バロンの末裔/グランド・ベル・フォリー


久世さんのサヨナラ公演
(涙)でしかも正塚センセ
当然観まくった。
大劇場7回、東宝7回の計14回観劇。

*

まず、お芝居の「バロンの末裔」だが、うーん・・。
つまらなくはなかった。
が、特別面白いわけでもなかった。
というのも、実は私は「雉撃ちの丘」でエドワードとキャサリンが結局結ばれる事を断念した時、
「えっ!!そうなん!?なんでぇぇ〜〜!」って思ったのよ。
そんな理性で割り切れるものかなぁ・・と。
まあ、何度か観ているうちに「そういうのもアリかなぁ・・」と思ったけどさ。
あと土地(鉱山を巡る)騒動に関しては前振りが長い割には最後で呆気無く片付いちゃうしね。

そして久世ファンとしては、エドワード/ローレンス役で 久世さんの魅力が十二分に発揮されているかというと、
決してそんな事は無いし・・。

でもま、何だかんだ文句言ってても最後のテラスの切ないデュエットダンスや、
エドワードが去って行く姿に久世さんの退団が重なって「ウガーーッ」って泣いちゃいましたが。
(というか、ボールトンキャッスルホテルで皆が並んで歌ってる辺りから
 もうがなじぐって「うおーーーん!!」って感じなの。)

当時の私は久世さんのサヨナラ公演ということでかなり欲張りになってたから、
今から思えば「バロンの末裔」は充分感動的な舞台だったのでは、と思う。

*

久世さんのエドワード。
「雉撃ちの丘」では風花共々連日涙を流しての大熱演でしたね。
あの場面は観る度に演技密度が濃くなっていった。
(だからこそ私も「そういうのもアリか・・」と思えたのだ。)

久世さんは上品なので基本的に貴族役は似合う。
芝居の細かさも相変わらずで、微細な心理描写にはつくづく感嘆してしまった。
「朝を抜いたので腹が減った。」
「ああそう、なにを。」
「ずっと抱き締める・・死ぬまで、この恋を!」
「兄は知らない・・。」
なんかの科白回しは、「これぞ久世星佳」的でファンにはたまらんかったね。

曲はどれも美しかったが、久世さんのしっとりした歌い方はグッと来た
ま、でも何と言ってもラストの「I Wish」でしょうな。
あれで泣かない久世ファンはいまい。
銀橋渡って下手花道で見せる笑顔がまた良いことったら・・。
ダァァァァァーーーーー。(←泣いている。)

ローレンスの方はエドワードでひたすら耐えてるせいか、日増しにギャグに走っていた気がするが、
(東宝ではやり過ぎっぽいとこもあって少々人物像の一貫性に欠けた。)
でも、すーーごい好きだったよ、可愛くてぇ。
「あは」とか言っちゃうし。
ま、ヅラは相変わらず不自然だったが。(笑)
ほんと、長髪のヅラが似合わないだけでなく、使い方も不器用。(笑)
いいんだ、そういうとこも含めて全てが好きなんだも〜〜ん。(←バカ)



風花のキャサリンはね、驚きましたよ、私は。
こんな嫌な大人の女の役を風花が出来るなんて〜〜〜!!
全体に抑えた科白回し、落ち着いたムードでしっかり大人の女に見えるのが素晴らしく、
「雉撃ちの丘」で抑えていた感情が爆発するところ、(それまでの流れもちゃんとある)
そしてところどころ、本心が見え隠れしてしまうところなど、とっても良かった。
久世さん共々芝居が細かい!!
衣装はどれも似合っててとても綺麗だった。
ま、付け毛は近くで見ると前髪と明らかに色が違ってて「おいおい」って思ったけどさ。

*

まみのリチャードは、前回のマキャヴェリに続いてまたもやドラマの枠外。
2番手に与える役じゃないだろーがぁぁーっ!!
軽過ぎる!!演りようがない!!

のんまみファンの私としては、2人が親友というのは嬉しいが、
本来なら姿月のウイリアムと役が逆だったんじゃないの!?

正塚センセって、この前の「ハードボイルドエッグ」のシドニーといい、
真琴つばさをナメていないか!?
何故ドラマの枠外の軽い役ばっかり与えるのか!
だから私は、まみトップの月組に正塚センセがどんなお芝居を書くのか非常に興味があるよ。
ウヒョヒョ。
(しかし正塚センセに当たる前にまみが退めちゃったらどうしよう〜。)

えーっと、リチャードに話を戻すと、コメディーリリーフで、
程好いふざけ具合、サラッとした面白さがあり良かった。
同じ正塚作品「メランコリック・ジゴロ」のバロットの頃の
野暮さ・クサさ・アクの強さ(3連発)は何だったんだろう・・って感じだね。(笑)
とにかく、ローレンスとの絡みのアドリブと、壷投げ、
そして冒頭のすんごい顔面が毎回楽しみだったよ。



何度も観たおかげで、壷を落とすのも、壷が割れるのも、見ることが出来た♪

*

姿月のウイリアムは前回ひたすら老け役を演っていたのが良かったのか、 割に落ち着いていた。
まあんまり知的な感じはしなかったが、色気はあるし、やっぱり綺麗。
最後のボールトン家でのやり取りなどは、それなりに良かったです。

ヘンリーの汐風は最高でした。
まあこの手の役は十八番だとは思うけど、あのそこはかとなく漂う人の良さ、素朴さ。
あれがいいんだよね〜〜〜!

組替えで来たばかりだった千紘には、割に自然に溶け込んでいて、好印象を持った。
元気があってよろしい。

そして絶対に書かねば気が済まんのが那津乃のレイチェル。
初めて見た時は、余りに素晴らし過ぎて絶句。
「ありがと」
最後の一言の科白回しがぁぁぁ・・天才的!!
科白の無い時も見逃せない素晴らしさだった。
凄過ぎるぞ那津乃!!



ショー「グランド・ベル・フォリー」は面白かったぞぉぉ!
というか、私はこのショーを客観的に評価する事が出来ません!!

だって久世さんとまみの絡みがオンパレードでヨダレもの
なんだもんー!!
(このショーの久世さんの実質的な相手役はまみだったと言っても過言ではない。)
それだけで満足。
おいし過ぎて冷静に観ることなんて出来ないさ!
私はひたすら「酒井センセありがとう〜〜!最後でこんなにのんまみの絡みを見せてくれて〜〜!」
と酒井センセに感謝していたさ!!



幕開きはお月様に乗った風花が現れていきなりタッカッラヅカァァンなムード。
ドリィィ〜ミ〜ン。
オープニングはとてもオーソドックスだが、銀橋に突如現れる久世さんがいいのだぁー。
私はいつも暗闇で「よっこらしょ」と銀橋に上っているところから見ていたさ。
あと忘れてはならない!
まみの黒薔薇の紳士がものごっつう良かった。
(私は月組ヴァージョンしか観ていない。)
もう濃ゆくって色っぽくて歌もまみに合っていたしすごーーーく好きだった。
衣装も似合ってたしね。

*

幕前の「サ・セ・ラムール」は毎回一番楽しみだった場面。
月組ヴァージョンしか観てないから、当然久世さんとまみのしか見たことはないが、
大人っぽくてお洒落で2人がめっさ楽しそうで、見ているこっちも嬉しくなった。
アドリブも毎回楽しみだったしね。
お揃いのモーモー柄の衣装は変だったが・・。

*

「ル・ジャズ」は何たって風花が可愛くってしかもテクニカルで最高よん。
周りの男役が消し飛ぶ程風花が輝いていた。
私はピスタッシュに続いて「風花ばんざーーい!」と叫びたかったね!
シンプルなセットも良かったし。
冒頭の姿月の歌も、かなりの難曲と思うが難なく歌いこなしていて感心。

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ショパンとジョルジュ・サンドはファン以外は眠くなったでしょうね。(笑)
ダンスはヘボだし。
私も最初の頃は、何か絵面的に余り美しくない・・ヘンじゃーー!2人とも!!
とか思っていたんだけど、しかしジワジワと良さが・・!
そのうち双眼鏡が手放せなくなっていた・・・!!(笑)

だってなんかえっちぃだったんだもん。
特にまみが・・企んでいそうで・・。
リボン取る手付きとか・・。
久世さんの上着を脱がせて、自分の上着も脱ぐ時の眼付きには妖しい&怪しい光が・・
誘惑のフェロモンを発していたぞ、あれは。(笑)
しかも男同士にも見えるので、とっても倒錯的・退廃的で2度オイシイし〜。ジュルルン。

あ、久世さんのヅラはローレンスよりかはいいです。(笑)
でも私は東宝でやってたショートのショパンが可愛くて好きだったけど。
(でもショートにすると、派手な縦ロールヅラのまみとのバランスが悪くなるんだよね。)

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中詰めのスパニッシュはそれなりに盛り上がっていた。
姿月の歌は毎回もの凄い迫力に圧された。

まみのスパニッシュの男も、黒薔薇に続いて濃ゆいぞぉぉ〜。色っぽいぞぉぉ〜。
例えターンがぶれていても、もうもうまみパワー全開で大好きだったぞ〜。
衣装の胸元がガバーっと開いてるのもオイシかったしね・・。
(よく覗き込んでいました、ハイ。)
東宝では衣装が変わっちゃって、(胸元は同じように開いていたが・・って違うだろっ)
大劇場の衣装がお気に入りだったから、それは不満ブイブイだったけど。

久世さんの衣装はピンクでびっくりしたが、しかし似合っていた。
大人っぽいダンスシーンでとっても良かったワ。

*

大劇場での「思い出の青い薔薇」の久世さんのピエールは 屈折してて十八番的な役柄で、
流石にカッコ良かったが、何度も見てたら飽きた。
風花のヅラも何か変だったしな。

東宝ではガラッと変わっちゃって「思い出のカフェ・ド・パリ」になり、
ジゴロだったピエールがスターになってしまい、
汚れ役だったるんぱが、爽やかなピエールの親友になってしまったのだからびっくりしたよ。
でも私はこっちの方が好きだったな。

久世さんがセクシーでぇぇ。
椅子に腰掛ける辺りがすーーごいセックシー!!
あの細目三白眼の流し眼がいいのよねーー!オッサンくさくて最高なのよー!
そしてなんたってフニャフニャダンスしてるあの腰とケツ!!
これよ、これ!
(アホや)

*

フィナーレは、汐風と千紘は明らかなミス・マッチだったけど、他は良かった。
男役の黒燕尾でのダンス。これっすよこれ。
ツボ押さえてるよ〜〜。
ダンスがヘボだろうと、どうでもいいのだ。
黒燕尾で踊ってくれたらそれだけでカッコイイのだ、ファンは満足なのだ。
突然ウアッと盛り上がってダンスが終わると、久世さんのソロ。
ここで退団の2文字を又思い出してしまうのよよよーー。うう・・。
まみと2人のダンスは身長が同じくらいだからシルエットが合ってグーー!
トリオも泣けました・・。ウガ〜〜〜。

このフィナーレを見ただけでも久世さん・風花・まみの3人の充実振りが実によく分かる。
凄くいい循環をしていたもの〜〜。
そしてそれを実感すると、もうこのトリオも見れないんだ・・と尚更悲しくなる私だった。
グスグス・・。(泣)

最後に「アムール」を歌い上げる久世さんにはもんの凄く感動してしまい、また涙。
泣いてばっかだったぜ、ばあろー。
だって悲しかっただもん、しょうがないじゃんかよーっ。



サヨナラショーは・・というか、東宝の楽は観られませんでした。
抽選見事にはずれたさ、チキショー

*

東宝が終わってからも、「久世さんが退めてしまった」なんて実感は全然湧かなかった。
それを実感したのは、「EL DORADO」を大劇場に観に行って、初めてまみの開演アナウンスを聞いた時。
ハッとした。
そして、なーんとも言えない複雑な(まみのことも好きだからさ。)、でもやっぱり、物悲しい気分でした。



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