チェーザレ・ボルジア/プレスティージュ(大劇場)


大劇場で3回観劇。
まずお芝居「チェーザレ・ボルジア」から。
柴田作品で、イヤ〜な予感はしていたが、嗚呼、的中
立派な失敗作でした。

とにかく分かり辛い。
イタリアの戦国時代の話ってことで地名は覚えられないし、固有名詞は分からんし。
そして最後は余りにあっけないし
主役チェーザレもなんか半端な書かれ方してるし、 もっと徹底した悪党振りが見たかったな。
(「銀の狼」のジャン・ルイのようなのを期待してたんだけどなぁ。)
何より、エンターテイメント性に欠けるのよね。
凄く平坦でしょ。

何だか塩野七生の小説を原作に選んだ事自体間違ったという気がする。
だってね、原作めちゃつまらんのですよ。
史実が淡々と並べられてるだけで、小説としての面白さ皆無。 教科書みたいよ。
それがそのままあの世界史ダイジェストみたいな舞台に表れてしまったのかもしれん・・。



久世さんのチェーザレは、いつもより抑えた低い声と、冷たい眼と、色気が素敵だったが、
しかし脚本の悪さは如何ともしがたかった・・。
そして衣装が似合わないやんけぇぇ〜〜しかし。
やたら派手でモコモコした奴ばっかりで出て来る度「あああ〜〜〜」って感じだった。
今でも強烈な紫が眼に焼き付いているー。
久世さんはコスチューム似合わないんだってば。

しかしもの凄い迫力に呆然としたのが、「♪来るか奴ら・・」の歌のとこと、
(後ろに怒りの炎が見えるようでした、ハイ。)
何と言ってもラストの「まだ早い!!あぁぁ・・まだ早いィィ!!♪やり残した仕事が・・」のとこ!
自分の野望を思わいもよらぬことによって絶たれた無念さが、魂の叫びの如く全身で表現されてて圧倒されてしまった。
あれだけは、見応えがあった。
(久世さんならでは・・。←ファンモード)


*

風花のルクレツィアは、実はこの役の造形そのものに不満があったりする。
このお芝居でのルクレツィアは父や兄に利用された薄幸の美少女、ひたすら従順、ひたすら健気。
・・・こんな役風花に似合うと思ったのかなぁ?
柴田センセ、座付きなんだからもう少し生徒の個性に合った役の造形して欲しいわ。

私としては、もうちょっと色気のある大人の女にしてくれたっていいじゃないかーと思いました。
その方が面白かったと思うけどなぁ。
役もつまらんが、風花もイマイチ。(見た目は可愛かったが。)
何かやたら明るくって健康そうで、あんまし不幸そうじゃなかったもん。

*

まみのマキャヴェリは狂言廻しプラス半ボケみたいな役で完璧ドラマの枠外
(芝居の中で起承転結の無い役。それをドラマの枠外と言う〜。)
何か柴田作品て2番手の役が軽いのが多くないか?
ヴィクトールで大いにまみを見直してたから、
「何でこんな役与えるのーーっ!」と不満ブイブイだったが、
(この頃、まだ別にまみファンって訳ではなかったけど。)
こんな完璧ドラマの枠外な役でも、やたらな存在感があってその点は感心してしまった。

まー、科白も聴き取り易かったし、まみの出来は良かったでしょ。(でも役不足。)

*

姿月のルイ12世は見た目がすっごい立派
文句無くコスチュームが似合う人だね。(笑)
科白は相変わらずモゴモゴしてる時があったが、ムードは落ち付いていて、悪くなかった。



ショー「プレスティージュ」は中村一徳センセで全然期待してなかったのに、意外なほど面白かった。
芝居がつまらなくってダレてたのを蘇らせてくれたって感じ。
とにかくダンス中心のショーで
センターラインはヘボダンサー揃い(あ・・・)の月組で何て無謀なことを〜〜と思ったけど。



何と言っても好きだったのは中詰めの90人総踊りのドドドドドド迫力っっ!!
まさしく血湧き肉踊るってやつ。
私見ながら鼻息荒くなったもん。(笑)

幕開きの「夜の女王」は、すーーかっり女役慣れしてしまったまみは流石に綺麗だったが、
姿月も思っていたより綺麗で良かったです。 (相当巨大だったけど。)

オープニングは凄くオーソドックスだったが、それが久世さんの品の良さに合っててグーー。
でも風花がダルマの時に頭に被ってたやつって・・。
どんぐりみたいだなぁと思ったの私だけかしらん・・。

*

「ギャルソン・デ・ジール」も有りがちと言えばそうだが、私は好きだったよ。
久世さんのダンス、ヘボだけど。(笑)
スーツ似合ってたし、(トレンチコート〜〜♪)風花との大人っぽいデュエットも良し。
初めの姿月の銀橋も、色気といい華やかさといい、歌もがあってとても良かった。
(やっぱ姿月は基本的にショースターなのね。)

*

異質だったのは矢張り「デッド・ブレイブ」(私と妹達の間ではこの場面、通称「ミドリ」)でしょうな。(笑)
まみは確かに被り物似合うし、あんなアクの強いドロドロした獣のような役はもうまみにしかでけへん!!
本人もすーごい熱演!
だったのだが、私はこの時は、この場面のまみはコワかった!!

初めて見たときに、銀橋を渡るまみを何気なく双眼鏡で覗いて、
丁度、眼を見開き、クワッと口開けたまみがどアップで視界一杯に飛び込んで来たので、
「コ、コワ〜〜!!」 とびびってしまったのさ。
(まだNOTまみファンだったし)

*

まみというと何と言っても良かったのが中詰めの「ルナティック・ダンサー」ね。
というか、私この場面のまみを見て、かーなーりー「グラーーッ」と来てしまったのよよよよ〜〜!
「久世さんごめん。浮気を許してー」と思いつつ双眼鏡でまみに見惚れていたというのを白状しておきましょう。
衣装も似合っていたし、あ、あのくらぁぁくて退廃的な色気が、たまらんセクシー!!て感じだったの。
リーゼント撫で付け頭というのも私のツボを押さえていた。
嗚呼、あれはやられてしまったわ。
「パッション・ネェラァ〜〜」

中詰めは、久世さんの「オエ・ママ」も凄く良かった!
あの細目の流し眼がツボ・・。
(しかも三白眼・・。)

「アイム・フォー・リアル」もたーいへん好きでした。
風花はド金髪のストレートヘアで、、真っ白い衣装でバービー人形みたく可愛かったし。
(しかも清純そうでいいのね、また。←オヤジ)
久世さんもすごいサワヤカ青年で笑顔がいい〜。
そして2人の別れ際の表情のいいことったらなかった。
あの余韻!!流石2人とも、役者やね。

*

あとは、「ウエスト・サイド・ストーリー」ね。
衣装が・・久世さん似合わない〜〜。(笑)
しかし、苦手なダンスを髪振り乱して必死に踊り狂う姿は、つい手に汗握って見守ってしまった。
あんだけ踊りながらよく歌も歌ったよね・・。エライ!
あと、私この時のまみの衣装が・・似合ってて可愛くてすーごい好きだったのぉぉ!
それにしても「ウエストサイズ・フトーリー」のオチには固まったぜ・・。
さむっ!!
あんなオチ久世さんに言わせんな!中村B!!

*

フィナーレは少々アッサリし過ぎてて不満もあったけど、 姿月の美声が聞けたからまあいいか。
あと風花の「ラ・ビアン・ローズ」がめちゃめちゃプリチーですごい好きだった。
心が和んだわ。 脚線美もたまらんかったっす、ムフー。(オヤジ)

そしてパレードで幕が閉まる前に、
久世さんが風花と眼を合わせてニカッ、まみと眼を合わせてニカッと微笑みを交わしてるのが、(毎回)
とっても好きだった。(退団するまでずっとやってたよね。)



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