To Heart


マルチ萌え〜な人々を大量生産した衝撃の問題作。
今すぐプレイして、泣いてください。

 「偶然が幾つも重なり合って〜、あな〜たとであ〜って、恋におち〜た」なんて事には、縁がない皆さん、世紀末をどのようにお過ごしでしょうか?

 今回は、(株)コナミの登録商標になりそうなサウンドノベルの草分けである『To Heart』を取り上げます。

 『マルチ萌え〜』や『西館4階のreafブースをどうにかしろ!』などの流行語(?)を生み出した今作を知らない人は、まさか居ないと思いますが、簡単に内容紹介します。

 高校生活二年目の春を迎え様ようとしていた主人公には、様々な出会いが待っていました。

 学園を舞台に繰り広げる、さわやかなハートフルラブコメディーだそうです。(パッケージ裏より)


 通常、こういったギャルゲーは特別な期間(例えば、夏休みとか転校までの1ヶ月とか、高校三年間とか)を舞台にし、ラストには、必ず重要な1日が設定されます(例えば、卒業式とか、引越し前日とか、)。

 また、特別な状況(例えば、ファミレスが舞台とか、SF、ホラーなどなど)を設けたりするわけです。

 それらが、物語を盛り上げるためのセオリーなわけですが、『To Heart』には、ほとんどそういった物が存在しません。

 物語は、高校1年の3月という中途半端な時期から始まり、5月の初めに終わります。

 最も大きなイベントは、『クラス替え』です・・・

 そこで描かれているのは、ごくごく平凡な日常と、ちょっとだけ非日常的な恋愛だったりします。

 もしかしたら、明日にも自分が遭遇するかもしれない『物語』、それこそが、多くのユーザーに支持された要因じゃないでしょうか?

 「俺には、幼馴染なんかいねぇ」とか「マルチはどうした?」とか、「あんなに可愛い子ばかり周りに居るわけがねぇ」とかいう声は、私には聞こえません(笑)。

 このゲームをプレイしているユーザーは、画面の中の少女達と、些細な日常会話を交わしているうちに、好意を持ち、恋をしていきます。

 それは、ゆっくりと、そしてまた、ある日突然にやってきます。


 例えば、『神岸あかり』がお下げを切って登校した朝、自分の鼓動が早くなるのを確かに感じませんでしたか?
 
 私は、感じました。

 おそらく彼女と見た夜桜や虹を、一生、忘れる事はないでしょう。

 そこまで世の男性を狂わせる魔力が、このゲームには秘められているのです。
 

 人々を狂わせるといえば『マルチ』です。(う〜ん、ちと強引)
 
 彼女の存在があったからこそ、『To Heart』は、伝説に成り得たと言っても過言ではありません。

 ヒロインでもなく、物語の後半の8日間にしか出現しない彼女の魅力はゲームをプレイした人でしか理解出来ません。

 って、それじゃ、あまりにも不親切ですね。

 彼女は、正式名称『HMX―12型』という来栖川エレクトロニクスが開発した、究極の汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオン、その初号機・・・ではもちろんなくて、最新型家庭用ロボットの試作型です。(注 『To Heart』の時代設定は明らかに現代なんですが・・・)

 主人公の高校に生徒として試験導入され、階段を落ちて主人公と出会うわけです。

 外見はほとんど人と変わりませんが、唯一耳にセンサーを付けて、人と区別するようになっています。


 人に喜ばれる事が大好きというマルチは、生徒から掃除を押しつけられたり、使いぱっしりとして、コキ使われます。

 それでも、笑顔を絶やさず、健気に働くマルチ。

 そして、主人公は、そんなマルチをほおってはおけません。

 掃除を一緒に手伝ったりしてあげるのです。

 マルチと接しているうちに、人間よりも人間にらしい感情を持っっている事に気づく主人公。

 しかし、試験期間も過ぎ、マルチは、学校を去っていく事になります。

 その最終日・・・

 ここから先は、ネタバレのため書けません。

 これからも、幾つかイベントがあるのですが、3回は泣ける事が確実です。

 というか、これで泣かない人は、鬼です。


 おいおい、ロボットに恋するなんて頭おかしいんじゃないの?(というか、その前にゲームのキャラに恋をしてる時点でおかしいですけど)などと思われた方、とにかく騙されたと思って、とっとと『To Heart』をプレイして下さい。

 本当に騙されても、当方は、関知しませんが。


 あかりとマルチの事ばかり書きましたが、その他にも数名のキャラが登場します。

 自らの超能力に悩む少女『姫川琴音』、黒魔術にハマッている先輩『来栖川芹香』などなど、隠しキャラ2名を含めて、合計で10名です。

 つまり、このソフトだけで10回の恋が出きるわけです。

 中には、ご遠慮したいキャラも居たり居なかったりですが。


 あかりとマルチ以外で、私のお気に入りは、『長岡志保』です。

 他のキャラを攻略している際は、本当に邪魔な存在で、『志保ちゃんニュース』なんかは殺意すら芽生えますが、あのEDの前には、全てが帳消しです。

 プレイヤーの意表を突くあのEDを皆さんにも是非ご覧になっていただきたいです。


 このゲーム、パソコン版18禁からの移植ですが、Hなシーンは、全然必要がないと思いますので、PS版がお奨めです。

 音声も入ってますしね。

 まぁ、パソコン版にも音声が入っていて、Hなシーンも音声が流れるなら、当然、そちらをお奨めするんですけどねぇ。


 余談ですが、先日、私の先輩に、『To Heart』をお貸ししたのですが、返却の際に、マルチはクリアしていないと聞かされて愕然としました。

 マルチだけは、クリアしてくれって言ったのに〜。

 それって、プレイした意味無いじゃん・・・(by 明石屋さんま)



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