国技館禁煙訴訟について

国技館の桝席が喫煙天国になっています




国技館禁煙訴訟の意義と、今後も受動喫煙
防止措置が図られない場合の対応について
       

財団法人日本相撲協会が運営管理する国技館の桝席が喫煙天国になっています。喫煙による副流煙の
受動喫煙被害が指摘され、最近社会的にもその防止措置を求められているにもかかわらず、主催者である
相撲協会は、法律で定められた防止措置を一向に取らないので、その違法性を法律面から指摘するために
訴訟を提起しました。
 今回は、私一人で提起してますが、もし相撲協会が今後、平成16年9月場所以降においてもなお受動喫煙
防止措置を図らないときは、この度司法書士が簡易裁判所の訴訟代理権を持ったことを武器に、全国の
司法書士に協力を求め、国技館で受動喫煙被害を受けた人々に呼びかけて、その被害者の住所地の簡易
裁判所で、相撲協会を相手に全国的な損害賠償の訴えを一斉に提起しようと考えております。

そのときには、この度提起した以下の訴状の骨子が力を発揮するはずです。

 なお、将来訴訟をお考えの方は、国技館で受動喫煙による被害に遭っている時の喫煙の様子を撮影した
数枚の写真と相撲のチケットを紛失しないように保管しておいてください。また、受動喫煙の被害を
受けていたそのときの周囲状況や座席の位置関係などを図示したメモなども記述して残しておかれる
と良いでしょう。


       
訴    状

            
平成16年6月10日

横浜地方裁判所小田原支部 民事部 御中

           
原告 野 田 順 一  印 
       
神奈川県○○○市○○○番地

          
原 告  野 田  順 一

  
送達場所 〒250-0012 小田原市本町2丁目1番34号
野田司法書士事務所
      
電話 0465−24−1680 fax 0465−24−2494

 
  〒130-0015 東京都墨田区横網一丁目3番28号
        
 被 告   財団法人 日本相撲協会
        
  代表者 理事 小 畑 敏 満

受動喫煙防止義務懈怠による損害賠償請求事件
  訴訟物の価額  金5,650円
  貼用印紙額 金1,000円
              
請求の趣旨
1 被告は原告に対し、金5,650円及びこれに対する本訴状送達の翌日から支払済に至るまで
 年5分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決並びに仮執行の宣言を求める。

              
請求の原因
1 被告は、相撲道に必要な施設を経営すると共に力士の相撲競技の公開実施、国技館の維持・管理
 などの事業を行うことを目的とする財団法人であり、且つ大相撲興行の主催者である。

2 国技館の管理運営者兼大相撲興行主の管理責任と受動喫煙被害防止措置を果たすべき被告の
 法律上の地位について
  (1) 国技館の収容人員規模
     被告が管理運営している国技館の収容人員の規模は、被告が設営しているインターネットの
   ホームページによると11,098人もの収容力を有すると公開されている。ちなみに、収容
   人員紹介のアドレスは: http://www.sumo.or.jp/kokugikan/kannai/index.html である。
  (2) 興行場法上の義務
     国技館では、大相撲の興行を始めとして種々なイベントが行われるが、このような興行を行う
  場合、興行場法第4条において、「入場者は、興行場において、場内を著しく不潔にし、その他
  公衆衛生に害を及ぼす虞のある行為をしてはならない。」と定められ、且つ同条第2項では、
  「(略)興行場の管理者は、前項の行為をする者に対して、その行為を制止しなければならない。」
  と規定されていることから、国技館の興行場を管理している被告には、公衆衛生の観点から国技館を
  利用する者にとって害を及ぼす虞のある行為をする者があった場合には、管理者としてその行為を
  制止させなければならない興行場法上の義務が課せられている。
(3) 健康増進法25条に基づく受動喫煙の防止措置を講ずる義務
     健康増進法第25条の規定によれば、「..(略)劇場、観覧場、集会場、(略)..その他の多数の
   者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに
   準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な
   措置を講ずるように努めなければならない。」と規定されているところから、当然のことながら
   国技館という1万人規模もの多数者が利用する施設の管理者である被告は、右規定のうえから受動
   喫煙の防止措置を講ずべきことが求められている立場にある。
  (4) 被告の管理責任
     このように、国技館の管理者であり且つ大相撲興行の主催者である被告には、興行場法に定め
   られた公衆衛生の観点からも、更には健康増進法上の観点からも、その両面から国技館を利用する
   入場者らに対して十分配慮することの管理責任が課せられているというべきである。
   (5) 管理懈怠による損害発生と不法行為責任
     したがって、国技館の管理者である被告において、もし次のような管理運営について任務懈怠
    があり、それによって他人に損害を与えた場合には、民法第709条の不法行為責任を負うという
    べきである。
   @ 興行場法の公衆衛生の観点からは、被告が国技館において興行主として大相撲などの興行を行う場合に
     おいて、喫煙行為による副流煙は人体に有害な物質(ニコチンやタール、ホルムアルデヒド、
     ニトロサミンなど)が多く含まれ、発ガン性もあることが広く知られている(甲第3号証参照)ので、
     そのような公衆衛生に害を及ぼす虞のある喫煙行為をしている入場者が認められる場合には、その喫煙者
     らに対し興行主としてその喫煙行為を制止させなければならない法律上の義務があるところ、故意
     若しくは過失によってその義務を怠り、副流煙により国技館の利用者に受動喫煙を余儀なくさせ、
     損害を与えた場合
    A 健康増進法の観点からは、入場者に対し受動喫煙の防止措置を図ることが求められているにも
     かかわらず、その防止措置を講ずることを故意若しくは過失によって怠ることによって、国技館
     の利用者に副流煙などの被害によって受動喫煙を余儀なくさせ、同館の利用者に損害を与えた場合

3  国技館の管理者兼大相撲興行の主催者である被告がチケットを有償販売した場合における被告の債権契約上
  の役務内容について
  国技館という1万人規模の入場者を受け入れて大相撲興行を主催者として行うという以上、被告がその
  チケットを有償で販売する場合にあっては、有償双務契約に基づく被告の役務内容として、興行場法、
  健康増進法などの法律遵守義務が内包されていることは当然のこと(ちなみに、これらを遵守しないこと
  は公序良俗に反する)であり、チケット購入者・保有者(以下、チケット保有者という)と、国技館の
  管理者兼大相撲開催の主催者である被告との間における法律関係は、次の役務内容を含む債権契約が成立
  (以下、大相撲観戦契約という)しているというべきである。
  (1) 有償双務契約に基づく被告の役務内容
   @ 請求原因第2項(2)主張の興行場法上の義務
   A 同項(3)主張の健康増進法25条に基づく受動喫煙の防止措置を講ずる義務
   B 被告は、そのチケット保有者に対して予め指定された日時における観覧席を排他的に確保し、その席
    においてチケット保有者が大相撲観戦を支障なく楽しめるよう予め善良な管理者の注意をもって配慮
    する義務があり、また興行が開始された以降にあっても、チケット保有者が観戦につき不快感や健康
    に害を及ぼすことがないよう必要な配慮と措置を講ずべき善管注意義務がある
  (2) チケット保有者(相撲観戦者)の法律上の地位
     チケットの保有者は、所定のチケット代金を支払う対価として、右(1)主張の被告の役務を受けること
    により「大相撲を楽しく支障なく(その具体的な制止義務、予防措置防止の内容は上記(1)と同じ)
    観戦すること」を請求できる債権契約上の地位を有する。

   したがって、もし被告に大相撲の興行主として故意若しくは過失によってチケット保有者に対して大相撲観
  戦に支障を生じさせた場合には、大相撲観戦契約に伴う債務不履行責任(民法第415条)を負わなければ
  ならないというべきである。

4  ところで、被告は、東京両国の国技館において平成16年5月9日から同年同月23日の14日間にわ
  たって開催された大相撲5月場所(以下、国技館5月場所という)の観覧入場券を広く相撲愛好者らに
  販売するため訴外国技館サービス株式会社の相撲案内所などを通じて販売していた。
  なお、被告が販売していた国技館5月場所のチケットの種別及びその代金は、次のとおりであった。
    @ 桝席A 45,200円 (税込み)
    A 桝席B 41,200円 (税込み)
    B 桝席C 36,800円 (税込み)
    C その他の席の種別及びその代金についての主張は省略する

5  原告は、両国・国技館5月場所のうち、平成16年5月23日開催の千秋楽の次のチケットを購入・入手し
  ていた(甲第1号証の1〜4)。
  購入チケット 桝席A 金45,200円 (税込み)
観覧席 1階西8側20番(以下、本件チケットという)
   したがって、本件チケットを購入・入手した原告とそのチケット販売主体であった被告との間には、請求原因
  第3項で主張した大相撲観戦契約が成立していた(以下、本件大相撲観戦契約という)というべきである。
  なお、原告が入手した本件チケットは、最大4名で観戦できるが、桝席は大人4名が観戦するには極めて窮屈な
  ため、原告は訴外妻と2名で右チケット代金を支払い入手した。そこで原告が右桝席で相撲観戦をする為に支払
  ったチケット代金は、金22,600円を支払った計算になる。
  ここで大相撲のチケットの入手状況につき付言しておくと、両国・国技館で開催される大相撲のチケットのうち、
  千秋楽の桝席Aは、特に人気が高く、通常発売日と同時に完売となり、その入手が極めて困難な状況にあるのが
  実情である。そのような特殊事情にあるなか、原告は発売日のかなり前から訴外国技館サービス株式会社の
  相撲案内所を通じて予約をなし、ようやく本件チケットを入手できた特殊事情と背景があった。

6 国技館内において原告が副流煙による受動喫煙の被害を受けた事実
 (1) 副流煙による受動喫煙を受けた状況
    さて、原告及び訴外妻は、請求原因第5項主張の千秋楽の日に、本件チケットに表記された桝席A(1階西
  8側20番)に13時45分頃到着し、相撲観戦を開始した。
   右観戦直後は、原告らの席の周囲は未だ空席が多く快適に相撲観戦を楽しめたが、その後原告らの前席(西7側
   推定19番)に14時30分頃から入場してきた推定年齢65歳〜70歳位の男3名、女1名の4人連れの
   観戦者らがその席で喫煙を始めた。更に、15時30分頃からは、原告らの左隣(西8側21番)の男女2名
   の観戦者も喫煙を始めた。
    特に、原告らの前席(西7側推定19番)の観戦者らは、かなりのヘビースモーカーであり、ある一人の喫煙
   が止んだかと思えば、引き続いて他の者が喫煙を始め、ひどいときには3人が同時に喫煙して、それら煙草に
   よる副流煙が原告らの席に頻繁に押し寄せ、原告らは14時30分頃から大相撲観戦の終了時の18時頃まで
   の間、副流煙による受動喫煙の被害から逃れることができなかったものである。
     なお、これら受動喫煙の被害を受けていたのは、原告らばかりでなかった。原告らの席の前列左の席(西7側
   推定20番)のご婦人(推定年齢65歳位)も右隣席(西7側推定19番)から襲ってくる副流煙を避けるため
   に何度も扇子で煙を払っていたが、その喫煙者らは隣席への副流煙による迷惑を意に介することなく平然と喫煙を
   続行していたのである。また、原告らの右隣の席(西8側19番)は、20代後半の母親と生後10ヶ月位の女児
   及び母親の友人らしき同年代の女性2名であったが、右幼児の母親は周囲から流れてくる副流煙から幼い女児を
   避けるため盛んにかばっていた状況であった。
 (2) 被告の不法行為責任、債務不履行責任
    ところが、被告は、喫煙行為によって原告らの身体に害を及ぼす虞のある副流煙を発生させている入場者ら(西7列
    推定19番、西8列21番の喫煙者ら)に対し興行場法第4条に基づく喫煙行為の制止措置を行うべきところ、
    副流煙による受動喫煙の発生を野放図に放置し喫煙行為の制止を行わなかった重大な過失がある。
     更に、被告は、桝席の全てに灰皿を設置して、喫煙の嗜好癖を持つ入場者らに対し健康増進法第25条の立法
   精神とは逆の、喫煙行為をむしろ奨励する管理運営をしていた故意があった。
    仮に、右故意が認められないとしても、喫煙の嗜好を持つ喫煙者は、喫煙行為につき習慣性を有することは
   公知の事実であので、喫煙行為により受動喫煙の被害が十分予想されるところ、1万人規模の多数人が一度に
   集まる大相撲興行の主催者としては、当然、予め受動喫煙の防止措置を講ずべきことを法律上求められている
   にもかかわらず、被告はその防止策を取らずに喫煙行為を野放図に放置した重大な過失がある。
 (3) 以上、右(1),(2)主張の故意若しくは重大な過失による被告の不法行為の態様は、同時に請求原因第3項で主張した
   大相撲観戦契約から生ずる被告の債権契約上の義務違反(任務の懈怠)とも重なり合い、右債権契約上の債務
   不履行にも該当しているというべきである。

7 副流煙に伴う受動喫煙による損害の発生
   (1) 原告が副流煙による受動喫煙被害を受けた時の状況は、請求原因第6項で主張したとおりである。
   (2) 煙草による副流煙は、有害物質が多量に含まれ、公衆衛生上の観点からも発ガン性などが指摘さ
     れており、公衆衛生の面から健康に悪影響を及ぼす恐れがあることは公知の事実であるところ、原告ら
     夫婦は、請求原因第6項で主張したとおり副流煙を長時間にわたって全身に浴びる被害を受け、且つ
     受動喫煙を余儀なくされたため、観戦中にあっては、折角入手した千秋楽の大相撲観戦が長時間にわ
     たって耐え難い苦痛を味わいながらの相撲観戦を余儀なくされた。本来、これら副流煙や受動喫煙の
     被害がなければもっと楽しく大相撲観戦ができたであろうところ、これら苦痛を味いながら相撲観戦を
     余儀なくされたので、原告ら夫婦にとっては、大相撲観戦につき精神的にも身体的にも大きな損害が
     生じたのである。のみならず、長時間にわたる副流煙を受けた結果、原告ら夫婦の服や身体、髪の毛にまで
     煙草臭が付着していたので、帰宅して脱衣して入浴するまで、その煙草臭の不快な臭いが残留し、この
     間極めて不快感を余儀なくされ、この面でも精神的な被害を受けたのである。
   (3) 上記(2)主張の原告の被害は、とても金銭に換算することはできないが、強いてその被害を金銭をもって
    換算するとすれば、次の諸事情があることを勘案してその賠償がなされるべきである。
    すなわち、@原告は、国技館の千秋楽における桝席Aという極めて入手困難な特殊事情にあった本件チケット
    をようやく入手して期待に弾んで相撲観戦に望んだ事情があったこと、A原告が右桝席確保の為に支払った
    チケットの代金は、金22,600円であったこと、Bもし、被告において、興行場法第4条第2項の制止
    措置が適正になされ、或いは事前に国技館の管理運営につき健康増進法第25条の受動喫煙防止措置が適正
    に講ぜられていれば、先のような被害は受けず、もっと楽しく千秋楽という大相撲観戦の醍醐味を堪能でき
    た筈であったところ、被告の故意若しくは重大な過失による管理懈怠が原因で、前記主張のとおり長時間
    にわたり煙草の副流煙によって苦痛感、不快感を味わいながらの大相撲観戦を余儀なくされた身体的、精神的
    苦痛は筆舌に尽くしがたいものであったこと。
     これら原告が受けた身体的、精神的損害は、とても金銭では代替できるものではないが、仮に金銭をもって
    賠償されるとすれば原告がチケット代金として支払った金22,600円の4分の1相当額の金5,650円
    は下らないと言うべきである。

8 よって、原告は被告に対し、興行場法第4条及び健康増進法第25条による被告管理者の任務懈怠に基く民法第709
 条の損害賠償請求として、また、仮に右不法行為に基づく賠償請求が認められないとしても、本件大相撲観戦
 契約に基づく被告の債務不履行(任務懈怠)による損害賠償請求として、金5,650円の支払いを求めると共に本訴
 状送達の翌日から支払い済みに至るまで年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める次第である。


               
証拠方法
 1 甲第1号証の1〜4(大相撲入場券)
 2 甲第2号証(国技館の座席表)
 3 甲第3号証(副流煙・受動喫煙の迷惑、煙害/インターネットより入手資料)
 4 その他必要に応じて立証する

               
付属書類
 1 資格証明書    1通
 2 甲号証の写し    各1通





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日本相撲協会の社会的責務と本訴訟の意義

 本件訴訟提起の元となった財団法人日本相撲協会(以下、相撲協会という)の受動喫煙防止措置問題に
関しては、最近の社会的な関心事となっています。
 例えば、平成16年7月に開催される名古屋場所については、相撲協会が一度桝席の禁煙を発表してお
きながら、その2日後には禁煙を撤回するなど、同協会の混乱した対応がありました(朝日新聞6/3付及び
6/5日付報道)。そして、この撤回報道を受けて6/9付朝日新聞の声の欄に掲載された栃木県の医師、森島
真氏の投書「待ったなし 大相撲の禁煙」の意見などに見られるように、世論からは受動喫煙防止措置を一
刻も早く講ずべしとの指摘がなされています。

 去る6月10日、私は相撲協会を相手に損害賠償を求める訴訟を提起しました。すると、その訴訟提起が
報道機関によって 全国版のニュースとして取り上げられ 報道されました。更に、そのニュースは、共同通信
社を通じて各報道機関に配信されたため、日本中はもとよりインターネットを通じて、世界中にいる日本人
の目にもとまったらしく、たくさんの励ましの E-Mail が舞い込んでいる状況であり、その社会的反響と報
道の影響力の大きさに大変驚いています。

 その意味で、今後法廷で争われる大相撲桝席の受動喫煙防止措置問題は、なおいっそう社会的な関心事に
なるものと思われます。

 そこで、私は、この度提起した訴訟の真意と、社会的な存在である相撲協会の責務についての見解を以下
のとおり指摘しておきたいと考えます。

 さて、このように受動喫煙の防止が社会的関心事となっている昨今、遅々として進まない国技館の受動喫
煙防止措置問題に対する後ろ向きな姿勢は、そもそも公益法人たる相撲協会の事業目的に照らしてみて、
一体どのように整合性を持つのでしょうか。更に、そのような姿勢を続ける相撲協会の運営のあり方は、社会
的に妥当性を有するのでしょうか。
 相撲協会の設立目的には、「相撲道の発展維持と”国民の心身の向上に寄与することを目的”」とする旨
の崇高な精神が謳われております。ところが、同協会は、受動喫煙防止措置を定めた健康増進法第25
条が施行されて1年以上経過した今もなお、桝席での喫煙行為を野放図に放任している結果、桝席の現場
では非喫煙者の求める”汚れていないきれいな空気”を吸う権利が侵害され、副流煙による受動喫煙の被
害が桝席のいたる所で発生して、桝席観覧者の健康に害を及ぼす虞のある喫煙行為が、非喫煙者の犠牲の
うえで堂々とまかり通っているのです。
 これら喫煙行為による副流煙の防止措置を講じようとしない相撲協会の態様は、およそ「国民の心身の
向上に寄与することを目的」に掲げる公益法人の社会的責務とは整合性を有しないのみならず、むしろ崇
高な事業目的とは全く正反対の、社会悪を垂れ流しているに等しい故意行為であると評価されるべきと考
えます。

 以上指摘したとおり、相撲協会が受動喫煙防止措置を講じないことは、すなわち自らの設立(事業)目的
と自己矛盾をもたらす結果になるのみならず、それは同時に、対内的には相撲協会の理事者らが自分たちの
組織が社会的(公益的)存在であることの視点と自覚が欠落している証左であり、相撲協会自体の存在意義
の自己否定を意味し、対外的には公益法人が社会悪を垂れ流していることと同義であることに、いち早く気
付くべきです。
その意味で、相撲協会の役員である理事者や横綱審議委員会の責任は重大です。
 特に、相撲協会に発言力を有している横綱審議委員会の委員各位は、朝青龍に的を射ていない非難(後
記参照)をするまえに、相撲協会自体の存立基盤に悪影響を及ぼしかねない現在の相撲協会の運営のあり
方にこそ、的を射た意見の進言をすべきと考えます。

 今般、私(原告)が提起した訴訟の真意は、まさに崇高な精神を掲げた公益法人としての日本相撲協会
の社会的責務とその運営のあり方を法律面から問い正そうとしているのです。


 野田 司法書士(原告)のコメント/2004/6/15 記

 



        
=参考資料=


健康増進法
第二十五条
 学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の
多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる
環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように
努めなければならない。


興行場法
(昭和二十三年七月十二日法律第百三十七号)

最終改正:平成一二年五月三一日法律第九一号
第一条  この法律で「興行場」とは、映画、演劇、音楽、スポーツ、演芸又は観せ物を、公衆に見せ、又は聞かせる
   施設をいう。
2  この法律で「興行場営業」とは、都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあつては、市長又は区長。
   第七条の二を除き、以下同じ。)の許可を受けて、業として興行場を経営することをいう。
第二条  業として興行場を経営しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。
2  都道府県知事は、興行場の設置の場所又はその構造設備が都道府県の条例で定める公衆衛生上必要な
  基準に適合しないと認めるときは、前項の許可を与えないことができる。ただし、この場合においては、
  都道府県知事は、理由を付した書面をもつて、その旨を通知しなければならない。

第二条の二  興行場営業を営む者(以下「営業者」という。)について相続、合併又は分割(当該興行場営業を
  承継させるものに限る。)があつたときは、相続人(相続人が二人以上ある場合において、その全員の同意
  により当該興行場営業を承継すべき相続人を選定したときは、その者)、合併後存続する法人若しくは合併に
  より設立した法人又は分割により当該興行場営業を承継した法人は、営業者の地位を承継する。
2  前項の規定により営業者の地位を承継した者は、遅滞なく、その事実を証する書面を添えて、その旨を
   都道府県知事に届け出なければならない。

第三条  営業者は、興行場について、換気、照明、防湿及び清潔その他入場者の衛生に必要な措置を講じなければ
  ならない。
2  前項の措置の基準については、都道府県が条例で、これを定める。

第四条  入場者は、興行場において、場内を著しく不潔にし、その他公衆衛生に害を及ぼす虞のある行為をして
    はならない。
2  営業者又は興行場の管理者は、前項の行為をする者に対して、その行為を制止しなければならない。

第五条  都道府県知事は、必要があると認めるときは、営業者その他の関係者から必要な報告を求め、又は当該
   吏員に、興行場に立ち入り、第三条第一項の規定による措置の実施の状況を検査させることができる。
2  当該吏員が、前項の規定により立入検査をする場合においては、その身分を示す証票を携帯し、且つ、
  関係人の請求があるときは、これを呈示しなければならない。


「副流煙・受動喫煙の迷惑・煙害 」についての資料は下記から引用させて頂きました
http://www.netlaputa.ne.jp/~ryufuu/index.html
http://www.netlaputa.ne.jp/~ryufuu/fukuryu.htm







朝青龍に対する横綱審議委員会の委員の発言要旨/新聞報道より




◆同年名古屋場所後の委員会 旭鷲山とのけんか騒動を起こしたことについて、「万が一、問題を起こしたら、
本人を(委員会に)呼び出して、注意、激励などを検討する」

◆平成16年初場所前のけいこ総見 モンゴルに無断帰国し、先代高砂親方の葬儀を欠席するなどの問題を起こした
 ことについて「あまりひどいようなら、石橋委員長に“引退勧告”すると言った」と渡辺恒雄委員

◆同年初場所後の委員会 全勝優勝したことに対し、一連の問題行動を不問にした上に、石橋委員長は「横審と
  しても、朝青龍を大横綱に育てないといけない責任がある」

★内館委員は“物言い”
 内館牧子委員は朝青龍に対し「まだ心の部分に問題がある。ボクシングで例えるなら暫定チャンピオンでしょう」
 朝青龍が懸賞金を受け取る際に、左手で手刀を切る所作などを批判した。

内館委員の右言動についての、私(野田)の感想
 朝青龍は左利きなのだから、左手で手刀を切る所作は、人としてごく自然な動きである。
 それを”まだ心の部分に問題がある”などと評し、未熟で非があるかのように批評するのは的を射ていない、
と私は思う。世の中には右利きばかりでなく左利きの人もいるのだから、左利きの人に対する温かい配慮をす
べきではないか、と私は思う。


横綱審議委員会委員
◎石橋 義夫  共立女子学園委員長
 海老沢勝二  NHK会長
 渡辺 恒雄  読売グループ本社会長
 三重野 康元 日銀総裁
 大島 宏彦  中日新聞取締役最高顧問
 内館 牧子  脚本家
 鶴田 卓彦  日本経済新聞相談役
 船村  徹  作曲家
 山田 洋次  映画監督
 市村田之助  歌舞伎俳優


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