No.021.5 番外編:獅子座流星群体験記
1998年11月18日(水)
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今回は写真が無いので番外編とする。
今日未明33年に一度という獅子座流星群があった。
それほど見る気はなかったのだが結構本気で見てしまったので
ここにその体験記をお送りする。
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11月17日火曜日
ニュースや天気予報では獅子座流星群の話題で持ちきりだ。
何年も前たまたま夜中に富士山五合目に車で行ったとき
雨のような流れ星に遭遇し大感激したことがあった。
これだけ話題にあがるのだから、さぞやものすごい流星群なのだろう。
ちょっと見てみたい気はあったが天気予報だと今晩は曇りらしい。
山梨県が見るのに最適とのことだ。
今日は平日だし、山梨まで行くわけには行かない。
こりゃダメかなー、とほとんどあきらめていた。
その日残業が終わって自転車で帰ろうとしたとき
ふと空を見上げると一面に星が輝いていた。
これなら見れるかもしれない!
さっそく帰ってインターネットで獅子座の方向を調べる。
どうやら東の方向らしい。
今朝見たニュースではピークは夜中の1時から3時頃だと言っていた(と思う)。
1時過ぎに外に出て東の空を眺めてみたが
流れ星はまったく見えなかった。
3時から5時頃がピークだという話も聞いていたので
ここは一回寝て4時に起きて再チャレンジすることにした。
目覚ましを4時にセットしておやすみなさい...。
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11月18日水曜日午前4時
目覚ましの音で目が覚めた。
異常に眠かったが外は流星の雨かもしれないと思って
パジャマの下はジーパンに履き替えて上にフリースを羽織り外に出た。
星はまだたくさん輝いている。
東の空をしばらく眺めるがやっぱり星は流れない。
そのうちにアパートの2階の方でガチャとドアの開く音がした。
なんとなく自分が怪しい人物なような気がして
慌ててアパートの前の道を少し歩いて離れたところで空を眺めていた。
するとアパートから出てきた人物(女性)はすたすたすたとこっちの方向に歩いてきた。
もう隠れるわけには行かないのでそのまま堂々と空を見上げていると
「流れ星見えますか?」
と話しかけてきた。
やっぱりみんな流星群のことは知っているのね。
別にびくびくすることはなかったのだ。
「いやー、ぜんぜん見えませんねー。」
と答えると、そうですかと答え僕の前を通り過ぎていった。
別に流星群を見るわけでもなく何か用事があって出かけただけらしい。
それはともかくどうにもこうにも流星が見えない。
思いのほか周りの街灯が明るく星も見えづらい。
アパートの階段を昇ったところで空を見上げていたとき
屋根の陰でフラッシュがたかれたようなまぶしい光が光った。
その後どこか遠くの方でオオーという歓声が上がったような気がした。
やっぱり流星群は来ているんだ!
そうなると見ないことには気が済まない。
どこかもっと暗い所はないかと考え
近くの厚木基地の滑走路の所の道路が暗いことを思い出し車を走らせた。
途中の道ばたには何人も空を見上げる人たちがいた。
お目当ての場所に到着すると
道路沿いにはずらーっと車が路駐してありみんな空を見上げていた。
みんな考えることは同じなのね。
もうほとんどお祭り状態。
なんとか車と止めるスペースを見つけ空を見上げる。
なぜかみんな東ではなく南西の方向を見上げている。
それにつられて僕もそっちを眺める。
やがてスッと一本光が走った。
やった! ついに流れ星が見れたぞ!
この分だといっぱい見れそうだ。
そう思ってしばらく空を見上げていたがその後いっこうに流れない。
その道は確かに街頭が無く暗いのだが
車通りの多い道なのでヘッドライトがかなり邪魔になる。
おまけに雲まで出てきた。
首も痛くなってきたしフリース一枚じゃ寒い。
でも流れ星1個じゃ収まりもつかないのでなんとか粘る。
そのうちまたスーッと光が走った。
周りで歓声が上がる。
やった、2個目。
でもこの調子だと次はいつ流れるか分からない。
寒いし眠いし帰ることにした。
車でアパートに着いたとき
基地の近くではかなり多くなってきた雲がこの辺じゃほとんど無かった。
もう1個見たいと思って
今度は東の空ではなく南西の方角をじっと見つめた。
およそ10分くらい経っただろうか。
かなり明るめの流れ星が光った。
1個見えるとまた見れそうな気がして粘りたくなる。
時間はもう5時近い。
きりがないのでもうあきらめることにした。
結局成果は3個。
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11月18日水曜日午前6時半
再び目覚ましで起こされる。
ほとんど寝た気がしない。
人の話を聞くと騒いだほど流れなかったらしい。
やっぱりそうだったのね、と思いつつ何となく世紀のお祭りに自分も参加できたような気がして
満足だった。
でもアパートの屋根の陰で光ったカメラのフラッシュ級の1個は
この目でじかに見たかったなー。
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