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始めに
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チュンソフトが「トルネコの冒険」「風来のシレン」で中ヒットを飛ばしてからは、業界の常として類似品がいくつか出るようになりました。
雑誌などでこれら類似品が紹介される時は「シレンタイプ」と書かれてしまいます。しかし本当の元祖は別のものだということをご存知でしょうか。
割と有名な話なので、知っている方も大勢いるでしょう。
しかし、名前は知っていても、どんなゲームなのか、どんな背景があるのかなど、詳しいことは割と知られてないのではないでしょうか。
今回はこの元祖シレンタイプである rogue
紹介したいと思います。
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rogue とは
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rogue のシステムは「トルネコ」「シレン」のシステムと基本的には一緒ですが、(あちらが
rogue のコピーだから当然ですが)「トルネコ」を知らない人の為に、rogue
の特徴を紹介しておきます。
rogue はダンジョンの奥底に眠るイェンダーの魔避けを持ち帰り、富と名誉を得る事が目的の
RPG でした。
ダンジョンはプレイするたびにランダムに形を変えるようになっており、アイテムや敵の配置も同じくランダムだったので、何度でもプレイする事ができました。
また、アイテムはすべて未識別で最初は用途が不明でした。
これによりアイテムの使いどころが問題となります。
博打でアイテムを使ったり、効果を推測する面白さがありました。
また、「トルネコ」にはない、大きな特徴に、画面を文字で表現するというものがありました。
以下がそのプレイ画面です。
(図は "@" が主人公、"B"
は敵、 "]" がアイテム)
____________________________________________________________ ------------ |..........+ |..@....]..| |....B.....| |..........| -----+------ Level: 1 Gold: 0 Hp: 12(12) Str: 16(16) Arm: 4 Exp: 1/0 ____________________________________________________________ |
もちろん当時はグラフィックで表現することが出来なかった、というのもあります。
しかし、グラフィックで表現することが可能になった現在も、rogue
はこのスタイルを守っています。
さて、「トルネコ」はヒットしましたが、口さがない人は、単なるコピーじゃないか、と言うかもしれません。
しかし rogue は Free でした。
「自由ににコピーし、再配布して良い」ものだったのです。
ですから rogue をコピーすることに問題はありません。むしろ
rogueの歴史はコピーの歴史でした。
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rogueと多様なクローンたちの歴史
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rogue(ローグ)が生まれたのは1980年のことです。
BSD という OS(*1)と一緒に配布された、いわば単なるおまけでした。
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(*1)正確には違います。詳しくは UNIX の歴史を勉強してください。
BSD はミニコンとかワークステーションとか、研究/開発向けの高いコンピュータで動いていた
OS なので、rogue をプレイできたのは小数でした。
しかし、その斬新さと面白さとで rogue の虜になった人は増えていき、徐々にパソコン等に移植され、広まって行ったのです。
中には rogue にない新しいアイテムや魔法やモンスターを追加したりシステムを拡張して、名前を変えて配布されたものもありました。
これらは rogue-like と呼ばれました。
公開された rogue-like のほとんどが rogue
と同様、フリーだったので、それらも移植されたり、また新しい
rogue-like が生まれたりしました。
いくつか紹介すると…
・The Dungeons of Moria
1983年誕生。
後に Angband と言う亜種になります。
・Advanced Rogue
1984年誕生。
AT&T Bell研究所(オリジナルのUNIXを作っていた所)で
作られました。
UNIX の総本山でも rogue をプレイしたかったのか、それともユーザの要求に答えたか、どちらにしても興味深い事です。
・Hack
1985年誕生。
かなり拡張された rogue-like です。
以降の BSD には、これが標準で添付されるようになったようです。
クラスが選べる事、ペットとして犬か猫を連れて歩けて、ペットが敵と戦ってくれる事、またダンジョンに店がある事など、「風来のシレン」はこちらに近いと言えるでしょう。
後に NetHack となります。
・Larn
1986年誕生。
町が存在する最初の rogue-like らしいです。
なんと、イェンダーの魔避けをとってくるのではなく、病気の娘を救う為にダンジョンに潜るという背景になっています。
・Rogue Clone
1987年誕生。オリジナル rogue の作者が、新しく作り直し、ソースとともに公開した
rogue です。
普通、我々の見る rogue と言うと、これを指すはずです。
・Omega
1987年誕生。
複数の町とダンジョンが存在する rogue-like
です。
複数のクラスにはそれぞれクエストが存在しており、RPG
の色が強い作品です。
・NetHack
1987年誕生。
Hack をさらに改良したものを一度集めてまとめあげたものがこれです。
モンスターやアイテムなどもさらに増加しました。
もっともポピュラーで、NetHack 自体の亜種も存在します(
NetHack Next Genaration など)。
新しいものではテキストだけでなく、グラフィックつきでプレイできるようになりました。
・Angband
1991年誕生。
Moria をベースに作られた、 The Pits of
Angband が元で、これもさまざまな亜種が作られました。
謎解きではなく、戦闘を重視しており、キャラクターを育てて楽しむ
rogue-like です。
ゴールは 100 階の魔王を倒す事です。
きりがないのでこれくらいにしておきましょう。
これ以降も様々なrogue-like が公開されていきます。
そして「トルネコの冒険」が発売されるのです。
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実際にプレイするには
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ここでいくつか実際に遊べる rogue-like を紹介しましょう。
もっともポピュラーかつ人気のある NetHack
なら簡単に入手できますし、ほとんどのプラットフォームに移植されていますので一度プレイすることをお勧めします。
日本語でメッセージが表示される JNetHack
というものもありますので、こちらで遊ぶのがよいでしょう。
まず以下のWebサイトへ行って見て下さい。
<http://www.jnethack.org/jnethack.html>
ここには、Windows 版や X68K 版のバイナリがあります。
ソースや初心者向けガイドブックを始めとする読み物も充実しています。
また、MS-DOS 用バイナリがVectorのサイトに、Mac用バイナリが後藤寿庵さんのページで入手可能です。
<http://www.vector.co.jp/soft/dl/dos/game/s0138747.html>
<http://www.win.ne.jp/%7Ejuan/misc/roguelike.html>
黙々とやるなら Angband がお勧めです。
以下のサイトに行ってみてください。
各プラットフォーム用バイナリの入手先のリンクがあります。
また、ここからソースが入手できます。
<http://plaza16.mbn.or.jp/%7Eirisroom/jangband/jangband.html>
また、RPG 色の強い Omega は非常に興味深い
rogue-like です。
日本語版は DOS用、Mac用、OS/2用バイナリが以下から入手できます。
ソースへのリンクもあったのですが、2000年7月現在、リンクが切れていて入手できませんでした。
<http://www.lab3.kuis.kyoto-u.ac.jp/~roguelike/omega.html>
やはりオリジナルをやってみたい、という向きには
Rogue Clone ですが日本語版のバイナリで見つかったのは
Windows 版と Mac 版だけでした。
Windows 版は Vector から入手可能です。
Mac 版は前述の後藤寿庵さんのページで入手してください。
<http://www.vector.co.jp/soft/dl/win95/game/s0125367.html>
<http://www.win.ne.jp/%7Ejuan/misc/roguelike.html>
Leaf Rogue というものあります。
これは Rogue Clone のメッセージだけを別リソースとして、置き換え可能にした「メッセージ分離版
Rogue Clone 」用のメッセージリソースで、
Leaf のゲームの登場人物をキャラクターに使い、Leaf
の雰囲気で rogueを楽しむためのものです。
くわしくは以下のサイトに行ってみて下さい。ソースや各種バイナリもおいてあります。
<http://www.lab3.kuis.kyoto-u.ac.jp/%7Eroguelike/leaf>
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終りに
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ざっと駆け足で紹介しましたが、Internet
には rogue-like を紹介したサイトがたくさん存在します。
是非探して、訪れてみて下さい。