ギャルゲーの出来はCGで判断してはいけないという交霊。
一応、好例と交霊を掛けてる事を理解して欲しい・・・
『大和撫子』
最近、聞かれなくなった言葉です。
もしかしたら、現在の日本からは、絶滅してしまったかもしれません。
「ただいま〜」と会社から帰宅すると、着物を着た女房が三つ指をついて「おかえりなさいませ。」と迎えてくれる・・・
そして「あなた、お食事にします?それともお風呂?それとも○○○?」なんてね。
そんな夢を抱いた事はありませんか?
私はあります。
『まぼろし月夜』は、そんな男達の夢を叶えてくれるドリーマーなゲームです。
もちろん、三つ指ついてのお出迎えまでですが・・・
高校生の主人公は、ある夏の夕暮れに、丘の上公園で、幽霊の少女『あやめ』と出会います。
彼女は、主人公の曾祖父の恋人で、東京大震災で死んでしまいましたが、自分が死んだ事に気がつかずに、数十年も恋人を待ち続け、たまたま通りかかった曾孫の主人公を恋人と思い込み(血が繋がっているので似てる)、主人公の家に転がりこんでくるのです。
『あやめ』の親族である『朝霧南』や、主人公の幼馴染である『鳴海理央』などを巻き込んで、主人公と『あやめ』の共同生活は、コミカルに続けられていくのでした。
システムは、6月21日からの約2ヵ月間を過ごす形のアドベンチャーです。
毎日、校舎・商店街など7箇所から行く場所を決め、行った先で少女などに出会ったりします。
もちろん、所々選択肢などが存在し、好感度の上下などが起こります。
う〜ん、まぁ、システムは至って普通のアドベンチャーですね。
普通で無いのは、シナリオの方です。
先に、シナリオの導入部を書きましたが、このゲームの成功は、ヒロインの設定にあると言っても過言ではありません。
あやめさんは、大正時代に死んでしまったわけで、知識や常識が、大正時代の人なわけです。
まず、男の人をものすごい立てます。
三つ指ついてのお出迎えや、男性の三歩後ろを歩くなどは、当然です。
恋人の名前に『〜様』を付けて呼ぶなんて、そんな女性に出会った事は、私は、今までありません。
更に、カルチャーギャップで笑わしてくれます。
自動販売機の自動音声にお辞儀してみたり、洗濯機に首をかしげてみたりします。
また、スカートを履く事さえ凄く恥ずかしい事で、水着など着ようものなら・・・
ただ、彼女の場合、生きていた時代うんぬんというよりも、天性のボケ体質という気がしますが。
さて、「幽霊なのに水着が着れるの?」とお思いの方、あなたは鋭いです。
あやめさんを語る上で忘れてはならないもう一つのキーワードが、『幽霊』です。
彼女は、幽霊ですので、日中は歩けません。
そんな事をしたら、消滅してしまいます。
そこで、血が繋がっている『朝霧南』の出番です。
彼女の中に入る事で、あやめさんは、自由を謳歌する事が出来ます。
ただ、回りの人は、『朝霧南』にあやめさんが憑依している事は知りませんから、普段の『朝霧南』とのギャップに、腰を抜かすわけです。
さらに、幽霊である事が、様々な人々を引き寄せる事になるのです。
幽霊で度胸をつけたい『坂上葉月』、幽霊の研究をしたい『坂上美雪』、霊を祓う事を生業としている『御所颯姫』、あやめさんを成仏させるため派遣された天使『玉子』などなど。
ラインナップを見ただけでは、とても、恋愛アドベンチャーとは思えません・・・
そして、一番タチが悪いのは、当の本人であるあやめさんが、自分を幽霊と気が付いていない事です。
ボケ体質もここまで来ると、すごいです。
マニュアルには『ちょっぴり天然ボケ気味』とありますが、そんな生優しいレベルではありません。
さて、物語が進むと、悲しい事実が判明します。
あまりにも幽霊で居た時間が長かったため、あやめさんは、今年の命日(9月1日)までに、成仏しなければ、消滅してしまうのです。
成仏と消滅は似ているようでいて違います。
消滅してしまうと、輪廻転生する事が叶わずに、本当に世界から消滅してしまうのです。
それは一大事と、主人公達は、あやめさんに幽霊という自覚を持たせ、成仏するように、行動を始めるのです。
ここからは、ボケ満載のストーリーからシリアス路線へと、徐々に移行していきます。
あやめさん以外の女の子を狙っている場合は、『狙った女の子との恋愛成就』+『その女の子と力を合わせてあやめさんを成仏させる』といった感じになります。
この2段構えのストーリーが感動を呼ぶのです。
その観点からすると、あやめさんオンリーの場合は、『自分一人であやめさんを成仏』といった感がありますので、少し感動が薄れてしまっているのが残念です。
ただ、その変わりに、あやめさんストーリーには、EDが2つ存在します。
ノーマルEDとベストEDです。
ベストEDの方は、見るのがちょっと大変ですが、あっと驚くEDですので、ぜひご覧下さい。
個人的には、ノーマルEDの方が味があって好きですけどね。
さらに言うと、バッドEDも味があって大好きです。
最後に、キャラデザの事を全く書いてませんでしたので、ちょっとだけ書きます。
巨乳です。
とにかく巨乳です。
あなたはこのゲームで、ギャルゲー史上最高の巨乳と遭遇する事でしょう。
残念ながら、あやめさんは、違いますけど。