共感する部分は大いにあるから、ラストシーンなんかは割に好きなんだけどさ。
とはいえ、やっぱり物語としての面白味は感じない。
独り善がりで(読者の事を余り考えていない自己陶酔系)下らないお話だと思う。
二千円札で物陰からこっち覗いている紫式部には悪いが。
(あれ大層笑える。更に悪いけど。)
(無常観といやぁ、「平家物語」の冒頭だーーー!!「祇園精舎の・・」ね。
 私はあれがとにかく大好きでね、何度読んでもじぃぃーーんとしてしまう。
 あのリズム。語感のキレの良さ。日本語の美しさがあんなに端的に表れている文章が他にあるかっ。
 特に後半部分がいいのよーーっ!!後半部分から淡々と漂う無常観がぁぁぁあーーー!!
 ああ何て素晴らしいんでしょう・・・。はっ、又話がずれにずれている・・。)

*

・・というところでそろそろ芝居の話に入ろう(笑)。
ええーとね。脚本的には、ハァ、ダイジェストですね、という感じ(笑)。
あのだだ長い上、複雑に絡み合った人間関係・血縁関係・・。
それをたった一時間半では、やっぱり到底まとめきれないよなぁー。どだい無理な話だ。
原作読んでいないと、相当苦しいだろうあれは。あの舞台は。
(しかし、小池のチョー駄作「LUNA」ボケしている私には、
 ものしごーく、滅茶苦茶、まともなお芝居に見えた。悲しい。)

そもそも、光源氏の恋の変遷とそれを取り巻く女達というのが話の軸なのに、
光源氏とそれを取り巻く男達中心のお話に挿げ替えてあるのが絶対的に無理がある。
(多分、娘役が豊富に揃っていなかったんだろうけどね。)
あのお話ってロクな登場人物いないじゃない、男は。光源氏以外。
元来もっと前面に出てくるべき女達はロクに出さないし、
男はそれぞれ、役の書き込み不足で魅力がないし、でさぁ・・。
やっぱり、女達にもっとスポット当てなきゃ
面白くないし華やかさも足りないのよ、この話は。

そして何よりも、紫の上と光源氏とのラヴロマンス(笑)がとにかく半端!!!!!!
二人の出会いから愛が育まれる過程はもう少し丁寧に描くべきだっっ!!
というか、元来最も重点を置かねばならないポイントはここの筈だっ!!!
そうでないと、紫の上が死んでから「私が本当に愛していたのは紫だった」と、
光源氏が気付き、後悔する場面に、説得力がなけりゃ感動も無いだろうが。
ネタ振りに気を取られて肝心のラヴロマンスを疎かにしてどうするっ!!
因みに藤壺との関係は、回想シーンでサラッとさらうという感じだったが、これはいいと思う。
(光源氏の恋人はあくまで紫の上なんだっ!!マイフェアレディなんだっ!←?)

そういえば、幕開き、赤い大階段でのデュエット、ラストの白い大階段でのデュエット、
何だか和製「うたかたの恋」みたいだと思った(笑)。



さて、役者のお話です。
私的にはもう、「・・春野寿美礼はいいわ。コリャええわ。」これしかない(笑)。
春野はええ!ええよ。ええなぁ春野、お前なぁーーーっ!!!あははは!
(春野「・・やっと気付いてくれましたね。」)
しかし、これまでの春野に関しての印象というと、
(ロクに舞台を観ていなかったから雑誌で見掛ける上でだけど)
「ハァ・・細い目だなぁ。八重歯がちょっと苦手・・。地味な顔・・素顔がいけてない・・。」
「それにしても、“はるのすみれ”ってさぁ・・。これは真剣に付けた芸名なのかしら。」
とかいうくらいで(大笑い)。
ごめんねーー!!!(笑)あははははははは!!
舞台の春野は綺麗でしたし、花組のトップ3を差し置いて誰よりも目立っていました。
春野の刻の霊は、押し出しといい存在感といい素晴らしかったッス。
科白が無くても、舞台の上に居るだけでエラく目立つんだなぁ。
だらしな〜く足を投げ出して座っているだけの姿に、何て色気があるんでしょう。
確かにあの舞台は彼女が支配していた。
(「貴方の持ち時間が終わったのです。全ては時間なのです。」)
締まりの無い主役陣を(あらっ)彼女が引っ張っていた。
(「見せてやろうあさきゆめをーーーっ!!!」)
科白も聞き取りやすく、狂言廻しとしてもマル。
影ソロの歌も深みがあって大変に素晴らしい。
べた褒めだな・・(笑)。
しかし私は春野トップの花組なら大いに観たいぞー。

愛華ですが。何か地味で覇気がないなぁという印象。
あんなに沢山の女達をスケコマしてブイブイ言わせているような男には見えないんだよね。
愛華が一番似合っていたのは、柏木と女三の宮の関係に気付いて激怒してたシーン。
「ああーーー柏木ーー許せぬー裏切り♪」
「許っせん(ビリッ)」
のとこ。
耄碌しちゃったなぁ光源氏ったら、二人の関係に全然気付きもせず今迄・・。
っていうのに一番説得力があるんだよねぇ困ったことに。
全然光る君じゃあなかったんですつまりは。端的に言うと。
出て来ただけでもっと光らなきゃダメだ。
それと、声が・・高過ぎないかーーー?
「むらさきィーーッ!」とか叫ぶ声が高過ぎて、何度かぎょっとしてしまった・・。
(まなみの低音に慣れているせいだろうか・・。)

匠の頭の中将。
・・全然印象に残っていない・・記憶が無いや・・。
唯一の記憶といえば、最後の歌でずっこけたことくらいである・・。
出番そのものも少なく、且つ全然美味しい場面もなくって、やりようがなかったのかしら。
しかしそれを差し引いても、うーーん・・・。もうちっと何とか出来たんではないか・・?
私ね、頭の中将は、キャラとしては結構好きなんだ。
明朗快活で光源氏より砕けていて親しみやすく、しかし光源氏に負けず劣らずのいい男やねん。
いいよなぁ、頭の中将・・。

伊織の柏木。
「もう、どうなってもいひぃーーーっ!」
「あなたが、ほしーーーーっ!!」
三の宮とのこのシーンといい、最後の断末魔、
「院に疎まれたまま、死ぬのはつらい…。」
「何かの折りに、君から院に、取りなして…くれぇえ。」
といい、オーバーアクションの演技が・・ヘン過ぎる。
ごめんなさい、大笑いしました私は。
(死ぬ場面は、あの演出もないよなぁとは思うけどね。何であんな急に死んじゃうんだよー。
 そもそも死因は何なんだよ。目の前であんな死に方されたら夕霧もたまったもんじゃないわ。笑。)
柏木ってさ、もう絶っっ対に許されないことをしたけど、
でも実は凄んごく真面目で小心者で一途なのよ。
だからこそ、それが一歩踏み外した時の暴走、そして、
その後の自責の念に駆られての自己崩壊が凄まじいのさ。
(・・つくづく思うのはさぁ、親父の嫁とコトに及んで子供作っちゃったくせに、
 のうのうと何事も無かったかのように生きている光源氏に比べたら、ほぼ同じ事をしてしまって、
 それを気に病み、心労から死んじまう柏木の方がよっぽど誠実だよな、人間として。
そういった部分をしっかり表現できていれば、結構いい役だと思うんだけど、
(最後の死ぬ場面なんか、あんまりにも自業自得で哀れで可愛そうで、泣けるかもしれん。)
如何せん伊織のは勢いばっかりで(笑)、全然、真面目で小心者で一途で、の部分は感じられず・・。
ただの性質の悪いストーカーみたいになってた。

大鳥の、藤壺/紫の上。
あんまり印象に残らず。
これはねぇ・・役の書かれ方にかなりの問題があると思う。
出番が少ないし、仕所がないでしょう。
特に紫の上は酷い書かれ方だわ。
明石の上との銀橋での絡みはいいんだけどね。
だがね、光源氏とのラヴシーンが殆ど皆無に近いんだよね。
最後に瀕死のくせにあんなお面被って踊ってる場合じゃないだろうっての(笑)。
あの場面はギャグにしかならんよ草野先生ーーッ!!!
原作通りの死に方でいいじゃないかーーーー!!

あの踊りの時間を、ラヴシーンや二人の愛が育まれる過程に充てんかえーー!
大鳥「何だかとても疲れた・・。」
そりゃあ大鳥も疲れるってもんじゃわ。
紫の上の胸の内の苦悩と、そしてそれを抑える強い自制心、
そして自分よりもうんと年上の光源氏をまるごと受け入れて包み込んでしまうかのような包容力!
そう、とにかく無償の光源氏への愛!
(紫の上は聖母マリアのようだ。)
この辺ももっと丁寧に書いて欲しかったよな。
あの脚本じゃ、紫の上の人物としての魅力が充分に伝わってこないじゃないか、ブツブツ・・。

それと、夕霧のキャラ造形が子供っぽ過ぎる。
全然大人に見えない。ありゃ少年だわ。(草野先生ーーっ!!)
柏木の死ぬ銀橋のシーン、科白は「柏木、柏木、」ばっかりだし、
対等な親友同士にはまるきり見えず、まるで兄弟みたいだった。
(伊織の柏木がまた、全く瀬奈の夕霧を見ておらず、自分の言い分一辺倒なのよー。笑。
 瀬奈夕霧は伊織柏木に一方的に話し掛けるばかりで、完全に無視されているみたいだった。
 それがさながら、兄にまとわりつく弟というムードを醸し出していたんです。 )
夕霧って真面目で頑固なキャラの筈だけどね。
お芝居の中ではやたらと素直で真っ直ぐ、というキャラに描かれていた。

そういえば、城サンのあの独特な科白棒読みは誰かに似ていると思ったら、
岸田今日子だわ。あははは。



ショーはね。良かったです。
品があって、オーソドックスで、しかしスピード感があって。
デッド・ブレイブそっくりの中詰めは(衣装も、装置も、音楽も、ストーリーも)、
どうかと思ったけどね。ダサいんだもの(ズバッ)。
中村一徳先生のショーは確かにワンパターンかも知れないが、でもいいんじゃないか、それで。
もうあれも個性だよ(笑)。草野先生が原色とギラギラが好きなのと同じさ(笑)。
オーソドックスで品があってそこそこ楽しいショー・・。
他の先生には書けないものー。
(またまた、「BMB」ボケしている私には、何てマトモなショーなんだろう・・と思えた。
 羨ましかった・・ぐすん。月に当たらないかなぁ、中村先生・・。)

で、ショーはね、大鳥が良かった。
何て耳に心地の良い、柔らかな歌声なのかしら。もうずっと歌っていなさい(笑)。
で、歌声だけじゃないのよ。押し出しもいい。
センターで歌う大鳥の姿の、何とトップ然としていることかー!
(愛華よりもトップらしかったよ。堂々・悠然としていてさ。)

愛華は、あんまり目立たなかったけど、白い衣装が多くて・・白が似合うのね。
白が似合うのはいいことです。(まなみは似合わない・・でもそれがいいのー!←ばか)
あとはジャングルの中詰めの吠え吠えで、大笑いさせて頂きました(笑)。
もう、滅茶苦茶(笑)。吠えりゃいいってもんじゃないだろうに(笑)。
「あれえーー」とか「う゛あ゛お゛ーーーー」とか「がおーーー」とか「よほおーーーー」とか。
最後は「んんーーーっま!!」(投げきっす)だし。
極めつけは暗転後に響いた 「しぇぇぇえええーーーんきゅう!!!!」
「ぅおんちゅうううう!!」
である。
もうわしは、中詰めは途中から手を叩いて声出して大笑いしてました(笑)。
ハァ、愛華面白すぎーーーー。

匠・・・・流石にダンスはいい。が、歌がぁぁぁぁああ・・・。
それと、ちょっと線が細過ぎる。
伊織・・。よく覚えていないが、一人で銀橋で歌っていたのがなんだかえっちだった。

春野はワイングラスのタキシードがいいねーーーっ!!
登場する時に、匠の後ろで瀬奈と2ショットで立っているのがごっついええ。
フィナーレでは、匠とちと妖しい怪しい絡みがあったけど、何かね、発される色気が、
月のまなみ・紫吹の陰で退廃的な色気と違うわーと思った(笑)。陽な色気。
ラインダンスは衣装がヘン(笑)。可愛いと思ったけど。

*

と、いうところかしら。
お芝居もショーも多面的に楽しみました(花組ファンのお連れ様にガイダンスして貰いつつ。笑。)。
ああ面白かったハァ・・。
これからは全組観る事にしようかなぁ。(嘘)


(20000815)


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