Kanon


ユーザーに20世紀最高の『奇跡』を見せてくれた今作。
ギャルゲー史上に残る『奇跡』について語る。


 正直、ちまたに溢れている「奇跡」の安っぽさが嫌いだ。

 やれ「奇跡の脱出」だの「奇跡の生還」だの、そんなの奇跡でも何でも無く、大抵、経験や勘や努力の産物でしかない。

 当事者だって、簡単に「奇跡」という言葉で括われてたら、たまったもんじゃないだろう。

 「奇跡」なんてもんは、このゲームの登場人物・栞ちゃんのセリフにあるとおり「起こらないから、奇跡」っていうのであって、週に2・3回も見れるような安っぽい物ではないはずだ。

 だから、このPCで、このゲームが発売されて人気が出た時も、『奇跡』がどうたらこうたら言われてたんで、私は見向きもしなかったのです。

 「どうせ、くだらん奇跡を題材にしたゲームだろう」、そんな先入観を持って、プレイするのを避けていました。

 今では、その軽率な行為を後悔しています。


 物語の主旨はこうです。

 7年ぶりに、この雪の街に戻ってきた主人公(祐一)は、5人の少女と出会います。

 少女たちにも、また、この街並にも、懐かしいような不思議な感覚を憶えるのですが、記憶が曖昧で、思い出すことが出来ません。

 いったい過去に何があったのだろうか・・・


 物語自体の構造は至極単純です。

 ただ、CG、テキスト、音楽など演出の全てが巧みに物語の真実を隠すようになっていますので、『奇跡』の謎が解けた瞬間にユーザーに大きな驚きを与えるのです。


 例えば、OPです。
 
 あれが、そんなに重要な物だったなんて!と驚く事請け合いです。、
 
 でも、やっぱりネタバレになるんで、書けません。

 ゲーム中に、存在するアレやコレが、あ〜いう意味やこ〜ゆ意味を持っていたと分かった瞬間の感動を皆さんにも、ぜひ体験していただきたいです。


 う〜ん、ストーリに関する事は全然書けませんね・・・

 それでは、他の部分について、ちょっとだけ書きます。


 まず、音楽について。

 ユーザーの耳に1番印象深く残るのは、OPに流れている『朝影』でしょう。

 私は『Kanon』を立ち上げるたびに、これを聞いて、じんわりと感動しています。

 さらにOPの唄も良い感じですね。

 あの物悲しさがタマラないです。


 続いては、女の子達の仕草や行動についてです。

 1999年ギャルゲー流行語大賞(←そんな物ない)となったあゆの『うぐぅ』を初め、真琴の『あぅ〜』や、栞の『そんなこと言う人嫌いです』などの名言にノックアウトされた方も多いと思います。

 一部では、DC版の声は、合ってないという意見を耳にしますが、私は、かなりハマってると思います。

 更に、彼女達の『食』へのこだわりには、驚かされました。

 着てる服が、毎日同じなのは、アイスや肉まんや鯛焼きやイチゴサンデーに、おこずかいの大半を費やしているからでしょう。

 あっ、鯛焼きは食い逃げしてるから、お金が掛かってないですね。

 
 後、秋子さんやサユリンなどの魅力が有り過ぎるサブキャラにも注目したいですね。

 秋子さんの職業や、あのジャムの中身が何なのかは永遠の謎です。


 ゲーム前半部の女の子達との夫婦漫才も忘れてはならない要素です。

 私の1番のお気に入りは、

 『じゃ』
 『じゃ、じゃないよ〜』
 『じょ』
 『じょ、でもないよ〜』

 ・・・分からない人は、ゲームをプレイして下さい。


 ベタ誉めの感もありますが、もちろん、欠点(というほどのものではないが)は幾つか目に付きます。


 一点目は、EDに流れる唄です。

 OPのしっとりした唄や、ゲーム中に流れるBGMからすると、EDだけ、妙に明るくて違和感が残ります。

 確かに、ハッピーエンドらしいと言えばらしいのですが・・・

 途中から入る男のラップ調のセリフ(?)が、何言ってるか分からんのも困りものです。


 二点目は、栞シナリオに関してです。

 ネタバレになるので、詳しくは書けませんが、他の4人と違って、栞だけは、過去の主人公と接点が存在しません。(あるのかもしれないが、私は、気がつきませんでした。)

 これでは、主人公が、7年前の記憶を失っているとか、その他の意味深な演出の意味が無くなってしまう事になります。


 三点目は、特徴がありすぎる絵柄です。

 はっきり言って、この絵柄では、一般的な訴求力は『0』と言えます。

 というか、ギャルゲーを愛する人々からも敬遠される可能性があります。

 もう少し売れ線の絵柄でも良かったんじゃないでしょうか?

 たま〜に、目が怖い時があったりもしますし・・・

 個人的には、この絵柄は、味があって、好きなんですが・・・


 四点目は、あゆシナリオを解く順番によって、ゲームに対する印象が著しく変化する点です。

 またまた、ネタバレになるので詳しくは書けませんが、彼女のシナリオが、ゲーム全体に掛かっているリドル(謎かけ)の答えとなっています。

 犯人を知った状態で推理小説を読むのと、知らないで読むのでは、全然、意味が違ってきますよね?

 もちろん、どちらの読み方にも違った楽しみがあるとは思いますが・・・

 そのくらい、彼女のシナリオは重要です。

 フラグを立てて、彼女のシナリオは必ず最後にクリアさせるようにしても良かったと思います。


 というわけで、ネタバレをしたらマズイと思ったんで、かなりボカして書きました。

 最近の私の一押しの作品ですので、機会がありましたら、プレイしてみて下さい。



戻る