機動戦艦ナデシコ
NADESICO THE MISSION


機動戦艦ナデシコが満を持して、戦術SLGとして発売。
ルリルリファンがそこで見たものとは?


 某漫画では「セガのゲームは世界一!」などと言ってますが、セガが作るキャラゲーは、世界一つまらないというのも、また、定説となりつつあります。

 まぁ、それでも講談社が作るキャラゲーよりは、遥かにマシですが。

 そんなセガに目を付けられてしまった哀れな生贄が、ポスト『エヴァンゲリオン』の呼び声高くも、今では皆さんの脳裏から消え去った感のある『機動戦艦ナデシコ』です。


 『機動戦艦ナデシコ』とは、木星連合と地球との戦争を描いた超ド級のSFアニメです。

 というよりは、影の薄いヒロイン『ミスマル・ユリカ』や人気爆発の『ホシノ・ルリ(通称・ルリルリ)』と、主役の『アキト』のラブコメっていった方が早いかもしれません。(なんか、全然違う気もしますが)

 劇中内アニメの『ゲキガンガー』が何故か大人気となり、そのシリーズのアニメ化さえ、検討されました。

 結果的に、OVA1巻の発売のみで終わってしまったのが、残念なところです。


 このアニメが最初にゲーム化されたのは、SSの時代に遡るわけですが、その第一弾は、何故か(ある意味正しいが)恋愛シミュレーションという、意表を突く展開となりました。

 『機動戦艦ナデシコ』は、確かに恋愛の要素が重要なアニメでしたが、何もそこをメインにしなくてもと、誰もが思ったはずです。

 で、それが意外にも売れたのか、セガは、すぐさま第ニ弾のゲームを発売します。

 SSで発売されたそれは、前作のような恋愛シミュレーションではなく、選択肢型アドベンチャーゲームとなっていたのです。

 って、何故、アドベンチャーゲームにするのだ、セガ?

 もう、常人の理解を超えてます。

 TVシリーズと、劇場版の間のお話を埋めるこのゲームは、劇場版公開前という事もあって、やはり意外にも売れちゃったようです。

 私も購入しましたが、史実とまるで違うマルチEDが多々あり、結構楽しかったのを憶えています。


 さて、そうこうするうちに『劇場版・機動戦艦ナデシコ』が上映されたわけです。

 巷の人気に答え、ヒロインをユリカからホシノ・ルリに変えたまでは良かったのですが、TV版EDの希望あぶれる未来感を全てぶち壊しにする暗いストーリーに、多くのファンは呆然となったのです。

 私のナデシコ熱も、この時点で、かなり冷める事となりました。

 しかし、セガはそんな世情を全く意に解する事もなく、次世代機として発売したDCのキラーソフトとして、三度『機動戦艦ナデシコ』を担ぎ出すのです。

 前フリ長いですね。


 今までのゲームについて反省したのか、同じ物を作るわけにいかなかったのか、第三弾となった今作は、戦術SLGを採用しています。

 これでやっと、ナデシコの艦長となり、ボソンジャンプしたりする事が・・・、もといエステバリスに指示を出せるというような、ファン長年の夢が叶う事になったのです。

 なったのですが・・・


 ぶっちゃけた話、そのSLGが、ヌルすぎて、全然面白くありません。

 戦術の欠片もありゃしないです。

 その原因は、ナデシコ+エステバリス5機という、味方のユニットが、最大でも6ユニットしかいないという点と、アニメのファン(=SLGが得意とはいえない)に配慮した結果、難易度を下げたという点にあります。

 さすがに、ユニットが6機では、再現出来るシチュエーションが限られてしまいます。

 また、各マップは、SLG初心者用に、基本的には力押しでクリア出来るようになっています。


 一応、いろいろと工夫を凝らしているのは、分かるんです。

 例えば、味方のうち数機が出撃出来なくし、ユニットを少なくし、危機感を煽ってみたり。

 例えば、地球連合軍の戦艦を守りきりマップ圏外に逃がすような任務があったり。

 また、戦闘前には、スペクターさんやルリルリなどから進言される幾つかの作戦案から一つを選ぶ事が出来るので、それによって、初期配置が違ってきます。

 更に、ゲームが進む事にいろいろなパーツが手に入りますので、先頭前にエステバリスの各ユニットをどのようにカスタマイズをするか選択する事も出来ます。

 例えば、装甲重視にしてみたり、遠距離用火器に重点を置いてみたり。

 後、各キャラクターにも成長という要素がありますので、先々、どのようなタイプに育てるかを考えて、経験ポイントを割り振らなければ成りません。

 なんか、文章にすると楽しい要素満載なんですけどねぇ・・・


 そういえば、ストーリーについて書くのを忘れていました。

 物語は、劇場版のちょっと後から始ります。

 アキトと一緒にどこかへ旅だったユリカでしたが、何故か、ルリルリが艦長をしているナデシコに乗船しています。

 そんなおり、火星の後継者の残党が活動を開始しました。

 彼らの野望を挫く為、ナデシコは、宇宙を翔けるのです。

 と、こうかくと、やっぱり楽しい要素満載なんですけどねぇ・・・

 今作の主人公は、アキトではありません。

 ユーザーは、新米士官として、ナデシコへ訓練のため乗船してして、事件に巻き込まれるのです。

 そういった立場の人間に、エステバリスの操縦させたり、戦術の指揮を取らせたりするのは、マズイような気がするのは、私だけでしょうか?


 火星の後継者の残党を倒すと、見事EDとなります。

 ここで、好感度の一番高いキャラのEDを見る事が出来ます。

 戦術SLGなのに、何故『好感度』なんてパラメーターがあるの?と思われるかもしれません。

 私も、そう思いました。

 つまり、作戦案選択の際などには、『どの作戦がこの状況を切り抜けるのに有効か』よりも『好感度上げたい娘の作戦案を採用しよう』という観点でプレイしないといけないのです。

 このゲーム、SLGはSLGでも、実は恋愛SLGだったのです。



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