アーク・ザ・ラッド3


人気シリーズと錯覚したソフトウェアの末路。
普通の面白さのRPGでは、ユーザーは引きつけられなかった。


 PSが発売されて1年ほどの間は、RPGがほとんど発売されませんでした。

 RPGを制した者がハード戦争を制するという認識のもと、SCEが、急ピッチで開発したのが、『ビヨンド・オブ・ビヨンド』であり『アーク・ザ・ラッド』(以下、『アーク』)なのです。

 これらのゲームの評判は著しく悪く、「PSではロクなRPGが出来ねぇ」といった風評が立ちましたが、SSでも『リグルロードサーガ』とか『シャインニング・ウィンダム』とかいう酷いRPGしかなかったので、なんとかPSの命脈は保てたのです。

 『アーク1』は、ゲーム自体の出来は、そんなに悪くはなかったのですが、開発期間の問題なのか、前後編の前編といったストーリーで、クリアまでの時間が10時間ちょいと短く、RPG=長時間楽しめるといったユーザーの期待を裏切りまくり、人々を失意のドン底に突き落としました。


 本当ならば、ここで『アーク』の命運は絶たれる事になったはずなのですが、幸いなことに「とにかくストーリーを完結させてくれ」とのユーザーの声に押されて、続編の『アーク2』が開発されました。

 『アーク2』は、『アーク1』の不評を受けて、プレイ時間を大幅にアップし、70時間プレイという大作RPGとなっていました。

 「今度は長過ぎる」というユーザーの声もありましたが、『アーク1』に比べて遥かに満足出来るボリュームとそこそこの面白さで、概ね好評だったのです。

 まぁ、ラストに関しては、賛否両論あると思いますが(というか否の評判しか聞いた事がありませんけど)。


 さて、『アーク』サーガは『2』で終わったはずだったのですが、何を勘違いしたのかSCEは、更なる続編『アーク3』を開発・発売してしまったのです。

 『アーク3』は、『アーク2』のラストから数年後が舞台です。

 あの『大災害』の余波を受けて、世界のほとんどは水没しています。

 主人公のアレクは、『大災害』で親と故郷を無くし、辺境の村で暮らしています。

 ハンターに憧れ、ハンターとなったアレクは、ギルドの仕事をこなすうちに、『闇黒の支配者』を復活させてその力を利用しようとするスカタン達が居る事を知り、それを阻止するために、仲間達と戦いに挑むのです。

 
 基本的な流れは、『ギルドの仕事をこなす』→『特定のイベントが起こる』→『ストーリーが進む』といった感じす。

 CD1枚目は、世界の島を巡り(といっても、1本道で後戻りできませんけど)、冒険をしますが、徐々に仲間が増えていくのもお約束です。

 CD2枚目からは、ホバークラフトが手に入るので、好きな島に行く事が出来ます。

 ただし、世界を巡るといっても各地のハンターギルドを巡って仕事を探すだけです。

 ギルドの仕事をこなさないとフラグが立ちませんので、ストーリーは全然進みません。

 で、最終的に悪のオオボスを倒すのです。


 冒険の途中では幾人かの魅力的な人物が登場しますが、それら市民やNPCのほとんどは、『アーク1』や『アーク2』の登場人物たちです。

 ですから、今までのシリーズをやってると凄く楽しめます。

 というかプレイしてないと、全然、楽しくないです。

 前作やっているからといって、チョコを知らない可能性もありますけど。

 あの人やあんな人が出てるかどうかは内緒です。


 もちろんパーティーの仲間達(含む、自分)も楽しい奴らばかりです。

 特筆すべきは、パーティー全員が漫才のボケと化しており、ボケとボケの応酬が繰り広げられる点です。

 というか、誰か一人くらいツッコミ要員を居れておけよ。

 まぁ、仲間達に限らず、出てくる人間のほとんどがボケ担当なんですけどね。


 このゲームにはやり込む要素が一杯です。

 『ハンターギルド』の仕事は全て大成功させて最高の称号を得たくなりますし、カーディッシュ技による『モンスターカード集め』もハマル人はハマルでしょう。

 また、武器・防具・道具精製などは、未知のアイテムを作り出す面白さに溢れています。

 もちろん、そういうのが面倒だという人でも、適当にプレイしていればクリア出来るような難易度となっています。


 戦闘シーンは、前作とほぼ同じです。

 多少、もったり感がありますが、気になるほどではありません。

 ただ、モンスターカード集めに走ると、簡単に殺しちゃう事が出来なくなるので、いきなり面倒くささが倍増しますが。


 キャラのCGに関しては・・・、これは、ちとマズイ出来ですね。

 これによって従来のファンが去って行っちゃった気がします。


 というわけで、『アーク3』は、そこそこ面白いRPGなんですが、たいして話題にも上らずに消えていってしまいました。

 まぁ、ストーリーがたいして奇抜でもなきゃ、システムも従来通りという事であれば、仕方ない結果かなとも思いますが。

 宣伝もあんまりしてなかったみたいですしね。


 とりあえず解いた今になっても気になる点があります。

 どうも隠しキャラが居るようなんですが、それが見つけられません。

 パーティーの枡は、8人分あるのですが、仲間6人(含む自分)+NPCの7人分しか枡が埋まらずに非常にイライラしました。


 後、気になるのは、CD2枚目に入って直ぐに、ラスボスの所へ飛行船で向かうというストーリーです。

 その際には、攻撃を受けて不時着してしまい、修理が終わるまで、世界を回って冒険・情報収集をする事になるんですが、それらの冒険が飛行船の修理に与える影響が皆無なのです。

 せめて、飛行船修理のための部品を集めるとかであれば、良かったのですが・・・。

 冒険とかするより、全員で飛行船の修理をしろよ。



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